欲しかった玩具を手に入れた魔王
次は俺の番だ、腕輪を外して元の姿に戻る。
「学院長、今回は圧倒的な力差で勝利して今後関わらせないようにしようと考えていますが」
「トーマくんは何を仕出かすんだ」
「上には上がいることと決して誰も勝てない恐怖ですかね」
「あそこの学院長は権力の塊のような奴だからな痛い目に合ってもらおう」
学院長からの許可と言質を取った。俺が対戦する場所はバカ王子と決闘したコロシアムの中にあるステージと同じ大きさのステージの上だった。
相手は14人程は教師だろう、見た目や装備しているローブやスタッフ、ワンドからみて、残りの6人は冒険者か傭兵だろうギルドマスターの言うことを無視したか目先の金に飛びついたか、その中でも1人だけ剣を装備している男がいた。その剣は・・・・欲しい
「坊っちゃん、相棒の大きな犬は呼ばないのか、負けても言い訳ができるぞ」
「安い挑発だな、死ぬ気で来いよ 盗賊くらいならすでに殺しているからな」
ホワイトを呼ぶと1人で倒してしまって俺の取り分がなくなる、ミネルヴァは神の制約が人間相手に戦えないしな
ステージの上には相手の20人がすでに臨戦態勢を取っており、こちらも魔闘気を使い、いつでも戦える状態だ。
開始の合図とともに俺は自分の背中に風魔法をぶつけて相手の目の前まで移動する。まず1人目、腹に掌打をし場外に吹き飛ばす。
教師陣は慌てて距離を取るように逃げるが、俺の欲しい剣を持つ男は迫ってきた。
「その剣、欲しかったんだ。ありがとう」
こちらも迫り、手刀で剣を持っている腕を叩き折り、腹に蹴りをいれて場外に吹き飛ばす。剣はすでに手から離れており、ステージ上に落ちている。
俺は剣を拾い、遠距離から飛んでくる中級魔法を剣で掻き消した。
「いい玩具を手に入れたな」
奪った剣は魔法を掻き消すように見えるが実を言うと魔法を吸収して使用者の魔力に変換される魔剣だった。
「今から本気を出すから死ぬ気で足掻いてね」
俺がかつて魔王と呼ばれた理由の1つ、魔闘気の秘奥
「フォース」
魔力の鎧が可視化できるくらいの密度の魔力量、全身に魔力のオーラが揺らめいている。髪の毛が逆立つのが難点なんだが
観客席の端の方で観戦していたホワイトとミネルヴァは
「フェンリル、今の主に勝てると思うか」
「無理だな、トーマは神殺し域を達している。」
「身を粉にして忠誠を誓おう」
「その方が懸命だな」
ステージ上ではトーマに向かって上級魔法が放たれているがオーラにより着弾は阻まれ全て打ち消されている。
魔力を取り込み過ぎたな、消費しないとな
「その雷は神々の怒りと嘆き」
俺は詠唱を始めた、詠唱と同時に快晴だった空は真っ黒な雲で覆われている。
「魔を滅失、世界を切り開く開闢の一撃」
転生前の世界では最上級の上の魔法に王級と神級の魔法があり、転生魔法は神級魔法だった。この魔法は王級魔法だ
「神の雷よ、全てを薙ぎ払え」
『ディヴァイン・ライトニング』
最後の詠唱を変えた、討ち滅ぼせが正解で今回は殺さないようにするため、威力を下げるため薙ぎ払えだ、それでも上級魔法以上の威力はある。
俺を除く、ステージ上にいた人間全てに真紅の雷が落ち、意識を失っている。
「王、聖王を向かわせたにゃ」
「パト、ご褒美に明日から3日間休暇をあげるよ」
「ありがとにゃ」
パトとの念話は切れ、あとは向こうの学院長だけだな




