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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
17/546

その17

建国して1年が過ぎた…

都市も各街も完成して国道、鉄道、空港も出来上がり国の体制を整える事が出来ていた。


国王は大魔王

首相はヤマト

副首相はシンリー


内政は副首相のシンリーが取り仕切り首相のヤマト、愛、まりん、ミーナが協力して国を動かしている。


防衛隊長はナオト

騎士団長はフィン

開発技術長は将

土木建築長はヨシヒデ

農林水産長はタカ


防衛隊は移住してきた冒険者100名と元々北の森を守っていたヤマトの部下、総勢3000人、有事の際に国の防衛をするが普段は森の魔物の討伐やダンジョンの管理等をしてもらっている。


騎士団は元聖騎士250名と希望者を募り総勢1000名で城の警備や街の治安維持に努めてもらっている。


そして、ゴーレム兵、都市開発に使っていたゴーレムを戦闘用に改造した。

魔王の趣味もありアニメに出てくるロボット風な見た目となった。

それが1万ほど…


ギガンティスは兵力こそ少ないが…

魔王、ギャリソン、ナオト、アモン、そして切り札となるであろうヤマト!

世界と渡り合う力が充分にあった。

そろそろギガンティスを除く、この大陸の国々が集まり会議を開く。

この平和も長くは続かない…

そして魔王は誕生日を迎えて通算で66歳となった。


1年前、日本に行き息子家族を連れて戻った。

だが、女房と娘には会う事すら叶わなかった…

魔王は、この1年、努力はしたが日本への転移と時間を操る事は出来ないでいた。

それでも諦める事はなく日々模索している状態だった。


そんなとき、アリとフィンが城に訪ねてきた。


「聖神国フォーリーンから親書が届きました」


アリから親書を受け取り目を通す。

大聖女が受けた神託について話がしたいとのことだ…


「無視してもいいか?」


魔王は面倒くさいとばかりに答えるが…


「大聖女様が受けた神託なら行くべきです!」


アリは目を輝かせている。


「そうか、面倒だが行くとするか…」


魔王はやれやれといった感じだった。


「私も連れて行ってください!」


アリが希望する。


「構わんが、悲しい結果になるかもしれないぞ…」


魔王が告げるとアリが頷いた。


フォーリーンには魔王、アリ、シンリーの3人で行く事にした。

護衛はフィンを含めた元聖騎士達を選んだ。

大魔王国ギガンティスと聖神国は隣接していて魔導車で向かう。

最新のリムジンで乗り付けたかったがフォーリーンの道路は舗装されていないためジープっぽい4駆で向かう。

騎士達のオフロードタイプの魔導二輪が四方を固めてガードしながら走行する。

この世界には似つかわしくない光景だった。


あっと言う間に到着する。

街の門の前で魔導車や魔導二輪を降りて全てをアイテムボックスの中に収納した。

そして、歩いて大聖堂に向かう…

フォーリーンの国土は小さく街の中央には巨大な大聖堂が聳え立つ!

街の住民の殆どが教会職員。

他には商人ぐらいしか住んでいない。

明らかに、この街は経済的に自立していない。

しかし、大陸中にある教会で集めるお布施や聖魔法による治療の収入で成り立っていた。


歩いていると孤児達を集めたときに知り合ったシスターが話かけてくる。


「魔王様お久しぶりです」


「セシリーじゃないか! 久しぶりだな、こっちに戻っていたのか」


魔王はセシリーを気に入っていた。

セシリーは優しくて外見も魔王が昔好きだった機関車で宇宙を旅するアニメのヒロインにそっくりで巨乳というオマケ付きだったせいもある。


「はい、魔王様の国に残った子達は安心でしたがフォーリーンに行く子供達はどうなるかと心配で…」 


「そうか、優しいな」


「いえ…でも、子供達は教皇様の御命令で何処かに連れて行かれました…

私程度ではどうすることも出来ず…」


セシリーは悲しそうだった。


「そうか、それは心配だな…」


魔王は考える…

ついつい悪い方に考えてしまうが聖職者のする事でもあるし孤児達に妙な事はしないだろうと思うことにした。


「俺の方でも調べてみる。セシリーはあまり気にするな…」


魔王はセシリーに優しく言う。


「国に残った子達は元気だぞ!

良かったら顔を見に来てやれ子供達が喜ぶ!

