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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
134/546

魔王と女神15

「お父さん、お風呂場にピカピカのドラゴンとライオンがいます」


出来たてのジャグジー風呂を見てゲンキーが興奮していた。


「魔王、ついに成金になったのか? こんな物を造らせて…」


ヨシヒデに造ってもらったが嫌味を言っている…


「ヨシヒデだってノリノリで造っていただろう? トキを龍化させてまでディテールにこだわってただろう?」


「俺は作品に手は抜かないんだよ!」


「まあ、そう怒るなジャグジーとサウナな俺の唯一の楽しみなんだ。こんな立派なのを造ってくれて感謝する。

また温泉旅館で宴会しようぜ、竜泉をたっぷり用意しておくから…」


「まあ、仕方がねーな! たらふく呑ませろよ?」


なんだかんだヨシヒデは嬉しそうに帰って行った。


「ゲンキー! 一緒に入るか?」


「いえ、僕はアーシャと一緒に入りますから遠慮します」


魔王は息子を誘うも振られてしまった… 最近、ゲンキーは大人びた口調で話すようになっていた。


「貴方…」


エルザはゲンキーを物凄く心配している。


「俺の息子だ、似てしまったのだ…すまんエルザ…」


魔王は自身の女好きが強く遺伝してしまったのだろう、と思いエルザには謝るしかなかった。

そしてその日は思う存分ジャグジーとサウナを楽しんだ。


翌日はゾラ星のグイン帝国の冒険者ギルドに転移する。

マーリンも一緒だ。研究に使う素材集めに付いて来た。

マーリンの研究施設を持ってからはちょくちょく付いて来る。

飛び級試験でメテオを使いS級となった。

セシリーもS級試験に挑戦し、相手を聖域に閉じ込め数百のセシリードローンに異次元から攻撃させ、S冒険者を一方的に半殺しにしてエクストラヒールで復活させる。それを繰り返して、難なくS級となっていた。

セシリーとマーリンは一気に魔王の妻として有名になりゾラ星の冒険者達から恐れられていた。

依頼をこなしながら、マーリンが必要な素材集めもする。


「なになに、サーペントの髄液、世界樹の実、ワイバーンの目玉、シルバーウルフの牙…」


あちこちに移動して集めていく。

ギルドに戻り討伐の手続きと魔物の買取をしてもらう。

ロビーをウロウロし支払いを待っていると…


「魔王様!」


アンリが仁王立ちしていた…


「久しいな、息災か?」


「息災か? じゃないです! どうしてサンジェルマンのギルドに来ないのですか!」


アンリが怒っている。


「アンリでないと手続きが出来ないとか言われたからだ。お前、結構人気だろう? 待つのが大変なんだ、ここは高ランク専用カウンターがあって快適なんだ」


魔王は普通に説明する。


「そっ、それは… とにかく戻ってきてください!」


アンリは面倒くさい女だった…


「わかった、やりかけの仕事もある、そのうちな…」


魔王は面倒くさそうに言った。


「適当な事を言って帰らせようとしていますね…」


アンリがジト目で見ている…


「魔王様、買取査定が終わりました!」


魔王のお気に入り受付嬢のミミが呼んでいる。


「魔王様大丈夫ですか? ギルマスを呼びましょうか?」


「ミミ、すまんな変な女に絡まれてな…」


ミミが支払いを済ませギルマスを呼びに行く。


「アンリ、貴方はここで何をやっているんです!」


アンリがギルマスのサーガに怒られている。

魔王は、その姿をギルマスの後ろから眺め、あっかんべーをして転移で消える。

魔王は面倒くさい女から逃げ伸びた。


「エルザー、ただいまー!」


ご機嫌でエルザを抱きしめる。


「貴方、ご機嫌なところを申し訳ありませんが… サヤさんがみえています…」


「面倒くさいな、もう一度出掛けるか…」


「貴方、駄目ですよ…」


エルザが困った顔をする。


リビングに行くとサヤが待っていた。


「魔王様!」


「おっ、おう…」


とりあえずハグをする。


「今日はどうしたのだ?」


「カリンさんをお嫁さんにしたと聞いたので、私もお嫁さんにしてもらおうかと思いまして…」


「それがな、駄目なのだ… 定員がある事が発覚した… 俺と一緒にいられるのは5人が限界なんだ…今、6人いる…

マヤ達が去っていたようにアコが去っていく気がしてならない…

この上、サヤを迎え入れたらメールまで去っていってしまうかも知れないんだ…」


既に出て行くのはアコとメールの2択な気がしてならなかった…


「そっ、そんな…」


サヤが口を押さえて驚いている。


「唯一の抜け道で、最近はアコを愛人と思うようにしているんだ…」


「魔王様ー、酷いです…」


アコが拗ねていた。


「大丈夫だ! 俺は絶対に宇宙1可愛いアコを手放したくはない! なんとしてでも守り抜く!」


魔王は熱く語るが、


「なんか違う気がします」


アコは納得がいかなかった…


「だったら、私も愛人に…」


サヤが食い下がる!


