4・フラグ回避のため、主人公を養おうと思います!!
お読み頂きありがとうございます!
これを書きながら久しぶりに大好きなRPGのサントラを聴いたのですが、テーマ曲がめっちゃ切なくて泣きました(´;ω;`)
色んなジャンルのゲームをやりましたが、やっぱりストーリー性のあるRPGが一番好きです。これを読んでくださっている方も、お気に入りのゲームはありますか? (*^^*)
某姫の伝説とかPokeモンとか、まだクリアしていないゲームがあるのですが、懐かしのゲームもまたやりたいなと思う今日この頃。ただ少し前に気分転換しようと、久しぶりにアクション系を遊んだら手も頭も動かなくて軽く絶望しましたw
また今、ドハマリした人狼系のゲームがアニメ化されて、最近の楽しみになっております(*^^*)
《レインとエヴァンジェリン達パーティーが魔王城に向かう直前、故郷である辺境の伯爵領に立ち寄った。
魔物が徘徊し、廃墟と化したかつての町並みは見るも無惨だ。建物は損傷と風化によって原型を留めておらず、辛うじて残った家具や壁、所々剥げた石畳がわかる位だ。
城下町を一通りまわり、氷晶の城へと足を進めると。
城内も損傷が酷く、所々崩れた廊下や階段を回り道して、なんとか領主の間までたどり着いた。
長年誰も訪れなかったであろう、埃っぽい室内、散乱した家具。その隣に……親子であろう白骨化した遺体が寄り添いあっていた。
〚……長い間、この場所で見つけてもらうのを待っていたのね……〛
領主と思われる遺骨の首元にキラリと光るシルバーメダルを見つけ、エヴァンジェリンはそのメダルを手に取った。
遺骨を城の庭園に埋葬し、近くで摘んできた花と伯爵家の紋章の描かれたメダルを墓標にかけ、エヴァンジェリンが魔法の杖を掲げて祈りを捧げた。ワンドを振る度に、飾りがシャンシャンと音をたてる。
〚…………どうか、安らかにお眠りください〛
風に乗り、ふわりと舞い散る花びらと、エヴァンジェリンの長い白髪。レインの目に映ったそれは、儚くも美しい光景だった。》
――美玲達が見守る中、砦を守る騎士たちによって魔物は討伐された。
砦内では討伐した魔物の処理、怪我人の手当てが為されていた。入国しようと坂道を登っていた行商人が襲われ足に怪我を負ったが、それ意外は怪我人も砦の損傷も無かったのは幸いだ。
「近年、魔物の活動が活発化しているな」
「ええ。討伐依頼も既に昨年を上回る件数です。その為兵士たちもピリピリしております」
シルバーメダルのネックレスが、お父様の首元からチラリと覗く。
全く同じセリフを、レインを通して聞いていた頃は正直、あまり深く考えていなかった。
所詮はゲームの中の世界。領地が滅びようと、現実の美玲の生活に影響が出るわけでもない。
だからここがゲームの世界であるとわかり、いざ自分の身に迫りくる危機を感じる事で、改めて美玲は領地滅亡についてを考えなければならなくなった。恐らくこのままの流れでは、いずれ魔物が領地に攻めてくるだろう。
(それじゃあダメだ。何としてでも領地滅亡を阻止しないと! だけどそれには、どうしたらいいの? ………………あ?)
……もしかしたら、阻止することは出来るかもしれない。ただ、領地を滅亡させる程の強力な力に対抗出来るのは、勇者であるレインの力が必要だ。
先程まで隣りにいたはずのレインが見当たらない。美玲はキョロキョロと辺りを見回すと、いつの間にか部屋の隅に居るレインを見つけた。……何故そんなすみっこに。
「皆、怪我はないわね? ……あなたも、痛い所はない? 大丈夫?」
「……君は誰? なんでここに居るの?」
お母様はレインの前にしゃがみ込んで、目線を合わせて問いかけた。しかしレインの返事はない。
お兄様もレインの存在を疑問に思ったのか、レインに直接問いかけが、しかしその問いかけにもレインは無言でうつむくだけだった。
「お名前と、どこから来たか、言える? ………………うーん、困ったわね、どうしましょうか」
「奥様、皆様ご無事でしたか! …………ああ良かった、ここに居たか、レイン!」
一人の男性騎士がレインの元へ走っていく。彼は年若くしてメキメキと実力をつけた、砦を管理する副隊長である。そして……。
「大丈夫か? 怪我も……なさそうだな。いいか、鐘が鳴ったら今回みたいに直ぐに安全な場所に隠れるんだぞ」
コクリと頷くレインの頭を、副隊長はワシャワシャと豪快に撫でる。
その様子に、お母様は驚いた様子で副隊長に声をかけた。
「イーサン、あなたってば……結婚していたの!? いつの間にこんなに大きな子供がいたの!?」
「ええっ!? いえ奥様、違います! この子は……私の弟の一人息子で、甥のレインです」
「あ、あらそう、弟さんの。…………では、この子は何故ここに? ご両親はどちらにいるの?」
「エミール、その話は後でしよう。先に子供達を宿舎に連れて行ってくれないか」
