主役は魔王23
「魔王様、どうぞ召し上がれ!」
「アコ、このゲロのような不思議な物体はなんだ… 匂いも凄いが…」
アコが食べろと持ってきた料理らしき物… 一見、お好み焼きのようにも見えるがドロっとしている… グロテスクで匂いも酷い…
「ゲロとはなんですか! ちゃんとした料理です! 山芋と鰻、ニンニクと納豆、マムシ、それに卵とスッポン、繁殖力の強いオークの睾丸も入れておきました! これを食べてみてください! ギンギンになっても大丈夫ですよ? すぐにでも責任を取りますからねー」
アコが嬉しそうに言う。
「ならまずアコが食べてみてくれ?」
「嫌ですよ… こんなの食べたら死んじゃうかも知れません… 凄い匂いもしていますし… 魔王様なら大丈夫です! 毒耐性を持っていますから! さあ早く!」
「アコ、お前は料理禁止な! それ、匂いが漏れないように厳重に包んで捨ててこい!」
そう怒ると、アコは皿を持ってトボトボと歩いて片付けに行った。
「せっかくお母さんが作ったのに酷いです!」
カコが抗議している。
「ならカコが食べてみろ? 死にかけたらヒールで治してやるから安心しろ… おーい、アコ…」
「やっ、やめてください! あんな毒々しい物食べたくありません! お母さんは料理禁止でいいです…」
カコも自分が食べるのは絶対に嫌なようだ…
「私はクッキーを焼いてみました、どうぞ召し上がれ」
サナリーは料理やお菓子作りの腕を上げていた。
「少し出かけてまいります」
そういって庭に出て行った…
「出かけてまいりますって庭に行くだけだぞ?」
魔王が呆れる。
「楽しそうだから良いじゃないですか」
シンリーがそう笑う。
庭を眺めるとサナリー、マリアンヌ、ルルシュ、幼妻3人組とサーラとでお茶会をしている。
「何処かの女王ハウスでやれば雰囲気も出て良いのに…」
「皆さん、ここが好きなんですよ…」
エルザが微笑んでいる。穏やかな時間が流れていた…
「お父様ー!」
「ラサラー!」
息子の妻をギューと抱きしめる、いつもの事だ…
ゲンキーの様子や家の状態を報告に来て、必要な物を持っていく、そのためちょくちょく顔を出す。
「ときにラサラ、女王にならないか?」
「お父様、突然何を言い出すのですか?」
突然の事にラサラは困惑する。
「グレート星な、最近転移させた星だが… 王にした男が、こんな穏やかな世界の代表が自分では無理だとごねていてな…
ぜひ、家から女王を出して欲しいと… 今、女王ではない妻達もオファーかあってな… 予約済みのような状態だ。
そこで、ラサラはどうかと思ったのだが…」
「ハルさん達じゃなくて私ですか…」
「ああ、4姉妹は戦闘の連携が取れている。冒険者を続けるのなら離さない方がいいのと、姉妹から誰か1人を選べないだろう?」
「そうですけど…」
「それに、ラサラはどこか上品だし綺麗でドレスも似合う女王様にちょうどいいと思ってな」
「お父様、さすがですわ!」
お茶会が終わり4人がリビングに戻ってきた。サーラがドヤ顔で話し出す。
「ラサラさんは、もともとお嬢様なのですわ。いろいろ事情があって両親とは疎遠になっていまして冒険者をしていますが…ウチに秘めた上品さは隠しきれていませんわ!