「駄目だ、可愛くて我儘で俺をあざとさで落としたパーフェクトエロのアコだから愛人と思える」


「魔王様、何気に酷い事を言ってます…」


(アコすまん、そんな事は思ってないんだが、サヤには諦めてもらいたいんだ…)


(わっ、解りました… じゃ、後でお願いを聞いてください…)


念話でアコに謝る。魔法って便利だ!


「とっ、とにかくだ、もう無理なんだ… すまないが諦めてくれ、俺も断腸の思いなんだ…」


「そんな…」


困った顔のサヤは抱きしめたくなるほど綺麗だった…


(おじい様駄目よ! そこで抱きしめたら取り返しがつかないわ!)


(そうですよ! 私が悪口を言われただけで損した事になります!)


(貴方、断るなら毅然とした態度でお願いします)


愛、アコ、エルザが念話に入ってきた… 魔王の心の声が女神ーズにダダ漏れだった様だ…


「そうですか…」


サヤは諦めた様に俯く、魔王はさっさと転移で送ってやる。


「なんとか事なきを得たな…」


「可哀想でしたね…」


魔王がやれやれといった表情をすると、エルザが寂しそうだった…


「でもな、5人定員説は間違っていない気がするんだ…」


魔王は不安な顔をしている。


「そうね、また誰かが出ていくと寂しいものね… でも大丈夫かしら? アコが出て行っちゃわないかしら…」


「愛様…」


最近、アコを可愛がっている愛が心配していた… アコもそんな愛を見てウルウルしていた。


「大丈夫だアコは妻とは違う別のものだと思う事にした。

今のガイアに役所的な婚姻は無い! 世界の理など思いと想像力でなんとかなる!」


「私の事を、なんて思っているんですか?」


「俺だけのパーフェクトエロだ!」


「魔王様、ひどーい! 私、出て行っちゃおうかな…」


アコが怒ってとんでもない事を言い出した…


「マジかっ! やはり5人限界説は本当だったのか! 俺の思いが足りなかったか、仕方がないアコ達者で暮らせ…」


魔王は残念無念と別れを告げた…


「じょ、冗談ですよ… すぐに諦めないでください! 出て行きませんから!」


アコが焦っていた。


「おじい様って、ほんとドライよね… アコもそういう冗談は止めなさい。笑顔で送り出されたたら悲しいわよ?」


愛の言葉に、


「既に悲しいです…」


魔王が凹むアコを、そっと抱きしめると…


「魔王様、お願い聞いてくれますよね? あのクレオパトラの装飾品、軽く作り直してください!」


アコは逞しかった。魔王は「おおっ…」と戸惑いながら全力で頑張る!

金はやめて黄金に輝くアダマンタイトを薄く加工して、ピカピカに磨きあげる。宝石類も薄く見栄えだけを求め加工し造り上げた!

アコが、それを付けて、ご機嫌でクルクル回っていた。


「やっぱりアコは宇宙1可愛いな!」


「ほんとですか? 嬉しいです」


アコはなんだかんだ単純で可愛い妻だった。

とりあえず嫁騒動は終わった。


「お父さんー! 助けてください!」


ゲンキーが慌てて駆け込んできた。


「どうした?」


「アーシャが! アーシャが!」


ゲンキーの後ろにアーシャもいるが、普通…「えっ!」魔王は思いっきり2度見をした!


