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きゅうけいさんは信頼を受け取る

 レジーナさんへの面白勘違いも終わったところで、早速今日の問題へと移る。


「説明は、きゅうけいさんがする? つらいのなら、私が代わりにするけど」


 私の表情を察してか、パオラさんが自ら言いづらい部分を代わってくれると打診してきた。

 正直、難しい部分もあるから甘えたい部分も大きい。

 だけど思うのだ、今ここで私の問題に対して、パオラさんに頼ってしまうのは違うのではないかと。


「ううん、大丈夫。私から言いたいから」

「……そっか。わかった」


 パオラさんは一歩引いて、私を信頼して頷いてくれた。

 覚悟が決まったところで、ロベルトさんの方を見る。

 前回は気楽にお世話になったのみだったので、私の様子が違うことにロベルトさんはすぐにきづいたらしい。真剣な表情で背筋を伸ばし、私を正面に見据える。


「……それでは、今何が起こっているか説明します」


 私は、マモンさんから聞いた話をした。


 突如運動が起こった『魔族容認派』と『魔族追放派』のこと。

 そして、片方がここから比較的近いルマーニャで、もう片方がブライトエルフの集落の近くであるヴェアリーノであるということ。

 その原因が、恐らく竜族の村に最初に住むようになった魔族である私に原因があること。


 それらを全て聞いた上で、ロベルトさん達に再度確認を取った。


「ロベルトさんは、今後どう対応しますか? 何か問題が起きた場合は、私が責任を持って——」

「ところで」


 少し怖い質問だったが、そのことを聞……こうとしたら、ロベルトさんに発言を止められた。


「それで、ルマーニャはどちらなのですか?」

「えっ? あ、えーと、ルマーニャが『魔族容認派』の方ですね」

「それはよかった、こちらとしても相手が遠征軍のみというのなら、多少は安心ですね。交友のある町の人を積極的に襲う気にはなれませんし」


 ロベルトさんはそう言うと、ヴァレリオさんやカルメンさんと話を詰めだした。

 ……ん? あれ?


「えっと……それはつまり、ダークエルフの集落も魔族容認派として動くということでいいですか?」

「はあ。それは聞く必要のあることですか?」

「いやそれを聞きに来たんですが」


 私のツッコミに、何故かくすくすと横から笑い声が聞こえてくる。

 笑っているのはパオラさんとレジーナさんだ。

 いや、会話に参加していなかったよね? 今の私のやり取りにそんなに面白いところとかあった?


 それが表情から伝わったのか、パオラさんは私の頭をぽんぽんと叩くとロベルトさんの方に向き直った。


「きゅうけいさんが分かっていなさそうだったので、私から代わりに聞くわね。ダークエルフの集落は、今後きゅうけいさんみたいな人間に友好的な魔族の味方として喧伝していくということでいいのよね?」

「それは勿論そうですが、わざわざ必要な確認ですか?」

「わざわざ必要だった人がここにいるのよ」


 ……えっ、何この流れ。なんでパオラさんもロベルトさんも分かってますみたいな反応なの? ていうかパオラさんとロベルトさんって初めて顔合わせするよね、どうしてそんなに以心伝心なの?

 だって、魔族だよ。っていうか思いっきり魔王だよ。

 ダークエルフは、魔族を狩ることで人間と友好関係を築いてきた種族だって聞いている。

 その立ち位置を根本から覆してしまうような決定、みんなとの会議なく決めちゃって大丈夫なものなの?


 そう思っていると、パオラさんは寧ろ首を傾げながら私の方を見る。


「味方になってくれること、そんなに不思議かしら?」

「だって、私、魔王だし……」

「そうね。きゅうけいさんはベルフェゴール……あの時に私が恨んでいた相手だった」


 うっ、そういえばそんなこともありましたね……。


「でも、あなたに心を許すまで、すぐだったわ。私でそうなら、ダークエルフの集落が味方になることは驚くことではないし、予測できないことでもないわ。だって——」


 パオラさんは、ロベルトさんに目配せすると私の方を向いて肩をすくめた。


「——なんか、ほっとけないもの。話しているとみんな仲間にしちゃうような、そういう魅力があるの、あなたって。集落の皆に相談する必要なんてない。みんな味方になりたいって思ってるわ」


 それは、かつて私を拒絶していたパオラさんだから言える、絶対の信頼。


 更に続いて、レジーナさんが笑う。


「ふふ、私が何か言わなくても、最初っからきゅうけいさんってみーんなと友達になっちゃってたのね、さすがだわ」


 二人の言葉に、胸が熱くなる。

 私は改めて、ロベルトさんに向き直った。


「ロベルトさん……本当に、いいんですね」

「もちろんです。村長である私の責任で、決定させていただきます。カガミさん……皆のきゅうけいさんなくして、今の集落はないですからね」

「ありがとうございます……!」


 私は目を閉じて、ロベルトさんに頭を下げた。

 じんわり涙がにじんでいたのを見せないようにしていたけど、きっとみんな気付いていた。


 さらりとやっていたけど、これは本当に大きな決断だ。

 ダークエルフのみんなに、私の味方になって良かったって思ってもらいたい。心からそう思う。


 この信頼に、応えなくちゃね……!

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