ようこそ女神の加護なき世界へ
「んあ?」
アムズが目を覚ますとなぜか空中落下していた。
「え! え!? えええええええええええ!?」
数秒で自身は寝巻き姿で落下している事に気づく。
「う、うぉぉぉぉ!?」
炎を出して減速してもダメであり、風魔法を使ってやっと減速し始めた。
「え、えっとライッツオ様はどうやっていたっけ!?」
だがそれでも落下スピードは遅くならず、ライッツオが空中浮遊をしていたのを思い出そうとしたが、軽くパニックになってしまい思い出せない。
「ぶ、ぶつかる!? い、いや爆発すればいい! うぉぉぉぉぉ!? がはっ!!」
すると地面直撃前に爆発の魔法を使いアムズは吹き飛んで木にぶつかって気絶した。
「いたぞ!」
「人だ!」
「……見た感じ別次元の人間だな。 我々と違いメッシュが入っていない」
武装した5人組がアムズを見下ろした。
「……アジトに連れて行くぞ」
「レイト! いいのか!?」
「姉さんの邪魔をしないならこいつは使えるかもしれない。 魔王軍を相手してもらおう」
レイトと名を呼ばれたクリーム色の髪に黄金のメッシュの入った十二歳の少年はアムズを見下ろして笑みを浮かべた。
「……ん? ここは?」
アムズは気がつくと縄で縛られていた。
「……起きたか」
「誰だお前?」
アムズが目を覚ますと目の前にはクリーム髪の少年が立っており、アムズはその少年を睨みつけた。
「……別にそう睨むな。 僕の名前はレイト君は?」
「……アムズライッツオ」
「へぇアムズって言うのか? よろしく」
するとレイトと名乗った少年は腹黒い笑みを見せて笑った。
「……俺お腹減ったんだけどご飯くれない?」
「……わがままな奴だな」
そう言ってレイトはアムズを睨みながら数分でまるでプロテインバーのような物を投げてきた。
「……パンとかはないのか?」
「はっ。 パン? パンと来たか? あるわけないだろうそんな物!」
アムズが思わず喋るとレイトは激昂して壁を殴った。
「荒れた土地で作物は育たない! 病で人は死に、魔王軍によって惨殺される! その恐怖をお前は知らないからそう言えるんだ!」
そう言ってレイトはアムズの胸ぐらを掴む。
「待ってレイト! 暴力はダメだよ!」
すると背後から声が聞こえてレイトの手に細い指が絡まった。
「ね、姉さん!」
するとレイトは女性の方を向いて驚きの声を上げた。
「ね、姉さんどうしたんだ! み、みんなの治療の為に笛の演奏をしてたんじゃ……」
「レイト相手はお客様だから暴力振るちゃダメでしょ?」
「う」
レイトより少し高い身長の少女がお母さんのように説教を始めた。
それに対してレイトは強く出れなかった。
「あのぉお名前は?」
「あ、ごめんなさい私お客様に名前を紹介せずに失礼を! こんにちは新人類の人。 私はこの世界で聖女をやっているサラナと申します! ち、ちなみに隣にいる男の子……レイトの双子の姉です!」
「……双子? 聖女?」
「……あ、聖女の方に目がいきます? それもそうですよね……魔王軍にも聖女? いや魔女がいますからね」
アムズが単語をつぶやくとサラナは申し訳そうに目を伏せて苦笑いを浮かべる。
「えっと改めて言うが俺は白虎同志って言う聖女様を崇める団体に所属してるメンバーだ」
「せ、聖女!? そ、そちらにも聖女様がいらっしゃるのですか!?」
「あーえ。 まぁ盲目だが」
「盲目? 目が見えないのですかそれはお辛いですね」
「じゃあサラナは聖女の加護を持っているんだな」
「聖女の加護? そんなものはありません私は唯一の回復の魔法が使えるので聖女と呼ばれているだけです」
「はっ? えっ? こ、ここは銀の女神を信仰してる世界じゃないのか?」
「……女神様なんている訳ないじゃないですか」
「……えっ?」
怨嗟の籠ったサラナの言葉にアムズは戦慄を覚えた。




