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2話 不安の始まり

入学式も終え無事三瀬高校に入学することができた。学校生活は思った通りの日々が続いていたが、部活の練習では一年生だけ別でまともな練習が出来ず徐々に雰囲気が変化していく。

 入学式から一週間が過ぎた。だいぶ学校生活にも慣れてきている。クラス内でもグループができ始めているくらいだ。このクラスはスポーツコースあるいはアスリートコースと呼ばれているクラスだ。ほとんど同じ部活の人で集まっている。俺も野球部の中にいた。

「あのグループってバレー部じゃね。背高いし肌白すぎだろ。」

「どこのクラスがかっこいい男子多いかなー?ほら麻里が気になっている男子とか。」

「ちょっと、声が大きい。」

「ごめんごめん。」

「あれが噂のバスケ部とダンス部か。ちょっと思ってたのと違うな。」とよくある会話ばっかしていた。授業だってそうだ。初めのほうなんて中学の復習程度くらいのレベルだったし、学校生活は思った通りの日々が続いていた。だが、部活になると最初の頃とは目を疑うほど変化している事があった。

「一年は上にあるグラウンドで練習だ。一年指導係の2人について行け。」と俺達一年は別の練習メニューだ。しかもその練習があまりにも酷かった。キャッチボールを始めて少し経ってから鎌田さんという見た目70歳くらいのおじいさんがキャッチボールを止める。

「そろそろ肩は温まってきたな。今から逆の足を出して投げろ。」

「?何言ってんだ。」と思った。普通投げる時は右投げなら左足を前に出して投げる。それを逆にするなんて意味が分からないし、試合で使う場面も無い。言われた通りするがここで指摘が入る。

「捕ってからすぐほらんかい。ゆったりする場面なんてないぞ。」少し怒り気味に言われた。そんな事を言われたってこんなキャッチボールいらんだろと思っていた。5分ぐらい経ったところで今度は下から投げろと言われた。内野をやっている奴らならまだしも外野をやっている俺からすれば必要ない事だ。しかもそれを10分くらいもやらされるなんて本当に嫌だった。

その後は遠投など普通のキャッチボールをすることはできたが30〜40分ほどキャッチボールをやるなんて初めての事だ。キャッチボールが終われば次はボール回しをさせられる。

「長いってそろそろ終わっても良いだろ。」

「ずっと投げてるって。しかも全力で投げろなんて無茶言うなよ。そろそろ他のメニュー移れよ。」

そんな声が一年の中で出始めている。やっとの事でボール回しは終わったが次はボールを転がして下から投げるという事をさせられる。もういい加減にしてくれと思っていた。みんなそう思っているはずだ。練習時間のほとんどがキャッチボールなんて考えもしない。最後に壁当てをしてようやくボールを投げる事は無くなったが、一時間以上ボールを投げ続けるなんて異常だ。肩も今までこんなに重くなった事は無い。肩、肘に大きな疲労を溜め次はリードの取り方の指導があった。リードなんて小、中でやってきたから必要ないと心の中で思っていた。誰もが知っているような事しか言わないのになんで時間がかかるのか理解できない。最適なリードの取り方の根拠を言われたところで俺達はそれを学んできているのになぜそれを教わらなきゃいけないんだ。そう思いながら近くのチームメイトに話しかける。

「正直言って必要ある?」

「ないない。基礎中の基礎の事しか言ってない。こんな事するなら10球ティーしてる方がマシだわ。」

「マジでそれな。今日ろくに練習してねーし。」

「こんな事するなら帰りてーわ。」

だらだらした雰囲気が一年の中で広がっていく。ようやく話が終わり、整備をしてようやく部室に帰って来れた。その頃二、三年生は整備をしていたがバッティング練習をしている痕跡があった。

「ズルくね、二、三年だけ。俺達なんてキャッチボールしかほとんどしてないぜ。」

「それに意味が分からない練習もするし、あのじいさん何言ってるのか本当意味分かんねーわ。」

こんな言葉が飛び交う。無理もないだろう。この俺でさえ意味が無いと思いながらずっとやっていたほどだからだ。

ミーティング後すぐさま一年は帰るように言われる。異常なほど暗い雰囲気だ。普通野球部はもっと元気なイメージがある。

「しばらくこんな練習が続くのか。」そう仲間と話しながら寮へと帰っていった。ただただ不安だけが残っていく。

雨見 零です。なんとか2話目を投稿することができましたが少し長くなりました。ストーリーを考えるのが難しかったです。僕の体験したことも少し入れていますが全て実話では無いので安心してください。いつになるか分からないですが推理要素も取り入れていくつもりなので楽しみにしてください。

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