魔王と女神11
「愛様提案の、ザ、ワールドに転移し魔王様の連合に入る案は満場一致で可決されました!」
連合会議場でそう発表され。
「おじい様!」
愛がやりきった顔を見せる…
「このまま転移後の説明をしていてくれ。ナス神と話を付けてくる」
魔王は愛にそう言って神の園に転移しようとしていた。
「良いの? もう決定で?」
愛は驚くが、
「ああ、ぐずったらソーから話をさせれば1発だ! せっかくだ、プルーン、ジェノス、マヤ付いて来い!」
3人を連れて神の園に転移し神殿に入って行く…
「私、神様に会うのは初めてで、ドキドキしています!」
マヤだけではなく、プルーンとジェノスも緊張していた。
神殿の中には天使を傍に置いた女神が立っていた。
「これはこれは魔神様、私に何か用でございましょうか?」
女神はちょっとビビっている…
「ああ、頼み事があってな。この星を、ザ、ワールドに転移させる事を許可してくれないか?」
魔王が頼んだ。
「あの、この前、隣のゾラ星が消えたのと同じ事をですか?」
「ああ、俺の宇宙にいる。ゾラ神も楽しそうに遊んでいるぞ?」
「はあ、楽しそうに遊んでいますか…」
ナスは、ちょっと怪しんでいる…
「仕方がない… 会うと面倒くさいんだがな… 来い! ゾラ!」
ゾラ神を強制転移で呼び寄せる! 目の前に、寝そべってポテチを食べる幼女が現れる。
「なっ、何事? あっ、魔王様!」
ゾラが立ち上がり魔王に抱き付く!
「私を妻にする気になりましたか?」
「そんな事で呼んだのではない! そこのナスにザ、ワールドの事を教えてやってくれ…」
隣のエリアの神どうし、話はスムーズに進みナス星を転移させる事に同意してもらう。
この星の王達だとプルーンとジェノスを紹介し、妻の1人だとマヤを紹介した。
「せっかくだ、なにか、子供達に望む事はないか?」
魔王がナスに尋ねる。
「そうですね… もう少し祈っていただけたら良いのですが…」
遠慮がちにナスが言う…
「この星には教会が無いからな…」
そう、プルーン王国やジェノス王国に教会がない事を不思議に思い、プルーンに聞いたところ、教会と言うシステムその物が存在しなかった。
「教会を普及させて、少し祈ってもらうか… ちょっと待っていろ…」
1人転移で会場に戻る。
「神の許可をもらった! さっそくだが、惑星転移!」
星の全てが眩い光りに包まれ、その宇宙から星は消えザ、ワールドに転移する。
「転移は無事終わった!」
そう伝え、サヤを連れ再び神の園に戻り、ナス神にサヤを紹介する。
「サヤ、ナス神を支えてやってくれないか?
教会を作り民に神に祈る習慣をつけてやって欲しいんだ。
皆の祈りが神気となりナスの力となる。ナスが潤えば星も豊かになる。それが世界の仕組みだ。
俺や王達も当然手伝う、やり甲斐のある仕事だと思うが、どうかな?」
サヤがその場に跪きナス神に祈り、教会を作る事を約束する。
ナスは喜び、サヤに加護を与え、サヤは聖女となっていた。
そこに、アクマンとリジンが現れてナスにザ、ワールドの説明をする。
後はアクマンに任せ、皆を連れ再び転移で会場に戻る。
「で、幼女神まで連れてきたの?」
愛がゾラを見てため息を吐く。
「仕方がないだろう? 呼び付けて、説明だけさせて、はい、サヨナラでは可愛そうだろ?」
魔王はそう言いながらゾラの頭を撫でている。
「そっ、そうね、流石にそれは酷いわよね…」
愛も納得していた。
ジェノスとプルーンは神の事を各国の王や重鎮達に説明し、教会を作る事を提案する。
神の存在を俄に信じきれない者もいる。
面倒だが、ナス神を呼び、その場の全員に合わせる。
母なる神、星で産まれた人間達はひと目見て自身の神と理解する。
全員がその場に跪き首べを垂れ祈りを捧げる。
全ての国が教会を作る事に賛成し同意する。
神の言葉もありサヤが教会の代表となる。
サヤはしばらくガイアの教会でノウハウを学ぶ事とした。
程なくして連合の使者を乗せた宇宙船が到着する。
各国の王や代表はそれを見て時代の流れに乗ろうと手を取り合い発展を誓う。
その後も話し合いは続き助言を求められれば、でしゃばらない程度に助言をした。新しい世界の基板が出来た。
魔王の出番はここまでだと、ゾラを送り皆を連れ家に戻る。
「結局こうなったか…」
魔王は、ため息混じりに言う。
「でも、ナス星で冒険者は続けられるでしょう?」
愛が聞く。
「まあそうだが…」
魔王はイマイチ納得がいかない…
「ほら、魔物を軍で間引かないようにしたら良いんじゃない?
