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プロローグ

 ハロー、俺は引きこもりデブニート。

 日本ではそれなりにありふれている一般人だ。


 そんな俺だけど、ある日いきなり女神様から、

「あなたは宇宙から落ちてきた隕石に見事命中して死んでしまった記念で、異世界転移させてあげます」

 なんて言われた。


 死後の世界?

 それとも神の領域?


 なんだかよく分からない場所にいるが、そんなの関係ない!


「ヒャッホー、異世界転移だ。チートだ。ハーレムだ。

 異世界の美少女とケモミミ美少女とエロフと幼女は俺のものだー!」


 異世界転移なんて言われれば、超嬉しいにきまってる。

 俺は自分が死んでしまったことなど全く気にせず、喜びまくった。


 現実の俺は、ただのクズ人間だ。

 あんな世界で生き続けるより、異世界転移してヒャッハーできるほうがいい。


「でも、死んだってことは異世界”転生”じゃないのか?」

「いいえ、これから向かう世界では赤ん坊から始めるわけではありません。ですので、異世界”転移”で合ってますよ」

「そっかー」


 ま、難しいことはいいや。

 異世界に行ってチートできるなら、細かい違いなんてどうだっていい。


 俺は向こうの世界に行って、女の子にモテまくるぞー!


 日本での俺よ、お前は死んだ。

 今日から俺は異世界でチーレムして、ヒャッハーだ!




「ということで、今日からあなたは、ノヴァアーク司令イカリヤ・ケンドウとなって、戦乱で荒れ果てた世界ノヴィスノヴァへ降り立つのです」

「へっ、何言ってるんですか、”駄女神”様!」


 さっきまで異世界転移と言う言葉で興奮していたが、その興奮が一瞬で消え去った。


 この駄女神様は何を言ってるんだ。

 女神とはもはや呼ばん、目の前にいるこいつはただの駄女神だ。


「ノヴィスノヴァって、あのゲーム”ノヴィスノヴァ戦記”の事ですよね?」

「そうですよ」

「イヤイヤイヤ、ダメでしょう。あんな核兵器まで撃ち合って、世界が滅亡寸前なのに、それでも戦争止めずにドンパチ続けてる世紀末世界に転移って、ただの罰ゲームでしょう!」


 俺がスマホで遊んでいたソシャゲ”ノヴィスノヴァ戦記”。

 あれは課金ガチャを回してキャラを引き、それを使って戦うゲームだったが、世界設定が酷すぎる。


 あのゲームの世界では、連邦と帝国と呼ばれる二大勢力によって世界が二分割されていて、両勢力が戦争を繰り広げている。

 ちなみによくあるファンタジー物でなく、近未来風な世界を舞台にしている。


 だが、米ソの冷戦時代なんて真っ青なヤバさ。


 両勢力は宇宙空間では核兵器を搭載した宇宙戦艦が艦隊戦を繰り広げ、大気圏内では飛行戦艦が空を飛び、地上では多脚戦車や巨大人型兵器が戦いを繰り広げている。

 歩兵にしても、パワードアーマーを着てレーザーライフルで戦争だ。


 しかも、両陣営は核のチキンレースをあっさり放棄して、大気圏内で熱核融合兵器を大量使用。

 結果、世界中の大都市を壊滅させ、地表は放射線が飛び交い、死の灰が吹き荒れる終末世界と化してしまった。


 当然、通常の人間なんて絶滅寸前、戦うための兵士すら足りない始末。


 戦争における人的資源がカツカツだ。


 ハートでオブでアイアンなゲームだったら、もはやゲームを投げ出して終わりにするしかない。


 それでもトチ狂った両陣営は、戦争の継続をあきらめない。

 核の冬にも耐えられる人工的に改良したクローン人間を、大量に作り出して兵士にすることで、人的資源の枯渇を無理やり回復させてしまう。


 オリジナルになった人類なんてもはや極少数。

 戦場はクローン兵たちが戦う場と化してしまった。


 そこまでして戦争を続けるなら、和平のためにもっと努力しろと突っ込みたくなる。

 戦争を続けるより、人類が生き残る方法を模索しろ!



