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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
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主役は魔王2

「お父様、今日は何をなさるのですか?」


アキが聞く。


「今日はアコのアーティストデビューコンサートなんだ! 本当はもっと早くやる予定だったが、ベーダーゴッコに熱を入れ過ぎて伸び伸びになっていてな。今日がようやくその日なんだ… アキ、今日も凄く可愛いぞ!」


「ありがとうございます」


とりあえずアキを抱きしめる。

魔王達はエメラーダのイベントホールに来ていた。


「あの… 僕の妻をやたらめったら抱きしめるのを止めてくれますか?」


ゲンキーは苦言を呈す。


「ゲンキー、男のヤキモチは見苦しいですよ? 全てはお父様のために存在するのです。そんな事を言っては駄目ですよ…」


ゲンキーはシンリーに嗜められていた…


「セシリーママの強化版が生まれてしまった…」


ゲンキーの呟きに…


「真理のイカズチ!」


「痛っ!」


シンリーはゲンキーにだけ当たりが強かった…

ゲンキー達はしばらく魔王の家に滞在する。

アース星の王座を直ぐに譲る話もしたが、ゲンキーの妻達が楽をさせると、脛齧りに戻ると恐れ、しばらくはカシュー星で冒険者を続ける事とした。イーシャも一緒に7人で住み、6人で冒険者パーティーを組む。イーシャは家を守る係りをする。