もう連合に入ったし冒険者で稼いだお金をエルちゃんに渡せるわよ?
稼いだお金を渡したかったんでしょう?」
愛の言う事は間違っていない…
「まっ、まあそうだが…」
「貴方、そんな事のために…」
魔王が認めるとエルザが困っていた…
「お前が掃除や料理をしたかったのと同じだ…」
エルザも普通の主婦がしたかったように、魔王も普通の夫をしたかった…
「姉さん、しばらく一緒ですね」
マヤが嬉しそうだった。
「何か生きがいが欲しいと言っていたから、勝手に教会の代表に推薦してしまったが良かったか?」
魔王はサヤに相談する事なく話を進めて決めた事を今更ながらに気にしていた。
「はい、もう結婚などしたくありませんし。
いつまでも実家に厄介になるのも気が引けます…
私にはちょっと荷が重い気もしますが頑張ってみます。ありがとうございました」
サヤは良く出来た人間だった。
「おじい様、9番目にしちゃう?」
愛がバカな事を言っている…
「サヤも結婚は懲りたと言っているだろう?」
「私、魔王様なら喜んで…」
サヤが何かを呟いたが、魔王は聞こえない振りをした。
「それに愛の一押しはカティアだろう?」
魔王は話を変えようとする。
「いや、あれは、酔ったときの冗談で…」
「リリは良いと思います! 魔王様には毒は効きませんし、魔王様を好きなのは確かです。カティアさんがいれば毎日が楽しいと思います!」
リリはマジなカティア推しだった…
(まあ、あれ程ブラックじゃなきゃ、かなりタイプな巨乳美熟女なんだが…)
魔王は内心思っていた。
「お客様です」
セバスがリビングにカリンを案内してきた。
「魔王様、お久しぶりです」
カリンが挨拶をする。
「ああ、息災だったか? また1つ星を転移させてな、その星に教会はなく、新しく教会を作る事となった。その新しい教会の代表となるサヤだ。
ガイアの教会でしばらくノウハウを学ぶ、カリンと同じ立場だ、一応紹介しておこうと思ってな」
サヤがカリンに丁寧に挨拶をしていた。
「で、カリンの方はどうだ? ヨハネは良くしてくれているか?」
魔王はカリンを気にして尋ねる。
「はい、教会の方は順調なんですが…」
カリンは言いにくそうに目を逸らす…
「困った事でもあるのか?」
魔王は心配だった。
「はあ、ヨハネ様がその…私を異性として見ていると言うか… なんと言いますか… お食事に誘われたり… デートっぽいお誘いが…」
カリンはヨハネのアタックに困っていた…
「嫌なのか?」
「嫌といいますか、私は神にこの身を捧げましたし…」
「うん? この国の教会は恋愛OKだぞ? 俺の妻も3人は教会で働いているし、セシリーも元シスターだぞ?」
魔王が説明する。
「はい、ゾラ神様にも早く結婚しなさいっと言われていますが、その…」
カリンはモジモジしていてちっとも話が進まない…
「ねえ、カリンさん、ちょっとこれに力を込めて見て」
愛がステータスカードを渡す。
「こっ、こうですか?」
「あら、もう聖女王なのね… 最近、若返って綺麗になったからそうなのかもと思っていたのよ…
はい、サヤさんもやってみて…」
サヤもカードに力を込める。
「あらあら、貴方も聖女王なのね…」
「愛それは、各々の神から加護をもらったからだ!」
魔王が説明する。
「加護でなれるのは大聖女までよ…」
愛がニヤニヤしながら言う。
「なっ、何かありましたか?」
カリンが焦っている…
「ああ問題ない。職業の話だ聖女王は聖職者の頂点だから凄いなと言う話だ」
魔王は適当な説明をする。
「おじい様、嘘を教えちゃいけないわ! 貴方達、おじい様が好きなんでしょう?」
2人が真っ赤な顔をしている…
「すっ、好きだなんて… もちろん尊敬はしています。
それに私はもう、50歳のオバさんです。魔王様の奥様にはどうやってもなれません…」
カリンが残念そうに言い。
「私も妹の旦那様として尊敬しています…」
サヤが下を向いてボソボソと呟く…
「あら、おじい様は4〜50代の熟女が大好きなのよ?
