きゅうけいさんは久々に戻る
Renta!様にて、フルカラー挿絵付きの絵ノベル版
『きゅうけいさんは休憩したい!~最強魔族に転生したけど人類の味方です~』
が始まりますっ!
なんと今回は年内コミカライズの予定も!
https://twitter.com/DeNIMO_PR/status/1183999552908455937
https://twitter.com/MasamiT/status/1181412280744890368
それに伴い、本日より一年ぶりとなる更新を再開します!
よろしくね!
「きゅうけいさん」
「ハイ」
「そりゃさ、レジーナは友達を積極的に増やそうって言ったし、あたしもそれで村が救われたことを感謝してはいるわけよ」
「ハイ」
「確かにきゅうけいさんのやったことは、客観的に見たら何も間違ってないと思う。でもね、でもね————」
「————なんかさ、ちょっとこれはおかしくねえかな!?」
「あわわ……! ごめんなさーーーいっ!!」
私、きゅうけいさんこと火神球惠は地上最強の魔王。
過労死OLが異世界転生して、ベルフェゴールとなった。
レベルは九京。私に勝てる相手など誰もいない。
……んだけど、今めっちゃ土下座してます。
もうほんと、我ながら見事というほかないぐらいのジャンピング土下座が決まった。
今回ばかりは、目の前の竜族最強のキリっとかっこいい長身お姉様の古竜トゥーリアさんに謝らなくてはいけない。
私は、どーしてこんな当たり前のことにも気づけなかったんだろうと思いながら、やってきた道のりを思い出していた。
ふわふわふわふわふわ〜ん(アニメの思い出しシーンとかにあるアイリスインのつもり)
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シルヴィアちゃんの背中は広くて、メンバーが大人数になっても余裕で乗ることができた。
おまけに高速かつ無風で安全運転なんだから、シルヴィアちゃん航空は最高です。
そして……今の私はすごい状況です。
「ふふっ、きゅうけいさんね。面白い子だわ……」
「は、はいぃ……」
私の隣には、座っても頭一つは大きい人間の女性がいる。
お名前は、リリアーナさん。
しかしその存在は、元アスモデウスというセクシーの権化みたいな、先輩魔王さんである。現在はレベル1000の人間で、名前は改名したそうな。
とにかくありえないぐらい綺麗な女性で、胸はもうドーンで、腰は細すぎずお腹はやや筋肉質で、脚は不自然なぐらい長い。あと顔ちっちゃい。十頭身前後ありますよね絶対。
そんな綺麗な人が、私に微笑みかけているのだ。そりゃもー緊張しますって。
知らないテレビタレントとかが目の前にいる感じ。あ、別世界の人だわって一発で分かるの。
イデアさんが、こちらに身を乗り出す。
「えっと、アスモ……じゃなくてリリアーナ様は、結局どうやって自分を分離させたのですか?」
「そうね、話せば長くなるけど……」
リリアーナさんが言うには、サタンとの戦いは難航したそうだ。
最大の問題は、魔王アスモデウスとしての大罪魔法『シン・マジック:メロメロチャーム』が効かない。
憤怒の魔王であるサタンは、背の高く力の強いアスモデウスに性的魅力は一切感じていなかった。そのため、サタンのレベルが高いこともあってシン・マジックが全く何の意味も成さなかった。
そうなると問題になるのが、基本的な攻撃能力ということであるが……当然ながらアスモデウスの『色欲』という欲望は、暴力に直結するものが少ない。反面サタンは、感情と行動という意味では憤怒と暴力がセットになっているようなもので、レベルが一回り上でもなかなか勝てなかった。
美女に魅力を感じずに、美女に暴力を振るう。
私はサタンを、EDのDV夫みたいなタイプということにした。
やだサイテー。
