時の旅人、勇者編28
「魔王様、もらったー!」
エミールのドラグーンが背後からマオウ機の首を剣で斬り落とそうとしていた。
「隙を付いた攻撃をするときに叫んでは駄目だ…」
マオウ機はガクンと高度を落とす。エミール機の剣は空を斬る。
ゴンっ! エミール機はその場で回転したマオウ機の剣にボディを軽く当てられた。
模擬戦は終わった。
「ドラグーン戦闘でも魔王様は別格ですね…
エミールは我が軍でもずば抜けたドラグーン乗りなんですが…」
トシゾウがガッカリする。
「記憶は無くされていますが。
魔王様は長い間、さまざまなロボットを開発させ続けて乗り継いでいましたから当然の結果です」
ソウソウが答える。
「もー、魔王様、強すぎ!」
エミールが文句を言う。
「そうか、だいぶ手を抜いているんだが…
ソウソウ、ドラグーン、全体的にダルだぞ?」
マオウが言う。
「今のドラグーンは、魔王軍の隊員が操縦になれ、大型の魔物を倒す程度の性能に抑えてあります。
既に魔王様専用機、ガンガイアーAを開発済みです。
そして、軍用にガンガイアーの量産型ガンナーを建造いたしまた」
ソウソウが説明する。
「お前は何と戦う気でいるんだ?」
マオウは呆れる。
「魔王様の行くところ常に戦乱ありです。
それに、この魔王軍からかなりの転生者が出そうです。
ザ、ワールドの魔王軍では、宇宙戦闘は当たり前でロボ戦は必須です。
ザマ様の前の総帥は脳筋な魔王で強かったのですが、いかせん女癖が悪く。
退役、その後軍に復帰したのですが…
宇宙戦闘に参加出来ず。
その部下だった四天王も魔王で強かったのですが…
自身の強さに溺れてロボット戦闘を馬鹿にして操縦を覚えず、部下達が力をつけていくなかサボり取り残され窓際族になり魔王軍のお荷物となりました…
その結果、周りが強くなるなか拗ねて訓練を疎かにして女遊びにせいを出し、純粋な強さですら魔王軍の中で中の下といったところになりました…」
ソウソウが答える。
「まあ、ここでロボットの操縦を覚えたところで記憶を引き継ぐかは解りませんが、備えあれば憂いなしと言うやつです」
そう説明した。
「ザ、ワールドの魔王軍では一瞬も気を抜かず鍛錬し続けないといけないと言う事ですね」
トシゾウは納得する。
「なあ、魔王軍とはなんだ? 俺にはそんなに敵が多いのか?」
マオウは呆れる。
「そうですね。何処から説明したら良いか… ガンガイア星での子供時代から説明しますと、勇者となり国を造り魔人やドラキュラといった超越者や魔神と戦い、宇宙からの侵略者から星を守ると、他星の神々にも頼られて戦い、階層宇宙を支配しようとする上級魔神と死闘を繰り広げたり、創造魔神、エターナルといった敵と魔王様は戦いました。
その中で、宇宙にはヘルメス、テラメスといった宇宙生物や怪しい科学者が造り出した悪神や邪神などを魔王軍が討伐したりしています。
今もなお宇宙の根底を揺るがす敵と戦っています。
その敵も宇宙戦闘を仕掛けて来ます」
ソウソウは魔王がさまざまな敵と死闘を繰り広げるところや魔王軍の戦いの映像を流して最後はオーダー兵との艦隊戦やロボ戦を観せた。
「俺っていったい…」
「魔王様以下は魔王様を宇宙や世界の守護者だと思っていますが…
魔王様ご自身は、誰もやらないから仕方がなくやっていると。
俺は本来ぐうたらな怠け者で、たまたま上手くいってる。
総帥や娘様に任せて引退して隠居生活を送るというのが口癖です」
ソウソウが説明する。
「魔王様が怠け者だなんて…」
エミールが驚く。
「魔王様は何故かご自身を卑下なさるようで、それは、世界を背負った重圧からのプレッシャーで、そう思うようになったんじゃないかと噂されています」
ソウソウが答える。
「私が必ず魔王様を支えますから」
エミールは魔王を心配する。
「私もデスヘル様と必ず合流して見せます」
トシゾウも魔王軍に入る満々でいる。
「そういの良いから、お前達が転生した頃には俺は引退しているから…」
魔王はいうが…
「それは無理ですね」
ソウソウが答える。
「お前に何が解る?」
マオウが怪訝な顔をする。
「過去全てのデータが導き出しています」
その答えにマオウはぐうの音も出なかった。
「もう良い、そのガンガイアーAってのを試そう」
マオウは諦め、既に新型ロボに興味がいっていた。
「はい、アレンジを加えてありますが、当時のガンガイアーAの雰囲気は残っていると思います。
来なさいスターライザー、チェンジ、ガンガイアーA」
そう言ってソウソウが優雅に手を振ると、次元を超え一機の宇宙戦闘艦が飛んでくる。
それが、空中で変形し巨大ロボットとなる。
「カッコ良いじゃないか、まさにスーパーロボットだな!」
マオウはご機嫌でソウソウに説明を受け、ガンガイアーAを試乗した。
そして、カミラ大陸国の開発は進み魔王軍は訓練を重ね強くなっていく…
「マオウ、僕の報酬が提示額とかなり違うんだけど…」
冒険者ギルドで、依頼をこなして戻り報酬を受け取ったナオトが困った感じでマオウに聞く。
「気づいたか…」
マオウは目を逸らす…
「気づくよ! なんだよ! ギルドがピンハネしているんじゃないの?」
ナオトがムッとする。
「なら、タダ働きにすれば良かったな…」
マオウが言う。
「なんで!」
「お前、あちこちに借金があるだろう?
最初はダーガの店だけだったが、あちこちの店、それに、お前、豪邸を建てて金を払っていないだろう?
なんだ、ナオト専用、サーフボード工房って?
お前が金を払わないから、国や冒険者ギルドに苦情が来てな、依頼料から冒険者ギルドが支払う事にした」
マオウが説明する。
「なんで国や冒険者ギルドに苦情が…」
ナオトが困る。
「お前、僕は勇者だから、ドミー神や国、冒険者ギルド、が補償してくれる。そう言ったそうだな?」
「それは…」
「冒険者ギルドもカミラ女王もドミー神も保証人になるとは言っていないが…
詐欺罪で投獄、金額が金額だから死罪という話もあったが、俺の友達だ、俺が責任を持って支払わせるから、許してやってくれと頼んだ」
マオウが説明した。
「ナオトさん、いい加減にしてください!
魔王様、悪くもないのに友がすまんと頭を下げていたのよ?
しかも、ナオトさんが借金を踏み倒したり逃げたりしたら、魔王様が責任を取ると約束したんですからね!」
エミールが文句を言った!
「逃げたら、魔王軍の総力を上げて探し出すからな!」
トシゾウも冷たい目で見て釘を刺す。
「しかし、よくもこんなに借金が出来るわね…
ナオトさん、返済が大変よ?
あちこち整備されて都市化したわ。
魔王軍があちこちのヤバいSランク依頼を国の発展や自分達の訓練のために、ほとんど解決したから、もう、Bランク以下の依頼しかないわよ?」
カミラが教えた。
「えっ… Sランク依頼がない、それどころかAランク依頼すらない…」
ナオトは絶句した。
「マオウ、どうすれば良いんだよ!」
「知らん、馬車馬のように働け」
マオウは呆れ、ナオトは困っていた。




