10話 生徒会選挙当日
生徒会は生徒の代表である。それはみな共通して知っていることであり事実である。生徒会の仕事は生徒会に入った者しか分からない。だから、生徒会は謎多き組織でもある。三瀬高校は特にそうだ。生徒の自主性を重視していることは大切ではあるが少しやりすぎだと思う。メリットデメリットを考え最善を尽くすことこそ大切である。だから生徒会選挙で歴史を変える。他の生徒も決心して臨むだろう。いざ生徒会選挙開幕だ。
とうとうこの日がやってきた。ひょっとすれば歴史が変わる日なのかもしれない。三瀬高校の生徒会は他の高校とは少し違って学校の中心となる組織で、三瀬高校が今の状態を保てているのは生徒会があるからである。生徒会は恐ろしいほどの権力を持っている話を聞く前まで興味がなかったが今では前向きに生徒会に入りたいと思っている。まずはこの演説で生徒の心を掴まないと。
演説の順番は3年生、2年生、1年生という順番になっている。それに加えて生徒会に立候補した生徒から演説を行う。俺は舞台袖で待機しながら他の生徒の演説を聴いていた。
「トップバッターは横山先輩か。生徒会長はどんな演説をするんだろう。」
おそらく今回も当選して会長になるであろう。そんな先輩はどんな演説を披露するのか興味しかない。
横山先輩は与えられた1分という時間で上手くまとめれていた。終わった後の聴いている生徒をチラッと見ると良かった演説だったことがよく分かる。
そんなこんなで立候補した生徒、1年生まで演説が終わり次から各学年の推薦された生徒の演説が始まる。
推薦された生徒の演説はさっきまでの立候補者と少し違ってもし生徒会に入ったらどんな風な学校にしたいのか、推薦された自分が思ったことなどを話す。もちろんふざけたことは言えないためほとんどの生徒は同じ内容になってしまう。逆にそれを活かして自分だけ存在感を出せば当選する確率は上がっていく。
そして俺に順番が回ってきた。大きく深呼吸しマイクに近づく。
「1年スポーツクラス2組の内森蓮です。今回は推薦されたということですが僕は生徒会に前向きに入ろうと思っています。最近気付きました、生徒会は学校で重要な存在であるということに。そんな生徒会に推薦されているということは自分には学校を引っ張っていく存在にならないといけないということだと気付かされました。」
この発言で多くの生徒が俺のほうをすごい目でみてくる。さっきまでの生徒とは違った演説でインパクトを与えた。
「この学校を変えるのも自分だと思いました。生徒会に入りより良い学校生活を送れるように精一杯頑張ります。」
これで俺の生徒会行きはほぼ確定しただろう。1人1人の反応を見ても明らかだった。
「これで全員の演説が終了しました。教室に戻って担任の先生の指示を聞き投票を行いなさい。」
教頭先生がそう言って大勢の生徒が動き出す。とうとうこの時がやってきた。
「立候補者は多分全員当選するだろうな。あとは推薦者から何人当選するかだな。」
今回の生徒会選挙は立候補者が少ないためよっぽどなことがない限り当選する。問題は推薦者から何人当選されるかだ。もちろん誰も当選しない可能性だってある。だが、学年信任投票で各学年信任されてこの選挙まできているため簡単に全員が落選するはずがない。もし今回の選挙で推薦者から1人も当選しなければ、2学期にまた生徒会選挙を行う可能性も0では無いと聞いた。それほど今回の生徒会選挙は大事だと先輩から聞いている。静かになった体育館で演説した生徒と先生が数人沈黙が続いた。教室に戻れないためクラスメイトの票をコントロールすることは不可能にされている。なるべく不正がないように徹底されている。
「いったいどんな印象を受けたのだろう。」
見えない未来、どんな結果になるのだろうか。
「もう投票時間は終了した。各自速やかに教室に戻るように。」
そう告げられ俺たちは教室へ戻る。教室に着いた時、一見いつもと変わりない雰囲気で喋っている。でも俺は微かに感じるものがあった。それを誤魔化すようにいつも通りの雰囲気を作っているのではないかと思ってしまった。
「これは何かあったな。」
俺がいなかったほんの少しの時間にこのクラスに何が起こったのか。探る必要があると思い聞こうとした瞬間、上手く話を変えられる。
「やっぱりいつもと違う。会話も表情も雰囲気も全く別人のように。何をされたんだ。」
誰かが関係しているはず。誰の仕業か分からない。間違いなく俺がいない間にこのクラスは変えられてしまった。
1週間ぶりです、雨見零です。生徒会選挙の結末までいけなく申し訳ございません。前半後半で分けなければならなくなってしまいました。次回で生徒会選挙編は終わります。次回までお待ちください。




