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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
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時の旅人、力無き魔王編3

マオウとマゾネス達は2日ほど歩き、山の麓にあるダンジョンの入り口に着いた。


「ほう、かなり強いドラゴンがいるな…」


マオウが呟く。


「えっ⁉︎ ドラゴンが居る⁉︎ 解るのか?」


マゾネスが驚いて聞く。


「なんとなくな。ダンジョンモンスターでないドラゴンなら話せば戦いにはならないだろう?」


マオウが教える。


「話せば? ダンジョンモンスターではないドラゴン?」


マゾネスは理解出来ない。


「ドラゴンとは星とともに…」


マオウはドラゴンとダンジョンモンスターのドラゴンの違いを説明した。

だが女戦士達は理解出来ないといった感じだ。


「まあ良い。早くダンジョンに入ろう」


マオウはワクワクしていた。


「いや、近くでキャンプして休む。ダンジョンは明日からだ」


マゾネスが予定を教える。


「そうか、お前、以外と冷静で良いリーダーだな」


マオウはウンウンと頷きマゾネスの肩をポンポンと叩く。


「マゾネス様が男に気安く触られて怒らない…」


「それどころか、赤い顔で照れている…」


女戦士達は驚きっぱなしだ…


「それはね、恋よ?」


ミーシャが笑う。


「うるさい!」


マゾネスは女戦士達には怖いリーダーだった。


ダンジョンから少し離れた場所にテントを張り泊まり、翌日、ダンジョンの中に入って行く…


「ほう、これがダンジョンか、ただの洞窟だな…」


「もう少し進むと第一階層の開けたフロアがあるわ、森があって天井も高く光りもある。

深い階層だと、空があったり海があったりするわ…」


マゾネスはマオウに付きっきりで話しながら進む。


「あるわ… とか言っている。

少しずつところどころ女になっているわ」


リーシャが呆れている。


「姉さん、マゾネス様にも春がきたって事よ…」


ミーシャが感慨深い顔をした。


「これがフロアか… 明るいし森だな…」


マオウはフロアの大きさに驚く!

そしてマオウ達は魔物を倒しながら進む…

2階層、3階層、次々と進んで行く…

疲れると、安全なところを探してテントを張り、見張りを立て交代で眠り休む。

そしてまた進む。

数日かけて20階層まで進んでいた。

だが…


「ここから先は立ち入り禁止だ!」


煌びやかな鎧を着た騎士が告げた。


「なんの権利があるんだ!」


マゾネスが怒る!


「このダンジョンで特殊鉱物が発見されたためロドン国の管理下におかれた。冒険者は帰れ!」


そう説明した者達はロドン国の兵士だった。


「俺達は冒険者ではないし鉱物にも興味がない、薬草を採りに行くだけだ通してくれ」


マオウが交渉するが…


「うるさい! 立ち去れ! さもなくば斬る!」


兵士はイラついている。


「横暴だろう!」


屈強な女戦士ミューが兵士の目の前に行き、ドン、右手で胸を軽く殴った!


「ぐおっ!」


その瞬間、ミューの右手が斬られて飛んだ…


「きゃー! リーシャ、早く治癒魔法を!」


ミーシャが叫び! リーシャがミューに駆け寄りヒールと唱える。

血は止まるが腕は再生しない。


「それで勘弁してやる。さっさと立ち去れ」


1人の男が告げた。


「お前は、英雄ギガム…」


マゾネスが名前を呟いて絶句する。


「到達者だ…」


リーシャの顔色も悪い。


「なんだ、到達者とは?」


「レベルの話しだけど、300でカンストするの、でもね、それは噂で今まで誰も到達した事がなかったの、ギガムが初めての到達者で勇者に最も近い英雄と呼ばれているの…」


リーシャが説明した。


「ふっ… 勇者になれない落ちこぼれか…

お前、一国に肩入れするから神の加護が得られないんじゃないか?

コイツら集落の子供達の病気を治すために薬草を採りに行くだけだ。

道を開けろ、そして徳を積んで勇者を目指せ…」


マオウはやれやれといった感じで話した。


「我を侮辱するか!」


ギガムが真っ赤な顔で怒り剣を頭上に掲げた!


「マオウ危ない!」


マゾネスがマオウを庇い割って入る!

