時の旅人、外伝13
サンズ王国、王都の近くの森に、突如、巨大な木が現れる。
それは世界樹といわれる神聖な植物で、その周りに亜人達の里が作られた。
そして、冒険者ギルドも多くの亜人が出入りして賑やかとなった。
「陛下、賑やかになりましたのう…」
カイザルがロビーを見回して呟く…
「陛下はやめろ、ギルマスと呼べ… まあだが、その通りだな、改築して大きくしないとな…」
マオウがため息を吐いて答えた。
「へっ、いえ、マオウ様、いったいどれほどの魔法が使えるのですじゃ?」
カイザルが聞く、隣りにいるハイデンも興味津々だ。
「無限だ… 魔法なんてものは、思い描いた事が現実になるだけだ…」
マオウはそういった質問に答えるのが苦手だった。
「でもな、俺が使う魔法なんて数十個、いや戦闘用は、メテオ、サンダーブレイク、破滅の光、ヘルファイア、レールカノン、ライオット、スーパーノヴァ、無限地獄、回復系はエクストラヒールと癒しの光り、あと転移と結界ぐらいだな」
マオウが付け足した。
「意外と少ないですな… 敵の攻撃や属性に合わせたりしないのですか?」
カイザルが聞く。
「ああ、そんなもの、圧倒的な力でねじ伏せて仕舞えばいい。
俺のヘルファイアに燃やせない物はないし、サンダーブレイクで蒸発させられない物もない…」
マオウは力押しだった。
「圧倒的な力があると、細かな事は拘らなくて良いのじゃな…」
カイザルはなんともいえない顔をした。
カイザルは数百年、魔法の研究をし、さまざまな魔法を覚え、新しい魔法を作った。
それが、根底から覆らされた瞬間だった。
「ヒールもエクストラヒールだけですか?」
ハイデンも質問する。
「ああ、面倒じゃないか? 1番効くやつがあるんだ。それを使えば良いだろう?」
マオウは不思議に思う。
「私が、家具などに、足や手をぶつけて痛がっていると、エクストラヒールと癒しの光りを掛けてくれます…
それを見た宮廷魔導師が驚いていました」
ララミーが説明する。
「ですよね、エクストラヒールなんて、かなりの魔力を使います。
しかも陛下のエクストラヒールは身体の殆どを失っても再生すると聞きました」
ハイデンも呆れている。
「俺のエクストラヒールは神力も使っているからな」
魔王が教える。
「「神力⁉︎」」
ハイデンとカイザルが驚く!
「うん? 神力は奇跡の力のみなもとだろう?
人や神を蘇らせたり、加護を与えたり、常識じゃないのか?」
マオウが不思議そうだ。
「常識ではありません… 死者蘇生なんて聞いたこともありませんし、神を蘇らせるなんて…」
ハイデンは驚くのを通りこして呆れている。
「ワシ、もう魔法の研究をするのやめよう…
魔力量を増やすのと神力を扱えるように頑張ろう…」
カイザルは呟いた…
「貴方、そろそろ出番です。
城に戻ります」
ララミーが言う。
マオウは嫌そうな顔をして転移する。
そこは謁見の間で、マオウはマオ国王として玉座に座らされる。
「貴方、中継もご自分でお願いします…」
ララミーがマオウに頼み、隣りの席に座る。
「サンズ王国、そして世界の者どもよ、良く聞け、我がサンズ王国は亜人を人として迎えいれ、人族、獣人、エルフ、ドワーフと全員で協力し生きていくと決めた。
何人たりとも亜人を下に見る事は許さん! 全て人類、皆平等だ!
また我が国では奴隷制度は廃止されている。禁を破る者は覚悟しろよ!」
半ば脅しのような強引な演説が世界に響いた。
マオ国王はそれだけ告げ、中継を絶った。
「ふう、疲れたな…」
マオウはため息を吐く。
「少し強引な気がしますが…」
ララミーが困っている。
「俺は魔王だ。仕方がないだろう? だから表舞台に立つのは嫌なんだ…
今のを訂正すると、ララミーが言えば良い。中継してやる」
マオウはやれやれといった感じだ…
「いえ、今ので充分です…」
ララミーも仕方がないといった感じだ。
マオウはさっさと、冒険者ギルドに戻る。
「陛下、亜人の里に参りましょう」
カイザルが誘う。
「ああ、少し見に行くか…」
マオウはカイザル、ハイデンを連れ亜人の里に転移した。
「よう、サー、調子はどうだ?」
エルフの長、サーに聞く。
「はい、やはり我らは世界樹の護人のようですね…
世界樹に触れていると、心の底から安堵致します」
サーが満足そうに言った。
「園のフルーツも順調に育っています」
そうも言った。
マオウはドワーフのエリアに顔を出す。
「おお、マオウ様!」
ドワーフの長、ドワフが駆け寄る。
「はい順調です。鉱脈もあり、生産する物も多い。ドワーフ全員がやり甲斐を持って生活しています」
ドワーフ達も満足していた。
続いて、獣人エリアを見に行く。
「牧場はどうだ?」
マオウが声を掛けたのは、獣人の長、ガオーだ。
「はい、家畜は問題なく育っています」
どこも問題なかった。その後もマオウは視察を続けた。




