2学期始業式と、生徒たちの「夏休みの宿題(オーバーテクノロジー)」
この物語はフィクションです。現実の学校現場とは全く関係ありません。ご一読ありがとうございます。
「中村先生! 夏休みの宿題、全員提出完了しましたわ! ……というか、提出方法が少し『特殊的』すぎて、事務室がパニックですの!」
2学期始業式。学校に足を踏み入れた途端、エミ先生が私の腕を掴みました。
彼女が指差す先、校庭の中央には、見たこともない巨大な**「自律型ポスト」**が鎮座し、生徒たちがスマホをかざすたびに、超高速でプリントをスキャンしては電子化し、クラウドへ飛ばしています。
「エミ先生……。あれは何ですか? 私はただ、『宿題を忘れないように』と言っただけですが」
「山口くんたちが、デジタル庁の予算を勝手に……あ、いえ、『有効活用』して、宿題の出し忘れを物理的に不可能にする**『提出義務化・全自動回収機』**を開発したそうですわ!」
(山口くん、筋肉だけじゃなく、ついに国の予算の使い方まで覚えちゃったか……!)
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### 校務:鈴木先生と「宿題の自動AI添削」
職員室に入ると、鈴木先生がモニターを10枚ほど並べて、流れ星のような速さで流れるデータを眺めていました。
**中村:**「鈴木先生……。生徒たちが勝手に作ったあの装置、止めてもらえませんか? 採点する私の身にもなってください」
**鈴木:**「……中村先生。遅いです。すでに提出された宿題は、私の『AI添削サブシステム』によって、全問採点および解説の生成まで完了しています。……驚くべきことに、六条さんの数学の自由研究は、現在のリーマン予想に関する新しいアプローチを含んでいました。これはもはや『宿題』ではなく『学術論文』です」
**中村:**「(……白目)……論文? 夏休みの宿題で? もう、普通の高校生のフリをする気さえないんですね、彼ら」
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### 授業:2学期の導入(集合と論理:矛盾の解消編)
始業式のあとのLHR。生徒たちは、一回り大きくなった(主に山口くんの筋肉と、六条さんの知識量)姿で座っていました。
**中村:**「みんな、2学期もよろしく。……まず一つ。宿題を自動回収するのはいいけど、機械の設置許可を私に通してくれ。これは数学でいう『前提条件』の欠如だ」
**六条(天才肌):**「先生、すみません。でも、『教師の負担を最小化する』という先生の教えを論理的に突き詰めた結果、あの形が最適解(パレート最適)だったんです」
**山口(体育会系):**「先生! 俺の筋トレ日記も、ドローンが体脂肪率をスキャンして自動入力するようにしたぜ! これで『サボる』という選択肢が数学的に消滅した!」
**中村:**「……山口くん。数学は『楽をするため』のものであって、自分を追い込むための呪いじゃないんだよ……」
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### 結末:校長の「2学期の予感」
放課後。校長室の前を通ると、稗田校長が「自動回収機」の周囲を、まるで神殿を拝む巡礼者のように歩いていました。
「中村先生。見なさい、この輝きを。生徒たちが自ら『効率』を追求し、教師を越えようとしている。……これこそ、あなたがガイドブックで説いていた『主体的・対話的で深い学び』の究極の具現化です」
(校長、あれはただ、彼らが宿題を早く終わらせて遊びたかっただけの、壮大な手抜き装置です!)
「中村先生。2学期、この学校はもはや『学校』という枠組みを超え、人類の知性が進化する『加速器』となるでしょう。……私は、あなたの背後に見える『第2の断頭台(さらなる業務増加)』も、あなたが鮮やかに切り抜けることを確信していますよ」
(……校長、予言が不吉すぎます! 私、2学期こそは目立たず、静かに教室の隅で結露でも眺めていたいんです!)
中村正樹の2学期は、教え子たちが「効率化の怪物」へと進化したことで、自らの「サボり場」が奪われかねないという、皮肉な逆転現象から幕を開けるのでした。
演習問題
次の命題の「逆」を述べ、その真偽を答えなさい。
命題:「宿題が自動化されているならば、先生は楽ができる」
1. 逆:「先生が楽をできるならば、宿題は自動化されている」 ― 真
2. 逆:「先生が楽をできるならば、宿題は自動化されている」 ― 偽
3. 逆:「宿題が自動化されていないならば、先生は楽ができない」 ― 真
4. 逆:「先生が楽をできないならば、宿題は自動化されていない」 ― 偽
解説
* 「 p ⇒ q 」の逆は「 q ⇒ p 」です。
* 逆は「先生が楽をできるならば、宿題は自動化されている」となります。
* しかし、本編の中村先生のように「自動化されたせいで、かえって周囲の期待が上がり忙しくなる」場合があるため、数学的(現実的)には**「偽」**となります。
**正解:2**




