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英雄の巻き込まれ建国譚  作者: 信礼智義
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第6話の2 鈴木少尉の暗躍

毎日午後6時に投稿しています。お読みいただければありがたいです。先に投稿した「英雄の冒険旅行譚」「英雄の人生探訪旅行譚」もお読みいただければありがたいです。

 鈴木昭男陸軍少尉は一人の女性と会っていた。ローザというアメリカの報道機関の一員で、取材を申し込んできた。こんな辺境の国にアメリカから来るとは珍しいと思い、あってみることにした。

 

 「初めまして,アメリカニュースネットワークのローザと申します。取材を受けてもらいありがとうございます」相手はすらりとしたスタイルのいい20代後半ぐらいの女性であった。


 「私がターイエ名誉元帥を務めているアキオ・スズキ・ヘイスである。はじめてお目にかかる。遠路はるばるこのように辺境までようこそ」鈴木は言った。


 「とんでもありません。とても文化的に特色ある国ですね。とても素晴らしい国です。特に民族衣装が素敵です」微笑みながらローザは言った。


 「ありがとう。あなたのようなきれいな女性に言われると、とてもうれしいですな」ニコニコしながら鈴木は答えた。


 いくらか世間話をしつつ、ローザは本題を切り出した。


 「今回ヘイス元帥が活躍されたクーデター阻止事件について、取材したいのですが」


 鈴木は答えた。「すでにご存じてはないですかな。貴国の諜報機関は優秀だからな」


 ローザはニコニコしながら言った。「諜報機関とは何のことでしょうか。確かに私たち報道を目標として、いろいろ情報を集めたりはしますが。何か誤解があるのではないでしょうか」


 鈴木はニコニコしながら言った。「この中央アジアにおいてロシア、中国がしのぎを削っている。今のところ、中央アジア一番の大国である隣国のチムル共和国をロシアと友好関係を結んでいる関係で、ロシアがこの地域において一番有利に立っている。中国も経済的な力を使いこの地域的での影響力を拡大しようとしており、実際ターイエのクーデター事件は中国の援助を受けていた。一方アメリカはアフガニスタンから撤退し、地域的コンセンサスが低下している。そういう状況の中で、日本帝国陸軍を名乗る我々の元にアメリカ人がやってくるのは、アメリカ政府が我々に接触することで何らか求めるものがあるからではないかね」鈴木は続けていった。

 「アメリカが接触してくるとしたら、最初にやってくるのはおそらく諜報機関、CIAのエージェントだ。日本軍はアメリカと交戦していたからアメリカと敵対するか協力関係を構築できるか、探りに来たのだろう?」


 「あなたは本当に日本軍の兵士なのですか」ローザは聞いた。


 鈴木は答えた。「日本帝国陸軍ターイエ派遣隊指揮官鈴木昭男少尉である。CIAのお嬢さん」


 ローザは観念した。


 「それに私は情報将校でね。君は私と同じ匂いがするからね」鈴木は冗談めかして言った。


 「確かに言われるとおり、私はCIAのエージェントです。単刀直入に申し上げましょう。我々は貴軍と協力関係を築きたいと思っています。あなた方はこのターイエに大きな影響力があります。その影響力を利用して、我々はこの地域での影響力を獲得したいと思っています」ローザは正直に言った。


 「我々は帝国陸軍の残党だ。貴国とは戦争をしていたのだぞ。そこにのこのこやってきて、無事に帰れると思っているのかい」冗談交じりに鈴木は言った。


 ローザは答えた。「すでに太平洋戦争は終了しています。いまや日本とアメリカは同盟国です。あなた方が日本国内の支援組織と関係を継続しているのは、すでに調査済みです。」


 鈴木はびっくりしていた。支援組織?それは何だ?まあいい、目的の達成にこいつも利用できる、そう鈴木は思った。

 「なあ、ローザさん。歴史が動く瞬間を見たくはないか」


 「歴史が動く瞬間ですか?」

 

 「そうだ、我々はこれからこの国だけでなく、中央アジアの歴史を動かす。アメリカはそれに協力してくれるか?」


 ローザは答えられなかった。


 「今すぐに答えろとは言わん。アメリカが直接動く必要もない。貴国の同盟国である日本を経由してもらえれば問題ないだろう。なんせ我々は日本陸軍なのだからな。日本が残置している我々に何らかの援助をするのは十分にありうる話だ」鈴木は言った。

「これから私はシャオイエに行く。お前も同行しろ」鈴木は言った。


 「シャオイエですって!いったい何を企んでいるのですか」ローザは驚いたように言った。


 「歴史を動かすのだよ」ニヤッと笑って鈴木は言った。


 鈴木とローザはマーシャの護衛としてシャオイエに出向いた。


 「連絡は取り合っていましたが、初めてお会いしますね、将軍。わたしがマーシャの姉のミーシャ・シャオイエです。そちらの方はどなたですか」


 「彼女はローザ、CIAのエージェントだ」


 「CIAですか」ミーシャは言った。そして「初めまして、よろしくお願いします」と笑顔で言った。ただ、目は笑っていなかった。


 「ミーシャ殿、共和党一派の連中はどういう動きになっている?」鈴木は気にする様子もなく言った。


 「特に動きはありません。国民はヒデオとマーシャの結婚で祝賀ムードですし、共和党一派の一部でもこの結婚に賛成している向きがあります」


 「共和党一派の中でもか。どうしてだ」


 「純粋な共和主義者は民主主義の国から来たターイエ、シャオイエ両国の英雄であるヒデオと王女の結婚はこの国の民主化に大きく力になると思っているようです」


 「ただチムルの力を借りてこの国を変えようとしている一派は、この結婚で日本、そして日本の同盟国であるアメリカの影響力が増すことに警戒があるようです」


 「共和党内での派閥が絡んでくるわけか」


 「ええ、チムル恭順派と反チムル派は立場の違いからあまり仲が良くないですからね」


 「とりあえず、九頭をシャオイエの王位につける計画に支障はないわけだ」


 「はい、この国にヒデオが来たら、マーシャと私との婚約を発表します。そして婿養子として、ヒデオには皇太子の地位についてもらい、シャオイエの王位を継いでもらうつもりです。婿養子の件は議会の承認が必要ですが、すでに根回しが済んでいます」


 「ミーシャ様も結婚されるのですか?」ローザは聞いた。


 「ええ、姉妹を妻にしてしまえば、この国の皇位継承権はヒデオが握ることになるわ」ミーシャは言った。


 「でもこの国の伝統では、妻は最大四人までと決まっているのではないでしょうか」ローザは聞いた。

 「ターイエでは、スラーシャ姫、あとヘイス族とホンス族の3人、シャオイエでは、私たち姉妹2名どちらも4人以内です」ミーシャは微笑みながら答えた。


 ローザは何とも言えない顔をしていた。鈴木は笑いながら言った。


 「ミーシャ姫の言われるとおりだな。確かに4人以内だ」


 「とりあえず、現状では、何か動きがあるようには見えないが、ルーシャンにヘイス族とホンス族の民兵を潜入させておこう。また、武器も運び込んでおく。備えあれば患いなしだ」鈴木は言った。


 「おい、ローザ」鈴木は突然言った。「何かしら」ローザは言った。「とりあえず、九頭英雄がシャオイエの王となることをメリカにも連絡しておけ」鈴木は言った。



お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら、星かブックマークをいただけますと作者のやる気が高まります。どうぞ宜しくお願い致します。

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