それはマオウにとって予測外の事だった。

マオウはマゾネスの肩を掴み引く、だが… サクッ…

マゾネスは腕を斬られた…


「マゾネス、なんで…」


マオウが困惑する。


「いくらなんでも相手が悪い。

すまん、マオウは記憶がなく、記憶が混濁している。

許して、見逃してくれ…

私達も撤退するから…」


マゾネスは斬られた腕の傷を押さえて、ギガムに頼む。


「駄目だな、もう見逃せん!」


ギガムは激怒している。ギガムはいくらレベルを上げても、勇者になれない事を物凄く気にしていた。


「お前! 俺の女になにをしたー!」


マオウは怒っていた、それも物凄く。

そして、辺りは物凄い殺気に包まれる。


「マオウ、いくらなんでもレベル25じゃあ戦いにすらならないわよ?」


リーシャが言う。


「レベル25… 呆れるな、だが殺気は凄いが、お前、何者だ?」


「通りすがりの魔王だ…」


マオウは怒っている。そのマオウの怒りに反応し、辺りは雷雲に包まれ紫電が怪しく光…


「なんだ、コレは…」


兵士達は殺気と辺りの変化に驚きを隠せない…


「馬鹿、ただの天候の変化だ…」


ギガムは呆れて兵士達に言う。

すると、すんっ!

ギガムはマオウの隙を付き、マオウの懐に入り剣を振るった。

そのスピードは今のマオウには出せない速度だった。


「仕方がない、脚をくれてやる… だが、目をもらうぞ?」


マオウは呟き、すでに避ける事の出来ない剣に向かってキックを放つ!

それは、キックで剣の軌道を逸らしカウンターで目を潰す作戦だった。

だが、足は斬り跳ばされる事は覚悟していた。


「バキンっ!」


折れたのはギガムのオリハルコン製の剣だった。

マオウの足が剣に当たる瞬間、ジェネレーターメイルの足の部分が少しの間だけ顕現し、足をガードして剣を叩き折ったのだった。

そして…


「うぎゃーー!」


マオウの2本の指はギガムの両方の瞳を潰していた。

ギガムは潰れた目を押さえて地面を転がり回る。


「うん、なんだ、質の悪い剣で俺の脚は無事だな」


マオウが笑っている。


「まっ、魔王だ! 本物の魔王がでた!」


マオウが魔王と名乗り、殺気と紫電、そして英雄の剣を叩き折り目を潰した。

それを目の当たりにした兵士達は叫び撤退して行った!


「マオウ… 余計な事だったな…」


マゾネスはリーシャにヒールを掛けられて血が止まっている。


「いや、だがな、マゾネス、今後も一緒にいるのなら、俺の盾になろうとするな…」


マオウがマゾネスの傷跡を見て呟いた…


「はい…」


マゾネスは素直に返事をした。


「それって、嫁にするって事ですか? 俺の女と叫んでいたし…」


ミーシャが聞く。


「いや、そんな意味では…」


マオウが困った顔をする。


「嫌なの?」


マゾネスが悲しそうな顔をする。


「嫌じゃない…」


マオウは照れていた。


「なら決まりね!」


リーシャが宣言すると、2人が頷き照れていた。


そして先に進む。


「奴らの言っていた鉱脈はコレか…」


マオウはバリケードされたエリアを見て呟く。


「凄い鉱脈、こんなの見た事が…」


ハイネが呟いていると… フッ! 目の前の鉱脈が全て消えて巨大な穴が広がっている。


「リーシャ、手癖が悪いぞ…」


マオウが呆れる…


「私、そんな事出来ないわよ…」


リーシャが焦る。


「そうか、収納魔法を使ったのかと思ったんだが…」


マオウが呟く…

実のところ鉱脈はソウソウが全てムーンライトに収納していた。

だがそれはマオウすら知らない事だった。


「見なかった事にするか…」


マオウが呟く…


「そうね、それに私達は何もしていないしね…」


リーシャが言った。

全員が納得して先に進む。


「うそ、こんなフロアなかったはずだ…」


マゾネスがフロアの空を眺めて呟く…

そこには沢山のドラゴンが飛び回っている。


「そうか、この最下層に強力なドラゴンが住んでいる。

たぶんだが、最近、外から来たドラゴンだ。

ダンジョンはその情報を元にドラゴンのダンジョンモンスターを作り出したんだ」


マオウが推測をふまえて説明する。

だが、マゾネス達はそれどころではなかった。


「駄目だ、諦めよう…」


マゾネスが力なく呟く…

女戦士全員が諦めたように頷いた…


「諦めたら、そこで試合は終了だぞ?」


マオウが言う。


「「「「「「試合?」」」」」」


誰もそのネタを知らない。言ったマオウですら元ネタを覚えていない…


「とにかくだ、病気の子供達が待っている。

ドラゴンは俺がなんとかする。

マゾネス、命令だ、俺に何があっても俺が良いと言うまで動くな」


マオウが決意の目でマゾネスを見て告げる。


「解りました…」


マゾネスは訳が分からないが返事をした。


「なら、あとでな…」


マオウはそう言ってフロアの入り口から駆け出し走って行く。それは物凄いスピードだった。

ドカンっ! ドカンっ! ミシミシ、ミシミシ、ドーン!

