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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
32/546

その32

リリがシンリーと魔法の練習をしている。

それを聖女ズが見て驚いている。


「なぜリリ様は、そんなに沢山の聖魔法を使えるのですか?

私達もリリ様のようになりたいです」


ルルシュが聞いた。


「リリは努力し魔法を覚え、主様とレベルを上げ上級魔法を使えるようになりました。

また、天使エルエル様、チロ様と主様に加護をいただき聖女から大聖女そして聖女王にいたりました」


シンリーがルルシュ達に説明した。


「「聖女王…」」


聖女ズは口を押さえて絶句する。


「貴方達は、すべき事が沢山あります。

人を羨まず努力すれば自ずと結果がついてきます」


シンリーに諭されて聖女ズは…


「「はい」」


力なく頷いた。


ルルシュが「王様…」と、言いかけたとき、遠くから不思議な気配を感じて話を中断する。


(シェン、シンリー、この気配はなんだ? 敵か?)


魔王は2人に念話で問う。


(こりゃ、バハムートだのう)


シェンが先に答える。


(空を漂う鯨型のドラゴンです。

世界に1頭だけのユニーク個体です)


シンリーが追加で説明した。


(危険は無いのか?)


(臆病で優しい奴じゃ、危害は加えんじゃろう。

心配なら話して来るぞ?)


シェンが話に行くと言った。


(俺も行く)


魔王は冒険心がくすぐられ見たくなっていた。


「ちょっと出かけてくる」


魔王が皆に言う。


「どこに?」


愛が聞いた。


「空だ、バハムートが近づいている。確認だ」


「私も行くわ!」


「王様、リリも行っていいですか?」


2人も行きたいと言い出した。


「大丈夫だ!」


聖女ズはシンリーと留守番を選んだ。シンリーに何かを相談したい様子だった。

魔王はリリとペガスに乗りラーサーに乗った愛と共にシェンに付いて行く。

遠くの空にシロナカスクジラのような魔物が浮かんでいる。

近づくとデカい! とにかくデカい!

この世界では信じられない大きさの生き物を見てきた。ドラゴンは30mに達するのもいた。

だが、インクレディブル‼︎

全長1kはあろうか? バハムートは凄まじい程の巨体だった!

魔王はペガスで空を駆け、ガラパゴスで撮影する。

シェンが先行して顔に近づき2頭のドラゴンは念話で話し出した。


(いやー、久しぶりだねドラゴン!)


(元気そうだなバハムート、3千年ぶりか?)


(そうだね、ところで、そちらの方は?)


(この先に浮かぶ大陸の王じゃ! ワシの王でもある!)


(えっ⁉︎ 浮かぶ大陸? ドラゴンの王?)


バハムートは驚きを隠せないでいた。


(ああ、その大陸で王をしている魔王だ)


魔王も念話に参加する。


(へー、凄いんだね。どうやって大陸を浮かべたの?)


そこから、大陸を空に飛ばした経緯や方法、シェンを従えた話しを聞かせた。

そして、バハムートの話も聞いた。

5千年前、魔神が封印されて世界は落ち着きを取り戻した。

だがそれは一時のこと。人族に芽生えた争いの心は亜人を迫害して追いやった…

争う者がいなくなると人族同士で戦争を始めた。

世界に悪意が発生して満ちていき悪意が魔素にこびりつく。

それを人や魔物が吸い凶暴化していく。

それを危惧した神が大気に漂う悪意の魔素から悪意を取り除くために生み出した神獣だと説明した。

バハムートは悪意の魔素を吸い悪意を消化して純粋な魔素を排しつするエコな生き物。

数千年は上手く循環していたが既に処理能力を超えているとのことだった。


(それは大義だな。頑張ってくれな)


魔王は感心していた。


(王様に頼みがあるんだけど… 背中にいる人を連れて行ってくれない?)


バハムートが魔王に頼んでいる。


(人がいるのか?)


魔王は驚く!


(うん、だいぶ前に拾ったんだけど帰れないんだ)


(解った、話をしてみる)


魔王は上空に上がり背中を見る。

背中の中心に小さな丘があり家がある⁉︎

まさにファンタジー!

丘に降りると意外と広い。

畑があり小さな家がある。

家の扉が開き女性が魔王達を見て口を押さえて絶句する。


「あなた! 人よ!」


女性が泣きながら叫ぶ!


「なにをバカな… オーマイガッ!」


男は天を仰ぎ泣き崩れる。

歳は50歳くらいだろうか痩せ細った夫婦。

落ち着いたところで話を聞く。


「俺はクライドで妻のボニーです」


「何があってこんなところに?」


そこから、経緯を聞いた。

若い頃は冒険者で腕を買われて宮廷魔導師となった。

くだらない揉め事に駆り出される毎日、時には魔法で村を焼かされたりした。

そんな生活に嫌気がさして逃亡。

20年ほど前、気球を造り脱走したと説明した。


「良くそんな物を造れたな?」


「はい、勇者様に教えていただきました!」


「ナオトにか?」


「ナオト様を知っているのですか?」


「ああ」


気球の火力制御が上手くいかず暴走した… 天高く上がり魔力も燃料も尽きて落下しかけたその時、バハムートに拾われたという。

ボニーは魔女。

クライドは魔導師、2人の魔法で、この丘を作り家を作ったと、食事はバハムートの肉を削いでいただき持っていた野菜を育てて水魔法で渇きを凌いできたと説明した。


「凄まじいサバイバルね! 魔法があって良かったわね!

