目次 次へ 1/4 プロローグ:神の加護 「いつ終わるのかしらねえ」 カフェのテラス席で、ゆったりした服を着た女性が言うと、向かいで新聞を広げていたスーツの男性が、持っていた新聞を裏返した。 「ああ、これか」 それは木でも壁でも、何でも食べられるという食神の加護を授かった、食神の民に関する記事だった。 「怖いのよね、だって人だって食べられるんでしょう?」 「うーん」 女性と揃いの指輪をした男性は、曖昧な返事をして、さっきまで読んでいた記事に目を戻していた。