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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
201/546

主役は魔王22

「皆様にお土産です」


サナリーが皆にお土産を配っている。


「お姉様は助けてくださったので特別です。私とお揃いのスカーフです」


「あら、嬉しいわね…」


シンリーが目を細めて喜んでいる。


「エルザ様、今度、お料理を教えてくださいますか?」


「私でいいんですか?」


サナリーに言われエルザが驚いている。


「魔王様が料理や家の事は、エルザ様が1番良く知っているから教えてもらいなさいと言われまして…」


「あらそんな事を… 私で出来る事ならなんでも教えますから、いくらでも聞いてくださいね。明日にでも一緒に料理をしましょうね…」


「はい、よかったらお買い物から連れて行ってください」


「はい、解りました一緒にまいりましょうね」


サナリーに頼られエルザも嬉しそうだった。


「サナリー、なんか変わったわね?」


愛や他の妻達が驚いている。


「もともと、あんな感じだったのですが、辛い体験で殻に閉じこもっていましたし、助けてもらった私達に遠慮がありましたから…

魔王様と旅行に行って、いろいろな不安や鬱が吹き飛び殻がなくなったようです。

やっと楽しそうな顔が見れて安心しました」


シンリーが説明した。


「そうなのか… サナリー、恩を感じて妻になったのなら無理しなくていいんだぞ?」


魔王は気を使う。


「もー! そういう事を言わないでください! 恩や義理で、妻になった訳ではありませんから…」


サナリーが膨れる…


「魔王様、もう少し女心を理解するようにしましょうか?」


シンリーは呆れた。


「すっ、すまない… サナリー、キャメル達にお土産を持って行こう! マーリンもナナリーを見てやってくれ!」


罰の悪い魔王は、さっさと出掛けようとする。


「おじい様、時間通りに来てよ?」


愛に念を押され、サナリー、シンリー、マーリンを連れて、キャメル達にお土産を届けに行く。


「ただいま戻りましたー、お土産です!」


元気に戻って来た、娘の姿にメイビス達が驚いていた。


「楽しかったようで杞憂が吹き飛んだようですよ」


シンリーがメイビスとナナリーに事情を教えていた。


「そうですか、これで本当に昔のサナリーが戻ってまいりました、ありがとうございます」


メイビス達がお礼を言った…


「順調そのものです。心音が2つ、双子ちゃんですね! おめでとうございます」


「おおっ! 双子とは!」


メイビスが驚いている。


「お父様、お母様、良かったですね… おめでとうございます。私も産まれる日を心待ちにしています」


サナリーも喜んでいた。


そして、エメラーダの温泉旅館に行く。


女神ーズが揃って待っていた。もちろん愛人も彼女もいる。

まず温泉だ!


「魔王様ー!」


「サナリー、皆の前で裸ハグはやめろ…」


「マリアンヌちゃんもルルシュちゃんもこっちに来て3人で挟みましょう?」


「「こうですか?」」


3人の幼妻に囲まれて、抱きしめられる。


「ほら、そういう悪戯は駄目だ…」


腰をくの字に引き、さっさと逃げて温泉に浸かる。


「魔王様、失礼します…」


リリが言いながらミキと湯に浸かる。


「リリもミキも最初から一緒に入ればいいだろう?」


「私達のスタンスですから」


またミキが訳の分からない事を言っている。


「サナリー、楽しそうですね…」


シンリーが聞くと。


「はい、城の中で育てられ外の世界を知らずに育ち、悪神の器にされ死にかけたりと碌なことがありませんでしたが。

魔王様とお姉様に助けていただき、目覚めたら世界が変わっていて、最初は戸惑っていましたが、どこも素晴らしい世界ですし、旦那様は常識外れのめちゃくちゃな方ですけど、優しくて… 奥様達も皆さん優しくしてくれて… 友達まで出来て… 幸せが一気に来た感じで、嬉しくて楽しくて仕方がありません」