「そんな世界に転移なんて、ただの罰ゲームだろ!」


 ゲームとして遊ぶには、荒廃しまくった世界にある種のロマンを感じるが、そんな世界に転移して現実になれば、罰ゲームなんてレベルじゃない。

 いくら可愛い女の子がたくさん出てくるゲームだったとはいえ、死の星は御免被る。


 俺、異世界転移直後に死ぬ自信があるぞ。

 もっとラブ&ピースな世界がいい。

 あの世界以外なら、どんな世界でもラブ&ピースだ。


 よくある魔王が世界征服を画策しているファンタジーRPGなんて、世界が滅びない以上、ぬるま湯に感じるレベルだ。

 勇者と魔王の戦いで、核兵器の乱れ撃ちなんて事態はないだろうからな!



「でも、あなたはあのゲームに結構な額を課金していたじゃないですか。お気に入りなのでしょう」

「それは否定しない。だが、ゲームと現実は違うの。あんな世紀末ヒャッハーな世界には、死んでも行きたくない!」


 確かに親のクレジットカードを無断利用して、かなりの額を課金して遊んだ。

 ゲーム内プレイヤーランキングでは、常に100位圏内を維持していたが、それとこれとは別。

 第一、俺はあのゲームで「常にダントツでトップにいるぞ。ガハハハハー!」なんて、キングオブ廃人レベルまでやり込んでいない。


 上を見れば、俺のようなニワカとは違う、本物の廃人たちが溢れているのだ。



「まったく、わがままな注文ですね」

「そりゃあ、俺の次の人生がかかってるので注文もしますよ。俺は死の星で未来永劫終わらない戦争(ドンパチ)なんてしたくない!」


 駄女神様があきれ果てているが、それでも俺はノヴィスノヴァの世界に転移するのはイヤだ。



「分かりました。仕方がないので、ありふれたファンタジー世界に転移してあげましょう」

「ヨッシャー、ありがとう女神様。俺、普通のファンタジー世界でいいから。そこで冒険者になって、貴族になって、チーレムを築き上げるから」


 よしよし、俺の次の人生は物凄く明るくなりそうだ。

 永遠のドンパチ世界とはおさらばだ。


 しかし有頂天になっている俺の前で、女神様はポツリとこぼした。


「まあ、転移先はファンタジー世界にしてあげますが、それでもあなたにはノヴァアーク司令イカリヤ・ケンドウとなってもらいます」

「はい!?」


 ええっ、どうしてそこにこだわるの、駄女神様?

 もう、ノヴィスノヴァの設定からは離れようよ。


 ノヴァアークとは、例のゲームでプレイヤーが所属する組織名の事だ。

 でも、あのゲームの司令ってキャラに指示を出すだけで、自分自身は戦闘能力ゼロで戦えない。


 それでは、俺のチーレム計画に支障が出てしまう。

 冒険者になってヒャッハーなんてできない!

 女の子を助けて、エロエロハーレムルートがなくなるだろ!



「それと注意事項ですが、あなたの我儘をかなえる代償として、ゲームであなたが築き上げた拠点は没収です。課金キャラもすべて没収して、ゲームの初期拠点からやり直してください」

「え、ちょ、ちょっとタイム!」


 この駄女神、バカなことを言うんじゃない!


 プレイヤー拠点が初期状態って、ただの罰ゲームだろ。

 課金キャラも全て没収ってひどすぎる。


 強くてニューゲームじゃなくて、ただのニューゲームじゃないか!