ってなわけで、アスモデウスは逃げて逃げて、それで最後に自分を仮死状態にした上で、『アスモデウス』という存在が相手に探知できないような最弱レベルの存在へと『シン・マジック:ディペンデンス』で分離させた。
ディペンデンス……憑依。アスモデウスの能力。
それを何もない空間に使うことで、赤ん坊のように突然二代目アスモデウスである、マリーアことミミちゃんが生まれた。レベルの大部分が虚空に消えてしまったが、なんとか元アスモデウスはサタンから隠れることに成功。
事前に監視用の魔物を建物の周りに配置、ミミちゃんはずっと眠っていた。
筆頭眷属サキュバスクイーンであるイデアさんは他三名のサキュバスが捕まって途方に暮れていたところ、海岸のサソリの魔物を見てアスモデウス様のものだと認識し、その後に建物内でミミちゃんを発見し保護。
それから魔物を倒せないマリーアとイデアの備蓄を消費する二人暮らしが続く中で、私たちが現れた、というのが一連の流れだ。
「それから長い間、あの村で過ごしてたのよね。私もいつまで隠れていようかなって思ってたけど……まさかサタンを倒しちゃうなんてびっくりしたわ」
「うっへへへ、どーもどーも……っふぁ!?」
リリアーナさん、私に抱きついてきた! あっ頭撫でてるやばい気持ちいい。身体の力抜けちゃう……。
「んー、二代目ベルかわいーなー。パオラもどー思う?」
「そう、ですね。きゅうけいさんは確かに、かわいい系ですよね」
「あっ、わかるわかる。きゅうけいさんはかわいい系」
それからリリアーナさんに抱きしめられながら、パオラさんに続いてイデアさんにもかわいいと評価されちゃう。
ふへへ……。
「本当に、こんなかわいい方がサタン様を倒したなんて信じられない……魅力あふれる素敵な方ですね」
「あたしはこのベルフェゴール様好きだなーっ!」
「んふ、リリアーナ様に抱きしめられて骨抜きになってるベルフェゴール様、とぉっても、かわいいわぁ。私もすっかり気にっちゃったもの」
ヴァンダさん、ダフネさん、オレスティッラさんの男瞬殺セクシービキニトリオからもベタ褒めなんですけど。
いやー、最高だなー。
男だったらハーレムウハウハだろうけど、そうでなくても今の私すんごい慕われてるから、もうそれだけで幸せだなー。
ちなみに私がベタ褒めされているさまを、エッダちゃんはニコニコ笑いながら見守っていた。私が評価されていることに喜んじゃってるような、そんな顔。
ミミちゃんはエッダちゃんが抱きしめていて、その組み合わせも可愛いの暴力ってぐらい可愛くて最高です。
「えとえと、じゃあ、私とみんな、友達になってくれる?」
「「「えっ!?」」」
あっ、サキュバストリオが一斉に驚いた。
「と、友達って、えっと、魔王ベルフェゴール様と、ですか……?」
「うん。ていうかイデアさんとも友達だよ。あんまり丁寧語使ってほしくないからお願いしたの。ねっ?」
「当のあなたがよりによって私への丁寧語が取れないのは納得いかないけどね」
「それは、まあその……私よりイデアさんの方が素敵だって私が思ってますので……」
「ホラこれよ……わかった? 三人とも。これが二代目ベルフェゴール、きゅうけいさんなの」
目を白黒させながら、イデアさんと私を見比べる。
まあ、そりゃ魔王本人が呼び捨てにしろと命令しておいて、自分は丁寧語やめないのってやっぱり変だよね。
だけど仕方ないのだ。だってイデアさん世界一のスーパーモデルさんと会話してる気分なんだもん。この人にタメ口きけるメンタルもってない。
「えーっと、えっと……じゃあ、そういうことなら、私も友達でいいですか? きゅうけいさん」
「あたしもあたしも! きゅうけいさんと友達希望しまーっす!」
「ふふふ、私も拒否する理由なんてないわぁ。おともだちから、はじめましょうね」
や、やった……! 一気にみんな友達になりました! パーティの色気偏差値(?)がぐぐっと上がった!
