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ツインズ

作者: 沙久露

小鳥のさえずり。周りの生徒たちの談笑する声。大通りから聞こえるエンジン音。

「ああ、今日も平和だなぁ」

しみじみと噛みしめる幸せ。

何故って?そりゃあ学校に行ったら地獄が待っているからに決まっている。

俺の勤めている学校は聖キルスト女学院。いわゆるお嬢さま学校だ。

各界の要人の娘たちがワイワイ通っている女子校の数少ない男教師。はたから見たら俺はかなり幸運なやつなんだろう。

だが


「シズクー‼︎‼︎‼︎‼︎」


ふと後ろから聞こえる女子特有の甲高い声。背中に感じる妙に柔らかい感触。そうこの暴君、アキラこそが俺の地獄の番人。

ていうか1ヶ月前の俺なら確実に狼狽していたはずのこの状況。人間の慣れって怖いのな…


「ア、アキラ…シズク先生が困ってるから」


やっと軽くなった背中越しに聞こえた声は暴君アキラの双子の妹、イズミの声。

やんちゃで粗雑なアキラとおどおどしていて優しいイズミ。どこかこいつらは「二人揃って一人前」のようなところもあるがそれも双子の特性の1つなんだろう。

どこかバランスが良い2人をみているとなんだか質の良い漫才をみているような気分にさえもなってくる。




「シズク君にはこの子達のどちらかと結婚してもらうから」

あ、もちろん卒業したらだよ?そう笑って付けたす理事長とは打ってからって愛想笑いすら浮かばない俺。

そんな光景が繰り広げられたのは忘れもしない1ヶ月前、緑鮮やかな初夏の午後。元々この学校を将来継いで欲しいという棚ぼたな要望のもとに配属された俺は、唐突に理事長室に呼ばれた。

目の前には困ったようにチラチラとこちらを伺う薄幸美少女と興味津々でジッと見てくる元気系パワフルガール。この子達は理事長の娘でしかも、今年に入学した俺の教え子だ。


____何か問題でもあったのだろうか。


一瞬背筋が凍るような気がした次の瞬間のあの爆弾発言。


2人は父親の決めたことに異論は無いという。しかしいきなり言われてもって思わないか?

自分の生徒が結婚相手になるだなんて考えたこともなかった俺に許嫁になるか否かを、しかもどちらと婚約するのかを今すぐ答えを出せと言われても黙るしか道はなく…

そんな姿にしびれを切らしたらしいアキラの提案に、俺は2つ返事で乗ってしまった。




そして今に至る。

あの時出された提案、それは『2人が在学中は許嫁としてではなく普通の教師と生徒として接し、卒業式の後に答えを出す』というものだった。

少し早いセミの声がまだまだ続くドタバタな日常を感じさせた。

「初夏」「双子」「許嫁」

というテーマを入れてという条件を提示されたので書き上げた短編でした。


シズクは案外現状を楽しんでますし、アキラとイズミもシズクのことが好きなので問題はない…かな?ないと思う。

修羅場になる匂いはプンプンしますけどね!

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