「そう、良かったですね…」


シンリーがサナリーを優しく撫でて… エルザやミラン達はウルウルしていた…


「はちゃめちゃなら無理をしなくても…」


魔王は困った顔で呟く…


「魔王様は女心を解ってください…」


「そっ、そうだった…」


優しくは言っているがシンリーが少し怖かった…


風呂から上がり宴会場に行く。ゲンキー達も来ていた。


「もう、サナリーちゃんも普通に戻って妻にしちゃったんですね…」


ゲンキーが残念そうに呟く。


「ゲンキーも嫁ーズも元気がないじゃないか? どうした?」


「………」


沈黙が続く。


「私が説明いたしますわ…」


サーラが沈黙を破って話し出した…


「結論から言います… ランジェリーショップは倒産して、妻の私達は一文無しに… ゲンキーは多額の借金を背負いましたわ…」


説明を聞いたエルザが、泡を吹いて倒れた…


「皆、エルザは話が終わるまで寝かせておくからな!」


口の泡を拭いてやり、膝枕でそのまま寝かせておく。

それが落ち着くと、サーラが再び話始めた…


「ゲンキーはお父様に怒られた後、2号店の資金として私達に借金を迫りました。

お父様の言いつけもあり誰も貸さなかったのですわ!

でもです、ムキになったゲンキーは多額の借金をしてきました…

その資金を投資して2号店をオープンする…

でも簡単に相手を信用したようで、詐欺に遭ってしまいお金は全て持ち逃げされましたのですわ…

このお父様の善人ばかりの宇宙で、たった一握り程度しか悪人がいない場所で詐欺に遭うなんて… なんと運の悪い…

そう思って仕方がないとイーシャさん以外の6人の貯金をはたいて借金を穴埋めしようとしましたの…

ゲンキーを信用しありったけを渡しました…」


サーラが泣いてしまって話が進まなくなってしまった。


「それでですね…」


泣き止まないサーラに変わり、ベソをかいている。

ラサラが続けた…


「実は騙し取られたのは嘘で、欲を出して3号店も一緒にオープンしようと、カジノに行き勝負をして、全部スってしまっていたのです…

私達が借金を返してきてくれと渡したお金も、一攫千金を夢見てカジノで…」


ラサラも泣きじゃくってしまった…


「それで…」


次は泣きやんだハルが話し出す。


「ちょっと待て! 話は聞くし何か考える、続きは別の場所でする!」


「おじい様、なんでよ!」


愛は聞きたいばかりだった。


「こんな話、エルザの耳に入ったらどうなる! 心が…魂がどうかなってしまうかも知れない! エルザの泣き顔は見たくないんだ!」


小声で言ったが…


「貴方…気を使わなくて大丈夫です… このまま娘達の話を聞いてあげてください…

私、もう少しこうしていさせてください…」


エルザが力なく言った…


「すまん続けてくれ…」


「カジノで全てを失って、さらにお金を借りに行ったそうですが借りられなくて…

そのうち家やお店に借金の返済の催促が来るようになって…

私達はそこで初めて騙された事が嘘だと知り、全てをギャンブルに注ぎ込んだ事も知りました…

店は手放し在庫も処分して、サーラさんの住んでいた方の家やクランハウスを処分して、それでも足りず。

ミーラお母様にもお借りして…

今は細々と冒険者活動をしていまして、その収入とサーラさんのお給料で借金を返済して生活している状態です…」


ハルが説明を終えた。


「ミーラ…」


魔王は呆れたように呟く…


「すみません…子供達に強く口止めされて…」


「いや、いいんだ、金を出させてすまなかったな…」


「いえ、全部、魔王様に頂いたお金ですから構いません…」


ミーラが申し訳なさそうに言った。


「まあ、お前達の思うところがあって相談しなかったのだろう… 別れないのか? 親の俺が言うのもなんだが、ギャンブルで夢を見るやつはまたやるぞ?」


魔王はガッカリとして説明した。


「はい… みんなで別れようと言う話も当然でました。でも、ゲンキーが冒険者として1からやり直すからと泣いて頼むので、もう一度だけチャンスをあげようと言う事になりまして… それとナツが…」


ハルが言いにくそうにしている。


「妊娠したのか?」


魔王が察して聞いた。


「はい…」


ナツが自分で返事をした。


「そうか、仕方がない皆で頑張りなさい…」


魔王はなんとも言えない顔をしている。


「そっ、それだけですか? 援助しようとか思わないのですか?」


ゲンキーが驚く!