「あら、私には言ってくれないの?」
「り、リリアーナさん……! も、もちろんよろしければ……!」
「立場上は一応私とあなただけが対等なんだから、もっと気楽に呼んでくれてもいいのよ?」
「無理です」
即答。
私はね、自分のことはそれなりに分かってるつもりなんです。
その私が断言します。
私、絶対この人に一生勝てない。
逆立ちしても敵う気がしない。
「ふふふ……まあそんなことだろうと思ったわ。でも……本当に、私自身が対等に思ってほしいぐらい感謝しているのよ」
「……え?」
「だって私は……もうあのまま半永久的に隠れるしかないと思っていたから」
そう呟いて、視線の先を空の彼方へと切なげに向ける。
リリアーナさんは、サタンに狙われ続けていたアスモデウスだ。
その戦いは熾烈を極め、結果的に『敗北』という形で身を隠した。
人間となったリリアーナが解放される条件は二つ。
それは『魔王サタンを討伐する』且つ『魔王アスモデウスを討伐しない』であり、その条件を満たした存在に助けてもらうこと。
そんな、まるで麦畑で働く農家の娘が、自分から何のアプローチをすることもなく王子様に射止められることを待つような、自分勝手すぎる要求。
最早傲慢とすらいえるほどの、あまりにも都合の良すぎる希望。
いつまで経っても『自分はアスモデウスである』という意識を持てず、積極的に男を襲いもしないままここまで来た魔王の、幼稚な願望だった。
しかし、その希望を叶える存在が現れた。
全ての条件を満たす形で、現れてしまった。
その上……その相手は自分が一番嫌っていた種族なのだ。
リリアーナにとって、二代目ベルフェゴールはギャップのこともあって『白馬の王子様』そのものとなった。
「ってわけなのよ」
今のモノローグ、リリアーナさんの独白である。
ちょっとパオラさんとイデアさん、後ろでニヤニヤしていないでください。まあ私がそっち側にいても絶対同じ表情してる自信あるけど!
ってぐらい、今の私は照れまくって大変なことになっている。お姫様どころか女王様みたいな美女に『王子様』とかさすがにこれで照れないのは無理。
……そうか、でも、そんなふうに思ってくれてるんだ。
なんか、ほんとさ。
助けてよかったというか、助けてむしろこっちが幸せというか。
「うん……わかりました。私もリリアーナさんのこと、素敵だって思ってますから。よろしくお願いしますね」
「ええ。……ふふふ、ほんとーに全然丁寧語は取れないのね。でもそれも、あなたの人柄かしら、ね。改めてありがと、私の王子様」
今度は先ほどまでの妖艶な両刀美女とは違い、子供っぽさを感じる歯を見せた笑顔をする。
まるで、『アスモデウス』という役目から抜け出せた自分を心から喜んでいるような、きっと彼女本来の表情。
それは今まで見た中で、一番色気がなくて、色欲の魔王らしくなくて、それでいて……一番恋に落ちそうなぐらい素敵な笑顔だった。
ほんとに、たくさん素敵な出会いしちゃったな。
レジーナさん。私、友達たくさんできたよ。
私自身の喜びのためにはもちろん、教えてくれたいつか来るピンチの時のためにも、もっともーっと、頑張るからね。
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ふわふわふわふわふわ〜ん(アイリスアウト)
……とまあ、要するに何が問題かというと。
「最近は人間との交流の門戸も広げたし、勇者も一度現れて交流があったし……ほんと人間の男性冒険者とか、カップルとか、男女パーティとか来てる状態なわけよ」
「ハイ」
「それだというのによぉ……!」
「ハイ!」
「やってきたメンバーが!
色欲の魔王と!
元色欲の魔王と!
半数以上がマイクロビキニのサキュバスって偏りすぎじゃね!? きゅうけいさんはこの『竜族の村』を風俗街にするつもりかよぉ!?」
ごもっともですーーーっ!