「アーシャ! シボボンを使ったのか?」


魔王は驚き叫んだ! 魔王家の中ではアコやメールに匹敵する巨乳だったのにすっかりペッタンコになっていた…


「はい、肩凝りが酷くて… あと、お掃除とかしていると胸が邪魔で床が見えなくて困っていましたから…」


アーシャは巨乳ならではの悩みを抱えていた。


「全然気づかなかったが?」


魔王は不思議に思った。


「服の関係で小さくなるまでパットを入れていました」


アーシャは困った顔で説明した。今は新しいメイド服で胸の膨らみは一切無くペッタンコだった…

 

「ゲンキーは気づかなかったのか?」


「最近は私が、お風呂に入れてましたから…」


魔王が聞くとエルザが教えてくれた。


「ペッタンコは快適なのか…」


魔王がガッカリしながら聞く、


「ずーっと、邪魔でしたから、すっきりしました!」


アーシャは爽やかな顔をしていたが、この世から1人の巨乳を失った悲しみはハンパなかった。

息子と2人、その場に四つん這いになり項垂れた…


「おじい様、そんなになの?」


愛が呆れている。


「ああ、巨乳はこの世で1番大切な物だ!」


魔王は堂々と胸を張って言う…


「貴方…」


エルザもガッカリしていた…


「そういえば、お前達、シボボンを使いたい者はいないだろうな!」


魔王が眼光鋭く妻達を睨み聞く!


「貴方が残念がる姿は見たくないですからね…」


流石、エルザだった。


「私も魔王様の残念がる姿はみたくないです」


カリンも満点だった。

セシリーやマーリンは答えを聞くまでもなく黙って頷く、魔王は2人を抱きしめる。


「わっ、私は自慢のお胸ですから小さくするなんてあり得ません。

それに巨乳じゃなくなると1番に捨てられそうだし…」


アコが答えるが、少し拗ねている。


「私もこのボディを気に入って手入れしています。魔王様のためにも磨きをかけていきますよ!」


メールをもっと可愛がろうと思った。


「よし! 安心した!」


魔王は妻達の答えを聞き満足していた。


「お父さん、アーシャの心配をしてください!」


ゲンキーが困った顔で言う。


「俺の妻じゃないし… アーシャが、それが良いなら仕方がないんじゃないのか? ゲンキーが大きくなったら、巨乳のお嫁さんをもらえば良いんじゃないのか?」


魔王はゲンキーにそう説明した。


「そんな人が現れますか?」


ゲンキーは心配するが、


「ああ、巨乳は世の中に溢れている! きっと大丈夫だ!」


魔王は自信を持って話す。


「貴方、息子に何を言っているんですか…」


魔王と息子の会話にエルザがガッカリしていた。


「解りました! 僕はアコママやメールママに負けない巨乳を探して、お嫁さんにします!」


ゲンキーが決意に燃えていた。


「貴方、ゲンキーがどんどん変な子になっていきます…」


エルザが泣きそうだった…


「大丈夫、男の80%は巨乳好きだ、少しも変じゃない!」


魔王は自信を持って言い切る!


「そうですよね! 巨乳は正義です。アーシャ、今までありがとうございました。今日でお別れです。僕は今からイーシャに面倒をみていただきます」


そういうとゲンキーはイーシャの元へ駆けて行った…


「坊っちゃま…」


ゲンキーを見送るアーシャが物凄くガッカリした顔をした。丁寧に挨拶したゲンキーだったが、失礼極まりない奴だ。ちなみに、イーシャもエルザやセシリー級の巨乳の持ち主だった。


「ゲンキーは、おじい様に似てドライね… 妻達もおっぱいが萎んだら、ああやって捨てられるのかしら…」


愛がそう言うと嫁ーズが青い顔をしていた…


(俺はそんな事はしない! ボヨヨンは飲んでもらおうとは思うけど…)


魔王は内心そう思っていた。


「アコ、出掛けるぞ!」


「えっ! どこへ?」


「デートだ!」


「私をエロ以外で誘うなんて…」


アコの心は荒んでいた。


「嫌なのか?」


「喜んで行きますよー」


なんだかんだ可愛い奴だった。2人で出掛けて欲しい物を好きなだけ買ってやる。


「魔王様、今日は泊まっていきましょう? サービスしますよ…」


やっぱり愛人の様だった。もともとアコの日だったのでホテルに泊まり愛人と言う名の妻とエロイ夜を魔王は楽しんだ。

そしてアコの機嫌もすっかり良くなっていた。

家に帰ると…


「イーシャ!」


ゲンキーがイーシャの胸に埋まり充電していた。


「ゲンキーも、おっぱい充電で生きているのか… やはりソーに聞く必要がかるな…」


魔王は本気でそう思っている。


「貴方、バカな事を言っていないで、やめさせてください」


エルザが呆れて言う…


「イーシャ、嫌か?」


「いえ、旦那様、坊っちゃまが懐いてくれて嬉しいです」


社交辞令ではなくイーシャも嬉しそうだった。

 

