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きゅうけいさんは可愛い子にはめっぽう弱い

は、初めての連続更新はずれちゃった……ちょっと執筆時間に限って睡魔が襲ってきて連日椅子の上で眠ってましたすんません

私が怠惰の呪いにかかってきゅうけいさんになってしまった……

 海の近くにぽつんとあった家の中は……普通でした!

 この家はね、生活感あふれる感じ。そりゃもう、洗濯物とか干してたり畳まれてたり、汚れた食器が机のあっちとこっちにあったりしてね。あ、紅茶もポットの中に出涸らしがある。


「しっかりとした家だねー、水の魔石を使った蛇口がある。ここで料理とか洗い物してるの?」

「あの、はい。私、洗い物しなくちゃ」

「いーよいーよ、これぐらいならまかせて!」


 私は得意の生活魔法でイメージしながらちゃちゃっと洗い流す。ほんとこの魔法便利ですわー、現代日本に持って帰ったりできないかなー。


「あっ、ありがとうございます……あれ?」


 ミミちゃんが食器を見て驚いた顔をする。


「この食器、真っ白……! かなり使ってて、黒ずんできてたのに……」

「綺麗にしちゃいました! 私はこういうの得意なんだ!」

「あ、あの、ありがとうございます……!」


 ミミちゃんが、嬉しそうにはにかむ。


 〜〜〜〜〜〜〜ッ!

 ちっちゃい色欲の魔王様の笑顔、破壊力やばいッ!

 これは男を骨抜きに出来なくても、私は完全に骨抜きにされるッ!


「うへへ、どういたしましてぇ〜」

「顔が緩みすぎですよ……」


 あっ、シルヴィアちゃんに完全に呆れられてしまった! なんだか最近シルヴィアちゃん、私に対して呆れ顔多くないですかっ!?


「それにしても、普通の家ね。確かに二人以上で住んでいるようだけど」

「えっ?」


 急に未来予知し出したシルヴィアちゃん。確かにお姉さんがいらっしゃるっぽいけど、まだ住んでいると決まったわけではないよね?


「きゅうけいさんが洗った食器、同じものが向かい合って置いてましたし、何よりここにある洗濯物のサイズが明らかにミミちゃんより大きいですし。恐らく洗う前のカップの具合から数時間前には二人以上でいたことは間違いないでしょう」


 アッ、本当だ! さすがシルヴィアちゃん、状況把握が早いっ!


「とりあえずミミちゃん、私たちもゆっくり座っていいかしら」

「えと、はい、どうぞ」

「ありがとう」


 まだたどたどしいミミちゃんを安心させるように微笑んで、シルヴィアちゃんは皆に目配せして座る。エッダちゃんも丁寧に礼をして、パオラさんは落ち着いた感じで座る。

 私はどうしよっかな……紅茶の出涸らしも、これはもういいかなあ……洗っとこう。


「まずは、ミミちゃんはどうしてここに住んでいるの?」

「えと、周りはその、魔物がいるっていうのと……あと、獣人に、見つからないように……。あっ、そういえばその、魔物はいませんでしたか? 強い魔物がいるから他にやってくる獣人はいないっておねえちゃんに言われてたから」

「ひょっとして、あの巨大サソリかな?」

「そ、そうです」


 やっぱりあれ、かなり強い部類だったみたいだ。

 しかし相手が悪かったね、一瞬で決着がついてしまった。シルヴィアちゃんとパオラさん相手なら、筆頭眷属が必要になるよ。


「倒したよ」

「ええっ! す、すごいなあ……ずっとこの周りをうろうろしていたのに」


 そうなんだ、この家の周りが縄張りだったのかな?

 サソリのことを考えていたら、今度はパオラさんが口を挟んだ。


「待って、あのサソリはこの付近を徘徊しているの?」

「は、はい」

「サソリ……サソリか。あちゃーまずったかもしれないわね……」


 うん? 今の発言から鑑みるに……


「……もしかして、あれって倒したらいけなかった?」

「かもしれないわね。まだ何ともいえないけど……まずはその『おねえちゃん』をとやらが来るまで待ちましょうか」


 うーん、パオラさんは何か思い当たることがあるみたいだ。でも確かに、そのおねえちゃんさんにお話を聞いた方が早そう。




 はー、それにしても広々としたおうちだ。

 そういえば……。


「……お昼食べたの結構前だよね、そろそろ晩食べたい時間じゃないかな」

「ええ、そうですね。ミミちゃん、台所を使わせていただいても?」

「えっと……大丈夫、だと思います。広いので使うぐらいなら」

「よーし、それじゃー料理しちゃうよー」


 流し台にいて食器を洗っていた私がそのまま食材をぽんぽん取り出す。まだまだ買い込んだ食材があるよー!

