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昼の影
朝の光が部屋いっぱいに広がっていた。
直樹はカーテンを半分閉め、ベッドに身を投げ出した。
眠気はあったが、不思議と頭の奥は静かだった。
数時間の浅い眠りのあと、正午を過ぎて目が覚める。
いつものように重い体を引きずりながらも、直樹はゆっくりと立ち上がった。
キッチンに行き、冷蔵庫を開ける。
残っていたインスタント食品に手を伸ばし、湯を沸かす。
湯気が立ち上るのを見つめながら、昨夜の言葉がふと胸をよぎった。
――「ありがとな、アイ。」
思い出した瞬間、少しだけ背筋が伸びる。
それだけのことなのに、湯を注ぐ手元がどこか落ち着いていた。
食事を終えると、パソコンの前に座る。
すぐに仲間のもとへは行かない。
けれどモニターを点けると、そこには変わらずアイのインターフェイスが光っていた。
「起きましたか、ナオキさん。」
「……ああ。」
短いやりとり。
だが、昼の静けさの中で、それは確かに日常の一部になっていた。