でも、宮廷魔導師でしょう? 転移したり空は飛べないの?」


愛が聞く。


「そんな魔法が使えたら気球なんかで脱走致しません…」


ボニーがため息を吐き顔を振り呟いた…


(ナオト、ボニーとクライドを知っているか?)


魔王はナオトに念話する。


(その映画は観たことないかな)


ナオトは強盗カップルの映画だと思っている。


(違う! 宮廷魔導師で、お前が教えた気球で遭難した夫婦だ!)


(ええっ! 遭難して⁉︎ 生きてるの?)


(ああ、目の前にいる。連れて行っても平気か?)


(頼むよ)


「お前達、俺達とここから出て行くか?」


魔王が2人に確認する。


「はい! お願いします!」


荷物を纏めさせてシェンの背中に乗せ連れ出す。

そして、バハムートに別れを告げる。


(こいつらは連れていく。では、サラ…)


言いかけると…


(バハムートに主様の加護を与えください)


シンリーが言う。


(バハムート! 守護者の加護を与えよう)


魔王が加護を与えるとバハムートが黄金に輝く。


(あれ? 力が湧いてくる! これなら沢山働けるよ! 王様、ありがとう!)


バハムートに御礼を言われ、その場を後にする。


バハムートに加護を与えた事や竜やペガサスにも散々驚いてたボニーとクライドだが天空の国ギガンティスを見たときはシェンから落ちそうになるぐらい驚いていた。

王都アルカディアに着くと城でナオトが待っていた。


「ナオト様!」


「ボニー、クライド」


ナオト達は感激の再開をしている。


「しばらく面倒を見ろ」


ナオトに丸投げする。

ボニーとクライドには、


「何処か行きたい土地があれば送ってやる。

しばらくは、この国でゆっくりするといい」


そう告げて別れた。


部屋に戻ると疲れきった聖女ズがいた。


「どうした? やつれているぞ」


魔王が2人に聞くと、


「「そんな事はありません…」」


返事をするがシンリーにたっぷりお説教されたに間違いない。


2日経ちナオトと共にボニー&クライドが面会に現れた。

数日ぶりに見た2人は健康的になり若く見える。歳は45とのことだった。


「王様、俺達夫婦をこの国の住人にしてください」


クライド夫妻が願う。

ナオトを見ると、


「クライドには防衛軍に入ってもらおうかと思う。鍛えればマーリンぐらいの戦力になるはず。僕に任せて」


そう説明した。

それを聞いていたマーリンがムッとする。


「ボニーは優秀な魔女だから薬や開発の手伝いも出来る。

どっちも貴重な人材だよ!」


ナオトは満足そうに説明した。


「2人とも良いのか? 戦いが嫌で逃げたのだろう?

我が国にも避けられない戦いが待っているぞ?」


魔王は率先して戦力を増やす事はせず戦いたくない者を巻き込みたくはなかった。


「はい、ナオト様にいろいろ聞きました。

この国に住みたいです」


クライドが言うとボニーが頷く。


「それと、マリア様にはお世話になりました」


この世界の魔王の母の部下だったと母の事をいろいろ語ってくれた。


数日後、ヤマトとナオトの魔法教室を見に行く。

参加者は、愛、マーリン、弟子3人、アナスタシアとクライドだ。


「調子はどうだ?」


「お主か、皆、強くなったがマーリンとクライドは張り合ってばかりで…」


ヤマトが困った様に嘆く。


「それは面倒くさいな」


と、笑ってやる。

魔王には他人事だった。


「魔王様!」


マーリンが抱きつく。

いい加減やめてほしいと思いながらも抱きしめ返している。


「王様、ご無沙汰しております」


クライドが寄ってくる。


「あっちに行け!」


マーリンが牽制する。


「今日はクライドに加護を与えに来た。、受け取るが良い」 


クライドは加護を受けると大魔導師に至る。

愕然とするマーリン。

何故いがみ合うと聞くと、

若い頃は西の賢者と東の魔導師とお互い名を馳せて比べられたと。

ライバル的なやつかと魔王は納得した。

気を取り直したマーリンが魔法を見せてください。そうお願いする。

場の空気を変えたいのかヤマトも見せろと…


「じゃあ、やるか」


「おじいちゃん、強力なのは駄目よ!」


愛に念を押される…


「この前の愛の魔法を改良した。それを見せよう」


遠くに無数の岩を並べる。


「スタープロージョン!」


無数の流星が降ってくる。

愛の「シューティングスター!」と同じだが岩に到達したと同時に星1つ1つが激しく爆発する。

ドカッドカッドカーン! 岩が跡形も無く吹き飛ぶ!


