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きゅうけいさんは休憩したい!  作者: まさみティー
アフターストーリー
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きゅうけいさんはたっぷり遊ぶ

 最強魔王になっても、人型の姿に留まる能力以上のことはできないもので。

 そりゃまあそうなんだけど、今なんでそんな当たり前のことを喋ってるのかというと。


「ほんと、おそらきれいだなあ」


 シルヴィアちゃんの背中に乗ってるからですね。


 窓のない、空の旅行。

 思えば行きたい場所にこうして連れて行ってくれるのって、ほんとに贅沢な話だ。

 出会いとかそれからの関係とか、いろいろありはしたけど。


「今日は本当に、どうしたんです?」

「なんとなく、今まで当たり前に思っていたことに感謝したい気持ちになってね。空飛ぶのって自分一人じゃできない経験だから」


 ふと空から目を離し、背中の鱗に優しく触れる。

 肉眼で見る青空の広さばかりに注目していたけど、本当に珍しいのってこの背中。

 古竜という種族、お爺さんお婆さんってわけじゃなくて、シーラカンス的な意味での古代種ってことだよね。

 この手触り、実に趣があって大変いい感じ。


 恐らく感触はないだろうけど、ちょっと気分的に触れてみたいので。

 なでなで。


「それは私もですよぉ。ダークエルフだって、空を飛ぶ手段を持ってはいないですからねぇ。最初に乗った時、ほんとびっくりしたんですから」

「だよねだよね。正直勢いで乗ったけどあの時一緒に乗ったのが初めてだったからほんと気持ちよかった」


 そんなお喋りをしているうちに、ダークエルフの集落が見えてきました。


「久々ってほどでもないけど、思えばルマーニャまで行き来していた割にこっちは寄らなかったなあ」


 この集落は、私のゲームの常識を更新した場所。

 人類と敵対する種族という括りを改めて、一人一人の考えを聞こうと思った場所。

 逆に下級魔族の方は完全に話を聞いた上で倒したけどね。


「ひさしぶりだなあ……!」


 いざ近くまで来ると、会いたくなってきて元気がもりもり湧いてきた。


 視力が抜群にいいエッダちゃんと同じ種族なだけあって、シルヴィアちゃんの姿を遠目で見つけた集落の皆が、降り立つ場所へ既に集まり始めていた。


「どーもどーも!」


 両手を振って、集落の皆にご挨拶!

 集落の皆は……あっ、手を振り返してくれてる人けっこーいる!


 最初に近づいた理由と解決に向けての話があったとはいえ、ここまで明るく受け入れてくれるようになるなんて嬉しいなー。


「いやー、完璧もう憂いなしってぐらいに良くなってくれてとってもうれしい」


 シルヴィアちゃんの背中から降りながら、みんなの顔を見回す。

 明るい表情で迎えてくれている確率が100%です! 完璧!

 もし竜族の村がなければ多分私ここに住んでたね。好みの雰囲気だし。


「カガミ様、ようこそ!」

「ロベルトさん! わざわざ来ていただけるなんて」

「いやはや、ここ最近は緊張を持ってのぞむべき事もすっかり減り、本を読むことと集落を眺めることが楽しみになりました。そうしていたら、山から見知った影が現れたのが見えたもので」

「山から!? めっちゃ目いいですね!?」

「これでも弓を専門としていますのでね」


 うわーっ、これあれだ!


「ホークアイの人だ!」

「おお、さすがお詳しい。やはりカガミ様は博識でらっしゃいますね」


 そりゃもう、RTA走者は一通りゲームの内容を暗記してますから!


 ゲーム中でも出てきた、ホークアイのアーチャー!

 同じ名前の装備品で弓の射程距離上げてたからよく覚えてる!


「長、ご無沙汰してますですぅ」

「エッダも、本当にいい仕事をしてくれた。集落の誇りだ」

「はわわ……いえいえ、活躍できたことも含めて、きゅうけいさんのお陰ですよぉ」


 いや、実際私が捕まっていた時に助けに来てくれたのは本当に嬉しかったよ。

 直接サタンと私の戦いを見ていたエッダちゃんが、魔王の強さを分からなかったわけないと思うんだよね。

 いくら強くなったとはいえ、一騎打ちでは間違いなく負ける。


 でも来てくれた。

 それを人は『勇者』と呼ぶんだと思うよ。


「エッダちゃんは勇者だよ」

「勇者はミルコさんですよぉ」


 そうだね!

 そういう返答くれるところも素敵!


「さて、久々に寄っていただいたということは何か用事でも?」


 私は、ふとエッダちゃんと、既に人型に戻っていたシルヴィアちゃんにも目を向ける。

 二人は『どうぞ』という感じの視線を向けた。


「えーっとですね。用事はないので、大切な用事があります」

「……ないから、ある、ですか?」

「はい! つまり——」


 私は胸を張って、堂々と答えた。


「吞んだり食べたり遊んだりする、大切な用事があります!」




 そんなわけで、すっかり調子を戻した私は集落の皆と遊び始めた。

 お酒を片手にぶらぶらっと集落を見て回る。

 この残念っぷり、庵奈のノリがうつっちゃったかなー。


 すっごい光る森のライトとかも、じっくり見せてもらったり。

 他にも一緒に光を遮る集落の木を、実際に登って日光のある場所まで顔を出してみたり。


 あとあと、何といっても集落のみんなと交流しました。


 グラッツィアさんの料理を見せてもらったり。

 超美味すぎてびっくりした。


 アンジョラさんに膝枕耳かきしてもらったり。

 最高、天国。


 エッダちゃんとフラヴィアーナちゃんと遊んだり。

 めっちゃツンデレでごちそうさまでした。


 それと、ベアトリーチェさんから周囲の近況とかも聞きました。

 マジできる大人のレディーでかっこいい。




 それらの家々を巡って、最後に来るべき場所はやはりここ。


「こんにちわー」

「まあ! いらっしゃい!」

「おお、村が賑やかだと思ったら来ていたのですね」


 モンティ家。

 エッダちゃんのおうちです。

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