きゅうけいさんは信じてもらえるか想像する
リリアーナさんのところへは、あの日以来。
最終決戦で、ダンジョンの位置を聞いた時だったね。
「あら! 噂になってるきゅうけいさんがようやく来てくれたわね」
「どーもどーも。……噂になってる?」
「そこら中で聞くのよ、きゅうけいさんが帰ってきたって。でも絶対来てくれると信じて待ってたわ」
「リリアーナさん……!」
きゅうけいさん感動です。
なんだかリリアーナさん、本当に私のことをとっても信頼してくれていて、なんだか嬉しさと恥ずかしさでもぞもぞしちゃいますね。
「それにしても、あなたの友人のアンナって子? あっちもあっちで面白い子ね」
「あー、そういや庵奈もちょろっと会ったようなこと言ってましたね」
「寝る時に、自分と一緒に寝てほしいとか言ってたわよ。もしかしてアンナちゃんも両刀?」
「いや、どノーマルです。多分、女に飢えてる男の人を集める場所に連れて行こうとしてます。これ、嫌なら断ってもいいですんで。あと私はノーマルです」
話を聞いていたイデアさん達、お互いの顔を見合わせて首を振る。
「断ることはしないわ。えっと……つまり、いろんな男の人に引き合わせてくれる、ってことなのかしら」
「まー確実にそですね。さすがに庵奈が迷惑をかけるようなことするとは思えないし、あれでしっかりしてるから夜になったらそちらの判断にお任せします」
「じゃ、遠慮なく行くわ。みんなもそれでいいわね」
イデアさんの言葉に、三人も笑顔で頷く。
後はまあ、庵奈の判断に任せよう。
「それにしても、本当にベルゼブブをね。本物、どうだった?」
「すげえキモい巨デブエイリアンだったでごわす」
私の言葉に、紅茶を飲んでいたダフネちゃんがスプラッシュして咽せた。マジごめん。
私が生活魔法でさくっと綺麗にしたのを「すんません……」と赤面して謝る激カワダフネちゃんに、ひらひらと手を振って応える。
男を手玉に取りながら『ざぁこざぁこ♪』と言いそうな小悪魔系サキュバス女子が、ガチ赤面照れでぺこぺこしてるのを見られただけでお礼としては十分です。
ちなみにリリアーナさんは手を叩いて笑ってましたね。
イデアさん以下3人も肩をふるわせて笑ってて、ミミちゃんは首を傾げていました。
今日も天使だねミミちゃん。
「レヴィアタンさんと話したなら多分来てると思うけど、封印してた結晶を隠れ蓑にしていたんだよね。きれいさっぱりベルさんのシンマジックで消したから、もう大丈夫なはず」
「きゅうけいさんの大罪魔法なら、きっと大丈夫ね」
さすがにあれが影武者みたいなものだとは思わない。ていうか思いたくない。
「一応はぐれデーモンのことを考えて、幾つかルフィナと連携を取ってる。後はまあ見つけ次第倒すのみね」
「ホント頼りになります」
やっぱこの人、根が女王様だ。二重の意味で。
「族長の娘が戻って来られたわけだけど、きゅうけいさんの人間世界って自由に行き来できるのかしら? 私も興味あるわ」
「それはもうぜひぜひ……と言いたいところですが……」
いきなりオリンピックのバレー選手みたいなイタリアの究極美女が私の部屋に出没したとしよう。
部屋に戻ったら、誰がいるか。お母さんである。
うん、説明する自信がまっっったくない。
「ちょっと準備を整えないと、その、私の国って女子の身の丈が大体160ぐらいの場所だから……」
「あら、可愛いわね。でもそうなると、私が突然出て行ったら」
「そりゃもう目立ちまくるってレベルじゃないでしょうね……」
もうそうなってくると、本格的にお母さんに『ゲームの世界から女の子を連れてきました!』って宣言するしかなくなる。
信じてくれるかどうかは分からない。
これはもう、親子の絆がどうとかそういう問題じゃなくて、まあ普通に考えたら頭おかしい人ですからね。
ああでも、『私にこんな美少女の友達できると思う?』って言えば信じてもらえそう!
やったね! ぐふう!
「……どうしたの? きゅうけいさん」
「ちょっと自分にセルフダメージ受けただけです……」
「まあ大変」
そんな軽いやりとりを挟みつつ、イデアさんとミミちゃんにも会話をする。
「どう? レベルは上がってきた?」
「ミミのレベルに連動する形なのよね」
「30です! えへん!」
私の周りのインフレが凄すぎるけど、レベル30って十分すぎるぐらい中級者だからね。
プレイ上手い人だったら余裕で低レベルクリアできるレベルだからね。
……そっか、ミミちゃんもちっちゃいなりにがんばってるんだ。
「ミミちゃんえらい! 今日は私にひっついていいよ!」
「でもきゅうけいさん、あんまりふかふかじゃないよ?」
「ヴグゥーーーーーーーーーーーー!!!!」
多分ベルフェゴールきゅうけいさんに転生して以来、一番のダメージが来ました。
私はもうだめです。
「でもきゅうけいさんってすごくいいにおいするから、ひっつきたい!」
一瞬で全回復しました。
元気九京倍! 今なら空も飛べそう!
私はミミちゃんをひっつけ、そのままスヤスヤ眠りだしたミミちゃんの感触に両腕ガッツポーズで勝利宣言をしましたとさ。
「あ、そういえば」
「ん?」
「あのミーナって子、きゅうけいさんと特別仲いいのよね」
「うん!」
ミーナちゃんは、人類最強の守護騎士でも私の最高の友達ミーナちゃんでした。
「あの子、きゅうけいさんが来た直後にちょっとうらやましがってたわよ。シルヴィアちゃんとエッダちゃん、一緒に連れて行ったでしょ」
「えっ」
なんと、ミーナちゃんも日本旅行に立候補ですか。
それは是非とも連れてきたい。外とか一緒に歩きたい。みんな連れてショッピングモール歩きたい。
でもミーナちゃんはスタイルすげーいいからスカウトとかやってきそうだなあ。
ていうか思ったんだけど、ぶっちゃけお母さんすぐに宇和島に帰る可能性が高いし、その後だったらいくらでも連れて来まくれるんじゃない?
あんまりお母さんに隠し事したくないけどね。
言うだけ言って、信じてもらえなかったらそれでよしとしましょ。
できれば信じてもらいたいけどなあ。
そんなこんなで、仲良くお喋りしているうちに、窓から入る夕日が直接目に入る。
「わ! って、もうこんな時間なんだ」
「そうね。すっかり話し込んじゃったわ」
今日の夕食はどうしよっかなー。
食堂でたべよっかなー。






