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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
281/546

運命の女神編

「魔王様、次の面会者です…」


魔王秘書アキラが魔王城、謁見の間にガンガイア、伝説の勇者ヤマトを通す…


「まっ、魔王! この身体を何とかしてくれ!」

「そうよ! 何とかしてください!」


ほぼ同時に男女の声が謁見の間に響いた!


「無礼だぞ! あしゅら男爵!」


アキラが睨みつける。


「あしゅら男爵とはなんだ! ワシは元祖勇者のヤマトじゃ!」


「私はエカテリーナと言う名があるわ!」


「ええい! 黙れ! ヤマテリーナ!」


アキラが一喝する!


「「やっ、ヤマテリーナ⁉︎」」


ヤマテリーナが声を揃えて驚く。


「はあ、アキラ…いいから… で、ヤマテリーナ、何の様だ?」


魔王が疲れた様にヤマテリーナに声を掛けて、話を聞くが…


魔王はヤマテリーナの話をうわの空で聞き…


数ヶ月前の出来事を思い出していた…


「顕現せよ! ルッチ! そしてアキラ! 我がもとに蘇れ!」


魔王が魔法を唱えると…


魔王の目の前に、ルッチとアキラが跪いていた。


ルッチもアキラも20歳ぐらいの姿だった。


「「魔王様…」」


ルッチもアキラも驚きなんとも言えない顔をしていた。


「久しいな、お前達… 特にルッチ… 会いたかったぞ」


「魔王様…」


ルッチは喜びの反面、戸惑いを隠しきれなかった…


「あれから、100年以上の時が過ぎ、俺はこの宇宙全てを統べる神となり、お前達ぐらい蘇らせる事など造作もなくなったんだ…

でな、ちょっと忙しくてな…

有能な部下が欲しくてルッチを転生と言うか蘇らせた… アキラはついでだ…」


魔王が言うと…


「ついでって…」


アキラはガッカリと肩を落とした…


「100年以上… 宇宙を統べる神…

ちょっと訳が解りませんが、私に出来る事なら何なりとお申し付けください…」


ルッチは深々と頭を下げた。


魔王は魔法を放ち、ルッチとアキラに死んでいた時の出来事、時の記憶を与え理解させた。


「まあ、そんな訳で、俺は妻探しやら謎の女、別世界の事、いろいろやらなければならないといけない事が沢山ある。

なのにだ! 宇宙の王としての仕事もして欲しいとか言い出す奴もいてな…

ザマ達に降ろうとしたが…

ザマは軍の総帥だし、ザマ以外の奴らは脳筋で政治的な事は無理なんだ…」


「はあ… そこで私ですか…」


ルッチがため息を吐きながら聞く。


「ああ、俺の知る中で一番の常識人だ! 出会いはアレだったが、ルッチは信頼しているし、全てを任せてもいいと思っている」


「魔王様に、頼まれると、断れませんな…」


ルッチは諦めたように返事をした。


「そうか! 引き受けてくれるか! エルザ! やったぞ! ルッチが影武者を引き受けてくれるってよ!」


「貴方、良かったですね! これで、妻探しも出来ますし、他の世界も探れますね。

ルッチさんありがとうございます」


エルザも嬉しそうに魔王と話し、ルッチにお礼を言った。


「かっ、影武者⁉︎」


ルッチは驚いた!