「馬鹿なのか? 誰が嘘をついたんだ! 誰が借金をしたんだ! 誰が娘達を泣かせたんだー!」


止めどもない魔王の波動がゲンキーを襲う! 身体も精神も崩壊しそうなほどの殺気だった! 星が震え出し大気が揺れ、魔王の怒りと悲しみが、ザ、ワールドを包む…


「貴方、怒りを鎮めてください…」


エルザが必死に止める…


「すっ、すみません! 僕が悪かったんです! 心を入れ替えて働きます。許してください」


魔王の波動を解かれたゲンキーは一心不乱に謝っていた。

初めて父に本気で怒られ自分の愚かさを知った。


「まあいい! 今回は多めに見てやる。サーラ、後で全ての借金を教えろ! 今回は建て替えてやる… お前達7人が貸した金は返してやるが、それはなんかあったときに渡してやる。ミーラに借りた金も俺が返しておく。

今は現金を渡す気にはなれない… しばらく食料品や日用品は家から用意する。

明日、エルザとサナリーを買い物に連れて行く予定だ。誰かついて来い生活に必要な物を好きなだけ買えばいい…」


「お父様、それでは申し訳ないですわ! 私達がやった事ですし私の給料も沢山いただいております。自分達でなんとか…

お父様、すみません… やっぱり、甘えさせていただきます… 明日お買い物に連れていってくださいまし…」


サーラは話していて、自分達で立て直すのは無理だと思ったのだろう… 素直に納得した。


「エルザ、こんな感じでどうだ?」


「貴方の思う通りでよろしいです…」


「とりあえず、サーラ、来い…」


抱きしめると…


「少しやつれたな… 加護があるから体型はあまり変わらないはずだが… 極、癒しの光!」


最上級の癒しの光だった。

サーラは神々しく光り輝き癒され安らぎを得る。


「サーラさん、栄養ドリンクです、元気がでますから飲んでください」


マーリンも心配して栄養ドリンクを飲ませていた。


ラサラ、ハル達と順番に呼び最後にイーシャを癒して終わりだ。


「あら、魔王様、イーシャさんもですよ?」


シンリーが言う。


「イーシャ、お前もおめでただったのか…」


魔王が声を掛ける。


「はい… 大変なときにすみません…」


イーシャが困った顔をしている。


「何を言っている… めでたい事だ可愛い孫を産んでくれ。イーシャとナツはマーリンに見てもらえな?」


「「はい」」


2人が安心して返事をしていた。


「もういいから、皆、飯を食え! ほら、お前達も遠慮せず入って来い!」


魔王は宴会場の外で待っている、ヨシヒデ達にも声を掛ける。


「いっ、いいのか? 派手に怒っていたみてぇだが…」


ヨシヒデの顔が引きつっている。


「星が恐怖で震えていたぞ?」


ヤマトとが言うと、エミリアが隠れるように入っていった。


「ゲンキー、あんまり怒らせないでくれよ? ガンガイアが消滅したらみんな死んじゃうんだから… 巻き添えはゴメンだよ?」


ナオトがそう言いながら、そそくさと入って行きパチーナも大人しく入って行った。


「魔王様、凄まじい波動でしたがどうかされましたか?」


アモンが心配している。


「なんでもない…」


そう言うと察したのかエルフィーとテーブルに向かって行った。


皆、サナリーのために集まってくれた。


「サナリー、すまんな…」


「大丈夫です… 魔王様のせいではありませんから…」


サナリーも気を使っていた。

しばらくして場の空気も和み、皆でサナリーが妻になった事を祝ってくれた。

サナリーも嬉しそうにして、ゲンキー嫁ーズや皆にもお土産を配っていた。

魔王が、あまりに激しく怒ったせいか? ゲンキーはシュンとしたままだった。


「ゲンキー、お前もメシを食え! 食って頑張って働き妻達と産まれてくる子を養ってやれ!」


魔王はゲンキーにそう告げた。


「はい… すみませんでした…」


ゲンキーは泣きながらメシを食っていた。


「サーラ達もどんどん頼んで沢山食っていけ!」


痩せた娘達が心配でならなかった。


「そうだ、皆にプレゼントがあったんだ!」


そう言って宝石を出す!


「おじい様、久々ね!」


愛が1番嬉しそうだ。


「まずルルシュからだ!」


ダイナモンドで造った指輪とネックレスを付けてやる。


ピーチ、ミナ、シンリー、マリアンヌ、ミーラ…


最近、妻、彼女、愛人になった順にプレゼントして付けて行く。

まるでアラブの大富豪のようだ。

そしてママちゃん、エルザ、アコ、セシリー、マーリン、レイン、カミラ、ミラン、レイン、リリ、ミキ、メールにも…

もちろんアンとカコの2人の娘と孫の愛にもだ!