私も家族の中で女王様が1人で寂しい思いをしていたので大賛成ですわ!」
サーはラ嬉しそうに言うが…
「ハルさん達とも相談してみます…」
ラサラは悩んでいた…
「ああ、無理強いはしない。ウチの妻達だって3人ほど絶対に女王にはならないと言っているし… 断っても問題ない。
ナツも妊婦で冒険者から外れるし… 直ぐに答えを出さなくても良いからな…」
ラサラは悩みサーラと帰っていった。
魔王はシンリーとサナリーを連れて出掛ける。
「エカテリーナさん、お久しぶりです」
サナリーがホムンクルスエカテリーナに挨拶している。
久しぶりに、シンリーハウスに様子を見にやって来ていた。
「魔王様、こんにちは…」
「ミーナも来てたのか?」
「はい、エカテリーナさんに愚痴を聞いてもらっていました…」
「嫌いじゃなかったのか?」
「ホムンクルスになってから大丈夫です。優しく聞いてくれますし、笑顔に癒されます…」
ミーナは疲れていた。
「ぱっと見、異常はなさそうですね」
技術班からはエリカが来ている。
「出世したな…」
「まあ、それなりに…」
エリカがつまらなさそうに呟く。
「不満でもあるのか?」
「そんな事はないんですけど… ちょっと失敗したなと…」
エリカは暗い顔をしていた。
「何をだ?」
「魔王様をフった事です… 会う人会う人に馬鹿じゃないのかと言われて…」
エリカは後悔している。
「世間なんて気にするな…」
「今度、デートしませんか?」
エリカに誘われる…
「しないな…」
魔王は興味がない…
「そうですよね…」
「星に帰りたくなったら送ってやるから…」
魔王が言う。
「いえ、大丈夫です…」
エリカは元気がなかった…
「超、癒しの光!」
ミーナとエリカを癒してやる。
「魔王様、なんで抱きしめないのですか?」
サナリーが不思議そうに聞く。
「うん? 抱きしめる必要がないからだぞ?」
「ええっ! それ抱きしめないと効かないと思っていました!」
サナリーが驚いている。
「抱きしめるのは魔王様の趣味です。気に入った方しか抱きしめませんよ?」
シンリーが教える。
ミーナが見ている。
「ヤマトに文句を言われたくないからな…」
魔王が呟く…
「もう、別れましたけど?」
ミーナが嫌そうに言う。
「時間の問題だろう? それに、エミリアはな…」
魔王が説明すると、ミーナがやれやれという顔をしていた。
「前は抱きしめてくれたのに…」
エリカが呟いていた。
エカテリーナはというと、テリーナやマサトが顔を出しているようで、表情豊かになりそっけなさも減っていた。
エリカは再びエカテリーナをチェックしていく!異常がないかを確認して…
「決めました! 魔王様、私、生涯をかけてハイスペックなホムンクルスを1体造ります!」
エリカが目を輝かせて宣言した!
「そんな物を作ってどうする?」
「私が使うためです! 寿命が来たらホムンクルスに魂を移します! 永遠に研究を続けていきたいですから!」
「そっ、そうか… 頑張れ…」
エリカは強い決意を胸に秘めていた。
「ふふ、楽しみです」
シンリーが楽しそうにしていた。
ホムンクルスのチェックも終わり、エリカは帰って行った…
数日が経ち。
「お父様…」
「ラサラ、綺麗だ! 凄く似合っているぞ! ほらコレを付けてみろ…」
そう言って派手な女王用のダイナモンドジュエリーを渡す。
「あーの、凄く綺麗ですが… まだ決めていませんよ?」
ラサラやゲンキー、ゲンキー嫁ーズとグレート星を見に来たが…
マジーン達がノリノリで、ラサラに女王のドレスを着てもらっていた。
「可愛いラサラのためだ、そんな物いくらでもやる。別に女王にならなくても返さなくていいぞ?」
「お父様、さすがにコレは普段使いは無理かと…」
ラサラが呆れている。
「ラサラさん素敵です! 女王様、憧れます!」
ハルがウルウルした目で見ている。
「ハル、なりたいのなら女王にしてやるぞ? オファーは沢山ある。なんなら全員女王になっても良いんだぞ?」
「いえ… 言ってみただけです… 私達姉妹は庶民ですから冒険者の方が向いています…」
「ハル姉、お父様の前で滅多な事を言わない方がいいわよ? なんでも叶えてしまうから…」
ナツが呆れている。
「皆さん、女王様になってしまえば良いのですわ」
サーラが言うが…
「全員が女王様になってゲンキーが野放しになると大変だから…」
ナツがガッカリとしている…
「確かにそれはありますわね…」
サーラもため息を吐いていた。
「ラサラ様、どうですか? ぜひグレート星の女王様になっていただきたいのですが…」
首相を任せている、コージーも必死だった…
「少し街を見てはいかがですか?」
マジーンと妻、ナーヤに女王ハウスのバルコニーに案内される。
ラサラがバルコニーに出ると…
「「「「「女王様ー!」」」」
大観衆が待っていた…
「お父様…」
「マジーン! 計ったな!」
「すみません…」
マジーンが下を向いて呟いた…
「まあいい、ラサラ、可愛い笑顔で手を振ってやれ… 嫌なら俺が何とかするから、とりあえずだ…」
ラサラが手を振ると、大歓声が巻き起こる!