「ああ、しばらく、ほんの数千年ほど俺の代わりをしていてくれ…」


魔王は目を逸らしてボソボソと呟いた。


「せっ、数千年って! 私、そんなに生きられませんし、魔王様のふりなどできません!」


ルッチは取り乱していた。


「ルッチ、お前、寿命とかないから… 時の記憶を観ただろう? この世界の人間は、昔で言うところの神に近い存在で寿命もめちゃくちゃ長くなった。

それに俺の部下はそこいらの神より上の存在だ… 俺が存在するかぎりルッチも存在する。

千年は冗談だ、しばらくでいい、俺を助けてくれ。

絶対にバレない隠匿魔法を与えるし… ザマ達には事情を説明する。

アキラも魔王軍で鍛え、ルッチ専属ボディーガードにするから…」


魔王は切実に頼んだ。


「仕方ありません…影武者、やらせていただきます…」


ルッチは何を言っても無駄と諦めた…


アキラも納得がいかず、何かを言いかけたが…

魔王の後ろにいたミキが物凄い顔で睨んでいたので何も言えなかった…


その後、ルッチはシンリーから魔王の影武者としての教育を受け、アキラは魔王軍で戦闘訓練と影武者魔王の腹心としてパチーナに指導を受けていた。


アキラは最初は凄く嫌がり何度も逃げ出そうとしたが…

パチーナは元悪女の海千山千、童貞男1人を手懐けるのは造作もなかった。

アキラは直ぐにパチーナにメロメロになり、パチーナの傀儡状態。

だがパチーナもアキラを気に入っていて、付き合いを始めたようだ。

パチーナ命となったアキラは昔の様に女の尻を追いかけず、パチーナの指示の元、立派な影武者魔王の腹心となっていた…


(全く… 魔王様には敵いません…)


ルッチはここ数ヶ月の出来事を思い出しながら心の中で呟いた。


「アキラ、人払いを…」


ルッチが魔王の姿で呟き、アキラは全ての者を謁見の間から出す。


「ヤマテリーナよ魔王様からの伝言だ… お前達は追放。アクロンギアの星に強制送還だ! だ、そうだ…」


ルッチ魔王がヤマテリーナに伝えた…


「魔王じゃないのか⁉︎」


「いやー!」


ヤマトとエカテリーナが言ったとき…


ルッチ魔王が、魔王が仕込んでいた魔法を発動する! 2人は別世界に強制転移された…


もんちろんアクロンギアに何の許可も貰っていない。

魔王はアクロンギアの世界をゴミ箱程度にしか見ていなかった。

そしてルッチとアキラの2人となった謁見の間。


「アキラ殿、今日はこの辺で…」


ルッチが呟くと…


「ルッチさん、殿とか呼んでは駄目てすよ、それに、あと30人、面会人が控えています…」


アキラが答え、2人は大きなため息を吐いた…


別の宇宙では…


「ヒャッホーイ! 俺様が来たー!」


魔王がご機嫌で、勢い良く海に飛び込む!


魔王は業務をルッチ達に押し付け。

妻達と旅行を楽しんでいた。


「ルッチさん達に仕事を押し付けて遊んでいると思うと心苦しいですね…」


アコが言う。


「仕方ないだろう? 俺は世界王になりたかった訳じゃないし、あの声の主の言う事を聞くのは嫌だが…

妻達全員の願いである、77人の残りの妻を探さないといけない…

それに、別世界の偵察もあるんだぞ?」


魔王は納得のいかない顔で言った。


「そうですね… 何処かで待っている、あの方や私達の分体に早く会いたいですから、仕方がありませんね…」


エルザも複雑な表情を浮かべていた…


「そう気にするな。ルッチやアキラにはお礼をたんまりと弾むし…

もう俺達の世界では探し尽くしただろう?

こうやって他世界を回り、出会いの機会を増やすしかないだろう?」


魔王はもっともらしい事を言うが…


「なら、1人で行かないとロマンスは生まれないんじゃないですか?」


エルフィルがもっともな事を言う。

そう魔王は妻達全員を連れてきていた。


「だっ、大丈夫だ! 出会うときは妻がいようがいまいが出会うし…

そもそも、妻達の賛成意見で妻になった者も多いだろう? なっ、レイン?」


魔王がレインに振る。


「そっ、そうです! 私、他の奥様達がいなければ確実に置いていかれていました…」


レインが寂しそうに言い、心当たりがある妻達は皆、ビミョーな顔をしていた…


「いいじゃないですか、せっかくなんで楽しみましょう!」


サナリーが楽しそうに言った。


「そうだ! そうだ! サナリー、マリアンヌ! さあ遊ぶぞ!」


魔王は自由を満喫していた。

実のところ、妻探しも他世界の調査もどうでもよかった…

もう、そう言った出来事に飽き飽きしていたからだ。


「おい! お前! 出て行け!」


そいつは唐突にやってきた。


「サンダーブレイク!」


そして魔王に稲妻を放たれ黒焦げとなる。


「あっ、貴方、なんて事を…」


エルザが呆気に取られている。


「いいんだ、俺の休息を邪魔する奴は万死に値する!」


魔王は気にも留めていない。


「よしコイツもアクロンギアの所に捨てよう。消え去れ汚物よ…」


黒焦げから回復しつつある男を転移させる寸前に…


「まっ、待ってください! アクロンギアの所に送らないでください!」


美しい女神が身を挺して立ち塞がる…


「なんだ面倒くさい…ならさっさと連れて帰れ! 目障りだ! 今度、俺のバカンスの邪魔をしたら、この世界事消し去るぞ!」


魔王は輩だった。


そうサンダーブレイクを放った相手はこの宇宙の創造神だった。


「あの? もしかして、夫婦ですか?」


アコが女神に聞く…


「いえ、兄ですが…」


「独身ですか?」


「はい…」


女神が返事すると…


「魔王様! このパターンは、間違いないです!」


アコは興奮気味に叫んだ!


