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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
20/546

その20

魔王は世界会議に出席して派手に悪態をついてきた。

その結果、聖神国フォーリーン以外の国は敵となった。


「世界が敵となった。まあそれはいい、俺は嫌われてもな、魔王だし…

だが、聖神国フォーリーンは俺が去ったあとも大聖女が我が国を支持して連合を除名処分となったらしい…」


魔王は愛に説明し、こうなったら仕方がない一度話をしてみるか、そう告げて大聖女達を国に招く事にした。

孤児達を気にしているシスターを連れて来て構わないともした。


大聖女と教皇、枢機卿が4名、聖騎士60名、シスターが50と大所帯でやってきた…

シスター達は孤児院にいかせて大聖女達はアリに国を案内させる。

その後、城にて会談を行う運びとなった。

ギガンティスからは魔王、ヤマト、シンリー、まりん、ミーナの内政担当者達。

フォーリーンからは大聖女、教皇、枢機卿4名、お互いが挨拶をする。

今更だが、大聖女の名はルルシュ、新教皇はヨハネ、枢機卿は割愛…


「まず、前教皇の無礼をお詫びします」


ヨハネが頭を下げた。


「もうその話は良い、先に進まない…」


「はい… すみません…」


魔王が言うと再び頭を下げる。


「ところでだ、今後はどうするのだ?

世界連合を除名されたと聞いたが?」


魔王は面倒な建前的な話はせず。

いきなり本題に入る。


「はい、大聖女様が少々語り過ぎまして…

我々といたしましては一国に肩入れした訳ではないのですが… 一方的に…」


ヨハネが言い淀む。


「そうか、実害はあるのか?」


「各国の教会の閉鎖と撤収を言い渡されました…

既に職員達に対する嫌がらせが始まっており力ずくで閉鎖された所もございます…」


ヨハネは困った顔をしている。


「しかし急だな… 教会は、この世界にとって必要性が高いはず。

神への祈りや治療はもちろん、お払いや呪いの解除、孤児院… どうするつもりなんだ?」


魔王は不思議に思う。

教会との繋がりを切るのは国にとっても都合の悪い事であるからだ。


「新興宗教の教会にするそうです…」


「教会ってお前らの建物だろう?」


「そうですが、こうなっては逆らう事はできません…」


「今後はどうするんだ?」


魔王が聞くと全員が黙り込む…


「お前ら、この国をどう思う?」


魔王の問いにルルシュが返事をする。


「皆様が平等で素晴らしい国でございます!」


ヨハネは…


「理想ですが世界が受け入れるかと言えば…」


そう答えて口籠る。


「このまま自国に篭って時を待つのもいい…

ただ、状況によっては攻め込まれる可能性もあるな」


魔王がヨハネに告げると青い顔をして考え込んでいる。


「まあ、攻め込まれたら早めに逃げる事だ。我が国に受け入れよう…」


ヨハネが何かを話そうとしたとき…


「それならば、聖神国フォーリーンを大魔王様の庇護下に入れてください!」


ルルシュが立ち上がって叫ぶ!


