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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
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時の旅人、光と闇編26

「ガングル、アレは完成したか?」


「おうとも魔王様、良い感じに出来たと思うぜ」


ガングルが答えると、時空を超えて一機のマスコットロボが現れる。

身の丈は1mほど、ボンタンに長ランといった学生服姿で白の革靴を履きマスクを付けサングラスにリーゼント、日本の昭和のツッパリを思わせる姿をしていた。


「ガングル完璧だ! 強さは?」


「そこらの勇者じゃ敵わない」


「よし、この番長君を各店舗のマスコット兼、用心棒とする」


魔王は番長君を気に入った。


「グングル、店の出来具合は?」


魔王はミャーダ国王都のステーキハウス魔王1号店を見に転移で現れた。


「はい、外観はこんな感じです」


監督として指揮していたグングルが店を指差す。


「良いじゃないか!」


大きなウエスタン風の建物で中央の入り口前の屋根にはアニメチックな怒った顔の水牛が睨んでいる。

扉はウエスタン風の格子戸あの両開き、その中にはガラス製の自動ドアがり、店内は西部劇に出て来るような感じだった。

100%魔王が望んだ店となっていた。


「貴方、コレはいったいなんなのですか…」


ミャーダは理解が出来ない…


「うん? ステーキを食う店だ、俺の世界では… いや、一番好きな世界で子供だった頃、テレビでこういった店を観てな、憧れたんだ…

俺がよく行った店は普通のファミレスタイプだったからな… こんなアメリカンな店にしたかった」


魔王は朧げな記憶を懐かしそうに話すが、ミャーダは全く理解出来ず困っていた…


「魔王様、ご試食の用意が整いました…」


黒のスーツで正装したダムダが呼びに来る。

魔王は席に案内されて座る。そのテーブルには赤黒い鉄板がありシェフが立っている。


「魔王様、お肉は…」


「ああ、サーロインを1k、ガーリックライスを大盛りで頼む」


シェフが目の前で肉を焼く、火柱が立ち上る!


「凄いわね…」


ミャーダが絶句する。


「だろう? しかも、その鉄板は凄いんだ。ソウソウワールドの最高級の金属をデスティニーの力で進化させた」


魔王がドヤ顔で教える。


「力の無駄遣いじゃ…」


ミャーダがなんともいえない顔をする。


「なに、力など使ってなんぼだ」


魔王は気にした様子もない…


「戦いのために温存しておかないと…」


「大丈夫だ」


心配するミャーダをよそに魔王は全く気にしていなかった。


「そのときは私も戦わせていただきます」


ダムダが優雅に頭を下げる。


「ふんっ! お前など必要ない!」


魔王に付いて来ていたトシゾウが嫌そうに言う。


「おやおや、貴方では私にすら勝てませんよ?」


ダムダが鼻で笑う。


「やってみるか?」


トシゾウが睨む!


「やめろ… 大人しくステーキを食え、焼けたぞ?」


魔王はトシゾウを宥めステーキを頬張る。


「絶品だ!」


魔王が唸る!


「これならいける! この星、いや、タイラー達の星もステーキハウス魔王の虜にしてやる!」


魔王は拳を握り燃えていた!


「はっ! そのように」


ダムダも決意の眼差しをしている。


「シャインの事など気にもしていないわね…」


ミャーダが呆れた…


「たぶんな、俺がこの星にいる間に奴は戻って来られないだろう…」


「なんで?」


「奴の口ぶりでは、俺達は初めて接触したようだった。

俺はさまざまな場所で転生や転移を繰り返しているようだし、ザ、ワールドでも数千年生きている。記憶はないがな…

グングルに調べさせたところ、記録のある限り接触した事はないらしい…

この時と次元を彷徨っている間もだ…

復讐を誓って消えたサタンも一向に現れない…

宇宙は広くさまざまな世界がある。

ダムダの話ではアビスシャインは他の分体の場所も解らないらしい…

それを見つけるだけでも莫大な時間が掛かるんじゃないか?

アビスシャインが負けて他のシャインに取り込まれたら、この星や俺の事すら解らなくなるかも知れない…

そんな訳で俺がいる間には戻らないと確信している」


魔王はステーキを食べながら説明した。


「それもそうね… でも、貴方が去ってから戻られると困るわね…」


「それは仕方がない… 時と次元を彷徨うのは俺の意思ではない…

抗えるのなら、ザ、ワールドから出なかっただろう…」


魔王が残念そうに首を振った…


「ところで魔王様、なぜ、ビフテキハウスにしなかったのですか?」


隣りのテーブルで試食をしているタイラーが聞く。


「いずれな、ザ、ワールドでもチェーン展開する。

実はな、俺の世界でもビフテキはステーキという名で通っている。

ビフテキは俺と妻の1人のセシリーとの合言葉みたいなものらしい…

後々を考えて、不本意だが、ステーキとしたんだ…」


魔王は残念そうに説明した。


「ならば魔王様、このサーロイン1kを魔王ビフテキというメニュー名にいたしましょう」


ダムダが提案する。


「流石だ… なら、コールスローサラダ、オニオングラタンスープ、サーロイン1kとガーリックライスの大盛り、それに、メロンを付け、究極魔王ビフテキセットとしよう…

でな、シーザーサラダ、コーンスープ、フィレ150g、バターロール、桃を付けて、愛女神セシリービフテキセットでどうだ?」


「はっ! そのように!」


魔王が提案するとダムダが快諾した。


「ミャーダもセットを作るか?」


「私、そんなにステーキが好きな訳じゃないから…」


ミャーダが目を逸らした…

ミャーダは内心、そんな恥ずかしいセットを作って欲しくなかったし、いつかそれをセシリーが知ったとき、ショックを受けるんじゃないかとまで心配していた…


「そうか…」


魔王は気にせず満足そうにステーキを堪能した。


「セーム星、ベルセク星でも出店するか… ラルフ、コンジキ、どうだ?」


満足した魔王が聞く。


「「構いませんが…」」


2人が返事をする。


「なら世界展開だな。ヘルズ…」


魔王が言い掛けるが…


「当然、構いませんよ?」


食い気味に答える。


「それなら、一度星に来て挨拶してください。

伝説の魔王様の店ともなれば大繁盛は間違いなしですじゃ…」


カイザルが提案する。


「それもアリか…」


魔王は商売繁盛のためになら労力も惜しまず恥ずかしさもいとわなかった。


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