理由
あの日「近頃不審者が出る」と通報を受けた警察は念のためSCに出動をお願いした
そして路地裏で僕らと倒れている不審者、被害者を発見したという流れらしい
「正確に言うと様子を伺っていたのよね…」
「助けて下さいよ!」
周囲の視線を感じる…ここは病室だったか
「訳を話すわ、ちょっといいかしら」
僕らが連れてこられたのは大きな会議室のような場所
本棚にはびっしりと資料が配列されていた
「率直に聞く、あなたたちは契約を使えないのね?」
「「はい。」」
彼女は「そうかぁ…」と呟くと後ろの本棚から資料を取り出す
そして彼女は言った
「はっきり言うとあなたたちは人間じゃない」
…
…
…
「「ええぇ!!!」」
テレスも声をあげて驚く、当然の反応
いきなりそんなこと言われたら誰だって―――
「契約とは悪魔たちが使える能力なの一方で天使が使える能力は進化でこれは環境に応じて新しい能力が芽生えることなの」
「だから―――」と彼女は続けた
人間だった場合どちらの力も使用することができる。だって人間は悪魔と天使の力と知恵を継いでるから
それなのに悪魔の象徴的な力である契約を使えないということは力を受け継いでいない
可能性としてあるのが僕らは―――
「悪魔の血を持たない天使の子供どうしの仲に産まれた?」
彼女いわく天使の血を引いている者は現在10人ほどいると推測されている
その内の二人を発見したことは今後大きく運命を変えることになるそうだ
「それにあなたの命が狙われてるわよ」
彼女は資料を探り僕たちの前に一枚の記事を出した
内容は僕の妹の命を奪った犯人の動機について
「掘り返して申し訳ないけど少し質問に答えて欲しいの」
僕は「はい」と答える
「まず犯人の動機である虹色のリングは妹さんが付けていた物?」
あのリングはこの戦いによって全人類が強制的に付けられる価値を表す物
「はい、確かにつけていました」
僕は左指を見て確認する
「それは………」
彼女は言葉を詰まらせながら言った
「妹さんは旧神の可能性が高い…」
「……」僕は声を出すこともできないほど驚いている
妹が―――そんなはずがないと言いたい