きゅうけいさんは街の事情を聞く
「…………え、ええっと……今、なん、て……」
マモンさんの一言に静まりかえった竜族の村の食堂。
あまりの衝撃に凍り付いていたけど、なあなあにできない問題であることぐらいは理解できた。
私がなんとかして絞り出した言葉に、マモンさんは重々しく口を開く。
「ええ。復唱しますが……ルマーニャと、ヴェアリーノ。この二つの国が対立しました。議題は、我々です」
そうだ、さっきマモンさんは不思議なことを言っていた。
確か……。
「『魔族容認派』といってましたよね?」
「そうです。つまり、ワタクシとアナタを認めるか、認めないか」
シルヴィアちゃんに教えてもらったルマーニャの街のことは、もちろん覚えている。だって、ミーナちゃんのいる街なのだ。忘れるはずがない。
その街が、今人間同士の争いの中心地になっている……!?
「そ、それで、ルマーニャはどちらなんですか!?」
「元々、この村に来ている人の大半がルマーニャからです。ですので、今は彼らが『容認派』ですネ」
……。
………………。
……よ、よかったぁ〜。
ミーナちゃんがもしも『魔族追放派』の街にいたら、何かしらのトラブルに巻き込まれる可能性があるかもしれない。
なんといっても、ミーナちゃん自身が容認派と言ってしまう可能性があるからね。13歳の判断能力というのが、そこまでしたたかにできるかどうか全く分からない。
だけど、少なくとも追放派では……ない、はずだと思う。
ちゃんと弟も治ったし、お礼も言いに来たからね。
それにしても……ヴェアリーノ、か。
確か最近聞いたような気がするけど……。
「ブライトエルフの森近くの城下町ですねぇ……」
あ、エッダちゃんから答えが出た。そういえば、最初にヴェアリーノの場所を聞いてそのことに気付いたのはエッダちゃんが最初だったね。
そうか、あのブライトエルフの森の近くの街、魔族追放派か。
……ってことは、あの時にブライトエルフ族長のマルティーナさんのお屋敷に入ってきた冒険者達も、魔族追放派……ってことになるわけで。
「これは、とんぼ返りしないといけないかもしれないわね。それに守りも必要になってくる」
シルヴィアちゃんが腕を組んで唸る。
とんぼ返りってことは、再びブライトエルフの森まで行くということだ。
確かに、もしもマルティーナさん達が私を擁護しようものなら、追放派との争いになりかねない。
争いごとを止めるのって、すっごく大変。
面倒の極みみたいなもの。
でも、今回ばかりは面倒だと言ってられない。
もしも何かあったりしたら、今の自分に力があるだけに後悔してしまうのは分かる。
その後悔は、ずーっと引き摺ることになるだろうね。
それだけは嫌だ。
それにしても……魔族追放、かあ。
やっぱり私、いきなり全員に受け入れてもらえるって考えるのは甘かった。
心の壁、私が思ったよりも高かった。
まあ、そりゃそーだよね。魔族との争いや、勇者と魔王の話なんかは人間の街の方がよっぽど詳しいだろうし。
何といっても、今までの相手がサタンとその眷属であることを考えると……許容するのは難しいであろうことは分かる。
分かる、けど……。
……うう、みんな仲良しでいたいだけなんだけどなあ……。
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一章ミーナちゃん回、とてもいい話に仕上がっていますのでぜひぜひに!