「何が間違えないんですか?」


女神が不思議そうに問うが…


「いや、なんでもない… さあ、さっさとそのゴミを連れて去れ! さもなくば2柱ともアクロンギアの所に捨ててやるぞ?」


魔王は面倒くさそうに言った。


「おのれ!」


「お前はうるさい、無限地獄!」


回復したばかりの最高神は強固な結界に包まれ隕石や雷撃、超新星爆発に焼き貫かれては再生され、無限の地獄を味わう。

創造神とはいえどもその魂は疲弊していき、いつ消滅してもおかしくない状態だった。


「さあ、ミキ、メール、ミナ、あの島まで競争だ!」


魔王は沖に向かって泳ぎ出すが…


「魔王様、女神様が泣いています…」


カリンが泣きそうな声で言った…


「仕方がない…」


魔王は無限地獄を解除してやる。


「女神、泣くな… ほら、許してやるから帰れ…」


魔王は許すと言ったが、何を許されるのか誰も解らなかった…


「すっ、すみません… 御恩はお忘れしませんから…」


女神は魔王に何の恩もないが とりあえず礼を言ってボロボロの創造神と共に消えて行った…


「魔王様、返しちゃってよかったのですか?」


シンリーが聞く。


「うん? 消滅させた方がよかったか?」


「いえ、そうではなくてお嫁さん候補かと…」


シンリーもアコと同意見の様だ…


「あれは無いな… あんな面倒くさい身内がいる奴はゴメンだ…」


その言葉を聞いたエルザが申し訳なさそうに…


「私の兄弟がすみません… でも、彼女が77人の1人なら…」


そう言って困惑していた…


「そんな都合の良い偶然があるか? なんなら2柱とも消滅させて、女神が転生するのを待つか?」


魔王はどうでも良かった…


「エルザさん、駄目ですね、全く興味が無さそうです… 余計な事を言うと取り返しのつかない事をしそうですし、女神様が私達と同類なら、またきっと出会うでしょう… それまでそっとしておきましょう…」


シンリーが諦めた様に言うと、エルザや周りの妻達も諦めた様に頷いた…


その夜は他世界に勝手に持ち込んだグレート魔王で泊まる…


「来たか… 何もこんな夜更けじゃなくてもいいのに…」


魔王はガッカリとしていた。


妻達と楽しいひと時を邪魔されるのは1番嫌な事だった。


「魔王様ー、凄い数ですよ?」


カリスも驚くほどの敵に星は囲まれていた。


そして…


ドッカーッン! ドドドドド、ドッカーッン!


奴らの波状攻撃が始まったが…

だが、魔王の張っていた結界はびくともしなかった。


「面倒くさいな… そうだ奴らに任すか… 来い! デスムーン!」


魔王の滞在する星に真っ黒な月が転移してくる!


(ザマ、敵だ! 攻撃されている! 適当にあしらってやれ…)


(はっ!)


部下に丸投げだった…

だが、魔王の宇宙 ザ、ワールドには既に魔王に歯向かう者は存在せず、魔王軍は他世界からの侵略に備えているだけで、魔王軍は実戦に飢えていた…

そんな訳で魔王1人で問題無く倒せるところを、実戦訓練程度にと部下達を呼び寄せた、魔王なりの部下への気遣いだった。


そしてデスムーンとは、アクロンギアの様な他世界の存在を知り、魔王軍は規模を拡大する際にデススターに浮かぶ漆黒の月を移動要塞に改造し、魔王軍本拠地とした物だ。

デスムーンが現れ驚いたのか?

攻撃は一時止み敵は編隊を組み直す。


そして…


「魔王様、物凄い勢いで魔王軍マシーン部隊が発進して展開していきます!」


巫女が驚く。


ザマの仕事は早かった! 魔王軍が展開、敵軍からの総攻撃が始まる!