 そして野菜を洗いながらさくさくっと魔法でカットして鍋の中に入れていくと、驚いたミミちゃんの顔が見えた。


「あ、あれ? えっと、魔族の……」

「きゅうけいさんです!」

「あっと、そうだった……その、きゅうけいさん、が、料理するの?」

「そだよー」


 なんといっても魔法を使った料理は簡単! なのでやってて楽しいのだ。洗い物も魔法でできるし、枯渇する感じも全くないし。あとはまああれだね、魔法使ってて楽しいという単純な理由です。


「あんまりきゅうけいって感じじゃないなあ……」

「あ、わかる? あたしもそう思うのよ。ちなみにあなたと同じタイプの魔族なんだけど、あれで怠惰のベルフェゴールなのよね」

「はええ……がんばりやさんなんだ」

「そうよ、きゅうけいさんは勤勉で素敵な魔族なの」


 んふふふふ! シルヴィアちゃんもっと言って! 私は返事もなくしっかりお料理作ります顔はめっちゃ緩んでるけどんふふふふ!!


「料理はおいしいのかな?」

「きゅうけいさんの料理はとってもおいしいんですよぉ、私も沢山食べちゃうんです!」

「たくさん?」

「私はぁ、鍋一杯ぐらいは入っちゃいますぅ!」

「なべいっぱい……! おでぶさんだ!」

「ひゃあぁっ!? ち、違うよぉ! でもでも、こんなに食べちゃうのはきゅうけいさんの料理だけですよぉ!」


 ……今、触りましたね! かわいい声いただきました! ミミちゃんグッジョブ!

 そんな仲睦まじい話を聞いているうちに、料理が出来上がった。

 食卓の机に鍋を持っていって、器に注いでいく。


「えーっと、なんだったか忘れたけどおやさいまぜまぜトマトスープです!」

「今日はトマトといってもペンネ・アラビアータではなくてミネストローネなんですね、以前使ったパンチェッタとパルミジャーノ・レッジャーノもまだあるようでおいしそうです。残りの野菜はヤマトアイランドのものですね」


 そうそう、それです! ありがとう解説員シルヴィアちゃん!


「ふわぁ、おいしそう……」

「熱いから気をつけてね!」

「う、うんっ……」


 ミミちゃんが、恐る恐るスプーンでベーコンとスープを掬う。

 そしてふーふーして口の中で……。


 ……! 笑顔! 笑顔いただきましたヤバイヤバイ超かわいいいい! 娘が出来たらこんな感じかな! ああもうほんとに天使ちゃんスマイル!


「おいしい!」

「うへへありがとう! 今日は人数いっぱいだからたくさんあるよ!」

「おかわり!」


 エッダちゃんはっや!? いつ食べたんですか!? ていうか食べたもの一体どこに行くんですか!? そんなの全部胸に決まってますよね!

 ていうか大和でパクパク食べまくって、主に牛肉食べまくって、なんだか大きくなっていませんか!? 牛を食べてミノタウロスになってませんか!? お腹とかずっとくびれと縦筋腹筋維持してるのに!?

 っていう私の心の叫びとまるでシンクロするように、シルヴィアちゃんとパオラさんが、胸とお腹に視線を往復させながら、自分の腰の辺りを同時に触った。そしてちょうど腹肉をつまんでいた私と目が合った。


 私が……私たちが、嫉妬の大罪(レヴィアタン)だッ!