それにマーリンは同世代よ?」
カリンは驚いてマーリンをマジマジと見ていた。
「まあ、マーリンは女神だから見た目はかなり若返ったけど、聖女王の貴方も今より若返って綺麗になるわよ? サヤさんだって何の問題もないわよ?」
「なら…」「私も…」
愛の説明に2人がまんざらでもないような顔をしている…
「愛、止めろ! 2人ともスピード効果と言う、いっときの物だ!」
一緒に危機を乗り越えたり、助けてもらったりしたとき、愛だと錯覚するアレのことだ。
「あら、そんな事を言ったらマヤだってそうじゃない?」
「だから、もっと時間が欲しかったんだ! あと半年もしてみろ!
なんで私はこんなオジサンと結婚したんだろうと後悔するぞ?
マヤ、そのときは遠慮なく言うんだぞ?」
魔王は愛に文句を言い、マヤにもそう言った。
「魔王様、ひどーい! 私、後悔しませんから!」
マヤがムッとしている。
「魔王様、若い妻に時々酷い事を言いますよね? 結構傷つきますからやめてください」
文句を言うリリがちょっと怖い。
「そうですよ!」
ミキも怒っていた…
「すっ、すまない… ほらほら、マヤ、リリ、ミキ、怒らないでくれ」
順々に抱きしめていく。
(俺は何をやっているのだろう…)
魔王はげんなりとしていたが、とりあえず3人の機嫌が治った。
「とりあえず、尊敬されてるとの事で良いんじゃないか? 9番の候補はカティアで決まっている。なっ、リリ? さて、カティアを迎えに行くか…」
魔王は立ち上がる…
「おじい様、冗談よね?」
愛の目がマジだ。魔王は黙って座り直す。
「リリお姉様ー、ミキお姉様ー」
リリとミキはマヤに泣きつかれている…
「おっ、お姉様⁉︎ 魔王様! カティアさんからサヤさんに変更してください!」
リリとミキが、お姉様と言われ嬉しそうだった。
「尊敬と愛は違う… もうこの話は終わりだ!」
魔王は面倒くさくなり強制的に話を終了する。
「まあ、焦らなくても大丈夫よ? 私達にはたっぷりと時間があるわ。永劫の時を生きるのに友達は1人でも多い方が良い… 少しずつ距離を詰めていけば良いんじゃないかしら?」
愛が2人に助言をしていた。
前半の事は自分に対してのことだろう。メールをやたら妻に推したのは永遠に生きる仲の良い友達が欲しかった事も大きかったのだろう…
可愛い孫の願いは叶えたい…だが、そんな事で好きでもない女とは結婚出来ないのも事実だった。
ちなみに、大聖女は不老不死ではないがエルフ並みの寿命となり、聖女王ともなればその倍は生きる事となる。
「さあ、ここのところ忙しかったから、みんなで疲れを落とすわよ! 温泉に出発よ!」
愛の号令で嫁ーズが動き出す。
「俺、何も聞いてないんだけど…」
魔王だけが知らなかった。
「あれ? みんなで決めたと思っていたけど…」
(愛の中で俺はどうでもいい存在なのかも知れない…)
魔王は少し寂しく思った。
全員で転移して、いつもの温泉旅館に到着する。
「さあ、温泉よ!」
愛のテンションがやたらと高い! いつものように家族風呂に向かう。
「家にも家族風呂が欲しいですね…」
ミキが言う。
「毎日、皆で入ったら疲れるだろう… それにな、アコ…」
「ねえ、魔王様…」
魔王とアコはお風呂でイチャイチャする事が定番となっていた。
「はいはい、アコさんの日は2人で入れば良いじゃないですか? もう一つ、家族風呂を造りましょうよー」
ミキが頑張っている。魔王は困ってエルザを見ると…
「良いんじゃないですか?」
エルザは笑っていた。
「仕方がない…」
魔王はそう呟く…
「わーい! 魔王様、エルザ様ありがとう!」
ミキがリリとマヤに一緒に入ろうと誘い喜んでいた。子供かっ! と、魔王はツッコミたかったが、年少組に怒られるのは嫌なので言わなかった。
