エミ先生の「予算の魔法」と、負の資産の行列変換
この物語はフィクションです。現実の学校現場とは全く関係ありません。ご一読ありがとうございます。
放課後の職員室。そこには、大量の領収書と部活動の予算申請書を前に、今にも泣き出しそうなエミ先生の姿がありました。
**エミ先生:**「中村先生! 大変ですわ! 吹奏楽部のコンクール遠征費と、茶道部のお茶菓子代……。どう計算しても、予算がマイナス 5 万円に突入してしまいますの。これでは、生徒たちが空気だけを食べてお茶を点てることになってしまいますわ!」
**中村:**「……エミ先生、落ち着いてください。数学的には『空気だけでお茶を点てる』のは、質量保存の法則に反します。どれどれ、その『負の資産』を見せてください」
中村先生が差し出された書類を覗き込むと、そこには支離滅裂な四則演算の跡がありました。
**中村:**「……なるほど。これは計算ミスというより、もはや数学的なファンタジーですね。鈴木先生、ちょっといいですか? この予算表、多変数の『線形代数』で整理し直す必要があります」
**鈴木:**「……了解しました。現在の予算配分を**行列 A ** 、各部の必要経費をベクトル x とします。……中村先生、これを見てください。備品購入費の減価償却設定が間違っています。 3 年で処理すべき楽器の予算が、なぜか単年度で一括計上されている」
**中村:**「エミ先生、ここです。この『負の要素』は、時間の軸を変換することで分散できる。つまり、行列の基底変換を行うわけです」
**エミ先生:**「まあ! 行列の基底……? なんだか、難しい言葉ですけれど、先生がペンを動かすたびに、赤い数字(赤字)が魔法のように黒い数字(黒字)に書き換わっていきますわ!」
**中村:**「魔法じゃありませんよ。資産というものは、どの視点(座標系)から見るかによって、その価値が変わるんです。単年度で見れば『損失』でも、長期的な投資(教育効果)という軸で見れば、それは『正の固有値』を持つ資産になる。……よし、これで帳尻が合いました。あと 円ほど余りが出ます」
**エミ先生:**「素晴らしいですわ! その余った 2000 円で、茶道部にちょっといいお干菓子が買えますわね! 中村先生、あなたは数字の迷宮から私たちを救い出す、真のナイトですわ!」
**中村:**「……ナイトじゃなくて、ただの『面倒事を早く終わらせて帰りたい男』です。さあ、鈴木先生。この修正案を事務室に投げて、私たちはさっさと退勤しましょう」
**鈴木:**「……中村先生。事務室への経路における『判子(承認)』のスタンプラリー時間を計算したところ、今からだと 分の残業が確定します」
**中村:**「……チッ。行列変換で、私の残業時間もゼロにできませんかね?」
中村先生は溜息をつきながらも、エミ先生の満面の笑みに免じて、もう一度ペンを走らせるのでした。
演習問題
行列の計算において、元の行列 に掛けると「元に戻る(単位行列 になる)」ような、いわば逆数の役割を果たす行列を何と呼びますか?
1. 転置行列
2. 逆行列
3. 零行列
4. 対角行列
解説
数における 5 × 1/5 = 1 と同じように、行列においても A × A^(-1) = E となるような A^(-1) を「逆行列」と呼びます。これを使うことで、複雑な連立方程式(予算の不整合など)を一気に解くことができます。
**正解:2**




