きゅうけいさんは部屋の外から顔色を窺う
気絶した教皇の姿を見て、少し周りのみんなに何をするか相談した。
私の説明を聞いた皆は頷くと、私は一人、部屋の外に出る。
眼下に広がる階段を見ながら、部屋の中へと耳を傾ける。
「…………。…………ん……?」
「起きましたね」
「……? あなたは……はっ!?」
ガタリと立ち上がる音。
まだ中を覗くわけにはいかない。
「兵達が……!?」
「大丈夫です、皆気絶しているだけですから。それよりも、私が来たこと、覚えていますか?」
「いえ、知りませんね……」
やはりそうだ。
魔王の呪いを受けた者は、その間の記憶を失う。
「最後に私と会ったのはいつですか?」
「……確か、あなたはモンティの御孫さんですね。随分と大きくなられて」
「はい、エッダです」
「もうしばらくは見ていなかったのですが、何かありましたか?」
「そうですか、では……比較的最近ですね」
「……一体、何が……」
エッダちゃんの聞いている会話の内容から、ルシファーにやられたのが最近であることが分かった。
「それでは。えっと、以前お話しいただいた内容は覚えていらっしゃいますか? どんな種族であれ、まずは対話をすると」
「ええ、もちろんですとも。世界を繋ぐのは、何よりも対話です」
「それを聞いて安心しました。まず前提として、教皇様は呪われていました。魔王の呪いです」
「……。……私が、ですか……?」
「はい。直前の記憶を失っていると思います、私達が来たこと、気付いてないですよね」
しばらくの沈黙。
「魔王の呪いを治した方がいるのです」
「……! それは、エッダさん……ではないのですね。後ろのお二人、ですか?」
「竜族の村より参りました、占い師のレジーナです。ただ、治したのは私ではありません」
「パーティーメンバーのパオラよ。私でもないわ」
「では、一体どなたが……」
「はい。その方は、私達のパーティー結成の要であり、一番重要な方です。きゅうけいさん、入ってください」
エッダちゃんの言葉を聞いて、私は恐る恐る……中に顔を覗かせる。
「魔族……!」
私の姿を見て、真っ先にパオラさんが笑い出した。
「ちょっ、きゅうけいさん、その子供が親の顔色を窺うような覗き方なんなのよもう! ほらほら、入ってきなさいな」
いやー、だってやっぱり私を拒絶されるのとか堪えますからね。
最初から敵対してると分かるのならまだしも、治ったと明確に分かる今なら特に。
相手だって、そりゃ魔王とかさすがに初めて見るでしょうし。
そんな状況でも私の覗き方に笑うパオラさんの姿を見て、みんな呆気にとられた様子。
こーゆーとき、ほんとパオラさんの物怖じしなさが頼りになります。最近一皮剥けたというか、緊張とは無縁の頼れるお姉様になりましたね。
ベルさんのことお姉ちゃんって言ってるけど、絶対パオラさんが私生活全部姉代わり。
「まさか、私を治したのは」
「はい。あの方です」
「なんと……!」
教皇さん、先ほどとは全く違う雰囲気でがばりと立ち上がる。
「え、ええっと……改めまして、教皇様。お初にお目にかかります、魔王ベルフェゴールの二代目、タマエ・カガミと申します。エッダ・モンティのパーティー『異種族友の会』メンバーであり、リーダーである古竜シルヴィア・ドラゴネッティの部下、という形で、竜族の村の冒険者ギルド所属となっております」
ちょっとあわてつつも、挨拶挨拶。
この人は、丁寧に対応したい人。
頭を下げて、おそとむけの挨拶。
「はあ。………………はっ!? これは失礼、私は聖勇教会教皇、ベネデット・トラエッタです」
さすがにすぐには反応できなかったけれど、真面目に挨拶返してくれました!
教皇ベネデット様! なんだかギリギリなお名前です!
でも別に普通の名前だからね! ルイ・ヴィトンもヴィトンとか普通に一番多い名字とかどっかで聞いたことある! あれ佐藤さんとかそんなもんですから!
ベネデットさんも、たくさんいらっしゃるはず。
そして私は、教皇ベネデットさんに改めて何が起こったかお話しすることとなった。
多分更新頻度は落ちないと思いますが、現在『黒鳶の聖者』の連載再開、校正、複数店舗の特典作業などが被ってるのでちょっと軽めになるかもしれません。
なるべくこちらの作品も、パワー!(笑顔)みたいな感じで気合いを入れて頑張ります。毎月漫画も更新されて、どんどんネームも上がってきてますので!
もしまだの方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ『黒鳶の聖者』もブックマークして更新チェック入れてくれたら嬉しいですです。
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