その31
広い野原で寝そべり小さな猫と戯れる愛とリリを見ている。
ここは神の園。
門の前で出会い、どこまでも猫が付いて来る。
愛とリリが親を探すが一向に見つからない…
(さて、目当ての物を探すか…)
魔王は別行動を取り1人で森へ入る。
しばらく森を散策して見つけたアルテナの苺とクローネの蜜柑!
黒金夫妻の神の果樹園と城の果樹園用に少し頂く。
愛とリリと合流して神殿に行き天使エルエルと会い話をする。
「久しいな、皆、元気であったか?」
「ああ、変わりはない。だが、地上は混沌としている。
人の心が悪意に支配されつつある」
「そうだな、終焉の日は近いのかもしれない」
「世界は終わるのか?」
「そうではない、我に言えるのは…
其方が世界を導く全ては其方次第だ」
「わかった、やれる事をやるしかないか」
「其方ら3人に加護を与えよう」
エルエルが白金に輝き魔王達も輝く! 光が収まり天使の加護を得る。
「それと、5千年ぶりに神獣が産まれた。
連れて行き育てると良い役に立つはずだ」
「外にいる猫か?」
「違う、神獣ライガーだ」
エルエルが強めに説明した!
そう、魔王が雷で型どるサンダーライガーの元となった生き物だった。
エルエルにお礼をいい神殿を出るとペガスとラーサーが迎えに来ている。
その横で神獣ライガーも待っていた。
「ついてくるか?」
魔王がライガーに訊ねる。
こくりと頷いた。
「言葉が解るのですか?」
リリが驚き聞く。
「純粋な神獣だからな。大きくなると話をしてくれるはずだ」
魔王が説明する。
守護獣達は神獣の生まれ変わりで魔物とのハイブリッドで意思の疎通はできるが話さない。
だが、純粋な神獣となれば知能も人より高く話す事など造作もない。
「リリ、面倒をみてやってくれるか?」
「はい、リリがお世話させていただきます」
「おいでー」とリリが神獣を抱っこしてペガサスに乗りギガンティスに帰る。
神の果樹園と城の果樹園にクローネの蜜柑とアルテナの苺を植え。
料理長のタムランに会う。
「タムラン、塩は足りているか!」
それが、魔王のタムランに対しての挨拶だった。
「はい、足りていますが?」
毎度、塩の事を気にする魔王にタムランは不思議に思っていた。
捥ぎたての苺と蜜柑を出して頼み事をする…
今日は皆を夕食会に招待していた。
愛、リリ、シンリー、息子夫婦、マーリン、このメンバーは城の住人。
ヤマト、ミーナ、ナオト家、エルザ、チムが来ていた。
皆で夕食をしていると、
「お客様です」
セバスチャンが聖女ズを案内してきた。
「うん? なんだお前ら? メシでもたかりにきたか?」
呼んでもいないのにルルシュとアリが訪れた。
「私達をなんだと思っているんですか! …いただければ食べますけど」
ルルシュは欲望に正直な大聖女だ。
食事をしながら話を聞く。
「お城から強い神気を感じて参りました」
ルルシュが説明する。
「神気か? お前ら解るのか?」
「一応、聖女ですから…」
ルルシュが呆れた顔をする。
「なあ、聖女って何の役に立つのだ?」
魔王はずっと不思議に思っていた事を聞いた。
「聖女は神の言葉を聞く事が出来ます!」
ルルシュが強い口調で言うが…
「俺、天使に直接聞けるし、そのうち神とやらにも会えるんじゃないのか?」
魔王は呆気らかんと答える。
「そっ、それは、守護者様が特別なだけで…」
ルルシュは困った顔をしている…
「あまり必要ではないのか…
まあいい、今日、神の園に行ってな…」
魔王は聖女に必要性を感じず話を変えたがルルシュが途中で遮り。
「どうして私達も連れてってくれないのですか!」
ルルシュが怒りアリも怒っている。
「前回のことを忘れたのか?
お前らのせいでどれだけ苦労したと思う?