とりあえずSランク冒険者を目指し頑張り、いずれはアース星の王と女王ーズになる予定とした。


「お父さん、似合っていますか?」


カコが魔王の目の前でクルンと回る。


「カコ、凄く可愛いぞ!」


「違います! カーコフェアリーです!」


アンとカコはフェアリーズの衣装にマスカレードマスクを付けコーラスや一部の歌を歌う。


「お父様、その格好は⁉︎」


ザ、魔王的な痛い衣装を着ている… それを見てナツが思い出す。


「ああ、ドローンのときのだぞ? コンサートのリハーサル中でな、シンリーからの緊急コールで、仕方がなく、この格好でライブ画像を転送していたんだ…」


魔王は恥ずかしそうに説明した。


「いつも、お父様達が見守っていてくれていたんですね…」


ハルは嬉しそうだった。


「お父さんまさか! 僕達のアレを…」


ゲンキーが何かに気づき青い顔をする…


「部屋の中やプライベートな事は撮っていないぞ?」


そう説明して安心させてやった…


「私、お父様達と絡めなかったから少し寂しいです…」


ラサラとはドローン中継だけで、直接の絡みはなかった。


「ラサラ、実の父だと思って甘えてくれて良いからな。今度、2人で美味しいケーキを食べに行こう」


「はい…」


ラサラは嬉しそうだが…


「あの、息子の妻をデートに誘わないでくれますか?」


ゲンキーがいちいちうるさい。


「冗談だ、フェアリーズも当然一緒だ!」


「はい、ラサラお姉さんとも仲良くしたいです!」


カコがそう言うとアンも頷いていた。ラサラも凄く嬉しそうだ。


「ゲンキー、お父様は常に皆さんの幸せだけを考えています。貴方の小さくて狭い心では、お父様の考えを理解できないかも知れませんが、せめて疑わないでください」


シンリーはゲンキーにだけ辛辣だった…


「はい、すみません…」


そして、ゲンキーはシンリーに逆らえない…


ゲンキー達は観客席に戻って行き、コンサートはスタートする。

魔王は今、セットの一部とかしている。


アコが楽しそうに歌っていた。


「どう考えても俺は必要ないんだが…」


「いいから! 口を動かさないで立っていて!」


アンに注意されている。

ただただ、変な魔王スタイルで立たされていた。

コンサートは順調に進む。フェアリーズのコーラスは完璧だった。


「皆さん! 今日は本当にありがとうございましたー!」



アコの挨拶でコンサートは終了する。


全員で打ち上げだ。当然のように温泉旅館だ。


「とりあえず風呂だな、お父さんとお風呂に入る人!」


「「「「「はい!」」」」」


ゲンキー嫁ーズ全員が手を挙げる。最近慣れたようで冗談に乗ってくれる…


「ちょ、ちょっとやめてください…」


ゲンキーが泣きそうな顔で焦る。


「冗談に決まっているだろう? 最近出来た娘でさえのってくれるのに、息子のお前だけなぜ真に受けるんだ?」


魔王はやれやれといった感じを出していた。


「ゲンキー、お父様が皆さんを和ませようとしているのがなぜわからないのですか?」


シンリーにも呆れられている…


「すみません…」


ゲンキーは、しょんぼりしながら家族風呂に行った。


「さあ、私達も行きますよ!」


アコが張り切っているが…


「お母さんはこっちですよ? お風呂で反省会をしますから」


アコはカコに手を引かれて、ベソをかきながら女風呂に連れて行かれた。


魔王達も家族風呂に行く。


「魔王様…」


「シンリー駄目だ…」


「やってみたかったんです…」


「そっ、そうか、でもそろそろ…」


だんだんと腰が引けていく…


湯船に浸かっていると…


「シンリー様!」


リリ達、寂しん坊チームが入って来る。


「リリ、お久しぶりですね…」


「はい…」


会話は続かないが、リリは歓喜極まっていた…


「シンリー様、お久しぶりです…」


「ミキも久しぶりですね」


ミキがガンガイアに来て城に住んでいた頃、シンリーに世話になっていた。

メールだけが蚊帳の外だ。


「シンリーさんは魔王様好みの可愛い感じの美女巨乳なんですね」


メールがそう言い驚いている。リリとミキがジト目で魔王を見る。


「違う、たまたまだ! 選んだ訳じゃないから!」


ついつい焦って言い訳をしてしまう。


「本当ですよ? お優しい魔王様が魂の消えかけた少女を救う過程でこの身体になったに過ぎません。貴方達2人は魔王様の深き心を知るべきですね…」


魔王は、シンリーの横でドヤ顔を決めていた! 2人は悔しそうな顔をしていた…


宴会場に行き打ち上げスタートだが…


「魔王! 呑ませてもらうぜ!」


ヨシヒデがヤマトやナオトを連れてやって来た。


「シンリーがこんな別嬪さんになるとはな…」


ヤマトが羨ましそうだ…


「もともとシンリー…マリもマーラもマリアも皆、今と変わらないぐらい美人で可愛かったんだ!」


「魔王様…」


シンリーが嬉しそうだ。


「羨ましいのぅ… オッパイもボインボインじゃ…」


ヤマトが言い終わる前に、ミーナに叩かれて連れて行かれた…


「シンリーなのか…」


ナオトが感慨深いようだが…


「ナオトさん、魔王様に迷惑ばかりかけないで、そろそろしっかりしてください! 貴方は左腕となる存在ですからね!」


「はい…」


ナオトもシンリーには頭が上がらなかった…


「魔王様、そちらがシンリー様ですか!」


アモンが聞く。


「アモンさん、お久しぶりですね… 魔王様のために、頑張っている姿はいつも見ています。これからも右腕として支えてあげてください…」


「あっ、ありがとうございます!」


アモンはシンリーの褒め言葉をうけ目に涙を溜め感動に打ち震えた。

そしてナオトをドヤ顔で見ていた。ナオトはその視線に歯軋りをして悔しがっている。


「なんか、シンリーさんの会になっちゃいましたね…」


アコが寂しそうだ…


「そんな事はない。凄く良いコンサートだったぞ? 皆、アコの素晴らしい歌声に聞き惚れていた。フェアリーズもとてもキュートだったぞ!」


アコとアン、カコは凄く嬉しそうだった。


「ほんとですよ、こんな素敵なママをサキュバスだと私達に嘘ばかり教えて…」


そうナツがそう言って4姉妹はゲンキーを見る。


「あながち、嘘でもないんですけどね…」


ゲンキーが呟く…


「まだ言いますかー! 魔王様、なんとか言ってあげてください!」


アコが怒っているが…


「………」


「魔王様! 黙らないでください!」


「実は俺もそう思っていたり?」


魔王が目を逸らして呟くと…


「ですよね…」


ゲンキーも小さく呟いた…


「もー! なんなんですか! この親子わ!」


アコが激オコだった!


「ウチの主人と息子がすみません…」


エルザがアコに頭を下げて謝っていた…


「お母さんはアレですよね、もう少し落ち着いた方がいいのかも知れません。ママ達の中で浮いているときがありますよ?」


カコにもダメ出しされ…


「すみません、気をつけます…」


ちょっと落ち込んでシュンとしていた。


「あっ、あれ? いつもここで抱きしめられるんですけと…」


アコが落ち込みながら、魔王を見る…


「ああ、今日はシンリーとベタベタするのに忙しいからな… ゲンキー、息子だろう? 代わりに抱きしめてやってくれ…」


魔王がゲンキーに頼む。


「嫌ですよ、精気を吸い取られたくありません!」


ゲンキーが嫌そうに言うと…


「こっちから願い下げですし! 精気なんか吸い取りませんから!」


アコが元気になっていた。


「しかしゲンキー、貴方の私達に対する評価は相当酷かったわよね?」


愛が睨む!