「すっ、凄いですね…」
後ろで見ていたアキが驚いていた。
「「「「「「ラサラ様ー!」」」」」
既に名前まで知れ渡っている…
女王ハウスの中に戻り…
「ラサラ様、お願いです… 助けてください! 魔王様の娘様に、女王様になっていただくチャンスなんて最初で最後なんです!」
「私、娘と言っても、義理の娘ですよ?」
「ラサラ、寂しい事言うな… 本当の娘のように思っているぞ?」
「お父様ー!」
「ラサラー!」
しっかりと抱きしめてやる。
「まあ、ラサラの好きに決めるといい、結論は急がなくてもいいぞ?」
「はぁ、解りました。お受け致します… お父様、助けてくださいね…」
少し考えて、ラサラが覚悟を決めたようだ…
「ああ、任せておけ!」
魔王は娘に頼られて嬉しかった。
「ラサラさんは良いですわね… お父様に凄く可愛がられていて…」
サーラがしみじみと言う…
「誰がいいますか! サーラさんが1番可愛がられているでしょうが!」
ナツが言った!
「そうなのですか?」
サーラが意外そうな顔をした。
「「「「そうに決まっています」」」」
4姉妹が声を揃えて言っていた…
「魔王様は皆さんを同じ様に可愛く思っていますよ? ただ、甘える人には特に優しいので、サーラさんを1番可愛がっているように見えるかも知れませが… 可愛がられたい人は甘えると良いですよ?」
シンリーが娘達に言っていた…
「お父さん…」
ゲンキーが抱きつくが…
「貴方の事はもともと可愛く思っていませんから甘えても無駄です!」
シンリーがゲンキーに身も蓋もない事を言っていた…
そしてラサラがグレート星の女王に就任した。
とある日…
「3人とも、順調です! あと少しですね!」
マーリンが女王ーズの診察をしていた。
「楽しみだな」
「私の事はどっちだと思いますか?」
ミランが聞く。
「ミランに似た可愛い女の子だな」
「私は?」
「カミラか… 強い男だ!」
「もー! 強いって言わない約束でしょう?」
カミラが怒っている。
「子供の話だぞ? でも、可愛い女の子ような気もする…」
「そうでした…」
最近はカミラの事を強いと言っていないんだが未だに気にしているようだ…
「私はどうですか?」
「レインに似た影の薄い女の子かな…」
「酷いです…」
「じょ、冗談だ、嬉しくてな…」
「そうですか… 娘は太陽のように輝く女の子に育てます!」
「まだ、女の子と決まったわけじゃ…」
「男の子でもです!」
レインも未だに影が薄いのを気にしていた…
「そういえば、一度見に行ってみるか…」
魔王はフッと思い出す。
「何をですか?」
ミランが聞く。
「マリアンヌの父達だ。フッと気になってな… マリアンヌ、行くか?」
「あまり気が進みませんが… 一応付いていきます…」
「私も行かせていただきますわ? いずれ何とかしなくてはとヤジマリ首相と話ていたところです」
サーラが言う。
「私も連れて行ってもらえます?」
「ミーラ、も興味あるのか?」
「一緒にいたいなと思って…」
「じゃあいくか…」
「私も行きますよ!」
カーラだ。
「まあ、4人の故郷の星だしな…」
4人を連れてパイン星、孤島の牢獄に転移する。
完成度は低いが小さな家が建ち並び、畑風の物まであった。
「バーリン、元気か?」
「貴様は!」
「偉く横柄だな…」
「ああ、別に殺されたって構わん!」
「そうか… エクストラヒール!」
そう魔法をかけながら、ジェネシスでバーリンを肩から腰にかけて袈裟斬りにしていく。斬ったところから再生が始まり、手品の様に剣が身体を擦り抜けていくが… 死ぬほどの苦痛を味わう。
「ぐおおおおおおーー!」
心臓も真っ二つに斬られ断末魔を上げていた…
「どうだ? 殺されるより辛いことなんてたくさんあるんだぞ?」
魔王が、そう教えてやるが、地面をのたうち回って痛がり聞いちゃいなかった…
「なっ、何のようだ…」
「ちょっと見に来ただけだ。この星の女王も気になると言ってな、連れて来てやった」
「女王?」
バーリンは不思議な顔をした。
「ああ、世界は統一した! バーリン国はなくなりフリー国となった。そして世界女王はコイツだ!」
魔王は説明してサーラを紹介する。
そして、国が無くなった事に全員が驚いている!