「では、よい異世界ライフをお過ごしください。さようなら」

「ワー、ワー、待って、見捨てないで駄女神さまー!」


 俺は何とか拠点初期化を回避したかったが、駄女神さまにソッポを向かれてしまい、そのまま異世界転移させられてしまった。




△ ◇ △ ◇ △ ◇ △ ◇




「グスン、異世界転移させられちまった……」


 気が付くと、駄女神様といた神の領域ではなかった。


 俺の周囲に広がっているのは、ゲーム”ノヴィスノヴァ戦記”の初期拠点にある、いくつかの設備と、その周囲に広がる森森森、森だけだった。


 大事なことなのでまだ言うぞ。


「森のど真ん中じゃないかー!」


 富士山樹海に足を踏み入れたことはないが、富士の樹海と表現したくなる森の中だ。


「こんな訳の分からない場所に一人きりとか、もう無理。駄女神様、お願いだからもう一度だけやり直しを、コンテニュープリーズ」


 俺は天に向かって両手を組んで祈ってみるものの、駄女神様からの返事がない。


「カーカー」


 代わりに返ってきたのは、カラスの鳴き声。

 ああ、無常。

 俺はこのまま誰もいない森の中で、一人寂しく死んでいくのだ……グスン。



「失礼します。本日よりノヴァアーク司令イカリヤ・ケンドウ付き秘書官となります、キアラ・ルージュです。司令にご挨拶申し上げます」


 黄昏ていたら、いつの間にか俺の後ろに美人さんがいた。


 黄色の髪と紅の瞳の女性で、ボディーラインにフィットした茶色のスーツを着ている。

 目には銀縁の眼鏡をかけて、いかにも知的でできる感じを漂わせている。


 大事な点として、胸部装甲がかなり大きい。

 胸部装甲がスーツの素地を押し上げて、今にもボタンが飛び出さんばかり。

 タワワで巨大でプルンプルンだ。



「駄女神様、ありがとう。俺はたった今全ての戦いに勝利した」


 俺は駄女神様への恨み言を放棄して、クールで知的でできる司令にモードにチェンジした。


 この美人さんのためなら、俺はこの世界でいかなる困難に遭遇しようと屈しない。

 なぜなら、俺はオッパイのために世界と戦える男なのだから。



 俺は自分の顔にある眼鏡を人差し指でクイッと持ち上げ、できる司令官の雰囲気を作り出す。


 異世界転移した際に、俺の体は日本でのメタボ体形でなくなり、ゲームに登場した髭面の中年司令官、イカリヤ・ケンドウの姿になっているようだ。

 この見た目でクールを装っておけば、並大抵の美女は素敵なおじさまオーラを放つ俺に惚れるはずだ。



 ただし、前世ニートでダメ人間を極めていた俺に、雰囲気以外に作り出せるものはないがな!



「秘書官キアラ・ルージュ……確か君は、ノヴィスノヴァ戦記ではゲーム開始時からついてくる秘書だったな」

「?」


 俺は目の前の美人秘書キアラのことを、ゲームをプレーしていた記憶から呼び覚ます。


 ゲームと言われて、キアラはかすかに眉をしかめたが、目の前に司令である俺がいるので、不快な顔はしない。


 やはり、できる秘書は違う。


『あんた最低。さっさと死ねば。まだ生きてたのゴミクズ』

 なんて言って、俺のことを面と向かって罵倒してきた、日本の妹とは大違いだ。



「司令、早速ですが我がノヴァアークの拠点は、現在危機的な状態に置かれています」


 さて、俺が妹とキアラのことを脳内で比較していた間に、キアラが話を進めだした。


「危機的な状況、一体何のことだね?」


 とりあえず、俺はできる司令を装って、雰囲気だけは出し続ける。

 言葉遣いにも注意しないとな。


「現在我が拠点は未知の領域に存在します。ノヴィスノヴァにいたはずの我々が、なぜか森の中にいるのです」

「?」


 森の中にいると、何が緊急事態なのだろう?

 俺にはキアラが何を言いたいのか理解できないぞ。



「司令、ノヴィスノヴァでは戦争によってもはや森は存在しません。なのに、我々の周囲には大量の木が生育し、森が存在しているのです!これは由々しき事態です!」

「あ、そうか。そういやあの世界って、完全にオワコンの世界だったから、森なんて残ってなかったな」


 ノヴィスノヴァ戦記の世界は、一面の荒野だ。

 惑星レベルで自然環境が修復不可能なため、森なんてもはや存在しない過去の遺物と化している。


 あの世界のことを考えれば、森があるだけで大事件だよな。

 少なくとも、あのゲームのキャラであるキアラにとっては。



「司令、先ほどからゲームと口にされていますが、一体何のことですか?あと、ノリが軽すぎます」

「あ、そう。だったら気を付けるよ。ハハハ」

「……」


 い、いかんぞ。

 開始1分と経たずして、俺の出来る雰囲気司令官像が、早くも崩壊してきてる。


 クッ、所詮俺はなんちゃってダメ人間。


 ダンディーな中年おじ様を演じるのは無理だった。

 できる男のふりすら、1分とできなかったぞ。


 あと、俺を蔑んだ目で見ないで、キアラちゃん!