「良いんじゃないか? 俺だって、あんな可愛いメイドさんがいたら充電してしまう…」


魔王が羨ましそうに言うと、エルザは何も言わずただただ呆れていた。


「イーシャだから良いんじゃないか? アコやメールに恋焦がれてみろ、ヤキモチを焼かれて面倒くさい事になるぞ?」


「それは、そうですけど…」


魔王の言う事も一理あるがエルザは納得がいかないようだった…


「さて仕事に行くか!」


セシリーを連れてゾラ星に行く。

グインの冒険者ギルドに行き依頼を選びカウンターに行く。

なぜか? アンリが座っていた… 当然のようにミミの元へ依頼書を持って行く。


「すみません魔王様、魔王様はアンリさんが担当となりました…」


ミミが申し訳なさそうにいう。


「なぜ、アイツにそんな力がある?」


ミミに小声で聞く。


「公にはしていませんが、ギルマス…ゾラ星冒険者ギルド総帥サーガ様の娘さんなんです…」


ミミも小声で教えてくれた。

突然、職場を移動したり変なルールを作りゴリ押ししたり、ワガママな、お嬢様だった訳けだ…

1番最初の対応もそういえば横柄だった。

その後は魔王の常識外の行動に圧倒され大人しく接していたが。

女神の秘密をしり本来の我儘娘に戻ったのだった。

ミミに依頼書をボードに戻しておいてくれと渡し。

勝ち誇った顔で待っているアンリにあっかんべーをして転移で消える。

サンジェルマン王国の冒険者ギルドに行き依頼を受ける。

この星には沢山のギルド支部がある。

冒険者ギルドに入る前にアンリを感知したら、他所の支部に変更する事にした。

それから魔王はアンリと会う事はなかった。


「エルザー! ただいまー!」


エルザに抱きつく。


「今日もご機嫌ですね、お客様が見えています…」


「じゃ! 2、3日帰らいから!」


魔王は怪訝な顔をして転移で消えようとすると…


「逃げなくて大丈夫なお客様です!」


エルザが慌てながら言う。魔王は仕方がなくリビングに行くと。フィンだ、ナオトもいた。


「なんだお前らか? なんの用だ?」


魔王は不思議に思う。


「愛様の被検体募集に参加しようと思いまして…」


「僕も…」


フィンとナオトも愛が出した募集に参加するようだった。


「なんの募集だ?」


「背が伸びる薬よ!」


魔王の問いに愛が答えた。


「ああ、フィンはともかく、ナオトもか?」


「ああ僕だって、あと5cm大きくなりたいんだ」


ナオトが言うと。


「僕は20cmほど…」


フィンの方が切実だった。


「ナオト、お前はそれだけじゃないだろう?」


「なっ、なんのことだい?」


「エカテリーナに何か言われてきたのだろう?」


魔王の問いにナオトの目が泳いでいる…


「あっ、アコちゃんがステージで付けている。クレオパトラのようなアクセサリーの作り方を聞いてこいと…」


「そんな事だろうと思った… だがあれは、ステージ用だぞ? あんなのを街中で付けていたら怪しい人だと思われるぞ?」


「僕も、テリーナも散々言ったさ、だが聞かないんだ…」


皆が呆れていた。エルザは特にガッカリしていた…


「まあ良い、作り方は教える。背の高さは問題ないなら被検体にならなくても良いんだぞ?」


「いや… 僕も本当に5cm高くなりたいんだ…」


ナオトも本当に背を高くしたがっていた。

そしてアコの装飾品を全て見せて、作り方を教えた。

さっそく2人はマーリンの研究施設に連れて行かれる。

魔王も興味津々で付いてきた。マーリンが仕事着に着替えて現れる。


「仕事着姿のマーリンも可愛いな…」


ついつい抱きしめてしまう。


「おじい様、先に進まないからプレイは家でしてちょうだい!」


「プレイじゃない! 可愛いから抱きしめただけだ」


「魔王様!」


マーリンは嬉しそうだった。


「さて、このお薬の効果はですね…」


マーリンの説明が始まった。1日1錠飲めは5mm伸びる。ナオトで10日、フィンは40日だ。

背はボインボインのときの様には治せないからくれぐれも慎重にと2人に言って渡していた。

同時に開発している背が低くなる薬もあるが、完成にはまだ時間が掛かりそうだった。

2人は嬉しそうに薬瓶を抱え帰って行った。


数日経ち…


「おじい様、大変よ! アルカディアの街に邪神が現れたとか、怪しい呪い師が現れたと大騒ぎよ!」


エカテリーナがやらかしていた。


(逮捕されればいいのに…)