「お久しぶりです。サーラですわ? 覚えていますか?」
サーラが優雅に挨拶をする。
「サーラ? ミーラもいるじゃないか! あの、パインビーナスと言われたときの美しさに戻っている…」
バーリンが絶句している。
「ああ、ミーラは俺の愛人だ、羨ましいか? 俺の妻や彼女達は1番美しい姿で生きるんだぞ? ほらマリアンヌを見てみろ、美しさに磨きがかかっただろう?」
魔王はニヤつきながら自慢する。
「こっ、こんにちは…」
マリアンヌが嫌そうに挨拶した。
「ほっ、本当だ… ただでさえ美しかったマリアンヌが更に美しく… 何をしたんだ… それにミーラ、その娘までヤりやがって! この女ったらしがー! 世界中の美女を攫ったのかー!」
バーリンが怒鳴っている。
「娘はヤってねーし! お前にだけは女ったらしと言われたくないわ!」
魔王はムカつき、怒鳴りながら、もう一度斬ってやった!
「サーラー! カーラー! 僕だよー」
馬鹿王子が駆けて来た! 結界に阻まれ女性陣に近づく事は出来ない。
「気安く名前を呼ばないでくださいまし!」
サーラが凄く嫌そうな顔をしている。
とりあえず1度斬っておく。王子は1度で死ぬほど痛がり怯えていた。
「全然、こたえてなさそうですわね… もう少し大人しくなっていたら、大陸の廃村に移して差し上げようと思っていましたが、もう少しこのままの方がいいですわね…」
「ぐぬぬ…」
バーリンはなかなかの胆力で心が折れなかった。
「仕方がありませんね… 魔王様、もう1つの島に女性陣を全て移して、向こうの男性陣をこちらに移して、男女を分けてしまいましょう! バーリンやバーリン国の貴族は、ゲンキー並みに女性が好きですからね… 男だけの世界で生きる苦しみを味わうとよろしいですわ!」
サーラは罰が軽すぎると判断したようだ。
孤島の牢獄2に行きカラミル達男性陣だけを転移で連れてくる。そして、孤島の牢獄の女性陣を転移させる。
「やめてくれー! それだけはやめてくれー!」
バーリンは斬られるとき以上の叫び声を上げていた。
「そうだ! いつか大陸に戻りたいのなら殺し合いはするな… 殺し合いをするような奴はここで一生を過ごしてもらうからな…」
魔王はそう告げて、転移で消えていく… 女性陣はもう少ししたら、どこかの廃村に移し、男性陣は1、2年したらもう1度様子を見に行く事にした。
「帰って来たわね。さあ、温泉にいくわよ!」
魔王が家に帰ると、愛が嬉しそうに言った。
「何でだ?」
「ラサラちゃんのお祝いよ? 可愛い義理の娘をお祝いしてあげないの?」
「会食の席でするからいい!」
魔王が嫌そうに言うと、愛がムッとしているが…
「お父様ー! ありがとうございます!」
次元の扉からラサラが現れると、愛の顔がドヤ顔に変わっていた…
皆んなでエメラーダの温泉に行く。
「カーラちゃん、アンは僕達と一緒に入りましょう!」
ゲンキーが2人を誘っている。
「入る訳ないけど、何でカコは誘わないの?」
「カコはもう少し成長してからです! アンは充分に資格があります」
ゲンキーは相変わらずだった…
「ゲンキーが妹達を誘うなら、私はお父様の方に行きますわよ?」
サーラが言う。
「私もお父様と入ろうかな…」
ラサラも言う。
「嫌だな… 2人とも、冗談に決まっているじゃないですか…」
さすがにゲンキーも妻は大事なようだ…
「冗談ですか… 魔王様にはちっとも相手にしていただけないし… 誘いに乗ってもいいかなと思ったんですが…」
カーラが言うと全員が驚いている。
「サーラさん、ラサラさん、お父さんと温泉に入って来てください。さあ、カーラさん行きましょう!」
ゲンキーは現金な奴だった。
「貴方…」
エルザが困っているが…
「これだけいろいろあってもゲンキーを選ぶなら自業自得だ… 守る必要はもうない… さあ温泉に行くぞ!」
そう言って、温泉に行く。
「誰かを当てつけて気を引こうとしても魔王様には通じませんよ? 去る者は追われませんから、気をつけてくださいね…」
ミキが忠告していた。
「魔王様、ごめんなさい…」
「謝らなくていいから、裸で抱きつかないでくれ…」
カーラがベソをかきながら謝っていた… ちなみに途中まで付いて来た、サーラとラサラはゲンキーに泣いて謝られ戻って行った。
「貴方…」
「エルザまでどうした?」
「最近凄く優しいんで嬉しくて… 今日はたっぷりと可愛がってくださいね…」
耳元で魔王にだけ聞こえる声で囁いた…
「貴方、まだ早いです… 先っぽが当たっています…」
エルザが赤い顔をしていた… 魔王は、くの字に腰を引いて風呂に駆け込んで行く…
「貴方、先に身体を流さないと…」
エルザに連れて行かれ洗われる。
「あらあら、なかなか収まりませんね… もう少し我慢していてくださいね…」
今日のエルザはやる気満々のようだった。
皆で温まり宴会場に行く。
「魔王! 呑ませてもらうぜ?」
ヨシヒデ達とヤマト、ナオトにアモン、それぞれ伴侶を連れてやって来た。
「魔王、久しぶり!」
「おお、トシオ! 久しぶりだな! エリカも一緒かっ!」
魔王がトシオと会うのは数年ぶりだった!