何百人もの聖職者に詰め寄られてみろ… 流石に怖いわ!」
魔王が呆れて説明すると聖女ズが黙り込む。
「それで、エルエルから加護をもらった。
そして神獣を連れて来た。
果物も貰ってきたな。
神気が上がったのはそのせいだろう?」
愕然とする聖女ズ。
食事を終えたリリが膝の上に乗せたライガーを撫でているのを見て…
「リリ様も加護を得たのですか?」
ルルシュが聞く。
「ああ、愛もな」
魔王が面倒くさそうに言うと聖女ズが羨ましそうな顔をする。
「せめて神獣様を教会に…」
「駄目だ! 愛とリリのペットだ!」
ルルシュの提案をばっさりと切り捨てた。
「「そんなー」」
ハモる聖女ズ。
「そういえば名前だな… 愛」
愛に促すと…
「リリが付けていいわ」
愛がリリに譲る。
「チロがいいです。どうですか、神獣様?」
リリの手を舐めて、こくりと頷く。
「じゃあチロで決まりだな。
大きくなったら愛とリリ、そして、この国の民を護ってくれな」
チロが姿勢をただして魔王を見て頷く。
チロが白金に光り輝き愛とリリが輝く! 光が収まり2人は加護を得ていた。
「加護祭りだな」
魔王は笑う。
「神獣様〜」
聖女ズが駆け寄るがチロがプイッと横を向く。
「教会に連れて行くとかいうから嫌われるんだ」
魔王は笑っている。
「加護はチロとの繋がりみたいなもんだ、リリ、可愛がってやれな」
「はい」
リリはチロを撫でる。
「それとリリには魔法の勉強をしてもらう」
「それなら教会で…」
ルルシュが言い出す。
「黙れポンコツ! 国外追放だぞ! 忘れたか!」
魔王が怒る!
「でも誰が…」
「俺の最も信頼する聖女に頼む」
「はい、喜んで!」
マーリンが手を上げる。
「お前は聖女じゃないだろう! この変態が! 魔王のイカズチ‼︎」
ルルシュとマーリンの指に静電気が走る。
「「いたっ!」」
「では誰が?」
難をのがれたアリが聞く。
「お前の姉だ… と言ってもシンリーだがな」
シンリーはマリア、マーラ、そして聖女マリの心が集まり真理の心というスキルに産まれ変わった。
世界の真理を知り全てを司る。
当然、聖女の能力も持っている。
「私が責任を持ってリリを教育します」
「ああ、俺の弱点だと風潮する者もいるから身を守れるようにしてやってくれ」
その場にいたエカテリーナが目を逸らして気まずい雰囲気を出す。
「頑張ります」
リリが返事をした。
「そろそろよろしいですか?」
セバスチャンが魔王に確認してデザートを運んで来る。
「エデンの葡萄、アダムのリンゴ、イブの桃、本日入荷いたしましたアルテナの苺とクローネの蜜柑の贅沢タルトでございます」
巨大なタルトが2つ運ばれてくる。
魔王は1つのタルトを箱に詰めて、アイテムボックスに収納する。
「将、今日は何の日か解るか?」
「母さんの誕生日…」
天空の国ギガンティスには日本からの転移者やその子孫が住んでいる。
何より魔王自身が日本に帰る事を切望して日本の年月日を建国するときに採用していた。
「ああ、いつか神のフルーツを食べさせてやろうと集めた果物で作らせた」
果物が好きな女房に、いつか食べさせようとアイテムボックスの中には沢山の神のフルーツが入っている。
「皆も食え、妻の誕生日のお裾分けだ!」
魔王は皆に振る舞い、その日は遅くまで息子と女房の思い出話をした。
それから数日、リリの魔法レッスンが始まる。
学校から帰るとシンリーと聖魔法のレッスンをする。
数時間と少ないながらも聖魔法を次々と覚えて上達していく。
「主様、そろそろレベル上げをした方がよろしいかと思います」
シンリーが頃合いだと提案した。
「では明日、修練のダンジョンに行くか」
そんな訳で、愛、リリ、シンリー、チロ、マーリン、リリーとアナスタシアの護衛コンビも一緒に連れて行った。
「俺は見ているから愛がリーダーで皆を率いて進んでくれ。
リリは補助魔法、防御魔法の係だ。
怪我や疲労も、どんどん治していけ。
リリーとアナスタシアは酷い怪我をするように」
護衛ズが唖然とする。
魔王は当然とばかりに気にもせずガラパゴスを握りしめて撮影準備をする。
愛はレベル上げのために何度もダンジョンに潜っていてレベルも200を超えていた。
ギガンティスでは魔王、ヤマト、ギャリソン、ナオト、アモンに次ぐ強さだ。
大勇者は伊達ではない!
心配なのは対人との実戦を経験していない事ぐらいだった。
チロは神獣でレベルの概念もなく幼体の今でも特別な強さがある。
年月をかけた成長で更なる進化をするという。
リリの護衛として付いてきていた。
愛とマーリンが無双してダンジョンをサクサクと進んで行きリリも魔法をじゃんじゃん使う。
リリの魔力が尽きると魔王が魔力を譲渡する。
(リリのレベルが50を超えました)
ときどきシンリーが教えてくれる。
「リリーとアナスタシア、そろそろ腕ぐらいなら無くしても良いし死にかけても平気だぞ?」
魔王は2人に期待を込めて言った。
すると2人はビックリした顔で魔王を見ていた。
「30階層のボス、不死王にはリリーとアナスタシアの2人で挑め。
姫の護衛としてこれぐらいは倒して欲しい。
リリは離れたところから支援だ!」
真っ青な顔になる護衛ズ!