魔王はガッカリとしていた。

さらに数日が経ち。


「魔王見てくれよ! 本当に5cm高くなったよ! マーリンありがとう!」


ナオトが感激していた。


「良かったな! だがあまり街を騒がすなよ?」


「わかっているよ…」


ナオトがガッカリしていた。


「ナオト! ジャグジー風呂を造った! 一緒に入るぞ!」


「えっ! 男同士で入るの?」


皆が驚いている。


「男湯だってあるだろう? 俺をなんだと思っているんだ?」


「巨乳星人!」


愛が失礼な事を言う…


「あながち違っていないが…」


「否定しないところは潔いわね…」


愛がちょっと感心していた。


「魔王なんだこれ?」


「黄金の龍の腕を捻ると口からシャワーが出る!」


「全て金じゃないか! 目はダイナモンドだし!」


「ああ、あの口から水を吐くライオンもな!」


「凄い! サウナもある!」


「ああ、俺の道楽だ! 愛がな、ボヨヨンで儲けて造ってくれたんだ」


「そっ、そんなに儲かったのか?」


「ああ、世界は巨乳で溢れているだろう?」


「ああ、エカテリーナもテリーナも飲んでいたよ」


「それが、連合星全土で売れたからな…」


「凄そうだね…」


「俺には関係ない。金なんかそれほど必要ないだろう…」


「家は金食い虫がいるから…」


余裕な魔王に、ナオトが残念そうに言う。

なんだかんだ2人でジャグジーを楽しんだ。


「とーたん! とーたん!」


アンがよちよち歩いてくる。


「これぐらいが、一番可愛いよね… 家の女どもときたら… 家にいると息が詰まるよ…」


ナオトはストレスを溜めていた。


「ナオトも、どこかで冒険者のバイトをすれば良いじゃないか?」


「もって、魔王もやっているのか?」


「ああ、ゾラ星でS級冒険者だ! ここ数ヶ月で何百年も遊んで暮らせるくらい稼いだぞ? エカテリーナも喜ぶんじゃないか?」


「ほっ、本当かい?」


「まあ、俺は暇人だし、セシリーと2人での稼ぎだがな」


「一度、僕も連れて行ってくれよ、冒険者登録したいよ…」


そんなナオトの願いを聞き、ゾラ星、グイン帝国の冒険者ギルドに連れて来た。


「良いのですか?」


セシリーが心配している、アンリの気配を感じ取ったからだ。


「まあだか、ナオトは星間転移は出来ない。ガンガイア軍のトップだから転移門は使える。この星の転移門は帝国に置いてある。グインで活躍するのがベストなんだ」


魔王は、セシリーに説明し、ギルド内に入り、カウンターに行く。


「冒険者登録を…」


「魔王様関連は全てアンリさんの管轄でして…」


ミミが申し訳なさそうに説明する。仕方がなくアンリの方に行く…


「連れだ、冒険者登録をしてやってくれ」


「もー! いつもいつも逃げるなんて酷いです!」


アンリが怒っている。


「登録しないのなら、他の支部に行くが?」


「しっ、しますよ! こちらの書類にご記入ください。

いっ、イケメンですね…」


アンリがナオトの顔を眺め頬を赤らめていた。


「ああ、格好良いだろう? こいつも魔王だ、人間の中ではザ、ワールドで俺の次に強いぞ? すぐにS級になれるだろうな」


そう、ナオトは心が弱いだけで強さならアモンを凌ぐ。

場数の差でアモンの方が強いかも知れないが、奴は魔族なので人間の中には入れていない。


「えっ! じゃ、この方でも…」


アンリがボソボソ何かを言っていた。


「もう魔王様は良いです! ミミに相手をしてもらってください! 私はナオト様の担当になります」


アンリが魔王からナオトに鞍替えした… ナオトに媚を売っても女神にはなれないのに…


「ミミー! お局の許可が出たぞ! また、俺の担当をしてくれなー!」


「はい、魔王様!」


ミミも嬉しそうだった。

アンリは丁寧に説明してギルマスを呼び飛び級試験を受けさせていた。

通常のC級スタートだったが、その日のうちに大量の討伐依頼をこなしB級になっていた。

魔王の師匠でもあったナオトは、冒険者としては超一流であった。


「ナオト様、凄いです…」


アンリがうっとりとした顔でナオトを見ていた…


「あれ? ナオト、今からやるのか?」


夕方になり魔王達は帰るところだった。


「仕事も終わったし家にいてもね… それに冒険者で金を稼げる事を知ったエカテリーナが、じゃんじゃん稼いでこいと煩いからさ…」


いつもどこかに影を持つイケメンだった。


「あまり無理はするなよ…」


かける言葉はそれしかなかった。

ナオトが登録してからアンリはすっかりナオトに夢中で魔王に絡む事はなくなり、魔王もグインで活動している。

1週間もするとS級冒険者となっていた。


「休みの日は朝からか? 大変じゃないのか?


