時の旅人、光と闇編13
「おお、土煙りが見えて来たな」
マオウは楽しそうに森を眺める!
「さあ、そろそろだぞ? 準備は良いか? オオトリ、トキ、弟子達の監視を怠るな。
さあ、戦闘開始だ!」
森から魔物が飛び出したところでマオウが開始の合図を出した!
各々が駆け出す!
「カエン、フー、貴方達は小物を、大物は私が…」
インパルスがカエンに指示を出す。
「いらぬ世話だー!」
カエンが怒鳴り返し、フーと大型の魔獣に向かう。
「「ドラゴンロア!」」
サトシとインパルスは立ち止まり人型のままドラゴンブレスを吐く!
それだけで数百といった魔物が消滅していく…
「やるわね、シャインレイ!」
アズマは光り魔法を放ち広範囲の敵を消滅させる!
「メガファイア!」
「メガストーム!」
カエンとフーが魔法を放つ!
「「ギガファイアストーム!」」
広範囲合体魔法を放った!
巨大な炎の竜巻が魔物達を蹂躙していく!
「流星斬!」
マリーが剣を振るうと、空から無数の斬撃が飛び数百の魔物を退治する。
「エクスプロージョン!」
シュテンが超爆発魔法を放つ!
魔物は見る見る減っていく!
「なかなかだな、皆、良い動きをしている」
マオウはそれを見て満足そうだ。
「なあ、マジマ、サカキ、お前らも戦ってみたいか?」
マオウが聞く。
「「いえ…」」
2人が青い顔をする。
「少しヌルゲーか… お前ら、俺からの試練だ。スタープロージョン!」
マオウが笑いながら魔法を放つ!
空から無数の小さな隕石が物凄い速度で落下する!
地上や物に当たると大爆発を起こす!
「まっ、魔王様、味方も巻き込みます!」
ギムガンが焦る!
「あんな弱い魔物を一方的に蹂躙したって強くならないだろう?
俺が試練を与えないとな… メテオ!」
マオウは楽しそうに話しながら魔法を放つ!
大気圏の摩擦に焼かれ炎を吹き上げ巨大な隕石が落下する!
ドカーン! 物凄い衝突音と振動が襲ってくる!
「フハハハハ、それでこそ魔王の配下だ! いいぞ、お前達… サービスだハルマゲドン!」
マオウは邪悪な顔で高笑いしてハルマゲドンまで放った!
辺りは真っ暗になり紫の稲妻が光り嵐が吹き荒れる。黒炎の竜巻が発生して魔物を飲み込み、黒炎の刃を撒き散らす。
弾丸のような酸の雨が降り魔物を貫き溶かす。
あちこちに紫電が落雷して魔物を蒸発させる!
立っていられないほどの振動が発生して地面が割れ魔物を飲み込む!
アズマ達も逃げ惑うのに必死だった!
「ちょっ、魔王、私も死んじゃうからー!」
アズマが絶叫する!
「やれやれ、弱音を吐くとは情け無い…」
マオウが呟くが…
「やり過ぎですよ…」
ギムガンが呆れた。
「そうか、なら全員戻って来い…」
マオウが指示を出す。
アズマ達が疲労困憊で戻って来る。
「残りは一気に行くか… ビックバン!」
ドゴーン! 目の前で物凄い爆発が起きる!
森は数十キロに辺り円形に吹き飛びクレーターとなっていた。
魔物のスタンピードは全て塵も残さず消滅した。
「「「「「凄い…」」」」」
ジジリンやミライ達のギルドメンバーが青い顔で呟く…
「アレ、どうするのですか?」
アンナがクレーターを指差す。
「ああ、つどえ精霊達!」
マオウが精霊を呼ぶ!
夥しい数の精霊が集まって来て、マオウの周りを楽しそうに飛ぶ。
「アレ、元の森に戻してくれないか?」
マオウが頼むと、精霊達は頷き楽しそうに飛んで行く。
大地の精霊が穴を埋め、森の精霊が木々をはやす。
水の精霊が池を作り潤いを与えて、風の精霊がそよ風を運ぶ、森は綺麗に再生した。
「「「「「凄い!」」」」」
幻想的な光景にその場の全員が驚く!
「ジジリン、高そうな魔物は回収しておいた、後で買取れ。
城を立て直す金が必要だからな…」
マオウは意外といろいろ考えている。
「あの、誰かさんのせいで死にかけたんだけど…」
アズマが文句を言う…
「あのな、アズマ、もう少し鍛えろ、俺が勇者だったときは、もっと強かったぞ?」
マオウはやれやれといった感じだ…
「強さは人それぞれなの!」
アズマがムッとする。
「私はアレぐらい平気です」
インパルスは余裕な顔をしている。
「おっ、俺達だって…」
フーが強がるが顔色が悪く、カエンは座り込んでいる…
「良い訓練になりました」
マリーも涼しい顔をしている。
サトシとシュテンも疲れた感じだ。
「面白い余興じゃったのう?」
トキも楽しそうだ。
「貴方達はもう少し鍛えた方が良いですね…」
オオトリはカエン達を見て呟く、納得がいかないようだ…
「どうだ、サカキ、Sランクといえば、この星最強の一角だろう?
誰かと戦ってみるか?
Sランクが沢山いるのなら俺が模擬戦をしてやっても良いが…」
マオウが誘う。
「魔王殿、主らに比べたらSランクなど赤子同然じゃ、戦うとちょっとした攻撃で死んでしまう、やめといてくれ…」
ジジリンが頼むとサカキも頷いた。
「そうか、だが、冒険者やマジマのような、各国の軍と協力してダムダ達と戦わないといけないんだぞ?」
マオウが言う。
「それは無理じゃて… マオウ殿が…」
「残念だ、俺はこの星を出て行く…」
マオウとジジリンが話していると…
「「私達に何もかも押し付けて出て行かないでください!」」
ミライとアンナが声を揃えて叫んだ!
「さて、余興も楽しんだし、出発するかな…」
マオウは自由で勝手な奴だった…
「次の女王候補のハンナ、付いて来るか?」
マオウが誘うが…
「嫌です…」
ハンナは断る。
「冒険者ギルドからの随伴はなしか、残念だな…」
マオウは思ってもいない事を呟き立ち去ろうとする…
「ちょっ、国の事をいろいろ決めていただかないと…」
アンナが困る。
「サトシ、少し知恵を貸してやれ…」
マオウは丸投げする。
「はっ!」
サトシは満足そうに返事をした。マオウに頼られて嬉しい感じだった…