「あらあら、それは大きな作戦ミスですよ?」
シンリーがエリカにそう言って笑っていた。
将やマル達、開発チームも揃い踏みしていた。
「カーラちゃん、その見た目と爆乳でこれだけの期間、父が手を出さないと言う事は、妻の座は諦めた方が良いですよ?
考え方を変えて父の本当の娘になりませんか? 僕ならウェルカムです!
父は気を引こうと当て付けをするような態度を取ると、一気に興味を失います。
それで何人の女神が退路を断たれたか…
残念ですがカーラちゃんが、父のそばにいる方法は僕の妻になるしか無くなりました…」
ゲンキーがそう言ってため息を吐きながら左右に顔を振っていた…
「そんな…」
「カーラちゃんはまだ子供ですから大丈夫です。おそばにいて大人になっていけばチャンスはいくらでもあります。ですが大人で似たような事をすると無理かも知れませんね…
ゲンキー、ママは強迫観念を煽って女の子を落とそうとするような姑息な息子に育てた覚えはありませんが…」
シンリーがゲンキーを冷たい目で見ていた。
「ゲンキー、いい加減にしなさい! 今日は貴方の妻の祝いの席よ? 良く考えて物を言いなさい!」
エルザにも呆れられていた。
「魔王様、トシオさんとはなんでもないですから! 今日は開発チーム、皆んなで呼んでいただいただけですから!」
エリカが必死だった。
「そうなのか? 良い雰囲気だったし、奴は優秀な開発エンジニアだ、ピッタリじゃないのか? 俺に遠慮しなくていいから、アイツは奥手だからエリカからガンガンいってやるといいぞ?」
「はあ… 私に全く興味が無いのですね…」
エリカがため息を吐く。
「興味か… どんなホムンクルスを造るか興味津々だが? 俺に1つ安があるんだが…」
魔王は思わせぶりな態度をとる。
「どんな安ですか?」
「オッパイミサイル!って叫ぶと、胸に仕込まれた2個のミサイルが飛び出して敵を攻撃するんだ!」
「それいいですね!」
ミキもノリノリだ!