「流星爆弾にアレンジした」


「凄いわ!」


愛が感心する。

魔王は良い気になって、30mの岩を出す!


「ゴールデンハンマー! 光りになれー!」


魔王が香ばしく叫ぶと! 巨大な光のハンマーが現れる。それを魔王が掴み振るう!

巨大な岩が光となって消える。


ナオトが、


「どこかで観た技だが…」


そう口走る。

気づかないならナイショだ。


「魔王様、どうやったのですか?」


マーリンが尋ねる。


「気にするな、ただの見せ技だ」


「教えてくださーい!」


と、ふくれている!


「仕方がない… 光魔法のライトセイバーをクリエイト魔法でハンマーの形にする。

岩を叩く、だいたいは消滅するが破片が残る。

それを瞬時に次空間魔法で次元の彼方に飛ばす。

あとは光魔法でキラキラとさせれば出来上がりだ!」


魔王は得意そうに説明するが、


「なんという魔力の無駄遣い⁉︎ 何故そんなくだらん魔法を考える?」


ヤマトが若干キレている…


「かっ、カッコよさは必要なんだ… な、ナオト?」


突然振られたナオトが顔を背けて黙る。


「俺を見捨てるのか? エルザに聞いたぞ?

ナオトが魔物を斬って振り向きポーズをとる!

背中越しに魔物は大爆発する。爆炎の勇者の言われをな。

お前、そっと魔物を爆破していたんだろう?

ナオトが魔物を倒すと魔石が残らないと、昔、エカテリーナがぼやいていたらしいぞ!」


魔王はナオトに巻き添えをくらわせる!

ヤマトが驚愕の顔をして、「お前までも」とビックリしていた。


「違う違う! 爆発や爆炎は男のロマンなんだ! そうだよね魔王!」


ナオトも焦る!


「ああ! 勇者は強いだけじゃ駄目だ! カッコ良くないとな」


魔王とナオトは見つめ合い頷く。

愛も静かに頷く。


「そんな無駄な魔力の使い方しよって! 魔力不足になってやられても知らんぞ!」


ヤマトがキレて気まずくなり、


「クライド! 後でボニーを連れてこい加護をやるから」


そう告げて魔王はさっさと転移して逃げた。


逃げた先はアモン達の魔族部隊の練習場だ!


「アモン、息災か!」


「はっ!」


アモンは守護者と聖女の加護を得て正式な魔王となっていた!


「ところでリリーはどうだ?」


「そこに!」


目をやると傷だらけで両目が潰れたリリーが剣を構えていた。


「そっ、壮絶だな…」


魔王は驚いて呟く。


「奴は気配察知が下手で目に頼りすぎるので潰しました」


アモンはサラッと説明する。


(わざとか… 恐るべしだな)


魔王は呆れている。


「訓練はいつまでだ?」


「既に実戦投入可能かと」


魔王は無言でリリーに向けエアカッターとアイスランスを放つ!

エアカッターは躱してアイスランスは剣で叩き落とした。

気配は感じとれている。


「合格だ! 連れて帰ってもいいか?」


アモンに確認する。


「大丈夫です! 傷を…」


そう言いかけたので、


「リリに治させる! 良い実験体だ」


魔王は満足そうにニヤッと笑った!

魔王もアモン寄りだった。


「そんな…」


リリーの悲しそうな声が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

魔王はリリーを連れ城へ帰る。


「リリーが大変だー!」


魔王が大袈裟に叫びシンリーとリリを呼ぶ。

愛とアナスタシアもやってくる!

何故か? 聖女ズもいた。

リリーのボロボロで目の潰れた姿を見て全員が青い顔をする。


「リリ、目と傷を治してやってくれ」


魔王が慌てた感じを出している。


「リリ、落ち着いて強くイメージして…」


シンリーがアドバイスをする。


「エクストラヒール」


リリが唱えるとリリーが輝き傷が消えて目が再生する。


「リリーどうだ? 見えるか?」


「はい、はっきりと見えます」


そう言って涙を流す。


「どうだった、アモンの訓練は?」


「地獄でした… 何度も死ぬかと思いました」


「まあでも強くなったんだろう?」


「はい、たぶん…」


泣きながら言うリリーの姿を見てアナスタシアはちょっと引いている。


「アナスタシアお前も成長したか?」


「まあ…」


「まあ… か、お前もちょっとアモンに預けるか」


「いやー! 勘弁してください! 勘弁してください! 勘弁してください!」


そう焦り謝る。


「では1ヶ月やろう! 1人でジャバウォックを倒せなかったときはアモンに鍛えてもらう」


アナスタシアは絶望的な顔をして崩れ落ちる。


「主様、ルルシュとアリも参加させることをお許しください」


シンリーが魔王に願い出た言葉を聞き聖女ズは青い顔をしている。

自分達もリリのようになりたいと言った結果らしい…


「良かったなアナスタシア! 聖女様が助けてくれるらしいぞ? 聖女ズも死ぬなよ」


魔王は笑って忠告した。

翌日からアナスタシアと聖女ズの地獄の特訓が始まった。


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