「それは皆の考えか? 庇護下に入ると言う事は大魔王国の一部となるんだぞ? もう後戻りができなくなる。

皆と相談して良く考えてみろ…」


魔王がそう提案して会談は終了した…

この状況で国を拡張して国民を増やす事には些か問題がある…

だが、小さな国で住人が3万、8割が聖職者、神気に満ちていて殆どの人は善人だ。

あの国に魔人が誕生したのが不思議でならないほどに…

シンリーに相談したところ庇護下に置いても大丈夫との返事だった。


そして、魔王は皆を招待して食事会を開く。

愛やリリ、ヤマト、ギャリソン、まりん、ミーナ、アリ、ナオトは誘ってもいないエカテリーナを連れて来ている。

開発チームの3人も呼びフォーリーンの者達と親交を深める。

もちろん、ギャリソンは魔族、ミーナはハイエルフ、マルはドワーフとして紹介したが聖職者達は亜人に対しての嫌悪感はなかった。


魔王はルルシュに「俺の天使だ!」とリリを紹介したら「天使様!」とキラキラした目で見て手を組み祈り始めた…

魔王は慌てて「俺の!」を強調して祈るのを止めさせていた。

聖女というのは純粋で世間知らずな者ばかりなんだと魔王は思った。

そして、こんなのが国のトップの一角だと思うとフォーリーンは潰されてしまう気がしてならないでいた。


食事会の終盤に開発チームが魔王に声を掛けてメインプロジェクトは順調に進み搭乗型の空飛ぶ魔導ロボットも試作機が完成したとの報告を受けた。


食事会は満足なものとなっていたが、フォーリーンとの親睦を深めるための食事会だというのに、ただ、メシを食い隅の方でイチャイチャしているナオト達を見たときはイラっとして「魔王のイカズチ!」を放ったのは言うまでもない。

2人に睨まれたがどうという事はないと魔王は鼻で笑った。


翌日、フォーリーンの面々は帰って行った。

ルルシュとヨハネには1台ずつケータイを渡して緊急事態になったとき連絡が取れるようにした。


そして、マルの工場に行く。

前日に話を聞き魔王は朝からソワソワとしてじっとしていられなかった…

さっそく見せてもらう。


「じゃじゃーん!」


将がハイテンションで搭乗型ゴーレムの魔導ロボを見せてくれる!


「おおー!」


魔王は思わず声を上げる。

背丈は8m 人型で尾と羽があり頭はドラゴン風!

個人的には聖騎士が乗る昆虫モデルがよかったが、人型はバランスを取るのが難しく尾をスタビライザーとして付けたためにドラゴンモデルになった。

機体のコードネームは「ドラグーン」と命名した。

コックピットは機体の上半身のボディの中に座って乗り込むタイプだった。

モニターは360°スクリーンで操作レバーに魔力を込めてレバー操作と魔力操作を同時にこなして動かす。


森に運び出して試運転をする事にした。

跪いた状態のドラグーンの胸に乗り込みハッチを閉じる。

魔力を込め立ち上がりレバーを押しゆっくりと歩き出す…

立ち止まり再び魔力を込める。

羽が開き魔導粒子を吹き出しながら浮き上がる!

10mほど浮き上がりアクセルを踏み一気に加速する!

レバーを左右に操作して方向転換をする。空中の動きは良い!

剣を鞘から抜き構えて振る!

ぎぎぎーっとゆっくり剣を振り下ろす…

まだ完成には程遠いようだ。

着陸させて走ってみる。バィーン! バィーン! バィーン!と走るが、遅く、振動も酷い。

まだまだ改良の余地は沢山あるが試作型としてはなかなかだった!

開発を詰めていけばものになる!

素早く滑らかに力強く動き単騎でグリーンドラゴンを倒す。

それを目標にしている。

開発して量産… まだ数年は掛かりそうだった。


(開発チームには頑張ってもらわないとな…)


魔王が考えていると少し離れたところから強い魔物の気配がした。

少し気になりドラグーンを止めて降り自力で飛んで様子を見に行く。

子供がワイバーンに襲われていた。


(ヤバい!)


咄嗟に剣を抜きワイバーンの首を斬り落とす!


「大丈夫か!」


魔王が少年のそばに駆け寄る。

10歳ぐらいの子供で手足は千切れて悲惨な状態だが息はある。


「エクストラヒール!」


魔王が治癒魔法を放つ!

