第4話
「ふぁ~」
おはようございます、カエデです。本日は王立シュヴァルツ学園の試験日です。しかし、私には試験に向かうのを邪魔する難敵がいました。……そうこの高級なフカフカのペットです。フカフカなベットの誘惑に勝った私は朝食を食べるために着替え、ホテルのレストランへ朝食ビュッフェを食べに向かう。レストランではフワフワのオムレツや香ばしい香りに焼き立てパンを堪能した。うん、朝から幸せ♪
現在私は王立シュヴァルツ学園の試験会場にいる。正直筆記テストは全く分からなったから、もう実技で頑張るしかない。実技試験の内容は実にシンプルで、試験管と戦うらしい。……正直テストの結果があれだったので、私は実技試験である程度の成績を残さないといけない。
「あー、疲れた」
そういえば筆記試験の勉強なんて全くしてなかったわ。試験が苦痛すぎてやばかったわ、慣れないことをするとやっぱり疲れるな。
「うん、お昼ごはん食べよ」
ということでお昼を食べたいんだけど、場所は人が集まってないところがいいな。と言ってもーーこの学園初めて来たけど広いだよな~。どうやって場所を探そうかな?
そんなこんなで人の気配が少ない方に歩いて行ったら、ピクニック気分になれそうな、日差しがよく当たる庭のような場所にベンチがあった。
「うん、ここいい場所だな~」
さっそく私はベンチに座って昼食を取ることにした。
今日のお昼は学校に来る途中に見つけたお弁当さんで焼肉弁当を買った。
さっぱりしながらもコクのある特製ダレに絡めたお肉がとても美味しく、非常に満足のいく一品だった。
「なぁ、試験もうすぐ始まるぞ?」
昼食を取った後、ベンチで日向ぼっこしていた私に話しかけてきたのは、赤い色の髪の毛をショートカットにしている、顔立ちの整っている男だった。その男もこの学園の制服を着ていないところを見るに、私と同じ受験生なのだろう。
「はぁ……まったく、私の日向ぼっこを邪魔するなんて」
「いや、このままだと試験に遅れるぞ?」
「まぁ、それもそうね。声をかけてくれてありがとう、いい迷惑だったわ」
「……おまえ、だいぶ辛辣だな(笑)」
「そんなことないわ……ま、お互いに試験がんばりましょう」
「そうだな、合格したらーーその時はよろしくな」
「そうね、あなたが試験に受かったらね」
と言って私たちは別れた。というかさっきの男普通に強いな。学生レベルを遥かに超えてそう。そんな新しい出会いを楽しみながらも、私は試験会場に向かった。
そんなこんなで他の受験生と一緒に広い体育館に集まっていると試験内容が発表された。どうやら一対一で試験管と戦うのが試験内容のようだ。学園が派遣した各グループに複数人いる試験官と戦闘を行い、その戦いぶりを見て点数を決めるみたいだ。
実技試験は何グループかに分かれて行われるようで、私は第4グループだった。各グループ100人程の受験生がおり、第9グループまであったので、全部で900人ぐらいの受験生が参加しているのだろう。
一クラス30人程度でA、B、C、D、Eの5クラスが作られる王立シュヴァルツ学園。そう考えるとこの900人の中から合格するのは――だいたい、150人ぐらい。……私筆記試験の点数が悪い、なので実技試験を頑張らなければ。
「それでは、実技試験を開始いたします」
という場内アナウンスが流れると、緊張を顔に出し始める受験生が多く見られた。
「次、339番のカエデさん」
「はい」
スタッフのお姉さんのアナウンスを聞いて、返事を返す。
次は私の出番のようだ……私が合格するためにも試験管にはやられてもらおう。そんなことを思いながら私は舞台に上がった。試験管は顔に傷のあるスキンヘッドの屈強な男だった。
「おい、あれカスターニだぜ」
「マジかよ、試験管がカスターニってあの子ついてないな」
「絶対あたりたくねぇ!」
どうやら周りの受験生の声を聞く限り、スキンヘッドの男は有名人のようだ。良かった……とりあえずこいつを倒せば試験には合格できそうだ。というか、私なら、これぐらいの奴余裕で倒せるし。
「よろしくお願いします!」
「あぁ、よろしく」
お互いに挨拶したところで、審判の掛け声が会場に響き試合がスタートする。
「それでは、バトル開始!」
正直言うと私は試験を受けるよりも、早く帰ってあのフカフカのベットで寝ることを考えている。……なのでスキンヘッドには悪いが一瞬でやられてもらおう。
「じゃ、行きますね」
その言葉と同時に私は地面を蹴り加速する、そのままスキンヘッドの背後に回りこみ後ろから蹴り飛ばした。スキンヘッドはバァンという音ともに壁にぶつかって倒れた。正直彼には何が起こったか分からなかっただろう。
……一瞬の静寂の後、審判が勝者を会場に伝える
「……勝者カエデ!」
うん、これでやっとホテルに帰っていとしのベットで寝ることができる。なおかつ何か騒がれてた試験管を瞬殺したから、試験も合格でしょ。
「なんだあの子」
「あんな可愛い顔してーーカスターニを瞬殺したぞ」
「結婚してほしい」
ふむふむ……会場全体が私に注目していて、気持ちいいな~!やっぱり人に注目されると嬉しいね。ぶっちゃけ目立ちたくてスキンヘッドを壁にぶつけるという派手な演出をしてしまった(笑)
さ、我が家に帰ろう(ホテルだけど)!帰ったら部屋にあるバスルームで赤いバラに包まれながら温まり、フカフカのベットで熟睡しよう。
……幸せだけど、何か人として駄目になりそう。