「あなた……。ええ、わかりました」
後の事は隊長に任せて、事情を知っている様子のお父様に従い、一同はひとまずここよりも安全な宿舎に移動する事となった。
後始末をする兵士達の横を通り過ぎる間、チラリと魔物の腕が見えてしまい、美玲は複雑な気持ちになる。魔物と言えど、倒れている姿を見るのはやはりいい気はしない。
そう言えば、魔物や魔王が何故暴れ始めたのか、解らずじまいだ。物語の核心に迫る前に、美玲は意識を失って、この世界に来てしまったのだった。
宿舎に着くと、改めて隣の部屋でお父様とお母様、イーサンが事の経緯を話し合った。
壁に寄りかかりながら隣の部屋に聞き耳をたてていた美玲は、微かに聞こえる声を拾う。……盗み聞きも大事な情報収集の一環だ。
「弟は、元フォレストの兵士でしたが、その…………お恥ずかしながら、酒に溺れて職務を放棄したんです。弟は……昔から何かと私と比べられて育ち、不満が溜まっていたのだと思います。気づけば何事にも無責任で、思い込みが強く、嫉妬深い性格になっていました」
身内の恥を晒すのはやはり疲れるのだろう。イーサンは大きく息をついた。
「兄として、そんな弟をフォローしてやれなかった事は不甲斐なく思うのですが。ただ、結婚して子供が出来た事で責任感が芽生えて、父親としての自覚を持ってくれたらどんなに良かったか。あろうことか、自分の思い通りにならないからとレインに手を挙げるようになっておりました。そしてレインの母親もまた、そんな弟との生活に嫌気が差したようで、レインにも無関心。……情けないことです」
「……育児放棄の両親から保護して児童養護施設へ。その施設で他の子供達と揉めて、居られなくなった、と。そして今、この砦で伯父であるイーサンが保護したという事ね」
「はい。養護施設でも、リーダー的存在の子に態度が気に食わないと目をつけられてしまったようです。そこからは……正当防衛ではありますが、相手の子らに怪我を負わせてしまいました。そんな経緯で先日私が引き取り、今に至ります」
「対多数で勝つなんて、甥っ子は中々見込みがあるな」
「ちょっとあなた、そんな事を言っている場合!? ……イーサン、あの子は今、何歳かしら?」
「六歳になります」
「あら、コンラッドと同じ年齢だわ。……まだその年齢で、随分辛い思いをしてきたのね……」
レインは保護当初はやせ細り痣だらけだったそうだ。発育環境が良くなかったせいか、同い年のコンラッドよりも小さく、口数も少なく無表情で何を考えているのかわからない。それを大人でも理解できないのに、子供同士ではそこまで配慮出来ないのも仕方がないだろう。
こんなに幼い子供が感情を押し殺して生きるようになるまでに、一体何があったのだろうか。
父親からの暴力と、母親からの無関心。心を閉ざすには十分な条件がそろってしまった。
レインの両親は互いに、親になるには精神的に若すぎたのだろう。しかし……望んだはずの子供なのに、何故彼らはそんな風に変わってしまったのだろうか……?
「砦は人の出入りも激しいし、いつ戦闘になるかわからない。ここは子供が住むには危険な場所だ。しかし、親元にも施設にも置いておけないとなると、イーサンが砦に連れてきた事も致し方ないか」
「……もう一度弟夫婦と話し合って、改善の余地があるのならそれがレインのためにもなるでしょう。ですが、レインの様子を見ていると、一時的でも私が引き取る事が一番良いと思ったのです。……伯爵や隊長を初め、砦の皆に迷惑をかけることになってしまいましたが……」
「そこは気にするな。子供一人守れないようでは、フォレストが地に落ちたも同然だろう」
「そうね、イーサンが側にいられたら、あの子もきっと安心でしょう。それでも、あの子が学べる環境も必要だと思うわ。自分で自分の道を選べるように、そして自分自身を守れるように、知識も必要だと思うの」
「はい……」
しばらくしてイーサンが美玲達の待機する部屋に入ってくると、真っ先に部屋の隅に居るレインの元へ向かった。
「……レイン。この砦は今日みたいに、魔物による襲撃が頻繁に起こる。もしもの事があった時、お前を守ってやれるかわからない。伯爵様と奥様が、お前が将来俺と同じ騎士になるために勉強をしてみないかとご提案くださった。ここよりもずっと安全で、美味い飯も食べられる。……その間、俺は側には居てやれないが……どうだ、レイン」
レインは無言で、目の前に立つイーサンのズボンを握りしめた。
伯父という、やっと心を許せる存在が出来たばかりなのだ。安心出来る居場所を奪われまいと、必死の抵抗だった。そんなレインの目を見つめ、イーサンは動揺しているように見えた。
……結局、レインとイーサンを引き離すことは出来ることもなく。ゲームの流れではレインはこのまま伯父と共に砦で生活することになる。