そして脱衣所で服を脱いでいると…
「魔王様ー! あれ? 今日は裸で抱きついても危険だと言わないんですね…」
マヤが驚いている…
「もう夫婦だし、ヤっちゃったから今更だろう?」
魔王がそう言うとセシリーが…
「そっ、そうだったんですか、なら私も…」
セシリーが抱きつく…
「セシリー、遠慮していたのか? もう遠慮しなくても… あっ、やっ、やっぱりセシリーは2人のときに…」
魔王の腰が引けていく…
「魔王様! 私と何が違うのですか!」
マヤが怒っている。
「セシリーの大人の色気にな…」
魔王が言い訳をすると…
「「「魔王様!」」」
リリ、ミキ、マヤが怒っている。
「いやいや、こればっかりは仕方がないだろう? ほら3人には若い子特有の可愛さがある。
セシリーの色気は3人が見ても解るだろう? 一長一短と言うやつだ…」
魔王は困った顔で説明する。
「なんか、誤魔化されている気がします」
3人が睨んでいた。そのとき、サヤとカリンが入って来て、おもむろに服を脱ぎ出す…
「いやいや不味いだろう… ほら思いっきり見ちゃったよ? 嫁の姉の裸を…」
魔王は気まずい顔をする。
「姉さんの裸、綺麗でしょう? 顔だって物凄い美人だし! プルーン王国の周辺の国では1番人気の姫だったんですよ!」
マヤが姉自慢をするが…
「いえ、こんな顔と身体で産まれたから、あんなゲスい男に見染められてしまいました… 何度、死にたいと思ったことか…」
サヤの言葉に温泉には似合わない悲壮感が漂う…
「まあ、そう卑下するな、綺麗で良いじゃないか? 過去はもう忘れろ、傷はいつか癒えるはずだ… ほらこっちへ…」
魔王は困った女性を見ると、ついつい抱きしめようとしてしまう…
「あっ、すまない…」
咄嗟に気づきセーフだ!
「穢れた身体です。お嫌ですよね…」
サヤがガッカリと項垂れる…
「そうではなく、嫁の姉、しかも裸だ、ハグする訳にはいかないだろう?」
一生懸命に説明するがもう聞いちゃいない…
「貴方…」
エルザが怖い顔で肘でツンツンする。
「ほらサヤ、元気をだせ…」
マッパな嫁の姉を抱きしめる。しかもアコ級のボディで儚げな美人の色気がハンパない…
ここで大きくなってしまったら一生の恥だと頭の中で九九を1の段から、いやこんなのでは駄目だ! お経だ! 色即是空! 色即是空! 魔王は必死で耐える。
「癒しの光!」
せっかくなので癒しの光を浴びせる! 別に怪我を負っているわけじゃないが、ヒールとは違い心が癒される。エルザがサヤの手を握り。
「きっと魔王様が幸せにしてくれます!」
そう慰める。サヤがエルザの手を握り返して泣いていた…
魔王は面倒くさくなり、カリンの方を見て、エルザ達の事は無視していた。
「カリンまで来たのか… そんな恥ずかしいなら女湯に行けばよかったじゃないか…」
恥ずかしがるカリンに魔王が言う。
「わっ、私も魔王様のおそばにいたかったので… すみません、見苦しいオバさんの身体で…」
カリンが恥ずかしそうに言う…
「そんな事はない! 充分綺麗だよな?」
魔王がそう言うと、
「そうですよ! セシリーさん級じゃないですか! 見苦しいと言うと嫌味に聞こえますよ? 特に私達には、ね、リリ?」
「そうですよ! そんなボディが有れば、私達にも充電ができたのに!」
ミキが言えばリリも言い、マーリンも深く頷く。
「すみません、男の人…いえ、女性にも裸を見せるなんて初めてなので… それと充電ってなんですか?」
カリンは充電が気になるようだった。
「えっ、エルザ様、こうですか?」
サヤが魔王の頭に手を回し胸元に顔を埋めさせる…
(エルザまで何を教えているんだ!)