「さあ、護衛ズの力を見せてみろ!」
魔王がニヤニヤとして見ているなかヤケクソで突進する護衛ズ!
「リリ、浄化の光だ! 護衛ズが死にかけている。エクストラヒールだ! 癒しの光だ!」
魔王は的確に指示を出してリリにじゃんじゃん聖魔法を使わせる。
死にかける護衛ズを何度か回復させて頃合いかと思い…
「愛、不死王を倒せ!」
愛に指示を出す!
「わかったわ!」
愛は聖剣バルキリーを抜き駆け出し一刀両断に斬る!
「さすが、我が孫! 良いシーンが撮れた!
それに引き換えて護衛ズ…
戦い方がめちゃくちゃだ!
愛の護衛なんだろう? もっと精進しろ!」
「「はい…」」
リリーとアナスタシアはガッカリして首を垂れる。
リリのレベルが80を越えたところで終了!
シンリーの提案でレベル120まではダンジョンに通うこととなった!
弱すぎて役に立たない護衛ズの2人にはアモンのところに戦闘訓練にいかせた。
そして数日後、今日もダンジョンに潜る。
「リリ、レベル120まで頑張るぞ!」
「はい!」
魔王とリリは張り切っていた。
「護衛ズ! アモンに絞られたか?」
「はい、何度も死にかけました。」
リリーが答えてアナスタシアも泣きそうな顔で頷く。
「では、護衛ズには50階層のボス、リバイアサンを倒してもらう」
魔王は護衛ズの2人には容赦がなかった。
「「ええっ!」」
2人が驚くが…
「この先、愛を護衛するのならリバイアサンぐらいは2人で倒せないとな!
大丈夫! リリに魔法支援をさせるから死にはしない。
さあ、出発だ!」
もう、皆かなりのレベルだ。
30階層あたりまでは敵と呼べる物はおらずマーリンの魔法で魔物を消滅させて進む。
「リリ、今日は1人で不死王に挑んでもらう。
浄化の光を3度浴びせれば消滅する。出来るか?」
ボス部屋の前で魔王がリリに提案する。
「はい、頑張ります!」
リリの返事を聞き部屋に入る。すると不死王が現れる。
不気味な見た目のスケルトンで目が怪しく光る!
「ぐぉぉぉ!」雄叫びを上げる!
「フォーリーフラッシュ!」
ボス部屋が白金に輝き浄化されていく間髪入れずに3回唱えて不死王が浄化され消滅する。
「リリ! 良くやった!」
魔王は満足そうにリリの頭をなでなでする。
「私もお願いします」
と、頭を出すマーリンは無視。
その後もサクサク進み40階層のボス!
ジャバウォック、15mの真っ黒な竜だ!
マーリンが1人で退治すると言い出す。
「まあ良かろう、やってみろ」
ボス部屋は、山の頂部分だ!
広さがあり空がある。
遠くからジャバウォックが雄叫びを上げながら飛んで来る!
「めてお!」
マーリンが魔法を発動する。
ジャバウォックの更に上空から巨大な岩が炎を吹き落ちてくる!
それがジャバウォックに直撃する!
次の詠唱を終える…
「さんだーぶれいく!」
極太の稲妻が落雷する!
両手を開き構えて…
「ほーりーれい!」
白金のビームが輝き直撃する。
ジャバウォックは生き絶えた。
マーリンは、えへへ… と笑いながら頭を出す。
魔王は一応撫でる。
だが、
「50点だ!」
魔王が言うと、マーリンは、えっ! と驚く。
あちこち消滅しグチャグチャの丸焦げだ。
素材として使える場所がない状態だったからだ。
「エクストラヒール」
ジャバウォックが綺麗に再生するが屍だ。
魔王はアイテムボックスにさっさと収納する。
「お前ほどの腕なら傷をつける事なくやれたはずだ!」
そう説明して、
「だが、流石はマーリン! よくぞ我が魔法を模写した! 褒めて遣わす」
とも褒めた。
「ありがたき幸せです」
マーリンは満足そうに頭を下げる。
何故か? 護衛ズの顔色が悪い…
「次は、お前達の番だな!」
魔王は笑い2人の肩をポンと叩きダンジョンをサクサク進む。
50階層のボス部屋に到着する。
見渡す限り海、その海が突然割れてリバイアサンが姿を現す。20mの水竜だ!
「いけ! 護衛ズ!」
魔王が命令すると、またしてもヤケクソで突っ込む! リリーが海を走り剣を振り斬りつける!