「宇宙戦争だな!」


魔王はグレート魔王の艦橋から戦いを眺めていた。

敵の数は魔王軍の数十倍!

かなり進んだ宇宙の様で、兵器はこちらと似た感じだ! ロボットや戦艦が戦闘を繰り広げる様子は映画の様だった!


「さて、俺も出るか…」


魔王が呟く。


「部下の皆様に任せては?」


エルザが言うが…


「ああ、数はこっちが少ないが、修羅場を踏んだ数が違う!

魔王軍が圧倒的なんだが、厄介な気配を感じる… たぶん俺と同等の存在がいる…」


魔王が教えると…


「えっ、他にも全能神がいるのですか⁉︎」


リリが驚く!


「たぶんな、ちょっと挨拶に行ってくる…」


そう言うと魔王は、誰かに止める間もなく、ニヤリと笑い転移して消えた…

気配をたどり転移した先で、魔王は強固な結界に閉じ込められていた…


「随分な出迎えだな… お前がポンコツ神の親玉か?」


目の前には、美しくも悪女丸出しの全能神がいた。


「ポンコツ神とは失礼だぞ! 俺はこの宇宙の創造神サラーザ…」


「無限地獄!」


サラーザは言い終わる前に魔王に無限地獄を掛けられて、サラーザは結界の中、断末魔を上げながら消滅しては復活し消滅するを物凄い速さで繰り返していた。


「妾の結界の中から魔法を…」


悪女全能神は驚いていた。


「おい! 悪女神! 俺に殺されるか、素直に撤退するかを選べ!」


魔王がドスをきかせて言い放つ!


「誰が悪女神だ! 妾はメイスン! 全能神メイスンじゃ! 捕らえられている身で威張るな!」


全能神メイスンはムカついていた!


「やれやれ… こんな物で俺を閉じ込めた気でいるのか…」


魔王がそう呟くと… 結界はスッと消えた。


「えっ…」


メイスンの顔色が一気に悪くなる。


「さて、お前達2柱は消えろ…」


魔王が手を翳す!