子供は光り輝き傷は治り手足は再生していく。

意識も戻っていた。


「大魔王様!」


少年は驚き手足を確認して泣きながらお礼を言い続ける。


「まあ良い、泣くな。男の子だろう。痛いところはないか?」


「うん!」と、頷く。


「何があった!」


「父さんの狩に付いて来たら迷子になって…」


「それで、ワイバーンに襲われたのか?」


魔王の問いに「うん」と頷く。

少し離れた所に数名の魔族の気配がする。

子供を抱き上げて空を飛ぶ。

子供が「わー!」っと喜ぶ。

子供を抱いて降り立つと…


「サイガっ!」


親が駆けて来た。

魔王は事情を説明する。


「目を離すでない! たまたま通りかかったからよかったが危うく死なすところだったぞ!」


親に怒っていた。


「まあ良い、狩りの途中か…

この先にワイバーンが転がっている。今、倒した奴だ、お前達にやろう持っていけ。ボーズ、名前はなんと言う」


「サイガです!」


「そうか、覚えておこう。またな」


魔王はサイガの頭を撫でて去って行った。

その足でドワーフの街に行き魔導飛行船のドックに寄る。

戦闘用魔導飛行船1番艦ミラージュの横にズラーっと並ぶ完成間近の9機の戦闘用魔導飛行船シャドウを眺める。

ミラージュ程の性能はないがデチューンされて汎用性を高めて扱いやすくなっていた。

過剰戦力かも知れないが兵力が圧倒的に少ない大魔王国ギガンティス。

いつかは日本に帰る気でいる魔王は、この国を去る日の事を考えて防衛力を高める努力は怠らないでいた。


魔王が魔導飛行船を見ているとガラパゴスが鳴り響く。


「もしもし」


「父さん、なんかあった? ドラグーンは?」


「はっ! 忘れた!」


将からの電話でドラグーンを森に放置した事がバレめっちゃキレられていた…

魔王は泣きそうになりながらドラグーンを取りに行ったのはナイショの話。

物忘れの激しい年頃だから仕方がないだろうと魔王は思ったが息子には言えずにドラグーンを返しに行き平謝りをした。


フォーリーンの連中が帰って1ヶ月が経ち魔王のガラパゴスが鳴る…

相手は大聖女ルルシュだった。


「魔王様! 私達を魔王様の元に迎え入れてもらえないでしょうか?」


唐突に頼む。


「国ごとか?」


「いえ、教皇様や枢機卿の方々は反対しております…」


「そうか、じゃあお前だけが我が国に来るのか?」


「魔王様の国に行きたい者は沢山おります」


ルルシュはギガンティスでの会談のあとフォーリーンで何度か会議を開いた。

ルルシュを筆頭に聖女達はギガンティスに吸収される事を望んだ。

だが、ヨハネ教皇と枢機卿達はそれを拒み決裂して強引に話を終わらせた。

だが、諦められないルルシュと聖女達は教皇達の反対意見に納得が出来ずに亡命を望んでいる。

その際、神官やシスター、聖騎士も一緒にとの事だった。


「俺としては受け入れる事は構わんが教皇達はルルシュ達が出て行くことを知っているのか?」


「いいえ、知れば反対されて見張りが付くと思います」


「そうか、では内密に希望者を移動させねばならんな… ところで何人だ?」


「1万人ほど…」


魔王は、ぶっ! と飲んでいたお茶を吹き出す!


(1万人! フォーリーンの人口は3万人のはず、その1/3か…)


魔王は不味い事になったと考える。

住む場所や仕事もそうだが、それは大した問題ではない…

魔王の心は昭和の日本人、普段、無茶苦茶な事をしている割に波風は立てたくない。なるべく穏便に済ませたい派であった…


「わかったが、1万人となると、騎士はいいとしても、全員が聖職者として働けないぞ?

一般人にならなければならない者も出てくるがいいか?」


「構いません、全員、覚悟の上です」


「しかし1万人か、どうやって運ぶかな…」


「5日後、教皇様と枢機卿の数名が連合会議に出かけます。

その時が良いかと思います」


「連合会議か? ルルシュの出席は求められなかったのか?」


「教皇様は連合に聖神国フォーリーンの除名処分の取消しと各国の教会の復活を求めに行かれます。

私が行くと都合が悪いと外されました」


「連合復帰か、今更だな…

解った、その日で何とかしよう!」


魔王はヨハネの態度に呆れてルルシュ達の亡命を認めた。

通信を切り皆を集める。

愛、ヤマト、シンリー、ギャリソン、まりん、ミーナ、ナオト、アリ、フィン、将、そしてヨシヒデ、総勢11人。


「フォーリーンの亡命者を受け入れる事にした!」


皆の前で宣言する。


ルルシュとの話を説明すると、ヤマトが…


「まあ、そうなるわのう…」


悟ったような顔をして頷く。


「とりあえず日がない、受け入れる準備と迎えに行く算段を考えねば!」


(しかしどうするか… 歩いて来させるにはちょっと遠いし、うーん…)