もちろん国に住んでも良いセシリーならいつでも歓迎する」


ギガンティスに誘った。


「はい、私はもうこの国にいる意味がなくなりました。

引き継ぎが終わり次第、魔王様の国に行きたいと思っています…」


セシリーも魔王を信頼していて教会のやり方に納得出来ずに辞めてギガンティスに引っ越す準備をしていたところだった。

魔王はギガンティスに引っ越したら自分を頼ってくれとセシリーに告げて先を急いだ。

そして、魔王だけではなく行く先々でアリやフィン、元聖騎士達が元同僚に声を掛けられていた。

概ね好意的で安心した。


教会本部に到着すると大聖堂に案内されて挨拶も打ち合わせもないまま大きなホールに通される。

吹き抜けで天井は高く10mほどで、あちらこちらに豪華な装飾がある。

巨大な円卓の正面に教皇、左に大聖女、右回りで10人の枢機卿、左回りには聖女達が座り、壁側には聖騎士が並んでいる…

魔王達は魔王の両隣にシンリーとアリが座り、そしてアリの後ろにフィンが立っている状態だった。


挨拶もなく教皇が話し出す。


「神託があった!」


教皇が声を上げた!


「大魔王の国は聖神国フォーリーンに吸収され大聖神国フォーリーンとして世界を導くのじゃー!」


(馬鹿か? コイツは?)


魔王は呆れる。

アリが「そんな…」と言い掛けると遮るように…


「神託は絶対であーる!」


そう叫んだ!


(駄目だ、コイツは馬鹿だ、話しても無駄だな…)


魔王が思い、


「俺が従うと思うのか?」


軽い魔王の波動を出す…


「俺は何者かに呼ばれ、この世界に来た異世界人だ!

この世界の神の命令を聞く必要があるのか?

お前らの神なら、お前らだけで支えろ!

俺の敵となるのなら、たとえ神とでも戦う!」


魔王は澄んだ瞳で教皇や大聖女を見据えた。


「神をも恐れぬ愚か者がー! 神託は絶対なのだー!」


教皇が脂汗を流しながら叫んでいた。


「大聖女よ、お前の神はなんと言った!」


魔王は真実の言霊で問う。


「大魔王を支えて共に歩めと…」


大聖女は勝手に動く口を押さえて驚いた!

そして、その場の全員が青い顔をしていた。


「聖職者が神の言葉を偽るのか?」


魔王は呆れる。大聖女は気まずい顔をしていた。


「嘘だー!」


叫ぶ教皇。


「教皇! お前は孤児達をどうした?」


真実の言霊で問う。


「ふん、あんなガキども他国に売ってやったわ!」


青い顔をしながら自白する。


「お前、俺の国をどうするつもりだ?」


「決まっておる。ワシが王となり世界を導くのじゃー!」


口を手で押さえるが話すのを止めることが出来ない!


「クズだな… この世界は聖職者ですら腐っているのか?

今まで会った聖女やシスター、聖騎士は、皆、素晴らしい人物だったというのに上がこれではな…」


魔王は心底ガッカリしていた…


「黙れ! 黙れ! 黙れ! 黙って従えー!

ワシが! ワシこそが! 世界の王になるのじゃー!」


悪意の瘴気が集まってくる…

そして、ゴーーー! と大聖堂が揺れる!


「不味いな… おい! 大聖女! 大規模な結界は張れるか!」


魔王が大聖女に大きな声で聞いた。


「はい!」


「そうか、教皇は、この国の人々の魂を吸い尽くして魔人となるぞ! 人々を守れ! 全力で結界を張れ!」


魔王が説明していると10人の枢機卿や聖騎士達の魂が吸われてバタバタと倒れていく…


「早くしろ! 皆、死ぬぞ!」


魔王が叫ぶと、大聖女は結界魔法を発動して聖女達は聖なる光を放ち魔力を上乗せする!


フィンにアリとシンリーの避難を頼む。

アリは残りたいと抵抗したがフィンに無理矢理連れていかせた。

魔王はアリをマリの様にはしたくなかった。

フォーリーンの聖女達は逃げたそうにするが…


「お前らのボスの諸行だ! 責任を持って大聖女の結界維持に協力しろ!」


魔王が怒鳴ると聖女達は青い顔をするだけで返事はしなかった…


ぐがーーー! と吠えて苦しむ教皇、集まった瘴気を体内に吸収していく!

だが、結界のおかげで街の人々は無事だ!

吠え続ける教皇のところに床を突き破って巨大な魔石が現れて同化を始める…


「あれは! 大天使様の魔石!」


大聖女が叫び! 聖女達が悲鳴を上げる!