「まっ、待ってくれ! ちょっと挨拶に来ただけなんじゃ…」


メイスンは焦っていた。


「そうなのか?」


魔王は翳した手を下げ、キョトンとした顔で聞き返す。


「そっ、そうじゃ… お前が消し飛べ!」


メイスンが叫びながら眩しい輝きを放ってきた! それはサラーザの宇宙を消し飛ばすほどの威力だった。


「やれやれ…」


魔王はゴッドブレイカーを引き抜き、その光の力を全て吸収する。


「メイスン、そんな攻撃で俺を消滅させられると思ったのか? 無限地獄!」


魔王はメイスンの返答を待たずに無限地獄を掛ける。

メイスンも断末魔を上げながら消滅と再生を繰り返す。


「うーん、面倒だな… このまま、捨てるか!」


魔王はそう呟くと、無限地獄状態のまま、アクロンギア星に転移させた。

魔王は行った事も見た事もないアクロンギア星をゴミ箱にしていた。


「あの…」


サラーザの妹がなんともいえない顔で現れた…


「お前も歯向かうのか?」


魔王はご立腹だった。


「いえいえ、滅相もありません… 兄を返して… くれませんよね…」


妹は言いながら諦めた…


「ああ、あの無限地獄は数万年すれば自然と解ける。

そうすれば帰って来るだろう。しばし待っていろ…」


魔王は優しく言った。


「数万年… 兄はともかく、メイスン全能神様まで…」


「おい、妹、メイスンと言うか、全能神の事を詳しく教えろ!」


魔王は全能神と言う存在をよく知らなかった…


「貴方様も全能神様では…」


妹は戸惑いながら聞くが…

有無を言わせず、妹を連れグレート魔王に転移する。

妹を連れ戻った魔王を見て妻達は驚く。


「やっぱり、新しい妻でしたか?」


メールが聞く。


「いや、全能神の事を知っている様だから聞こうと思ってな…」


妻達は妻探しに必死だった。話しかけているだけで、妻候補だと思ったり。

街で見かけた美女巨乳をナンパしてきたり…

魔王は妻探しに熱中する妻達にウンザリしていた…


「妹よ、俺はな人から神になり全能神に至った。

だから、全能神の事をよく知らないんだ…」


魔王が素直に教えると…


「そんな… 人から全能神様に至るなんて聞いた事がありません… それと、キシリシュです…」


キシリシュは驚いていた。


「全能神様とは、我々、創造神の創り出す宇宙全体を管理する神様です。

このサザーラ宇宙やクロンギア宇宙など、沢山の創造神を従え宇宙を管理しています…」


キシリシュが教える。


「そうか、数多の創造神と宇宙を束ねる神、それが全能神か…

そして謎の女は全能神より上の存在だ…

全能神の上の存在… キリがないな…」


魔王は面倒くさくなってきた…


「キシリシュ、他の全能神は知っているか? その上の存在も知っていたら教えてくれ」


「いえ… メイスン全能神様も先程初めてお会いしただけで… 更に上の存在などいるのでしょうか…」


キシリシュは初めて聞く事に困惑していた。


「キシリシュは知らないか… メイスンを連れ戻して尋問するか… なんか面倒だな…

よし! 面倒だやめよ! 気にしないでおこう!」


魔王はどうでもよくなったようだ…


「魔王軍も圧倒的に有利だし、もう少しで全滅させられる。

バカンスの続きでもするかな。キシリシュ、帰っていいぞ!」


魔王は面倒くさそうに、手をヒラヒラと振った。


「ええー、返したらダメですよー! キシリシュさん、魔王様に運命とか感じませんか?」


サナリーがキシリシュに問う。


「運命だなんて! 全能神様にそんな事、畏れ多くて思いません…」


キシリシュが言うとサナリーがガッカリした…


「あっ、でも、私の妹が運命の人を待つんだと、人間に転生し…」


「そっ、それだ! 今どこにいるの!」


話終わる前にサナリーが叫びキシリシュの肩を持ちブンブンと振って問い詰める!


「えっと、もう何十年も前で、どこにいるのか…」


キシリシュは困った顔をしていた。


「サナリー、それは俺を待っている訳ではないと思うぞ?」


「いえ、貴方、私も間違えないと思います…」


エルザまで言い出した…


「なぜだ? 待つなら創造神のままでも良いだろう?」


「貴方が熟女好きだからじゃないですか? 神のままだと歳をとりませんし…」


エルザがボソボソと言った…


「まあでも、この広い宇宙から探すのは不可能だろう?」


「そうですけど…」


エルザが困った顔をすると…


「私、探してきまーす!」


サナリーがマリアンヌとエリスを連れ飛び出して行った!


「私が付いて行きます!」


マージが転移で追いかけグレートガイアーは発進して行った…


程なくし…


「魔王様、グレートガイアーが何かと遭遇したらしいです…」


カリスが戸惑いながら報告する!


「やれやれだな…」


そう言ってシンリーを見る。


「まだ襲われている訳じゃありませんよ? 何かの艦隊と遭遇したようです。

まだ距離もありますし、戻るように伝えました… 返事をしませんけど…」


シンリーは困り顔で言った。


「まあいい… ザ、デスターVで出撃する…」


皆に伝え1人、デスターVに乗り込み発進し、グレートガイアーの元に飛ぶ!


グレートガイアーは囲まれていた!


「サナリー、大丈夫か?」


無線を入れると…


「はい! みんな元気ですよー!」


サナリーが元気に返事をする。


「サナリー、隣の海賊船っぽいのは?」


グレートガイアーの隣に魔王好みの海賊船の様なデザインの宇宙戦艦がいた。


かなり被弾して煙を吐き、今にも爆発しそうな状態だった。


「えっと… この宇宙戦艦とあの艦隊が戦っていて… 何となく助けたいと思って…」


無線の向こう側でサナリーが困ったように説明した…


「お前、人間相手に戦えないだろうが…」


「マージちゃんもいますし…」


サナリーは更に困っていた…


「仕方がない… どちらかに肩入れするのはよくないが…

妻の尻拭いは俺の仕事だ… 来い! キングデスター! カムヒャ!」


突如、宇宙空間に真っ黒な次元の渦が現れ中から戦闘艦が現れる。

戦闘艦の中央ハッチが開きザ、デスターVが収納されるようにドッキングする! 変形し、120mほどの巨大ロボになる。

ロボットは香ばしいポーズをとり…


「この日輪の輝きを恐れぬのならかかって来い!」


魔王の声が宇宙に響き渡る! 魔王はやる気満々だった!