「ゴホン、現状を確認する必要があるな。てことで、まずは何をしたらいいと思う、キアラちゃん?」

「キ、キアラちゃん!?」


 おっと、イケナイ。

 つい思っていたことが口に出てしまった。


「司令、私のことはキアラとお呼びください」

「ごめんなさい。馴れ馴れしいのはダメですよね」

「はい、勤務時間内に馴れ馴れしい態度は取らないでください」


 そう言うと、キアラちゃんは顔をプイと逸らしてしまった。

 でも、なぜか顔が赤くなっているのを俺は見逃さなかった。


 もしかしてこれは、デレなのか?

 これが伝説のデレと呼ばれるものなのか!



「じゃあ、勤務時間外ならちゃん付けでもいいの?」

「も、もちろんです。それどころか、いろいろサービスしますからね」

「え、マジ。じゃあ、例えばおさわりとかも……」


 俺は我慢の出来ない健全な男の子。

 転移する前は、自宅で数々のエロゲをやり込み、コレクションしてそろえていた。


 そんなわけで、キアラちゃんの大きな胸部装甲に向かって、俺の両手の指がワキワキと動いてしまう。


「司令、時間外じゃないとダメです!」

「ヘブシッ」


 セクハラしようとしたら、キアラちゃんが手に持っている、プラスチック製のファイルの角で小突かれてしまった。

 メチャクチャ痛い。


「勤務時間外になればサービスしますから、今はきちんと職務をこなしてください」


 キアラちゃんは眼鏡をキラリと光らせて、クールでエレガントな目で俺を見てきた。

 ……見下してきた。


 ク、痺れる、憧れる、キアラちゃん最高。

 この子のオッパイのためなら、俺は時間外になるまで、司令としてまじめに働いてみせよう。


 日本では、一度も働いたことのないダメ人間だったけどな!





 しかし、俺の欲望まみれで脱線し続けていた会話もここまでだ。


 コホン、とキアラちゃんは咳払いして態度を改めた。


 まじめにしなきゃいけない空気を感じたので、流石に俺もこれ以上のセクハラはやめた。


 キアラちゃんに嫌われないために。



「司令、我々の拠点はノヴィスノヴァでは考えられない、未知の座標に存在するものと考えられます。そこで、まずは周辺領域を探索するための兵を用意することを提案します」

「兵の用意……ああ、初回に無料で回せるガチャの事か」


 これってノヴィスノヴァ戦記のチュートリアルと同じセリフだな、と思い出す。


「司令専用の端末から、拠点に集積されている特殊なエネルギーを用いることで兵士を呼び出すことができます。ただ初回はエネルギーを消費することなく兵士を呼び出すことができるので、早速端末から兵士を呼び出してください」