「ああ、家にいてエカテリーナの顔を見ているより、ここに来た方が良いよ! アンリちゃん可愛いしね」


アンリがめっちゃ嬉しそうな顔をしている。ナオトのリップサービスとは気づいていない。


「今日は仕事の後、アンリちゃんと食事に行くんだ」


ナオトは楽しそうだった… ナオトの肩を叩き「ほどほどにな…」魔王がそう言うと…


「魔王様、余計な事は言わないでください!」


魔王はアンリに睨まれた。


翌日、青い顔をしたナオトがギルドにいた。


「ようナオト、なんか顔色が悪いぞ?」


「あっ、ああ、大丈夫…」


ナオトの様子がおかしかったが、その日はそれで別れた…


「フィン、凄いな!」


「はい! これでもうチビとバカにされません!」


フィンの身体は見事に伸びてマーリンに何度もお礼を言っていた。

そして商品化を決定した。


「身長ノビノビールでどうだ?」


「相変わらずセンスがないわね… まあでも、名前なんてなんでも良いのよ! 絶対売れるから!」


また魔王が冗談で言った名前が商品名として決まってしまった…


「そうです! 絶対に売れますよ! ああ、この姿を娘に見せたい!」


フィンは、よほど嬉しいのだろう…


「おし! 俺が連れて行ってやる!」


フィンを連れサンジェルマン王国の教会に行く。


「どちら様… 魔王様! フィンさん… どうぞこちらへ…」


ルルシュが出て来てフィンと魔王を見て驚く! そして教会内に案内される。


「フィンさん、背が高くなってませんか? 上底ですか…」


さすがに背が高くなった事が解る様だった。


「どうだ凄いだろう? ナナシュに見せたくて魔王様に連れて来てもらった」


フィンはドヤ顔でルルシュに説明する。


「フィンさんは余裕なんですね。そんな無駄遣いをして…」


ルルシュが嫌味ったらしく言う。


「ちっ、違う! これはマーリンさんが開発した薬の実験に参加したんだ! タダというか、バイト代まで出たんだぞ!」


「へーそうなんですか、だったら少しぐらい助けてください!」


軽い元夫婦喧嘩だ。魔王は少しいづらい…


「借金はもうないだろう?」


フィンが不思議に思っている。


「借金はもうないですよ? 魔王様のおかげでね…」


フィンがめっちゃビックリした顔をしている。


「わからないとでも思っていたのですか? どう考えてもフィンさんにあんな大金用意できません… 特に私のためなんかにはね…」


ルルシュがそんな愚痴を言っていると…


「お父さん! 魔王様!」


ナナシュがやって来た。


「魔王様、お母さんを助けていただいて、ありがとうございます…」


「いや、俺は関係ないんだが… なあフィン…」


「そっ、そうだぞ! お父さんが将様に借金したんだ!」


「はいはい、解りました! そういう事にしておきます…」


ルルシュが、ため息を吐きながら折れてくれた。フィンは立ち上がり、ナナシュに背の高くなった姿を自慢していた。


「ルルシュ、込み入った事を聞くが、また金に困っているのか?」


「借金も終わり生活は問題ないのですが、ナナシュが勉強をしにガイアに行きたくて… でも旅費や学費、アパート代を考えると…」


「ルルシュはナナシュと離れて寂しくないのか?」


「寂しいですけど… 娘が勉強したいのなら行かせてやりたいじゃないですか…」


ルルシュは寂しそうだった…


「そうか、ならフィンのバイト代はお預けだ。ほらフィンのバイト代をルルシュにやろう! フィンも文句はないな!」


既にフィンは愛にバイト代を貰っている。魔王はアイテムボックスから家族4人が5年は暮らせるぐらいの金を出して渡す。


「魔王様、これは…」


「フィンのバイト代だ、フィンは背の高さを手に入れた文句はないだろう?」


「はっ、はい、大丈夫です…」


「フィンもああ言っている。養育費としてもらっておけ…」


「魔王様… ありがとうございます」


ルルシュが泣きそうな声でお礼を言っていた。


「ナナシュ、留学をするならガイアの城に住むと良い。宇宙船は高くつく俺が迎えに来てやるからな…」


その後ルルシュ、ナナシュ、フィンと話、ルルシュ達をガイアの学校に連れていき、理事長に会う。

ナナシュは無事留学する事になった。特待生扱いで学費も免除となった。

今でも魔王の影響力は強かった。

ナナシュの留学の面倒を見ていた事もあって、久しぶりに冒険者ギルドにやってきた。


「ナオト、ロダンの考える人の真似か? 固まっているぞ?」


ベンチに腰掛け険しい表情で頬杖をつくナオトがいた。


「まっ、魔王じゃないか! どこに行っていたんだ! 待っていたんだぞ!」


「待っていたと言われても、約束した覚えはないが…」


ナオトは必死だった。


「ここではなんだから…」


ナオトの転移で移動した…


「まだ依頼を選んで…」


魔王の肩を両腕でユサユサ揺らしながら食い気味で話始めた…


「実はアンリと…」


「アンリとなんだ… はっ!ヤっちゃったのか!」


魔王は、まさかと思うも驚きながら叫んだ!


「声が大きいよ! まあ誰もいないけど…」


意外と冷静なナオトだ。


「食事に行った帰りに彼女の家に誘われて、お風呂に入りましょうって… もちろん断ったよ?