だが…


艦隊は180°反転し全速力でその場を離脱した…


「ちょ、待てよ!」


魔王が叫んだ!


「くそー! 久々にデスターアタックとデスタークラッシュをやりたかったのに! お前達! 戻って戦えー!」


魔王の絶叫が宇宙にこだましたが…

敵艦隊は慌てたようにワープで消えていった…


「仕方がない… サナリー、帰ろう…」


魔王はガッカリしながらグレートガイアーに無線を入れた…


「あの… この船は…」


サナリーが今にも爆発しそうな海賊船を気にしていた…


「そんな物、捨てておけ…」


魔王はどうでも良かったが…


「ダメです!」


サナリーがモニターごしに怒っていた!


「仕方がない…」


魔王は呟くとグレートガイアーと海賊船を連れデスムーンの宇宙船ドックに転移する…


魔王軍が海賊船を取り囲み、乗組員達を拘束する。


「魔王様…」


サナリーが心配そうに言うが…


「とりあえずだ、調べて害がなければ、あの宇宙海賊船を少し修理して解放してやる」


サナリーと話をしていると、エルザ達、妻全員が転移して来る。


「お前達! 危ないだろう!」


魔王が声を上げるが…


「貴方がいて危ない事などありません…」


エルザが呟く。


「だとしてもだ…」


魔王も困ったように言うと…


「何か呼ばれたような気がして…」


カミラがそう言うと妻達全員が頷いた。


そして…


魔王軍の隊員に拘束された宇宙海賊船のクルー達が海賊ファッションで続々と降りて来る。


「おおっ、なんか香ばしいな…」


魔王が呟くと…


「そうですね、ピーターパンの海賊、フック海賊団的な…」


ミキが言う。


「いや、ハーロックの世界感だ…」


ミキとマニアックな事を言い合う。


「あっ、あの方、エメラルダス!」


ケイコもマニアだった…

魔王はおもむろにガラパゴスを取り出しエメラルダスの前に転移し、写真を撮りまくる!


「なっ、何を!」


エメラルダス似の女は驚いている。

妻達も慌てて駆けて来る。


「なかなか香ばしい衣装だ! 松本先生の世界感そのものだな… だか、ここだけちょっと違うな…」


魔王はそう言いながら、エメラルダス似の女性の巨乳を鷲掴みにする。


「貴方… 初見の女性の胸を触らないであげてください…」


エルザが呆れて文句を言う。


「いいんですよ…」


女は優しい笑顔で答え続けた…


「魔王様、お会いしたかった、私はデルタ、貴方の妻の1人です…」


エメラルダス… ではなくデルタは涙を流して魔王に抱きついた。


「おっ、おおっ… 待たせたな…」


魔王はしどろもどろだった。


「魔王様! 知っていたのですか?」


アコが驚いて聞く。


「いや… ぜんぜん…」


魔王は困った顔で答える。


「ひっ、ひどーい! 魔王様が喜ぶと思って、こんな格好までして待っていたのに!」


デルタが泣きながら抗議する。


「いや… その… すまん… ほんとうに俺を待っていたのか?」


魔王は疑っていた。


「うっ、疑うのですか?」


デルタはその場に泣き崩れた…


「貴方、その方、間違えないと思います…」


エルザが言うと、妻達全員が頷く…


「あの… デルタさん、前から魔王様を知っていたみたいですが…」


デルタにエルザが声をかける。


「ええ…昔、ある女性に教えてもらって…」


デルタが言うと…


「ここではなんですから、展望室でお話しいたしましょう」


エルザが誘い、展望室に場所を変え妻ーズ全員がテーブルに付き話を始める。


「その昔、まだ私が創造神だった頃、キー様と名乗る女性と出会いました…」


デルタがキシリシュの妹に間違えないとの事だった。


「キー様も私と同じく、分体の1人だと…

私達は魔王様を支える使命があり、いつか必ず出会うはずだと言いました。

そして私も運命を感じ、創造神を捨て人に産まれ変わりました…」


デルタがそう言った。


「なぜ人間になったのですか?」


ミランが質問する。


「はい、魔王様は熟女が好きだからと…」


「その衣装も?」


マーリンが聞く。


「はい、魔王様はこう言うのが好きだと…」


「なぜ、艦隊と戦っていたのか?」


マリアンヌが聞く。


「少しでも魔王様のところへ向かう敵を減らそうと思いまして…」


デルタは妻達の質問攻めにあっていた。


「私達の母体の事は何かご存じですか?」


シンリーは核心に迫る。


「いえ、そこまでは… ただ、キー様なら知っているかも…」


「そのキーさんは何処に? 何者ですか?」


「さっ、さあ? 私も1度あったきりで…

その頃の私は創造神でしたが、その私から見ても何か特別な存在に思えました…」


その答えに妻達が驚く!