だが、リバイアサンの頬に斬りつけるが小さな傷すらつかない…
闇雲に火炎魔法を放つアナスタシア… 海水に消される…
「お前ら! 連携をとれ!」
魔王はアドバイスを送るも…
泣きながら「「無理です!」」と声を揃えて叫ぶ。
「仕方がない。下がれ!」
2人が走って逃げてくる。
「リリ、結界で護ってやれ!」
リリは直ぐに魔法を発動する。
「グラビトン!」
魔王が魔法を放つ!
突然、リバイアサンが上から押されたように海に押し付けられて動けなくなり魔王はリバイアサンの頭の前に転移する。
「エアカノン!」
高密度の空気を指先から撃ち出して、こめかみを撃ち抜く!
リバイアサンは呆気なく倒され収納された。
転移でマーリンが現れて、
「勉強になります」
抱きつく。
「やめろっ! 孫が観ている…」
魔王は意外と嫌じゃなく、しっかりと抱きしめ返していた。
「リリの目標レベル120は越えた、ここで帰ってもいいが60階層のボス。
愛、1人でやってみるか?」
魔王が愛に提案する。
「やるわ!」
愛は即答した。
意気消沈した護衛ズには後方を警戒させて元気な愛達にシンリーがアドバイスを送りダンジョンを進んで行く!
あっと言う間に60階のボス部屋に到達する。
中に入り愛以外の皆を守る結界障壁をリリに魔法で張らせる。
真っ黒な闇の中、突然炎が吹き上がり3本首の黄金のドラゴンとなる!
「おじいちゃん! キングギトラよ!」
愛が興奮する!
「違う、アジ・ダハーカだ!
かなりの強さだ!
素材を気にする事なく戦え!」
魔王の言葉を聞き、愛は聖剣バルキリーを振り右の首を斬り落とす!
続けて真ん中の首も斬り落とす!
左の首が炎を吹き出し愛を狙うが、それを躱す!
右、真ん中と斬り落とした首が再生していく。
魔王は愛の勇姿を録画しながら斬り落とした頭を回収していく。
全長30mの巨体、頭だけでも相当な大きさだ、しかもアジ・ダハーカはレアで貴重な素材だった!
愛の戦いは続く!
「シャイン!」
眩い光が輝き、アジ・ダハーカの目が眩む、
「エクスプロージョン!」
アジ・ダハーカのボディが爆発する。
「シューティングスター!」
輝く流星が降り注ぐ!
「ファイアスラッシュ!」
聖剣バルキリーを横一文字に振る!
燃える斬撃が飛び3つの首を次々と斬り落とす。
魔王が転がる頭を次々と回収する。
3つの首を失ったアジ・ダハーカが生き絶える。
魔王はエクストラヒールを唱えてアジ・ダハーカを再生させ回収する。
「愛、強くなったな! 驚いたぞ?」
魔王が誉めると、愛が「へへっ」と、照れる。
「しかし、キングギトラをよく知っていたな」
「父さんが、おじいちゃんが好きだったと言ってゴヅラを観てたから」
「そうか… ゴヅラ、見に行くか?」
「いるの?」
「似た奴がな」
魔王が笑う。
そんな訳で70階層ボス部屋までダンジョンを進む。
「最後は俺が戦う! リリ、皆を結界障壁で守れ」
魔王が言い部屋に入る。
「ぎゃぁぁぁあぁぁーー!」
叫ぶ声が聞こえると、
「だだだん、だだだん、だだだだだだだだだ!」
魔王のポケットのガラパゴスが効果音を奏でる。
30mのゴヅラ… じゃないキングティラノが現れる。
背中の突起が光る!
口を大きく開けて轟音と共にジェット火炎を吐き出す!
転移で躱す!
顎下に現れアッパー!
キングティラノは後方に一回転して転がる!
起き上がり巨大な体を器用に回して尾を振り回すが…
「そんな攻撃が俺に当たると思うのか?」
魔王は呆れて呟きキングティラノの尾の先端を掴み振り回して投げ飛ばす。
立ち上がり、背中の突起を輝かせ、口を開く!
「お返しだ! サンダーボルト!」
キングティラノの口の中に打ち込む!
紫電が体内を駆け回り脳を焼きキングティラノは絶命した。
魔王はさくっと収納する。
皆にエデンの葡萄ジュースを配り休憩!
神気が満ち体力と魔力が回復しリフレッシュする。
「愛、リリ、マーリン、良くやった!
しかし護衛ズは…」
シンリーがチロを抱き撫でながら…
「リリーはアモンにアナスタシアはヤマト様に徹底的に鍛え直させます」
そう宣言されて護衛ズは愕然としていた…
「頑張れな!」
魔王は2人の肩を叩きダンジョンを後にする。