そして最後は7人の義理の娘にだ。

ラサラ、ハル、ナツ、アキ、フユ、イーシャ、最後は…


「お父様… こんな素敵な物まで…」


サーラが歓喜極まっている。


「女王様なんだから、これぐらいの物を付けていないと駄目だろう?」


魔王がサーラと話ていると…


「魔王様はサーラちゃんを凄く可愛がっていますよね… 出会いは最悪だったのに…」


アコが余計な事を言う…


「そうなのですの?」


サーラが不思議そうな顔をしている。


「そうですよー、マリアンヌちゃんに、あの縦ロール、孤島の牢獄に送っていいか? と聞いていましたよ? 結構怒っていましたからね、マリアンヌちゃんが止めていなかったら、本気で捨てに行っていたかも知れませんね…」


アコは悪気もなく懐かしそうに言ったが…


「マリアンヌ様、本当なのですの?」


「そっ、そんな事ありましたかね… ちょっと記憶が…」


マリアンヌは必死にとぼけている。


「それ覚えています… 私達に失礼な事を言ったからお父様が怒っていたのですよ? お父様はいつも私達娘の味方ですからね」


ラサラが嬉しそうに言う…


「それは私がいけなかったのですけども… お父様に捨てられそうになっていたと知ってしまうと、少しショックで悲しくなりますわ…」


サーラがガッカリとしている。


「サーラ、昔の話だ忘れろ… ほら、女王様としての公務用の派手なジュエリーも作ってきたから、機嫌を直せ…」


式典などの行事に付ける派手なのを女王達全員に配る。


「お父様、ありがとうございます! とても素敵ですわ!」


サーラは機嫌を直して喜んでいた。


ジュエリーを配り終わると物欲しそうな顔をした3人がいた…


「忘れていたな… カーラお前にもある。可愛い娘だからな…」


そう言って渡してやると、カーラは複雑そうな顔をしていた。


「あの… 私のは?」


「なぜ、俺がパチーナにやらなければならない! ナオトに頼め!」


「私は元カノだからありますよね?」


「捨てて出て行った女にやる物はない!」


魔王は、そうエミリアに言ってやった。


「パチーナ! ジュエリーなら僕も自分で作ったのなら持っているよ? どれが良い、選びな?」


「ナオトさん、私にもください!」


パチーナとエミリアが駆け寄って行く… テーブルに置かれたジュエリーを見て…


「なんですかこれは? 粘土細工? 魔王様が奥様達に配ったようなデザインがいいです! 作り直してください!」


パチーナにバカにされ、それから、ナオトは何度も作り直しをさせられ。


エミリアもナオトにもらったジュエリーをヤマトに作り直させていた。


ナオトとヤマトは酔う暇もなくジュエリー制作をさせられていた。


エルフィーは以前アモンがプレゼントしたダイナモンドのジュエリーを身につけている。

アモンが魔王と一緒に採掘して魔王が加工した物だった。

それをパチーナとエミリアに羨望の眼差しで見られて、ご満悦であった…

アモンは自分だけ助かり、ホッと胸を撫で下ろしていた…


一夜明け、翌日…


「さあ、じゃんじゃん買っていけ!」


皆で買い物だ。エルザはサナリーを連れて料理の材料を買いに行く。


ゲンキー嫁ーズはイーシャが中心となり6人が分担して買い物をしていく。

7人全員が残り買い物に参加していた。

家に帰るとエルザの料理教室が始まる。

参加者はサナリー、マリアンヌ、ルルシュ、ハル達4姉妹とラサラ、サーラ、カーラだ。


「私も手伝った方が良いですか?」


セシリーが聞く。


「任せておけばいい… セシリーは俺専用の料理しか作れないだろう?」


「はい、アナタ専用です」


セシリーは満足そうに頷き。


助手にはカミラが付いた。

適材適所であった。

 

「アコ、お前は習わなくていいのか?」


「私が覚えられると思いますか? 私が作った料理、食べたいですか?」


「いや、大丈夫だ… 精のつく物ばかり食わされそうで怖い…」


「それもアリですねー、やっぱり私も習ってきまーす!」


アコも習いに行ってしまった… 余計な事を言ったと後悔してしまった…


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