マオウは駆けながら木々を蹴り倒して進む!

森にいたドラゴンは飛び上がり、空にいるドラゴンもその騒々しさにマオウを見つけ攻撃体制に入った!


「「「「「「「ガァーー!」」」」」」


さまざまなドラゴンが一斉にブレスを放つ!

だが、マオウは脚に気を纏わせ、空中に駆け上がり、ブレスを躱す!


ドカン! ドカン! ドカン!


物凄い爆発が起きて森が吹き飛んだ!


そして、サンダードラゴン、ファイアードラゴン、アイスドラゴンが竜魔法を放つ!


「待っていたぞ!」


マオウはニヤっと笑い、無防備な体制で魔法を受ける!


ドラゴンサンダー、ドラゴンファイアー、ドラゴンアイスの強力な魔法がマオウに直撃した!


「マオウー!」


マゾネスが悲鳴のような叫び声を上げる!


「「「「「きゃー!」」」」」


30人の女戦士も叫んだ!

3つの魔法が着弾したマオウは光る!

マオウが消滅すると誰もが思ったとき…

魔法はマオウの身体に吸収される。


「よし、魔法を理解した! 暴れ狂え! ライオット!」


マオウが両方の手のひらを左右に突き出し、稲妻の魔法を放った!

禍々しい紫電が広がりドラゴンとそのフロアにいた魔物を一気に全滅させた…


「凄い! もしかして、本物の魔王なのかも知れないわ…」


リーシャが青い顔で呟く。


「マゾネス様、ヤバくないですか?」


ミーシャが聞く。


「だとえ、本物の魔王だとしても構わない…

見たこともない子供達のために英雄と戦いドラゴンの群と戦う。

私達の知っている人間を忌み嫌い滅ぼす魔王とは違う気がする。

遠い星で魔王同士の争いを制した魔王も良い魔王だという噂だ…

そもそも英雄だって本来は立派な人間のはずだ、ちょっとした事で怒り、女の腕を斬り落とすような奴じゃないはずだ…

私達の知っている、常識などあてにはならない…」


マゾネスの言った事に、その場の全員が納得する。

マオウはまだ、フロアの上空に浮いている。


「あれ、完全に飛んていますね…」


リーシャが呆れる。

マオウは魔力を感じ確認していた。

そしてマゾネス達の元に戻る。


「リーシャ、俺にヒールを掛けてみてくれ」


マオウが頼む。


「怪我をしたの?」


マゾネスが心配する。


「いや?」


マオウは無傷だ。


「魔力にも限りがあるので、怪我をしていないのなら…」


リーシャがぶつぶつ呟くと…


「リーシャ、私からも頼む」


マゾネスが頭を下げる。

はぁ、とため息を吐き、リーシャは詠唱を始める。


「ヒール!」


リーシャはマオウにヒールを掛けた!

マオウは光り輝くが何も起きない…

リーシャは、ほれ見たことかとガッカリとした。


「理解した! エリアエクストラヒール!」


マオウが女戦士全員にエクストラヒールを掛ける!

マゾネス達は光り輝き、全ての傷が治り、今までの傷跡すら消えていく…

そして、英雄ギガムが斬り落としたミューの腕が再生する!


「凄い…」


ミューは手を握っては開き確認して涙を流した。


「魔王様、ありがとうございます」


ミューは跪き頭を下げた…


「お礼などしなくて良い。先に進むぞ…」


マオウは照れていた。


「なんでヒールを掛けられて、エクストラヒールを習得出来るの? 詠唱していないし、私の立場が…」


リーシャだけが納得のいかない顔をしている。


「姉さん、諦めな、マオウは本当の魔王なのよ。

何か訳があって記憶がないだけで、元々、魔法を知っているのよ。きっとね…」


ミーシャが励ます。


「リーシャ、収納、まだイケるか? なるべく高く売れるように脳だけ感電させた。

ドラゴンを持っていっていいぞ?」


マオウが言う。


「欲しいけど、ワイバーンを捨てても少ししか持って行けないわ…」


リーシャが呟く。


「そうか、なら俺が持っていくか…」


マオウが呟き、かなりの数のドラゴンと魔物をアイテムボックスに収納した。


「ええっ⁉︎ 収納魔法まで習得したの?」


リーシャは驚きっぱなしだ。


「いや、元々持っていたようだ。

だが、中身がよく見えない…

とりあえずドラゴンは出し入れ出来る、安心しろ…」


マオウが教えると…


「どんどん魔王の可能性が高まっていくわね…」


リーシャが呆れた…


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