魔王は思うが、あまりの気持ち良さに声に出せない…
「コレが充電です! 魔王様はオッパイ…いや、巨乳の力で生きているのです!」
リリが熱く説明している…
「もっ、もう大丈夫だ!
生乳充電は危険だから妻達でも夜にしかしてもらわないから…」
魔王は自分で何を言っているか解らなかった…
「なら私も…」
「かっ、カリンお前まで…
ほら、ヤバいからそれぐらいで…」
もう、なすがままで、2人の美女に生乳充電をされ魔王は爆発してしまいそうだ。
今日はアコの日で良かったとつくづく思っていた。
「魔王様、やっぱり家族風呂は良いでしょう」
ミキが勝ち誇ったように言った…
「魔王様、充電機が増えて良かったですね」
リリが拗ねたように言う…
「あっ、あとでリリにも充電してもらおうかな…」
魔王が気を使うが…
「気を使わなくて結構です!」
「リリ…」
リリは少し拗ねていた… 皆で温泉に入り温まる、そして宴会場に行く。
「おじい様、楽しかった?」
「ああ」
「そういえば、カリンさんも家に住んでもらう事にしたわ」
「ああ… ええっ!」
魔王はちょっと驚く。
「仕方がないじゃない? 話を聞いたら、ヨハネ教皇はかなりしつこくて家にまで訪ねてくるそうなのよ…」
愛が困った顔をする。
「そういうことなら仕方がない… ヨハネに恨まれそうだな…」
魔王は恋愛沙汰で気まずくなるのに懲りていた。
「良いじゃん、いつも言ってるじゃん俺は理不尽な大魔王だと!」
愛に丸め込まれてしまう…
「ほら、ダイナモンドが余っているでしょう? 指輪をプレゼントしてあげたら? 1番の抑止力よ?」
その場でダイナモンドや宝石をいくつも出し加工をする。
「マヤ、他の妻達にも似たような物をプレゼントした。これはマヤの分だ」
ダイナモンドやアクアブルー、ブラッドレッドのジュエリーを数点渡す。
「こっ、こんなに沢山…」
姫のくせに驚いている…
「まあ、纏めてだからな…
それと、カリンはこの指輪を付けると良い。俺から貰ったと言えば、ヨハネは勘違いするだろう…」
「勘違いですか?」
「ああ、婚約指輪とな…」
「まあ…」
カリンの顔が真っ赤だ。
「違う、カリンまで勘違いするな… あくまでフリだ、ただのプレゼントだと思え…」
「ありがとうございます…」
カリンは少し複雑そうな顔でお礼を言っていた…
「それと、充電のお礼だ…」
ネックレスもプレゼントする。カリンは嬉しそうに付けている。
「やっぱりダイナモンドが似合うな、いっそう綺麗に見える」
魔王はカリンを満足そうに見ている。
「ほら、おじい様もカリンさんを気にいっているんでしょう」
愛がニヤニヤ笑っている…
「魔王様、ありがとうございます」
カリンは魔王に抱きついていた。
「かっ、カリン、独身女性がやたらめったら抱きついては駄目だ…」
魔王はカリンに注意するが、魔王もしっかりと抱きしめて、まんざらでもなかった。
「そう言いながら、めっちゃ嬉しそうな顔をしているわよ?」
愛のニヤニヤが止まらなかった。
「でな、俺のせいで大公の財産は差し押さえられてしまったろう? サヤにも指輪とネックレスをプレゼントさせてくれ…」
ダイナモンドで造ったジュエリーをプレゼントする。
「薬指は駄目だ…モテなくなるぞ?」
「もうモテなくて大丈夫です…」
サヤはすぐに暗い影を出す…
魔王は正直なところ暗い女性は苦手だった。
「大丈夫です。サヤさんはきっと幸せになれます! ね、貴方!」
「ああそうだな、きっと良い人が現れて幸せに…」
「貴方ー!」
エルザに食い気味に怒られる…
「魔王様ー!」
「いやだから、妹の旦那に抱きつくのは駄目だろう…」
魔王はサヤにも抱きつかれる…
「まさにハーレム王ね…」
愛は自分でそうさせておいて呆れていた。魔王は孫の良いオモチャだった!