魔王が考えていると、ナオトが…


「戦闘用魔導飛行船シャドウを使おう」


そう提案してきた…


「シャドウには客室はないぞ?」


魔王は怪訝な顔で聞く。


「シャドウなら数分で着くし貨物室に乗れるだけ乗ってもらおう。

詰めれば500人は乗れるはず」


「今、シャドウは何機あるんだ?」


「10機だよ。試運転がてら飛ばしては?」


ナオトと話していると将も提案する。


「そうだな、それでいこう!」


魔王も納得して輸送の話は纏まった。

続いて…


「ヨシヒデ! 1万人の住居を頼む!」


魔王の丸投げにヨシヒデは唖然とする…

ギガンティスには常に予備の家が建ててある。

それは魔王が気まぐれに奴隷や亜人を連れてくるときのためにだった。

だが、流石に1万となると…


「うーん… いつ住民が増えても良いように家のストックはあるんだが…

国中に散らしても5千かな…」


ヨシヒデが困った様に呟くが、5千も造り置きがあるのには魔王もビックリだった。


「あと半分か…」


「とりあえず教会や孤児院、騎士団宿舎と空いている場所に住んでもらい家が建ち次第移ってもらうのはいかがでしょう」


アリが提案する。


「仕方がない、それでいこう!

ヨシヒデ、明日から俺も建築を手伝う。しばらく頑張ってくれ」


魔王は自分の魔力量なら五千軒の家を建てる事などチョロいと内心思っていた。


「じゃあ僕も…」


なんとなく乗っかり、そっと手を上げるナオト。


「私もやるわ!」


愛はやる気満々で手を上げて参加を決めた。


翌日から大魔王の建築無双が始まる。

そして5日後に迎えに行くとルルシュに連絡を入れた。


翌朝、「親方おはようございやす!」


魔王と愛はTシャツの上にポケットが沢山付いたベスト、下はニッカポッカと足袋。

ザ、昭和の職人スタイルで参上した!

魔王はブルー、愛はピンクで揃えた。


「親方! なにをしやしょう! モルタルでも運びやしょうか?」


魔王はノリノリだった。


「いやいや、日本の建築みたいな事はしねぇから…」


ヨシヒデは呆れている…


(そういえばそうだった…

魔法でパパーっと建てるんだった。忘れていた…)


魔王は顔から火が出そうになる。

恥ずかしくてギャグっぽい感じを出して誤魔化していたがヨシヒデにはバレバレだった…


土魔法で家をイメージして魔力を込める…

土が盛り上がり家の形となった!


「おじいちゃん、これじゃ3匹の子豚の家だわ!」


愛が笑いながらツッコむ! 思ったより難しい…

家を見たヨシヒデに呆れられ…


「魔王は無理して手伝わなくていいから!」


手伝いを断られていた…

だが少しでも力になりたいとお願いして魔王と愛は整地と土台を担当することとなった…

ちなみに愛も建築魔法は苦手だと判明した…

ときどき手伝っていたというナオトは器用に家を作る。


(あの野郎! 器用に家を造りやがって! 何でも出来るイケメンは嫌いだ!)


魔王のヤキモチが爆発して「魔王のイカズチ」を放つ!

それをナオトはレジストした⁉︎


(やっぱり嫌いだ!)


