11話 生徒会選挙 結果
生徒会選挙も無事終わり、何事もないように今までの時間を過ごしてきた。
「いったい昨日のあの雰囲気はなんだったのか。」
まだ疑問に持ちながら席に着く。今日の朝もいつもと変わらない朝だったが、昨日のあの雰囲気はすっかりなくなっている。
「席に着け。何点か連絡がある。まず昨日の生徒会選挙の結果だが、今日の昼休みに発表される。タブレットにも配信される予定だ。わざわざ掲示板まで行かなくて済むようにしてある。それにもう1つ、学級委員長と副委員長はこの後職員室に来るように。以上だ。ゆっくりしろ。」
どうやら結果は昼まで持ち越しだ。結果が早く知りたい俺にとっては少し嫌だったがすぐに切り替え授業の準備をする。
「トイレ行こうぜ。」
「悪いが今はそんな暇は無い。少し寝かしてくれ。」
「分かったよ。」
選挙の話はしてこないのか。前までは生徒会の話題が多く会話の内容は生徒会のことばっかり。おかげで俺が「実は生徒会に入りたいのではないか」という噂もちらほら。今では気にしていないがあの時はとても嫌だったからな。1限目開始のチャイムが鳴ると同時に俺は起き上がった。まだ眠い。
今日はいつもより授業に集中することができない。やっと4限目まできたがもう疲れた。生徒会選挙の結果を早く知りたいと思ったことはおそらく今回で初めてだろう。まだ配信されないと分かっていてもタブレットを何回も開く。もちろんまだ結果は送られていない。
「チッ、まだかよ。」
少しイラッとしているが周りに悟られないよう咄嗟に隠す。表情を必死にコントロールする。運悪く先生に気づかれる。
「どうした内森。」
「いえ、なんでも無いです。」
(あっぶねー。)
気が緩むとまた注目されてしまう。上手く誤魔化そうと無になった。死んだような顔になってしまったがこれが1番表情にでないだろう。そうしている間に4限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「よっしゃー、終わった。」
このあとついに結果が発表される。
「気をつけ、礼。」
「ありがとうございました。」
危なく挨拶を忘れるところだった。俺は昼飯を買って行くついでに掲示板に行くことにした。購買でおにぎりとパンを買ってから掲示板に1人で向かった。運良く掲示板の前に人はあまりいない。
「ラッキー。人少ないじゃん。」
掲示板の前には横山先輩の姿もあった。表情を見る限り当選したであろう。
「まあ当然だろうな。」
俺は横山先輩に近づき挨拶を交わす。
「お久しぶりです、横山先輩。その顔は当選しましたね。」
「えーと、内森くん?だったよな、よく分かったな。まあこれでまた生徒会に入ることができたよ。」
「良かったですね。」
そう会話しながら掲示板を見る。さっきまでの会話は楽しい雰囲気だったが結果を見た瞬間、俺と横山先輩の顔が暗くなる。
「俺の名前が無い。」
「…みたいだな。」
「いけると思っていたのに。」
「入りたかったのか?また今度もあるし切り替えろ。まだ1年だろ。」
「はい。ありがとうございます。」
俺はそう言って教室へと戻って行った。まさか落選するなんて思ってもいなかった。他の推薦者は何人か当選している。椅子に座りタブレットでもう一度選挙結果を確認する。やはり俺は落ちている。だが驚いたことがあった。
「立候補者から落選した生徒がいる。」
驚いて声に出そうになりながらグッと堪えた。今回の生徒会選挙は立候補者が少ないため立候補者は当選がほぼ確実だった。いくら票が少かったとしても推薦者より優遇される。
「これがクラスメイトがおかしかった理由なのか?」
俺はふとそう思ったがそれだとおかしいことになる。
俺を落とすならまだしも2年生の立候補者をあえて落として1年生の推薦者を当選させるのはおかしな事だ。俺はたまたまお手洗いから帰ってきた牧と目が合い声をかける。
「牧、話したいことがあるんだがいいか。」
「いいよ。どうせ暇だし。」
「ありがとう。話なんだけどまず牧は『暗黒学園』ていう本を知ってるか。」
「聞いたことあるよ。なんか普通じゃありえないことが起こったり廃校の中に隠された不思議を解決するみたいな内容だった気がする。」
「大体のストーリーはそうだな。廃校の中の不思議を解決するために主人公が…」
「あーもうその後はいい、で言いたい事は。」
「そうだな正直に話そう。」
牧も本題では無かったことに気がついていたのだろうか。俺はすぐに本題に移る。
「今回の生徒会選挙では何があった。」
「特に何も無いよ。演説が内森の時に会場の雰囲気が変わったこととかしか無いぞ。」
「嘘はやめてくれ。本当のことを教えてくれ。」
「本当に何にもないよ。」
このままでは聞き出せない。ここは少し強めにいく必要があるみたいだ。
「嘘は1回だけにしてくれ。俺が落選したことはあまり気にしていない。だが、なぜ2年生の立候補者が落選して1年生の推薦者が当選しているんだ。」
そう言うと牧の顔から笑顔が消え少し動揺したがすぐに
「それは立候補者に票があまり入らなかったからじゃないかな。」
「今回の選挙では立候補者は少なかったはずだ。だから立候補者は当選することがほぼ確実だったんだ。それなのに推薦者が何人も当選している。」
「それは推薦者の方が多くの生徒が『この人なら生徒会いけるな。』とか思ったからじゃないのか。」
「それは関係ない。例年の立候補者の数は少なくともあと4、5人いるぞ。だから推薦者はほとんど生徒会に入る事はない。」
「今回は少ないから推薦者からも選ばないといけなくなったからだろ。」
「それならなぜ票が少なくても当選する確率が高い立候補者が落選し、票が多くても当選する確率が低い推薦者が当選するんだ。おかしいだろ。」
「それは…。」
牧が黙り込む。知らないとは言わせない。いや、言えないはずだ。不思議な点しかない。完全に俺が口論で勝っている。
「分かったよ、本当のことを言うよ。まず俺らは教室に着いた時にホワイトボードに『内森には票を入れるな』と書かれていた。」
「!?」
「誰が書いたか分からないが浅間先生が来た時に伝えられたんだよ。『内森には入れるなと伝えられた。いいか、絶対に入れるなよ。何をされるか分かってないからな。』て言ったんだ。誰に言われたのか知らないけど。」
「その誰かが俺が生徒会に入れさせないようにするために。」
「あと投票する時、タブレットなんだけど2年生の名前が1つ無かったんだ。あと内森には入れるな、このことは絶対に演説した生徒には話さない事、って書かれていたんだ。」
「なるほど。だから俺と立候補者が落選したわけか、って全然理解できないんだが。」
「俺もわかんねぇよ。」
どうやら投票する前から誰か仕掛けた訳か。誰が何の目的でそんな事をしたのか意味がわからない。これは詮索した方が良さそうだ。
雨見零です。生徒会選挙編がようやく終わりました。ちょっと長くなってしまいましたがこれで1つイベントが終わりました。次は中間テストが待っています。ここからもっと展開が変わる?のかもしれないですね。次回はすぐに投稿予定です。また次回お楽しみに。