黙って見ていないで魔人化する前に倒した方が楽だが…

コイツらには全て見せた方がいいと思い、魔王は魔人化が完了するまで待った。

だが失敗だ…

魂が足りないのか? 迫力も強さもない。

邪王と比べるとドラゴンとトカゲぐらいの差がある…

ただ、見た目は邪悪そのもの。

身の丈は4mほどでブヨブヨと太り黒紫の皮膚で血走った真っ赤な眼。口には牙があった。

その姿に聖女達はビビっている。


「おい! 出来そこない! 信仰が足りなかったようだな…」


魔王が教皇魔人を馬鹿にする。


「ガァァァー!」


魔人はただ吠えていた!


「既に理性すらないか… 大聖女、お前達はどうするんだ? お前らで救いたいのなら俺はこのまま立ち去る…」


大聖女は真っ青な顔をしてブルブルと震えながら顔を左右に振った。


「俺なら倒す事は出来るが殺すしかないぞ?」


「お願いします」


大聖女が小さな声で返事をした。


ガァァァー! と吠えながら突進してくる!

ローリングソバットで教皇魔人を蹴り飛ばす。

窓を突き破り外に飛んで行く…

魔王はカリバーンを帯剣し漆黒の鎧を纏い飛び出す。

激しい音と共に地面に落下した教皇魔人が黒い血を流しながら飛び上がり向かって来る。

ひらりと躱して飛びながら誘導する。

避難した聖職者達からも大聖女達からも見えるように位置取りして空中で静止する。


「教皇よ、そんな姿になってまで俺の国を乗っ取りたかったのか? それで神は喜ぶのか!」


魔王は見ている者達にも聞こえるようにデカい声て話し掛ける。

既に自我の無い教皇魔人に言ったところでだが、魔王の自分は悪くない的な演出だった。

「ガァァァー!」と吠えながら教皇魔人は掴みかかってくる。

その瞬間に2枚のヤーが飛び出して四肢を斬り落とす!

教皇魔人は口をガバッと開けて黒い光線を出すが、転移で躱して教皇魔人の背後に現れる。魔剣カリバーンを振り首を斬り落とした!

落下する胴体に「サンダーブレイク!」紫電が落雷して焼け焦げた胴体が消滅する。

その場に魔石だけが残った。

魔石の中には黒いモヤが渦巻いている。

魔石の前に転移して手で触れてモヤを吸い出す。

全てを吸い出した瞬間、魔石が光り輝き消滅した…

それも演出で消滅したように見せた魔石はアイテムボックスに収納されている。

大天使の魔石は聖堂で祀られていた物で教会にとっては大切な物だろうが…


(もう俺の物だ!)


魔王はほくそ笑む。

魔王は仕上げとばかりに吸い出した黒モヤを空中に浮かせて「魔導砲」で消滅させた!


(シンリー、無事か?)


(はい! アリも騎士団の皆様も無事です。

我が国に被害はありません)


(そうか、良かった)


シンリーに確認を取り安心する。


大聖堂の壊れた窓からホールに戻ると、大聖女が待っていた。


「終わったぞ!」


魔王が元気に声を掛ける。


「ありがとうございました」


大聖女は恐縮しながら頭を下げた。


「さて、俺達は帰らせてもらう…」


「大魔王様、申し訳ありませんでした…」


魔王は大聖女に謝罪を受け散々お礼を言われる。

会談のし直しを誘われたが、魔王は断り、さっさとシンリー達と合流して帰路についた。

帰りの車中で魔王はアリとフィンに教皇は昔からあんな感じだったのか?

そう尋ねたところ、昔は神を1番に思う敬虔な信者だったと答えた。

教皇は急激に悪意の瘴気に蝕まれたのかも知れないと魔王は思った。


後日、聖神国フォーリーンから再び会談をしたいと親書が届いたが無視をした。

瘴気に侵された教皇はともかく聖職者は基本的に善人だ。

だからこそ、これから訪れるであろう戦いに彼らを巻き込む訳にはいかない。

神託のためなら命をも投げ出す狂信者達をそばに置いておきたくはない。

マリのときの様な思いは二度とごめんだと魔王は思っていた。


いろいろあったが、魔人を倒して手に入れた「大天使の魔石」は魔王にとっても重要なアイテムで大きな収穫だった。


さっそくマルの工場に行き渡した。

これで、あの計画も順調に進むかも知れないと魔王はニヤリと笑った。



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