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私の素顔をわかってくれる人。  作者: べるあっと。
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隣の席の男の子

連載はじめまーす。

写真が嫌いだ、笑顔ができないから。


怒られるのが嫌いだ、反省してないと余計に怒られるから。


私が嫌いだ、表情がない私が。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


高校に入学してもう直ぐ一ヶ月が経とうとしていた。


やはりというべきか、私の周りには誰も集まらない。


それでも、私のことを遠目で見たりすることはあっても直接何かしてくる人はいないからまだいい。



そんな私の学校生活の中での唯一の楽しみといえば、お弁当だ。


自分で作ってるから開ける時のドキドキワクワクはあまり感じないけど、美味しいものはどんな時でも私の心を満たしてくれる。


「うん、今日も美味しい。」


誰にも聞こえないようにそう呟いてみるが、クラスの喧騒に溶け込んでしまった。



 昼休みも終わり、お昼の授業が始まった。この時間になると寝ちゃう生徒が多くなる。

お昼の後だからお腹いっぱいで眠たくなるのはわかるけど、そろそろ中間テストで出るところとか大事なことも板書したり口頭で言ったりすることが増えてくるからなんとか踏ん張らなければならない。


特に今は世界史だ、カタカナが多くて頭がこんがらがりそうになるけど頑張ろう。


 

そしてなんとか授業を乗り切った。お昼からの世界史と古典は流石にキツかった。普段真面目に授業を受けている生徒ですらおおきなあくびをしている。


そんな中でも最後まで起きてた私偉い!と自分を褒めていると、突然誰かに話しかけられた。


「あの、巽さん?」

「...ん?私のことですか?」

「あ、うん。そうだけど。」


隣の席の川上だった。特段目立っているわけでもないごく普通の男の子。


「どうしたの?」

「いや、さっきの授業の最後の方寝ちゃってさ。ノート見せてくんない?」

「あぁ、いいよ。あと最後に口頭でテストに出るところ言ってたけど、聞いてた?」

「え、まじ?聞き逃してたわ。」

「そうなんだ。それも教えてあげるね。」

「さんきゅ、マジで助かる。」


私はノートを手渡した。


「明日返してくれたらいいから、あとテストに出るところはここに書いてあるよ。」

「さんきゅー、マジで助かったわ。」

「はーい。」

「あと今後もこういうことがあった時のために一応マイン交換しとこうぜ!」

「え、いいけど。」

「たすかる、マジでありがとう。」


こうして私は人生で初めてクラスメイトと連絡先を交換したのだった。



 そのまま学校が終わり、部活に入っていない私はそのまま家に帰ってきた。


「ただいまー。」


返事はない、両親とも仕事が忙しいらしくいつも家にいないのだ。


私はローファーを玄関に脱ぎ捨て、自分の部屋で制服を脱ぎ捨て、下着姿のままベットにダイブした。


「疲れたなぁ」


と呟いてなんとなくぼーっとしていると、携帯の通知音が鳴った。

またなんかのクーポンかお知らせだろうと思いながら通知を確認してみると、川上くんからだった。


「よ!ノートマジでさんきゅ!ガチで助かった!今度お礼する!」


予想もしていなかったその内容にびっくりした。そしてなんと返信すればいいのかわからず戸惑った。


私は親から携帯を買ってもらって以来友達と連絡先を交換したこともなければ、親以外と連絡を取り合ったりしたこともないのだ。


「えーっと、えーーーと、」


と唸りながらなんとか考えた文章がこれだ


「それは何よりです、お礼なんてしていただくほどのことはしていないのでおきになさらず。今部活中ですかね?頑張ってください。」


なんとも固い文章になってしまった。しかし今の私にはこれが精一杯。


きっと変に思われただろうななんて思っていると、すぐに返信が返ってきた。


「いーや!絶対お礼するから今楽しみにしとけよ!じゃあまた明日な!」


どうやら川上は是が非でも私のお礼がしたいみたいだ。


「お礼って、何するつもりなんだろう?」


私は疑問に思いつつも、少し楽しみだった。


「さてと、ご飯作る前に先にシャワー浴びちゃおうっかなー。」


なんて上機嫌になりながら脱衣所に向かう。


すでに下着だけなので直ぐに裸になれる、私は意気揚々と浴室に入った。


しかし、こんな時でも鏡に映った私の顔は酷く真顔だ。

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