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きゅうけいさんは魔王の話をする

 ほどほどに探りを入れ、それとなく解決していけたらいいなーとか思ってたんですが……思いっきりエドモンダさんの突っ込んだ質問にやられてしまいました。


 ——魔王に関わる話。


 そう、私にとって今一番必要な情報は、それである。

 クローエさんも見つかって、未確認の魔王もベルゼブブだけになった。


 私、火神球恵の第二の人生。二代目魔王ベルフェゴールとしての役目。

 仮にその終着点というか、区切りがあるとすれば……ルシファーとベルゼブブの討伐だろう。


 こりゃ、隠してもしょうがないね。


「そのとおり。エドモンダさん勘がいいですね」

「消去法ってところかな? マリカに会う以外の目的っていったら領主か教皇関連だと思ったけど、耳からは動きないってもらってたし。じゃあ前回の戦いかなって」


 頭いいタイプかなと思ってたけど、こりゃ想像以上だ。

 前回の戦いという情報から、私が他の魔王狙いだってことまで知っちゃうなんて相当な頭の回転の速さ。


 あと……今ちょっと気になる言い方をしましたね。


「今の『耳』って言い方、ひょっとして草とかですか?」

「草?」

「あっ、ヤマトアイランドでのスパイとか情報屋とかの呼び方です」


 エドモンダさん、姿勢そのままでくわっと瞠目。

 目玉だけマリカさんの方を見て、次にシルヴィアちゃんの方を見る。


「今、私そんなにヒント出し過ぎてた? ていうかヤマトアイランドの裏職って……」

「……アタシも気付かなかったのでご心配なく。きゅうけいさんは、かなり勘が鋭いし知識もあるわ」

「こ、こわくないよー……」


 ちょっと持ち上げられすぎて逆に近寄りがたくなりそうだったので、無害さんアピール。

 どうもどうも、私の名前は無害さん。

 とかなんとか何度目か言ってるけど、きゅうけいさんより無害さんの方が呼びやすそう。


「……えっと、怖がってはないからね。でも、ちょっと驚きに驚きで返されちゃった感じ。そう、『耳』はギルドマスターの直属の部下。権限があって、私も情報は共有してもらってるの」

「ちなみに私はエドの又聞きねー」


 なるほど、耳からギルマス、エドモンダさん、そしてマリカさんの順に情報が流れているってことかな。


「きゅうけいさんの、魔王に関する評価っての聞きたいな」

「あー。そうだね、そんじゃ私の復習も兼ねてお話ししましょ!」


 せっかくなので、ここらで自分のためにも整理しておきたい。


 七つの大罪。

 この人間の悪い部分を象徴した悪魔が、この世界ゲームでは『魔王』と設定されてある。

 内容的にはDLCで、通常プレイのラスボスとは全然違うんだけどね。


 1、怠惰のベルフェゴール。私です!

 それとは別に、先代のベルフェゴールも今はいらっしゃいます。

 かつて『鏖殺女帝』と呼ばれた恐怖の魔王は、実は洗脳され続けていただけでした。

 ご本人は私以上に一日中グースカ眠っている人で、大抵いつも筆頭眷属フェニックスのパオラさんに膝枕とか添い寝とかマッサージとかしてもらいながら寝てる。


 2、嫉妬のレヴィアタン。は、以前勇者が滅ぼしたとのこと。

 筆頭眷属マーメイドのビーチェさんは、人魚の姿をぶん投げてヒューマンフォームで普段過ごしています。

 人類の誰よりも足技が得意という不思議なお方。


 3、強欲のマモンさん。マモンさんは竜族の村にいます。

 強欲ではあるんだけど、見合わない対価を支払うような略奪は好まない人なので、今は古竜の族長の死後に骨をもらうというローリスクハイリターンを取って仲間になりました。

 意外と話せる人でびっくり。

 筆頭眷属のゴブリンキングはもう倒されてるんだけど、それとは別にヤマトアイランドに眷属の狐獣人さんがいるよ。とっても素敵な人なの。


 4、色欲のアスモデウス。二代目のマリーアことミミちゃんというちっちゃい女の子がいます。

 完全無害というか、もう普通に天使ちゃん。

 眷属はサキュバスなんだけど、サキュバスクイーンのイデアさんは今現在ただの色気過多な保育士さんになってます。

 あと初代アスモデウスが人間のリリアーナさんという、身長めちゃ高くてレベル1000というとんでもない存在になって竜族の村に住んでます。


「竜族の村、戦力過多じゃない?」

「正直竜族だけでも戦力過多なんですけどね! 魔王組が半分ぐらい味方になっちゃいましたね!」

「いざとなったらみんなで竜族の村に逃げ込もう……」


 あっ、それはいい案だと思います!


 5、憤怒のサタン。私が倒しました。

 筆頭眷属はユニコーン。こっちは未確認だけどアスモデウスが倒したみたい。


 6、傲慢のルシファー。

 再々襲撃している敵。ワープをなすりつけてきます。私も一回やられました。

 でもルフィナさんが助けてくれたのでよかった。


「えっ、ルフィナ様!?」

「やっぱルフィナさんって凄い人なんだね、どこ言っても有名だもん」

「有名なんてもんじゃないわよ、全冒険者の憧れだもん。この世界の危険なダンジョン、上から数えて数百はルフィナさんが最初に危険度を測ったって言われてるぐらいなんだから」


 思った以上に凄い貢献者だったぞルフィナさん。

 危険度を測るのは大事なお仕事だ。冒険者の平穏はルフィナさんの頑張りによって守られていたのだ。

 私と一緒にいた時の印象は、バター醤油に感動していた可愛い清楚系お姫様だけどね!


「そして、ルシファーの筆頭眷属がここにいるグリフォンのクローエさん!」

「……えっ?」


 二人がクローエさんを見る。


「ああ、ルシファーの眷属だったのは昔のことだ。きゅうけいさんが契約を上書きしてくれてな、かと思ったらすぐに解除してくれて、お陰で俺は今誰の眷属でもない。付いてきたのはあくまで立候補さ」


 クローエさんはここで、二人に向かって王子様スマイル!

 溜息出ちゃうかっこよさです。


「今私が追ってるのが、このルシファーね。最後の7人目、暴食のベルゼブブは全く情報がないから分からないんだ。眷属のケルベロスは倒したってぐらい」

「なるほど、ね」


 一通り整理がついたところで、私もはっきりと分かった。


 目的はルシファー。

 多分ベルゼブブは最後まで出て来ない。


「突然差別的になった教皇と、突然戦争を始めようとした領主。……傲慢、か。人の罪から生まれた魔王とはいえ、怖いね」


 ほんと、ルシファーの攻撃は恐ろしい。

 呪いにかかったら、ちゃんと相手を信じられないと大変なことになる。


 きっとこれで終わらない、まだ襲ってくるだろう。

 さて、次はどこから来るかな。

 何度来ても返り討ちにしちゃうけどね!

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