「ミキのロボにも付けるか?」
魔王はキラキラした目で提案する。
「いえ… 私の女性型ロボではないですから…」
自分のに搭載するのは嫌みたいだ…
「そんなの嫌です! 魔王様好みの絶世の美女を造ってみせます! 一応、人並みの機能は持たせますんで、抱けますよ?」
「だっ、大丈夫だ! こんなに沢山、可愛い妻達がいるのにダッチワイフはいらないから…」
「ダッチワイフを造るんじゃありません!」
エリカが真っ赤な顔で怒っている。
「あらあら、リリ&ミキコンビぐらい屈折していますね…」
シンリーが楽しそうに微笑む。
「「シンリー様ー」」
2人が困った顔をしていた…
「魔王様、遅れてすみません…」
「いや、全然構わないぞ?」
マジーンとナーヤ、2人の娘とコージーのグレート星御一行様だ。
「娘達を、魔王様とお風呂に入れてやらなかったのが残念でなりません!」
マジーンが拳を握りながら悔しそうにしている…
「いやいや、お前、可愛い娘になんて事をさせようとしているだ…」
「娘のうちどちらかを魔王様の妻にするのが私達の宿願なのです」
ナーヤも言い出す。
「魔王様、私達、お嫌いですか…」
姉マーヤ10歳が言う。
「マーヤか、2人とも大好きだぞ?」
「じゃあ、お嫁さんにしていただけますか?」
「そっ、それは… 家の孫に妻は後1人で、幼女は駄目だとキツく言われているんだ…
魔王様も残念だ…」
「わっ、私のせいにしないでよね…」
愛が困っていた。
「「アンお姉様、カコ様…」」
マーヤもカーヤの2人が娘達にすがる。
「お父さん! お嫁さんにしてあげなさい! いいじゃない! 1人ぐらい多くたって構わないでしよう?」
「カコからもお願いします。
マーヤちゃんカーヤちゃんを家に入れてあげてください! お母さんはサキュバス枠ですから、まだ2人大丈夫です!」
アンもカコも2人の味方だった。
いつもならゲンキーも参戦するのだが、いくら美女とはいえ10歳と8歳ではさすがに興味がないのか…それともマジーンの見た目にビビっているのか、静かにしていた。
「さあ、今日のところはラサラの祝いだ。とりあえず座ってくれ」
そう言って有耶無耶にする。
そして皆でラサラの祝いをする。
皆に祝ってもらいラサラは終始恐縮していた。
「ラサラはアレだサーラみたいに少し図太くならないとな…」
「お父様、それはどう言う意味ですの?」
サーラが心外だという顔をしている。
「サーラは物おじせず落ち着いてどっしりと構えているだろう? 女王だし頑張ってそうしているんだろうが、俺にもグイグイきてくれるから可愛くて仕方がない!」
「ちょっとビミョーですが、嬉しいですわ… でも意外と小心者なのですわよ…」
「知っている…」
「お父様…」
「あのー、息子の妻とラブラブ抱き合わないでくれますか…」
ゲンキーがヤキモチを焼いていた。
「私も、もっと甘えてもいいですか…」
「もちろんだ!」
「ラサラさんまで甘えて抱きつかないで… カーラちゃん、どうです? 僕の妻になれば父にこんなに甘えられますよ?」
ゲンキーはタダでは転ばない男だった。
シンリーもエルザも呆れて何も言わなかった。
「皆さん聞いてください! 私ほ生涯をかけて、自分の器になるホムンクルスを造ります!」
ばさーっと図面を広げてみせている。熱い技術談義が始まった。
「私も自分の力でホムンクルスとなって永遠に美しいまま、ずーっと研究していきたいのです!」
「その話詳しく教えてください…」
パチーナが食いついていた。
「ホムンクルスエカテーリーナさんを超える、もっと高スペックで人間と変わらない人造人間を造ってみせます!」
酔っ払っていて、質問の答えになっていなかった…
だが、パチーナの目は輝きエミリアも興味ありげに図面を覗き込みエリカを見ていた。
「本当にオッパイミサイルは付けろよ?」
魔王はしつこい。
「付けませんから! ちゃんと魔王様には抱かせてあげますから安心してください…」
エリカは完全に酔っ払っていた。
「高性能ダッチワイフか…」
ヨシヒデがポロッと呟く…
「ダッチワイフではありません!」
エリカに怒鳴られていた…
「あのー、僕も高性能なやつ1体欲しいんですが…」
ゲンキーが余計な事を言う。
「だからダッチワイフではありません!」
エリカはプンスカ怒っていたが、開発チームは図面を見てあれこれ技術談義をしていた。
「さあ、エルザ、さっさと行こうか…」
「そうですね。もう大丈夫そうですね…」
「お父さん、今日はお母さんですか? 若くて可愛い妻がたくさんいるのに、そんな口うるさい古女房のどこがいいんですかね…」
「エルザは凄く可愛いんだ! 魔王の逆鱗!」
「うぎゃぁぁぁぁー!」
ゲンキーが床を転がりのたうち回っている。
「何をするんですか! 死んじゃうじゃないですか!」
ゲンキーがキレているが…
「貴方は、人を馬鹿にし過ぎです!」
エルザも怒っていた。
エルザとさっさと部屋に戻る。
「もー! あの子は… 貴方、ありがとうございます…」
「エルザ、気にしなくていい、それよりな…」
「そうですね… 可愛がってください…」
「エルザー!」
その夜はエルザをたっぷりと可愛がり激しく燃え上がった。