「やはり上には上がいるのか… どうなっているのだ? 世界と言う物は…」


魔王はそう言って、エルザやシンリーを見るが首を横に振るだけだった。

その後もいろいろ聞いたが大した情報はなかった。


「まあいい、デルタ、帰っていいぞ? お前の仲間も解放してやる。この自由な海で海賊ゴッコを楽しめ! またな!」


そう言って、デルタの肩を軽く叩き出かけよとする。


「貴方!」


エルザが声を荒げる。


「エルザ、怖い顔をするな…」


「でも、デルタさんは私達と同じ… それに何処へ行くつもりですか?」


エルザが困った顔で聞く。


「ああ、可能性は高いし、そうなのかもしれない。

だが、さっき会ったばかりだ、巨乳で熟女… と、言うにはちょっとビミョーな若さだが、優しそうだし美人で申し分ない。

だが、突然、妻の1人だと言われてもな…

正直なんの感情も湧かない…

運命ならまたそのうち何処かで会うだろう…

つう訳で、魔王軍も呼んでしまった、ボーナスを出す為に資源集めに行って来る…」


「そんなー!」


デルタが号泣し妻ーズはオロオロしている。


「まあそうですよね、まだ抱きしめてすらいませんし、突然、妻にと言うのは無理がありますよね…」


カミラがそう言って納得する。


重い空気が漂う。


「はいはい。皆さん暗いですよー!」


アコが元気に言う。


「仕方がありません。とりあえず私が預かります。私の友達として居候させてもいいですよね?」


アコが言う。


「まあ、いきなり妻じゃなきゃ…」


魔王も妻達の手前、デルタの事を邪険に出来なかった…


「はい、決まりです。デルタさん、私と仲良くしましょうね! 一緒に住んで徐々に距離を詰めていけばいいんです。焦ってはダメですよ?」


アコが満面の笑みでデルタの手を取る。


「はい…」


デルタはアコの手を握り立ち上がる。


「さすが、魔王家の裏番長…」


ミキが言うと…


「あの面倒みの良さ… ただただエロいだけの人じゃないんですよね…」


リリもそう言って感心し… 妻ーズ全員がアコを羨望の眼差しで見ていた。


「アコ、お風呂の技は教えちゃダメだからな!」


魔王は最後の抵抗をしていた。


「解りました! でも資源集めには連れて行ってください。さあ、デルタさん、魔王様と出掛けますよ!」


アコは張り切っていた。


「いきなりかっ!」


魔王は言うが…


「無理強いはしませんから連れて行くぐらい、良いでしょ? ほら、魔王様好みの巨乳美人ですよ? あと数年したらそれは美しい熟女になりますよ!」


アコがニヤニヤしながら言う。


「しっ、仕方がない… アコ、デルタ、出掛けるぞ…」


アコとデルタを連れて資源を集めにネェル紫電改で出かける。

資源を集める許可はキシリシュに得た。


「さて、お前の物は俺の物、俺の物は俺の物君を設置して…」


魔王は精力的に働く。


「魔王様、お疲れ様です…」


デルタがお茶を持って声を掛ける。


「ああ…」


魔王はビミョーな感だが…


「デルタ…」


とりあえずデルタを抱きしめる。


「えっ!」


デルタが困惑する。


「嫌か?」


魔王が聞くと…


「嫌ではありません…」


デルタも抱きしめ返す。


「まああれだ… 俺もちょっと言い過ぎた… ちょっとずつ慣れよう…」


「はい…」


デルタは嬉しそうに頷いた。


「デルタ、その格好は嫌いではないが… 普段着に海賊ファッションはやめておけ…」


デルタは黒皮の上下、胸にはドクロのマーク、拳銃とサーベルをぶら下げ皮のマントを羽織っていた…


「すみません… 私も恥ずかしかったんですけどキー様が魔王様の妻になるにはインパクトが大事だと言われ、これを勧められまして…

あの海賊船もキー様に頂いた物です…」


デルタが言った。


「はぁ、そうか、キーはアコみたいな考え方の持ち主だな…」


ため息を吐きながらアコを見ると、アコは困った顔をした。


「なあデルタ、海賊船、少し調べさせてくれないか?」


魔王が頼むと…