「あの、皆さんどうしたんですかぁ?」

「エッダの最強具合を再確認して敗北感に打ちひしがれていたいたところよ」

「ふえぇ!? 温泉の時といい、なんなんですかぁ!?」


 すごいよエッダちゃん、この地上最強パーティを一撃で殲滅できてるよ。しかも無自覚だよ、今のエッダちゃんは「あれ? 私また何かやっちゃいました?」系最強主人公だよ。


 そう思っていると、じーっとミミちゃんがパオラさんを見ていた。


「……あら、何かしら?」

「えっと、パオラ、さん?」

「ええそうよ」


 名前を呼ばれて満更でもないって顔をするパオラさん。すると……な、なんとミミちゃん、パオラさんのお膝の上に乗りました!

 えっ待って羨ましい。ちょこんと乗ってるミミちゃん可愛い。そしておろおろしてるパオラさんギャップ萌えすぎて可愛い。

 なにこの尊い空間。


「えっと……どうしたの?」

「あの……えっと、パオラさんは、おねえちゃんになんだか似ていて……」

「お姉ちゃん、ね。そういえばさっきから話題に出てたけど聞きそびれていたわね。……ねえ、もしかしてそのお姉ちゃんっていうのは———」


 パオラさんが喋り終わる前に、ドアが開いた。

 そこには……パオラさんぐらいの背丈の、ピンク髪で片目が隠れた、セミロングヘアーの超セクシーなビキニのお姉さんがいた。


「———やあ、イデア」

「…………。…………パ……オ、ラ?」

「名前忘れられてなくて安心したよ」

「あっ、おねえちゃんおかえり」


 そして、イデアさんの「えええええええ〜〜〜〜〜〜っ!?」ていう叫び声が、部屋一杯に響き渡るのだった。


「どーいう状況!? なんでパオラがこんなところにいるのよ!?」

「うーん、会いに来ちゃった」

「会いに来ちゃった♪ じゃーないわよっ! 急すぎるでしょ!? あなたってほんと……ほんと…………っ!」


 勢いよくまくし立てだしたと思ったら……なんとイデアさんは、喋りながら涙を流し始めた。


「連絡もなく……いなくなって……! 私が、どれだけ、心配したとッ……!」

「……ごめんね、イデア……」

「謝ったって許さないわよ! 勝手にいなくなって、散々心配かけて、そうかと思ったら突然現れて……!」

「そうだね……私、何もかも見捨てて……」


 パオラさんは、先代ベルフェゴールから命令されて、強制的に自分を慕ってくれていた信者たちを惨殺した。その先代ベルフェゴールも滅ぼされて、隷属支配が外れてからずっと元いた場所から大和……イタリアから日本に相当する場所へ逃げてきた。


「……分かってる、パオラの気持ちは分かる、分かるよ。でも……でも……ッ!」


「会いたかった、よぉ……!」


 ついにイデアさんは、膝を突いて顔を手で覆った。

 パオラさんはミミちゃんを膝の上から降ろすと、イデアさんと同じように床に膝を突き、その体を全身を使って抱きしめながら背中を撫でるのだった。


 ……そして数分後。


「……ごめん、ありがと。落ち着いたわ」

「本当に?」

「ほんとよ。いつまでも旧友にも、あなたの友人っぽい人達にも、みっともない姿見せられないものね」


 パオラさんが腕を放し、イデアさんも涙が晴れた顔を上げる。そしてその顔は……当然こっちに向いた。


「魔族? ……あれ、見た限りベルフェゴールの眷属よね? レヴィアタンの眷属ではなかったはず」

「そう思うわよね」

「……違うの?」


 イデアさんの目と目が合う。


 ……いやね、ほんと緊張します。

 だってサキュバスクイーンですよ。淫魔の女王ですよ。男が骨抜きにされる容姿の究極系みたいな感じですよ。

 見た目はですね、身の丈はパオラさん並で結構高め。目つきは身長の割におっとり目で、片目が隠れた感じはいかにもセクシー系お姉さん系って感じ。胸はトゥーリアさんサイズで、ビキニが食い込んでいてきわどい。


 こんなのが海岸にいたら男衆全員彼女や妻がいても見るしかないし、女の人も絶対この人見ちゃうよねってぐらい容姿レベルは高い。ナンパしようにも近づくことさえ難しそうだ。

 ステータスに『魅力値』とかあったら絶対カンストしてる。


 ……っていう人がさっきから私を見ているわけで。


「どうしたの?」

「あっ、あの、ええっと緊張していますっ!」

「……女同士でしょ? 私ぐらいの容姿なんて魔族なら見慣れていると思うけど」


 過小評価にもほどがありますッ!

