きゅうけいさんはもう一度あの海岸へ向かう
人間の相手。
一人で対峙。
指定は私。
不安要素は一切ない……普通ならば。
今回は、あまりにも相手が普通ではない。
元のスペックの私でも勝てない相手だったらそれこそどうしようもないとはいえ、だからといって安心できるものではない。
ぶっちゃけ全く安心できない。一体何が起こるんだ。
「きゅうけいさん……」
私ははっとしてエッダちゃんに向き直り、そして安心させるように笑う。
ここで最強パーティーの最強メンバーである私が緊張してどうするんだ。
「念のためにみんなはダークエルフの集落で待機。まーぶっちゃけ私一人でよゆーって思うけど、相手がさっぱり何者なのか見えてこないので、あくまで念のため、ね」
皆も渋々ながら納得してくれたようで、再びレジーナさんの背に乗って飛び立つ。なんかもう働かせっぱなしで申し訳ないです。
後で何かおごるね。
-
「それじゃ、行ってくるから」
皆をダークエルフの集落、ロベルトさんの屋敷に待機させて私は出発。
ここから先は、私の戦いだ。
正直何が起こるか全く分からない。
だけど、行かないわけにはいかない。
ノエミちゃんは、全ての先入観がない状態で、私の姿が受け入れられるかどうかを示してくれた、大事な恩人だ。
あの子の存在は私の中で、とても大きいものとなっている。
必ず助け出さなくちゃ。
かつての山道を登る。
あの時は、確かダークエルフの集落が襲撃を受けていて、その呪いをつけたのが海岸にいる魔族だった。
ベルゼブブの眷属と友好関係になれるかどうか探ってみたけど、どうにも駄目そうだった。
あの頃から、私は明確にこちら側を選んだのだと思う。
魔王の姿で、人間の傍にいること。
……まあ元々人間だからね。自分を魔族だと思ったことってあんまりないし。
山道の上に出る。
レーダーはずっと張りっぱなし。
そして……私のレーダーによる判断はごまかせない。
表記は、人間側の種族であるダークエルフが1。
そして——魔族側が2だ。
ダークエルフの集落を守るように高くそびえる北の山。
その頂上に来ると、後は海岸への坂道が続く。
あの頃と同じように、海岸の相手目がけて進む。
やがて視認できる距離になったところで、私の目の前に現れたのは——。
「……そうか、あの時から狙われていたんだ」
——ブライトエルフの集落で部屋に入ってきた、冒険者パーティー。
あの中の一人、茶髪のマスク姿の男だった。






