プロローグ
「異世界救ってくれませんか?――」
ポチッ
(ん?何か今表示され・・・・・・)
朝のアラームを止めようとし、携帯の画面に触れた瞬間・・・・・・
俺は今宇宙空間のようなところにいた。目の前には光の玉が浮いている。
「はやいわね」
頭の中に声が届く。
「私の管轄内の世界に魔王が出現するから、あなたを呼びました。まさかこんな早く来るとは思ってなかったけど・・・よっぽどあなた異世界に適しているのでしょう」
ふむ、これは流行の異世界転移というやつか。
「申し訳ないけどこれからたくさんの人が来ると思うから、簡単に説明してすぐ異世界に行ってもらうわ」
ここは会話して、チート貰えるパターンだと思うのですが。と心の中で呟くと、心を読めるのか光の玉が答えた。
「安心しなさい。全員にチートかどうかわかりませんが、恩恵を与えます。後、魔王討伐時に生きていた全員に願いを叶えてあげるわ。他人の死などは無理だけど、金持ちになりたい、病気にならない体とかはありだから。ただ、その願いは元の世界に帰還させた後に行うわ」
(魔王を倒す理由ができたな。俺の願いは・・・)
「とりあえず、もう転移するわ。向こうについたら『オープン』って唱えたら恩恵のが確認できるわ。向こうの世界にもあなたたちが行くこと伝えてあるから、そこで色々聞いてちょうだい。魔王のこと頼んだわよ」
(てか説明ほんとに簡単だな!)
-------------------------------------
俺は今、王都の広場にいた。正確には王都かどうかわからないので、王都らしき所だが。
時間は起床後の転移だったのか、同じくらいの雰囲気である。周りにはちらほら人が見える。やはり異世界と感じるのは亜人だろうか、獣耳が着いているものが少数ながら伺える。なんとなく視線がチラホラこちらに向いているのは俺が急に広場に現れたからだろうか。
とりあえず、俺は広場のベンチに座りステータスを確認することにした。
『オープン』
と頭の中で唱えると、目の前にウィンドウ画面と言うべきか、情報が表示される。
(この世界はレベルやステータスの概念はないのか)
スキル欄にユニークスキル『ガチャ』と表記されていた。
ガチャ:スキル、装備、アイテムがランダムに取得可能
(定番といえばギリギリ定番なとこか)
頭の中で『ガチャ』と念じる。頭の中に声が届く。
「初回キャンペーンで通常1回1000万エルのとこ10回無料で排出します」
『メニュー』の装備欄・スキル欄・アイテム欄に合計10個追加されていた。エルの表記もあり横に100万と書かれている。
(エルとはこの世界の金額ということか?)
さっそく装備などを確認しようとした俺に、小学生低学年くらいに見える小さい男の子がゆっくりと近寄ってきて話しかけてきた。
「お兄ちゃん」
「どうした?」
「なんで、お外でもパジャマなの?」
(寝起きで転移のことすっかり忘れていた!!!)