 いや、とにもかくにもお返事だ。自己紹介しないと。


「え、ええと、私はパオラさんのお友達やってます! きゅうけいさんです!」

「きゅうけいさん?」

「きゅうけいさんです!」


 私がなんとか声を上げると、シルヴィアちゃんがよこからつっついてきた。


「あの、きゅうけいさん」

「ななななにかな!」

「ステータス見せればいいのでは?」


 ……あっ、そうでした! 前にもこんなことありました!


「先にきゅうけいさんが、敵ではないし、パオラの友人だってことをちゃんと言っておいた方がいいかなと思って」

「ああ……そうね。確かにそうだわ」


 パオラさんが、私の横まで歩いてきて……わわっ! 肩を掴んだっ! こう、がしっと! フレンドリーな感じで!


「イデア。きゅうけいさんは私の友人であり、それ以上でもそれ以下でもないの。私は今、きゅうけいさん自身に友人としての関係を求められて、その事実を受け入れている。それを踏まえた上で、冷静に見てほしいの」

「……なんで友達になるのにそんなに仰々しいのよ。いいから見せてみなさい、きゅうけいさんとやら。面白くなかったらミミのチャームの練習台にでもなってもらうわよ」


 それは練習台になってみたいです!


「わかりましたっ! それではご覧下さい、【ステータス】!」


 ================


 TAMAE KAGAMI

 Belphegor


 LV:9999


 ================




「えええええええええ!? うそおおおおおおおおおっ!?」




 すっごくいいリアクションありがとうございます!

 美人はムンクごっこしても美人だね!


「え、この方、名前持ちのベルフェゴールってことは」

「ミミちゃんのステータスも見せてもらったけど、まあ同じように二代目だろうね。ただし中身は似ても似つかないってレベルで全然違う明るい子だから、私は気に入ったわ。今ではすっかり一番信頼してる相手ね」


 えっ……! 待ってください今一番信頼してるとか言いましたか!?

 わー、わー、ちょっとまってすっごいうれしいんですけどニヤニヤがとまらなくなっちゃうにやにやにやにやうへへへへへへ。


「露骨に照れてるわね。……って、パオラまで照れてどうするのよ」

「い、勢いで言っちゃったけど初めて言うことだったなあって思って」

「はあ……仲がいいのはよく伝わったわ。友達、友達ねー」


 呆れ気味でも、ちょっと嬉しそうにパオラさんを見るイデアさん。


「えへへ、どーもどーも。……あの、ところで!」


 私は話を遮って、さっきの気になったことを質問する!


「さっきの、ミミちゃんのチャームというの、受けてみたいです!」

「……正気? って、正気よね。まあ、レベルが低いし、何の効果もないだろうから、練習に付き合ってくれるっていうのならこちらからも願ったりな話だけど……」


 イデアさん、ミミちゃんに目配せして頷き合う。

 ミミちゃんが私を見て、かわいく気合一発、ぐっと両手を握る。


「えと、あの、それじゃあきゅうけいさん、やってみますね!」

「どーぞどーぞ!」


 チャームの感覚ってのわかんないし、興味ある。

 特にミミちゃんがやるとなると興味倍増!


「それじゃ、おねがいします……!」

「はーい!」


 そしてミミちゃんは、おなかをちょっと出して……うわ、なんだかタトゥーっぽいのある!

 両手でハートマークの空間を作って、おへそと胸の間の肉をむにゅりと色っぽく押し出して……!


「【シン・マジック:……め、めろめろちゃ〜む】っ!」


 ——————。


「私が見た限りでもまったく魔力が感じられないですぅ……まだ効果とかはなさそうな感じですねぇ」

「ううん、エッダ。違うわ」

「……え?」


「こういうのに、めっぽう弱い人がいるわ」

「あ……」






 ふおおおおおおおおおお!

 ちびちびあすもちゃんのめろめろちゃ〜むめちゃんこかわいいのおおおお!

 しゅきしゅきしゅきいいいいぃぃぃぃ!






「まあ、予想してたけど……」

「あはは、ダメみたいですぅ……」

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