「はい、魔王様に差し上げます… 私、魔王様の家に居候させていただきますし、キー様も魔王様にプレゼントしてくださいと言っていました…」


「そうか…」


魔王は納得し、カリスに更なる世界のオーバーテクノロジーの船かも知れないと伝え。

妻ーズの科学者チームとセシリー、マーリンとで隅々まで調べ尽くせと連絡を入れた。


「魔王様ー、打ち解けました? さあ、ネェル紫電改に…」


アコが誘うが…


「スワップはしないぞ?」


魔王が言うと…


アコが真っ赤な顔で…


「さすがの私も初見の方とスワップをしようとは思いません! お茶休憩です!」


そう怒ったが…


「でも、どうしてもだったら…」


アコはどこまでもアコだった…


ネェル紫電改でお茶をし雑談をして妻達の元に戻る。


「ほら、デルタ…」


妻ーズの前でデルタを抱きしめ…


「皆、仲良くして面倒を見てやってくれ…」


魔王が言うと、妻達が驚きながら頷いた。


「「お母さん、凄い…」」


自分のママは恥の塊だと思っていたカコとマコは驚きながら尊敬の眼差しでアコを見ていた…


「よしてくださいよ… 私、何もしていませんから…

でも魔王様、何かお礼がしたいのなら少し回数を増やしてくださいね!」


アコの言葉に娘達は呆れたが、妻ーズは笑い和んでいた…


そんな中…


「魔王様ー!」


カリスが大声を上げて飛び込んできた!


「どうした? 緊急事態か?」


「はい! それはもう! あの船はオーバーテクノロジーの塊です! 見たこともないエンジンや装備、そして武器… とにかく凄いです! デススター星に持って帰って研究したいです!」


カリスが物凄い圧で語った!


「でもアレ、結構やられていたぞ? なあ、デルタ、危なかったんじゃないのか?」


魔王が不思議そうに聞くと…


「いえ、この世界の兵器では、びくともしませんし、本来、アレぐらいの敵なら瞬殺でした…

でもなぜか、今日に限って、武器が機能せず、攻撃も受けていないのに突然あっちこっち爆発して困っていました。

そしたらサナリー様が現れ魔王様が到着されました…」


デルタも訳が分からないようだった。


「魔王様、外装の爆発はダミーでした…

いえ、乗組員さん達は本物の爆発だと思ったでしょうが…

製作者がピンチを演出するために仕込んだ物と思われます。

今はダメージはおろか傷一つありません…」


カリスも説明しながら驚いていた。


「そうか、キーと言う女の手のひらの上で転がされたと言う訳か…」


魔王が深く考え混む。


「貴方、騙されたからと、その方を恨まないであげてください…」


エルザが心配そうに言う。


「いや、デルタもキーも妻達と同じ分身だ、俺のためと思ってやった事だろう…

きっとその船のテクノロジーが必要となる日が来るのだろう…

あったら文句の一つでも言うかも知れないが、今はありがたく頂こう… デルタ、良いか?」


「はい、私もきっとあの船をお渡しするのが役目だったのでしょう… 是非、役立ててください」


そう言ったデルタを抱きしめ…


「カリス! 妻ーズとデススターの科学者を集めて、全力で解析し技術を吸収して、応用しろ!」


「はい! 全ての作業を先送りにして直ぐに取り掛からせていただきます!」


カリスはやる気に満ちていた!


「とりあえずだ、一旦家に帰ろう…」


魔王が言うと…


「あの… 私も妹と話がしたいのでついて行って良いですか?」


キシリシュだ…


「お前、何、しれっと妻達の輪の中に混じっている? いつからいたんだ!」


魔王がビックリすると…


「最初からいました…」


キシリシュが申し訳なさそうに呟くと…


「「影薄仲間です…」」


レインとピーチが嬉しそうに声をかけていた…


「仕方がない、バカンスは一旦中止だ、デススターに帰るぞ!」


魔王が言い、戦後処理をしてデスムーンと共にデススター星に帰って行った…


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