牛乳パック
あっと気づいた時にはもう遅かった。
隣にあった牛乳パックはゆっくりと倒れ白い粒子は解放されたとばかりに机いっぱいに広がった。
私はここに銀河を見た。
窮屈な入れ物から抜け出し縁をつたってポタポタと地面に帰る雫のように私もただありたいと思った。
その音だけがやけに大きく響いた。
喧騒が戻るにはそう長くはかからなかった。
近くの線路で電車が走り出し隣人のアラームが鳴る中、自分はもうすぐに出ていかなければいけないことに気づいた。掃除もそこそこに飛び出した。
早朝の空気はいつも朝と夜が混じった匂いがする。真夜中の月の澄み渡った空気と朝の太陽の温かい空気があいさつをして共存している。そんな特別な瞬間だ。
電車に乗ればまだ人は少なく朝日が昨日の夕日を逆再生するかのように登ってくる。ゆらりゆらりと揺られるうちに私は眠りに落ちた。
また乗り過ごしてしまった。
扉が開くとともにいそいそと出ていった。
時計を見て時間に余裕があることを確認して、罪悪感の混じった安堵感に浸る。
時間帯が時間帯なだけあって、人はいなかった。まるで一人その古びた駅のホームに置いて行かれてしまったかのように一人冷たい青いベンチに座っていた。
今日は電車をあまり待たずに済んだ。しかし少し時間が経ってしまうとすぐ混んでしまう。いそいそと蟻のようにサラリーマンの流れが出来ては消えていく。時々現れる制服も私服も飲み込まれていってしまう。
次は私の番だ。人間に押し出されながら階段を登る。久しぶりに一人で空気を吸う。あと少しで到着だ。
目的地の前の横断歩道を渡る。
人の流れに逆らわず、でもゆっくりと進んでいく。太陽は空にだんだん高くかけられていくのに、人の顔は陰ったままだ。空を見る。オゾン層を超えて、宇宙が見える。