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理不尽スクールライフ  作者: 雨見 零
1学期編

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14/22

14話 キャプテンとして臨む夏

 「もうあの時から1年が経つのか。去年は先輩に行かせてくれたあの舞台、『甲子園』に次は俺達が連れて行く番か。」

三瀬高校さんせこうこうの野球部主将 荒鎌あらがま 胴真とうまはカレンダーを見つめ思い出す。それは忘れられないあの景色。今年も優勝候補として大会注目校、個人でも県No. 1キャッチャーとしてプロ注目でもある。1年生の頃からベンチ入りをしていた荒鎌は甲子園は2回経験している。そして次が最後のチャンス。何としてでもまたあそこに戻らないといけない。何が何でも。

 中間テストも終わり次の期末テストを終えればとうとう夏の県大会が始まる。他の部活はインターハイが先に始まるため野球部は遅れての大会になる。いよいよ始まる、『盛り上がる夏』が。

 テスト後の練習はとてもハード。テスト勉強での寝不足による疲れ、そして気温も30度を余裕で超えていき、40度にも迫る暑さでグラウンドに立つ。はずだった、なのに俺達はまた山ランをしている。もちろんなるべく天気が悪い時に走らされているため快晴の時に比べしんどさは軽減されるがそれでもおかしい。このままだとおそらく三瀬高野球部史上1番山ランを走ることになるだろう。メンバーはいつも通りバッティングをしている。これがもう当たり前になってきている。まあ、無理もない。今年は去年のレギュラーがほとんど残っているし3年生が抜けたポジションも上手く埋めれている状態で絶対的な信頼があるメンバーが、完成していた。エースの溜家ためや、キャプテンの荒鎌、プロ注目のセンター与田よだ、1年生からショートレギュラーの天谷あまや、2年生の主砲の中村なかむらなど主力がいる。ベンチメンバーにも俊足の地頭じとう、左のエース入野いりの、抜群の運動神経の榊綾さかきあやなど正直全国でも通用するメンバー。その証拠にGWの遠征では今年の選抜もベスト8の横花よこはなに2戦1勝1負、秋の東京王者 東寺館とうじかんに2戦2勝、名門の宝陵大相模原ほうりょうだいさがみはらに2戦2勝、東京の名門 龍前実業りゅうぜんじつぎょう 春季関東大会準優勝 野海蘭のうらんに1勝ずつしており他にも関西の5本指の1つ鴻学園こうがくえんに5対6、去年甲子園準優勝の都野学院みやこのがくいんに1対3など全国の強豪と試合をしても好ゲームになる。そんなチームだが大会前、困った出来事が起こった。体調不良者の増加だった。特に1年生が次々と発熱していき。他の学年にも体調不良者が増えてきている。幸い、メンバーで体調不良はいなかったが3年生にとっては最後の夏。何が何でも勝たなければならない。春季大会で負けてから少し甲子園が遠く感じるようになっていた。3年生は日が経つとともに不安と期待が大きくなっていく。

「もう一度、あの舞台『甲子園』へ」

荒鎌が言ったこの言葉は練習中何度も部員が口にする。そして期末テストが1週間前に迫った日3年生は集まっていた。

「もう組み合わせも決まってメンバーもほとんどわかっている。春は津川商業つのかわしょうぎょうに負けた。順調にいけばまた準々決勝で当たる。だが、初戦から県No. 1ピッチャーの中山がいる甲蛇こうだ高校と当たる。最後の夏、笑うのは俺らや。」

誰もが言うような言葉だろうがこれしか言うことはない。みんなそう思っているだろう。

「でも、このメンバーでいられる時間ももう無いな。引退試合もすぐある。俺らの代はせめて最後くらい笑わしてくれよ神様。」

練習後部員全員集めて荒鎌先輩が話す。

「もう勝負は始まっている。去年甲子園で負けた瞬間からこの夏の大会の勝負は始まっていた。野球は最後まで何が起こるかわからない。チームとしては3連覇がかかっているが春は負けた。王者のプライドは捨て敗者として下から上がっていくぞ。」

これでいい。今は弱者になったつもりでいこう。三高野球とか関係ない。部員約100人全員に叩き込んだ。

「おじいちゃん、教えてくれた言葉は今も俺の1番大事な言葉だよ。届けるよ、俺と仲間の喜びの声を。」


雨見零です。とうとう夏大が近づいてきており荒鎌先輩の代はどんな夏になるのか楽しみになってきました。現実では多くの都道府県で大会が始まり今年も波乱が起きたりしています。昨年甲子園出場校が初戦で負けたり名門が負けたり、高校野球は何が起こるかわかりません。今年も高校球児が野球を熱くしてくれるでしょう。僕も高校球児を応援しています。

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