けど、お風呂だけだし、魔王様達とも入った事があるから大丈夫と言われてさ。

身体を洗ってくれて、触られちゃったんだ… あんな若くて可愛い子に… 反応しちゃうだろう? で、そのまま…」


「ああ、その手口は良く知っている… 俺も似たような手口で他の女に落とされた。

ナオトの気持ちはよく解る…」


明らかにアコの手口だった… ルルシュにもアコが教え、抗う事も出来ずにヤってしまった…


「1回だけか?」


「とっ、止まる訳ないだろう… 何度もだ… いや、毎日ヤっている…」


ナオトも魔王と同類だった…


「良いじゃないか、2人目の妻として貰え!」


「そっ、そんな鬼畜な事出来ないよ!」


「鬼畜はないだろう? 俺は6人妻がいるんだぞ!」


魔王は、ちょっと怒り気味に言う。


「あっ、すまない… だが、エカテリーナは魔王の妻達とは違う… あの強欲で独占欲の強い女が許す訳がない…」


ナオトがガッカリと肩を落とす…


「ならアンリを愛人にするか? どちらかと別れるしかない… ナオトも自分に素直に生きたらどうだ?」


「愛人は無理だよ… 隠し事なんてすぐにバレちゃう…」


「とにかく決断は早い方が良い! どんどんアンリに情が深くなり深みにハマっていく… どっちらとも別れられず、アモンのようになるぞ?」


「そっ、そうだね、良く考えて早く決定するよ。ありがとう魔王!」


ナオトはマジめで素直なやつだった、いざとなると逃げる事を考える魔王とは違う。上手く修羅場を切り抜けるだろうと魔王は思い、その日は別れた。

ギルドに戻り依頼を受けて仕事をする。

見かけたアンリは幸せそうだった…

家に戻り…


「アコ、アンリに風呂で俺を落とした方法を教えたのか?」


「ええーっと…」


魔王の問いにアコが困った顔をしていた…


「アコ、アレは人に教えてはいけない… どんな強靭な心を持っていても抗う事は出来ない… もう封印してくれ」


「おじい様、何かあったの?」


愛が不思議に思ったのだろう。


「アンリにナオトが落とされた… 話を聞くと俺がアコとルルシュに落とされた手口と全く一緒だった…」


「ごっ、ごめんなさい… もう誰にも教えません…」


アコが謝っていた…


「なっ、ナオトさんが…」


エルザがめちゃめちゃ驚いていた。


「ああ、それで凄く悩んでいて、少し相談に乗った…」


「ど、どうするのですか?」


エルザは、なんだかんだエカテリーナが心配なんだろう…


「奴も日本人だ、複数を嫁にするのは鬼畜の諸行だと言っていたから、どちらかを選ぶのだろう? とにかく決断は早い方がいいとだけ伝えた…」


「鬼畜って、酷いわね…」


愛がムッとしていた。

なんだかんだ、おじいちゃん思いな孫だ。


翌日ギルドに行くと。


「魔王、ちょっといいか?」


ナオトに誘われ転移する。


「決めたよ! エカテリーナとは別れて、アンリと一緒になる! もうあんな強欲な女と一緒にいたくないんだ。アンリは天使なんだ…」


魔王は、それは違うと言いたかったが言えなかった…

アンリも相当なんだが…

すでにエカテリーナには三行半を叩きつけて来たとの事で、アンリとも一緒になる約束をしたらしい。

その後仕事をして家に戻り、愛やエルザにその事を伝えている。


「貴方、どうしましょう? エカテリーナさんに連絡をした方が良いでしょうか?」


エルザがあたふたしていた。


「今エルザが優しくてを伸ばし助けると物凄く依存されるぞ? 一生エルザが面倒を見るつもりなら良いが、そうでないなら止めておけ、エカテリーナを駄目にするだけだ…」


