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天涯孤独。
僕は世間からそう言われるのだろう。
物心がついた頃、
父親について、母親に聞いたことがあった。
その答えは何度聞いても
「分からない」
だった。
本当のところはどうだか定かではないが
僕は彼の連絡先も。
どんな人なのかも。
なにも。
知らなかった。
それから、この家の中が
こんなに静かになることも、
僕は知らなかった。
初めは3人で暮らしていたこの家も
気づけば僕ひとりだけ。
一人で暮らすにはあまりにも広すぎる。
喪服を脱ぎいつものように
ソファの背に投げた。
でも、すぐにハンガーにかけ直した。
風呂に入るべきだし、線香臭い喪服を
今すぐに着替えるべきなのは
よく分かっていだが、
今はどうしても。
このまま、眠りにつきたかった。
なにも考えないように。
ベッドへと身体を沈み込ませれば
自然と瞼が落ちてくる。
聞こえてきたため息は、一体、誰ものもだったのか。
それも分からなくなった頃、
僕はうるさい静寂の中で眠りについた。