魔王は拗ねていた…

それでも頑張って手伝ったが役に立たないらしく愛と共にグビになってしまう。

次の日、城にリリを呼んで土の家を作って見せた。


「魔王様すご〜い!」


そう褒めてくれた。


「リリ、やっぱりお前は天使だ!」


リリの一言で魔王の機嫌は治っていた…


そして決行の日となる。


10機のシャドウを間隔を空けて飛ばす。

魔王は1番機に乗り聖神国フォーリーンに到着する。

そして、正門の前の広場に勝手に着陸させる。


「よう! お前達、迎えに来たぞ?我が国に移住したい者は乗り込め。

次々と同型艦が来る。希望者は1人残らず連れて行ってやる」


魔王は上空を指差して門の中で集まる移住希望者達に魔法を使い声を届けた。

そして、魔王が指差す上空にはシャドウが数機浮かんで待機していた。


「魔王様、お世話になります」


セシリーが魔王の元に駆け寄る。


「セシリー、我が国に来てくれて嬉しいぞ。

困った事があれば相談してくれ力になるから…」


セシリーは魔王のお気に入りだった。


「魔王様…」


セシリーはキラキラした目で魔王を見ていた。

しばらく魔王と話をしてからセシリーは聖職者達の誘導を手伝っていた。


「どういう事ですか!」


小太りで豪華な神官服を着た男が怒鳴りながら歩いて来る。

その部下達が移住希望者に街に戻れと威嚇している。


「うん? 亡命者を迎えに来ただけだが?」


魔王は悪びれる事なく答える。


「ヨハネ様の留守を狙ってからに…」


男は真っ赤な顔をして怒っていた。


「魔王様、枢機卿のフトッチョ様です…

前教皇の派閥のトップで今はヨハネ様に取り入ろうと必死です。

孤児達を売った件にも絡んでいます。

無視すればよろしいかと…」


セシリーがその男の名前と悪事を告げた。


「お前達… まあ良い… 少し寝ていろ。魔王の波動!」


フトッチョとその部下に魔王の波動を浴びせて意識を刈り取る。

魔王は邪魔なフトッチョ達を蹴飛ばして広場の脇に寄せた。

他にも文句を言いに現れていた枢機卿のグループがフトッチョ達のやられる様子を見て、そそくさと戻って行った。


「さあ皆の者、安心してシャドウに乗り込め」


移住希望者達が次々と乗り込みシャドウが飛び立つ。

そして次のシャドウが着陸して乗せては飛び立つ、ピストン輸送をしていた。


「魔王様、予定より多くなってすみません…」


ルルシュが謝っている。


「なに、大した事ではない…」


魔王は気にするなといった感じだが…


(1万人の予定が1万2000人か… ヨシヒデになんと説明するか…)


内心は困っていた。

移住を悩んでいた者や、本日、初めて移住を知った者達も移住をしたいと申し出て魔王は断る事が出来ず。

家が造り終わるまで数人での共同生活になると説明して許可を出した。


「さあ、お前達が最後だ。ルルシュ、聖女達、乗れ。

セシリーも手伝いをありがとうな、さあ国に帰るぞ」


最後の便に魔王も乗り込みギガンティスに帰る。

文句を言っていたフトッチョ達はまだ広場の隅で転がっている。

そして、他の枢機卿やフォーリーンに残った者は去って行くシャドウを眺めていた。


数日が経ち…


「魔王様、この国は素晴らしいですね…」


城に訪ねてきたルルシュが満足そうにしている。


「そうか、ならいいが… だが、ヨハネからルルシュ達を返せ的な信書が届いていたぞ?」


魔王がルルシュに教える。


「そんな… ちょっと待ってください…」


ルルシュは魔王に言い、おもむろにケータイを取り出して電話する。


「もしもし、ルルシュです。

私達はもうギガンティスの人間です。フォーリーンとは関係ありませんから付き纏わないでください!」


ガチャ! 一方的に捲し立ててケータイを切った。


プルルル、プルルル…


「ちょっと! しつこいですよ!

付き纏わないでくださいと言いましたよね!

やめてください! 変態!」


折り返し掛かって来たケータイに出て一方的に文句を言って切っていた。

その後も何度か連絡があったがルルシュが冷たい態度で断り続けてヨハネからの連絡はなくなった…


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