「はいはい、分かりましたー」


 キアラちゃんのセリフが、ゲームのチュートリアルと同じだった。


 女神様が言ったように、今の拠点ってマジでゲームの初期状態だな。



 俺は軽いノリで答えつつ、司令官用の端末へ向かう。

 拠点の中には、俺だけが使える司令官用の端末があり、それを操作していく。


「ゲームの時のウインドウとほぼ一緒だ」


 ウインドウには初回限定SSR確定ガチャと書かれた項目があり、ゲームの頃と全く同じだな、と俺は感心するような、呆れるような思いを抱いてしまった。


 そしてガチャを回すとなれば、気になるのはそのリスト。


 俺はウインドウを操作して、初回ガチャから出てくるキャラの一覧を眺める。


 初回ガチャで出てくるキャラは、課金ゲーのお約束で美男美女ぞろい。


『これからどんどん課金して、お金(リアルマネー)を大量に落としていってね』

 という、運営様からの声が聞こえてきそうだ。



「んー、このリストの中だとレイナちゃんがいいなー。オッパイはいまひとつだけど、可愛い子だから問題ない。俺は平たい胸族でも、可愛ければ受け入れてあげるぞー」

「司令……早く兵士を呼び出してください」

「はーい」


 リストを眺めている時間が長かったせいか、キアラちゃんに叱られてしまった。



 ただ、気になることがある。


「ねえ、キアラちゃん……」

「勤務時間中にちゃん付けはダメです」

「まあまあ気にしない。俺は司令だから、勤務時間中もちゃん付けは合法にしよう。これは司令命令だから」

「……わ、分かりました。司令命令ならば了承します」

「分かればよろしい」


 おお、司令命令ってスゲェ。

 これでいつもでも自由にキアラちゃんをちゃん付けできるぞー。



 といけない、またしても脱線してるな。



「ねえ、キアラちゃん。気になったんだけど、初回で呼び出せるキャラって、こっちで指定できないの?ゲームの頃と完全に同じでなかったら、ガチャを回す必要ないよね?」


 ゲームとよく似ているが、ここは既にゲームの中でなく、”現実(リアル)”になった世界だ。

 ゲームの頃と全く同じとは限らない。


 ひょっとすると、こちらが指定したキャラを選べるのではないかと考えたのだ。


 俺は、ガチャのリストにあるレイナちゃんが欲しい。

 ガチャを回せば、はずれる可能性が高い以上、目的のキャラだけを呼び出したかった。


「残念ですが、こちらから指定した兵士(キャラ)を呼び出すことはできません。仕様ですから」

「あ、仕様なんですか」

「はい、仕様です」


 ゲームにおいて逆らうことができない事象、その名は仕様。

 その言葉を出されれば、どうにもならない。



 初期化されたとはいえ、ノヴィスノヴァ戦記の拠点が現実のものになった。

 なのに、ゲームだった頃の仕様が付きまとってるのが悲しい。



「司令、早く兵士を呼び出してください」

「はい、はーい」


 キアラちゃんに急かされたので、俺は仕方なくガチャを回すことにした。


「レイナちゃん、頼むレイナちゃん出てくれ。俺は君が出てくるまで、ガチャを回し続けるのをあきらめない!」


 この世界に俺を転移させた駄女神さまに祈りつつ、レイナちゃん目当てでガチャを回した。




 ちなみに余談だが、今の段階ではどうやったら初回以降の課金ガチャを回せるかが分からなかった。


 ゲームの拠点ごと異世界転移したけど、今の俺は日本での親のクレジットカード(リアルマネー)がないから、これ以上課金ガチャを回す方法が分からないのだ。


「絶対に、レイナちゃんこい!」


 下手すれば、これ以降課金ガチャを回せない可能性すらあるので、俺は駄女神様に強く祈りまくった。

・惑星ノヴィスノヴァの世界



 惑星ノヴィスノヴァには、連邦と帝国の二大勢力が存在する。

 両陣営は第三国、中立国の存在を認めないため、いずれかの陣営に加入するように、経済的、軍事的、その他さまざまな方法でもって陣営加入を強制する。

 これ自体が、既に両陣営の戦いの前哨戦となる。

 その後両勢力は惑星の覇権を巡って、軍事力による戦争を開始する。

 両陣営の戦争は苛烈を究め、地上から空、海、果ては宇宙空間において、戦闘が繰り広げられる。

 だが、両勢力の戦力は拮抗しており、千日手の様相を呈してしまう。結果、打開策として核融合弾の惑星内使用が決定される。

 最初に放たれた一発の核融合弾を契機として、両陣営は核のチキンレースを放棄。

 次々に放たれる核融合弾は、惑星内の大都市を破壊し尽くし、自然環境は修復不可能なレベルに陥ってしまう。

 それでも両陣営は和解を模索することなく、核の冬が訪れた世界で、さらなる戦争を継続していく。

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