忙しいイーサンはレインと共に過ごせる時間は少なかったが、食事の時間だけは極力レインと過ごせるように努めたり、休日はレインの為に時間を使い、砦の外の世界に連れ出して様々な物を見せてくれた。
両親から受けられなかった愛情を、不器用なりに伯父は与えてくれた。
イーサンにとっては、弟に出来なかった事への罪滅ぼしもあるのかもしれない。そうだとしても、レインにとって自分をまっすぐに見てくれる伯父の存在は、何よりも大きかった。
……魔物の大群の襲撃を受ける、その時までは。
(このままの流れだと、領地滅亡まっしぐらだ。……お母様が言うように、それとなくレインをフォレスト家で養う様に、誘導出来ないだろうか)
美玲はレインの成長過程を知っているだけに、この先に起こることを思い出し、胸が傷んだ。
フォレスト伯爵領の滅亡。
……このフラグを回避するためには、主戦力であるレインの存在が必要不可欠だ。レインを立派な剣士として育て上げ、仲間達と共にこの地を守る為にも、勇者レインにはここに居てもらわなければ困るのだ。……しかし。
(だけど、もし。もしも、レインをフォレスト家で養う事にしたとして、そのルートは……レインが本当に幸せになれる道、なのかな)
フォレスト家でレインを引き取る事で、丸く収まるのなら良いのではないか? そう思うのに、美玲の胸の内に言いしれぬ罪悪感が巣食うのは何故か。
これは……美玲の大変自分勝手な願望で。言ってしまえば、レインを利用しようとしているも同然なのではないか。本人の意志すら無視して、滅亡回避という重圧を押し付けてしまうのではないのか?
(結局レインは戦う道を選ぶことになる。それも自分の意志ではなく、強制的に。……このルートはレインの為なんかじゃなく、わたしの保身の為なんじゃないの? レインを養う様に見せかけて、恩で囲って逃げられないようにしてしまうんじゃないの……?)
危険だと知りつつ、巻き込む事が正しいはずがない。だけどこの土地と人々を守るには、レインの力が必要だ。
ゲームの流れでは、レインは力も弱く、到底太刀打ち出来なかったが。
きっともっと力があれば、知恵があれば、全力で故郷を守ろうとするだろう。
美玲は勝手な自分がもどかしくて、頭を振った。
(レインの逃げ場を塞ぎながら、幸せになって欲しいだなんて。こんなのわたし、偽善者じゃん)
……何が正解かなんて、きっと誰にもわからない。
――ここは、美玲の設定を元に、AIが作った世界。……プログラム上では、調和のとれた世界。
けれど、果たして人工知能に理解出来る時は来るのだろうか。
痛みや苦しみに、嘆き悲しみ、絶望した時に。
ただ誰かの優しさが、傷んだ心を癒やしてくれるという事を。
ただ誰かの温もりが、凍えた心を温めてくれるという事を。
有限の時を必死に生きる、ちっぽけな生き物達の心の叫びを、複雑な感情を、いつか理解出来る時は来るのだろうか。
この世界が、目の前の家族が、レインが、AIが作り上げたプログラムだったとしても。
今美玲はこの世界で生きて、痛みを感じる体を持って、感情を持って、ここに居る。
――だったら、変える事も出来るのではないか?
この世界にとってイレギュラーな自分という存在で。フォレスト辺境領の消滅という理不尽でふざけた運命も、変えられるかもしれない。
……レインの悲しい運命も、変えられるかもしれない。
この話を書くにあたって、多少の葛藤が無い訳ではなかったのですが、思い切って書いてみました。
色んな状況、考え方があると思うので、何が正解かもわからないし、誰もが皆が良いと思う選択は出来ないとも思います。
私自身親になったことがないから、親の気持ちや苦労は推測する事しか出来ないし。皆環境も状況も違うから、正しい子育てなんてものはない……とも思う。
丁度この話を書いている時に、小中学生の自殺者が増えているというニュースを見て、色々と思うところがありました。親が忙しいというのもあると思うのですが、誰に相談したら良いのかわからない、自分の心の置きどころを探して葛藤しているのかな、と。
私は専門家ではないのでいい加減な事は言えない、あくまでも一個人の意見ですが……「色んな感情はあって当然なんだから、あんまり自分を責めなくていいよ」と、伝えたい。
私達は生身だから、痛みも苦しみも感じる。色んな感情を持っていて、それを留めておけない時もある。自分や人の醜い一面を見て、やりきれない気持ちになることもある。
でも時に、内側から湧き出るマグマみたいな怒りが、前に進む為の力にもなるから。あんまり感情をおさえこまないでね。
そしてしんどい時は、深呼吸とアファメーションをぜひ試してみてね!
※アファメーションとは、ポジティブになりたい自分を想像して宣言する事で、理想を叶える方法です。だいぶ端折って説明しているので、詳しい内容は検索してみてね(^_^;)