「お父さん、オッパイの大きい人が増えましたね」
ゲンキーが嬉しそうに言う。
「ゲンキー、皆に抱きついても良いぞ? 子供なら許される!」
魔王がゲンキーに進める。
「お父さん、僕はアーシャだけで充分です」
息子はアーシャに一途だった…
「お父さんはアーシャのオッパイを触っては駄目ですよ?」
息子に釘を刺されてしまった… 息子から見ても魔王はスケベ野郎だったようだ…
「今日は浴びるほど酒を飲ませてもらうぜ!」
ヨシヒデがヤマト達と宴会場に現れる。
「お主また嫁が増えたな、しかも別嬪さんばかりじゃ羨ましいしくて仕方がない。
ワシにも美人の彼女を紹介して… ふぎゃ!」
ヤマトはミーナにパンチを喰らい転がっていった。
「父さん、相変わらずファンタジーを満喫しているね…また増えていない…」
将がジト目で見ている…
「いや誤解だ! 2人は妻じゃない! しかも半分は愛のせいなんだ! 俺は愛の女神増殖計画の犠牲者なんだ!」
魔王は必死に言い訳をする!
「おじい様、それはちょっと失礼じゃない?」
愛が怒っている…
「父さん、そちらのお嬢さんは? かなり若そうだけど…」
将が怪訝な顔でマヤの事を聞く。
「あっ、いや、こちらのサヤさん、ほらナス星で教会を作る勉強のためにガイアに来ていてな… そっ、その、妹さんだ…」
嘘は言っていない…
「魔王様、ひどーい、ヤっちゃったじゃないですか!」
マヤが怒り声を上げる!
「止めろー! 息子の前でヤっちゃったとか言うなー!」
魔王は頭を抱えて絶叫した!
「貴方、お父さんをイジメないでください」
まりんが言うと…
「冗談だよ、愛から聞いているよ。ほらゲンキー、お兄ちゃんだよ」
何事もなかったように将がゲンキーと遊んでいる。
マヤ、リリ、ミキが睨んでいる…
「すっ、すまん…」
もう何も言えなかった…
「魔王様…」
そっとカリンが魔王の手を握る…
「やめろカリン… 惚れてまうやろ…」
サヤが優しく肩に手を置く。
「サヤ、優しくするな… 心に染みてしまう…」
やっぱり大人の女性は良いなと思ったが、口に出しては言えない。3人がまだ睨んでいるからだ…
「はいはい、私が悪かったから、おじい様を許しなさい?
そんな事でいちいち怒っていたら、どんどん若い女を苦手になっていくわよ?
マヤが増えてリリ、ミキの力が増したから…
ほら、もうカリンさんと、サヤにメロメロよ、サヤはミキと同じ歳頃だけど苦労したぶん私よりも大人な考えをしているわ…
おじい様はオッパイも好きだけど甘えられる優しい大人の女性が好きなのよ?」
愛が説明するとリリ達が納得していた。
「魔王様、苦手にならないでください」
リリが申し訳なさそうに言い、ミキとマヤがしょんぼりしていた。
「ああ、俺が悪かったから気にしないでくれ…」
そう言った魔王の顔が引き攣っていた。それを見たリリ達も青い顔をしていた…
「2人は優しくしなくて良いから、マジで惚れちゃうから…」
やたら優しく接するサヤとカリン。やっぱり大人な女性は良いと思ってしまう…
その結果、魔王の熟女好きは加速していった…