「すっ、すみません… お父さんと同じで場を和ませようと…」


「そんな風には聞こえなかったけど?」


愛が怪訝な顔をする。


「すみません…」


ゲンキーは小さくなっていた。


「ゲンキー! 暇なら魔王軍に顔を出せよ?」


アモンが声を掛ける。


「勇者軍にもおいでよー? 僕がチャラくないところを見せるから…」


ナオトも誘う…


「僕、毎日忙しくて…」


ゲンキーが言い訳をするが…


「ゲンキー、妻達を連れて行ってこい!」


魔王に命令される。


「お父さん、僕の妻達をあの地獄に?」


「ゲンキー、地獄は失礼だぞ?」


アモンがイラっとして睨む!


「それは言葉のあやで…」


ゲンキーはしどろもどろだ…


「ゲンキーは魔王軍の訓練に参加! 可愛い娘達は、冒険者用の装備をオーダーだ! お父さんがドラゴンに齧られても傷つかない、なおかつ、可愛い装備を造らせるからな…」


魔王はデレた顔で説明した。


「「「「「ありがとうございます!」」」」」


義理の娘達にデレデレであった…

ゲンキーが遠くを眺めて、ため息を吐いていた…


「ゲンキー、勇者軍もだぞ? 当然、ゲンキーは訓練だ! 娘達にはボニー達に魔道具を作ってもらうからな」


既にゲンキーの目は虚だった。


「じゃゲンキー、家を建てるのは後回しにした方がいいな! ガッハッハッハッ!」


ヨシヒデが豪快に笑っている。


「今すぐお願いします! 早く帰らないと、僕、死んじゃいますから…」


ゲンキーが必死に頼んでいた。


そして数日が過ぎて家が完成する。


カシュー星のゲンキーハウスに、魔王達が送りに来ていた…


「お前達がいなくなると寂しくなるな…」


「お父さん…」


ラサラも寂しそうに抱きつく。するとピカーっと光る。ハル達も順々に抱きついていき光る。


「ほら、イーシャも今日から妻だから、俺の娘だ!」


そう言って抱きしめ光る。

一通り終わり帰る時間になる…


「お父さん、泣いちゃいそうだぞ?」


魔王は義理の娘達とウルウルした目で見つめ合う…


「あの… その扉を開けると実家と繋がっていますが…」


ゲンキーが呆れている。


「それと、光った事をスルーしないでください」


ゲンキーが怪訝な顔をする。


「ああ、新しく開発した、魔王の娘と言う加護を与えた!」


魔王が教える。


「また、勝手な事を… どんな効果があるのですか?」


ゲンキーは文句を言いながらも興味津々だ。


「なに、俺の娘として1番美しいときの姿で永遠に生きるだけだが? 娘がババになって先立たれると悲しいだろう? ほらアンとカコもおいで」


アンとカコも抱きしめて加護を与える。


「別れたらどうするんですか?」


ゲンキーが言うと…


ゲンキー嫁ーズに睨まれていた…


「すみません。失言でした。じゃあ僕も… あれ? 光ませんが?」


勝手に抱きつくが光らない…


「魔王の娘と言う加護だからな… お前、息子だろう?」


ゲンキーが青い顔をする。


「僕だけ死んじゃうじゃないですかー!」


ゲンキーが焦る。


「今、魔神の幼体だ、ミニ魔神ぐらいに称号が上がれば自然と不老不死になる。

それまで冒険者をして鍛えればいい、良い目的が出来て良かったな!」


ゲンキーがガッカリしている。


「さて、そろそろ行くか… 娘達よ危険なときは俺を呼ぶんだぞ? 笛を3回吹けば飛んで来るからな?」


皆がポカンとしている…


「マグマ大使かっ!」


ママちゃんがツッコむがダダ滑りだった… 恥ずかしいのでさっさと帰る。


リビングでくつろいでいると…


「「「「「お父さんー!」」」」」


ゲンキー嫁ーズが遊びに来た。


「すっかり懐かれたわね?」


愛が笑う。


「良い事じゃないか!」


魔王はご満悦だった。


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