「そっ、そうですね… 貴方に迷惑をかけるのは目に見えています。今はそっと見守っておきます…」


エルザは魔王にも気を使ったのだろう…


翌日、ギルドでナオトに会うと既にアンリとは一緒に住み夫婦となっていた。アンリの父、サーガも喜んでいた。

エカテリーナはテリーナとマサトが支えそれなりの生活が出来るようだった。


「まあ、なんとか丸く収まったようだな」


「そうですね、子供達が大きくて優しいのが幸いしましたね…」


エルザはエカテリーナ視点でこの離婚劇を見ていた。

それからしばらくして2人が我が家に挨拶に来た。


「えっ! もう妊娠したのか?」


「ああ…」


2人が照れていた。お風呂アタックで出来た子かと思うとなんとも言えない気持ちになってしまった…


「まあでも良かったじゃないか! めでたい! めでたい!」


嫁ーズ達も口々におめでとうと声をかけ、エルザも当然のように、お祝いの言葉を掛けていた。

ナオトがトイレに立ったとき事件は起きた!


「あの? いつ女神に至りますかね…」


アンリが唐突に聞く…


「なれないよ?」


その一言だった。


「えっ! 同じ魔王だって…」


アンリが驚愕の表情で言う。


「俺の魔王は、あだ名だギルドカードに超魔神ってなっていただろう?

この国には魔王がゴロゴロいるが、その妻に女神は1人もいないぞ?」


魔王は呆れて説明する。


「そっ、そんなー、女神になれると思って結婚したのに…」


アンリは事実を知り落胆していた。


「おっ、お前、そんな邪な気持ちで結婚したのか? それは相手が俺でも女神にはなれなかったぞ?」


アンリが、めちゃめちゃガッカリしていた…


「どっ、どうしましょう…」


アンリが困っていた…


「結婚もしたし子供も出来た、幸せにしてもらえ」


「えー、嫌ですよー、どうしても女神になりたいんです! 今からでも遅くはありません! 魔王様が貰ってください!」


嫁ーズがアンリを白い目で見ていた…


「俺は世界に女がお前1人しかいなくても絶対に結婚はしない! ナオトと幸せになれ…」


魔王は冷たい顔で告げた…


「そんなー」


アンリがしょんぼりしていた… ナオトがテンション高く戻って来る。

もはやピエロにしか見えない… 程なくし2人は帰って行った…


「ナオトさん、散々ね…」


愛が同情していた…


「とんでもない女でしたね…」


アコが言うが、片棒を担いだのはアコだった…


「ルルシュも女神に固執していたけど… 女神ってそんなになりたいものなのか?」


魔王は不思議に思って聞く。


「ルルシュは女神より、おじい様の妻になりたかったのよ? アンリとは違うわ…

それに1番綺麗なまま永遠に生きると聞くと誰でも羨ましく思うわよ…」


「そうか… 俺は自分達だけが永遠に生きるというのは辛い事だと思うんだけどな…

好きな者、子供達、その子孫の死を看取り続けなければならないなんて地獄のようだと思うのだが…」


不老不死には不老不死の悩みがあり、魔王はあまり価値のある物ではないと思っていた。


「みんな自分の都合の良い事しか考えないから解らないのよ? そういう寂しさはね…」


愛が寂しそうだった。

皆のためにももっと女神を増やした方が良いのだろうか… でも、5人限界説もあると、魔王はおかしな葛藤を抱えてしまった…


「それにしてもナオトさんはどうなっていくのでしょう…」


エルザはナオトの事も心配していた… なんとも後味の悪い結婚報告だった…


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