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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
110/546

超魔神編16

翌日、軍の司令室に行き4人を呼び出す。


「お前達、まだ揉めているらしいな…」


4人が気まずそうな顔をする…


「お前達、各部隊のトップなんだぞ? アモンお前に至っては総帥だ、こんな小競り合いに付き合ってどうする?」


アモンが申し訳な誘うな顔をする…


「お言葉ですが、魔王様、この2人がムキになるからいけないのです!」


ザマが悪びれずに言う…


「魔王様! こいつらがバカにするからダメなんだ!」


ダーガの顔が真っ赤だ…


「なにを、人の家族の問題にズカズカと入り込みやがって!」


アモンの顔が悪魔のようだった…


「ダーガ、フィン、お前達はろくに家にも帰っていないらしいな… ルルシュもリリーも悲しんでいたぞ!」


魔王もついつい怒鳴ってしまう…


「またルルシュが告げ口しましたか… 口を開ければ魔王様、魔王様、もうウンザリですよ…」


フィンが飽き飽きした顔をする…


「そんな事を言うな、帰ってやれ、もう俺のところに来させないようにすればいい。なんなら俺からそうする。娘も可愛いだろう?

家族3人仲良くやれ… なんならガンガイアや他の星で暮らすのも良いんじゃないか?」


魔王が提案する。


「ルルシュのために左遷ですか… そんな事をしても無理ですよ… 魔王様がいなかった2年間、毎日、塞ぎ込んでいました… そんな日々は耐えられません! もうあんな女と一緒にいるのは嫌なんです!」


フィンの心が荒んでいた…


「だいたい魔王様ばかりが上手くいき過ぎで俺達の気持ちなんか解らないんですよ…」


ザマの心も荒んでいた…


「俺はお前達とは違う! リリーが寂しがっているなら帰ってやるか…」


ダーガだけが優越感に浸っている。そんなダーガを3人の男が睨んでいる…


「リリーさんからです」


ミキがダーガに手紙を渡す…

その場で手紙を読んだダーガが真っ赤な顔をして手紙を破り捨てる…


「くそっ! あの女、もう貴方とはやっていけません別れてくださいと書いてきやがった!」


3人が、ニヤニヤと笑っている。


「早く行って謝ってこい、許してもらえ。今ならまだ間に合うだろう?」


魔王が言った。


「なんで俺が謝らないといけないんだ? あの女が待っているのが当たり前だろう? だいたい魔王様は女に甘いんだよ!」


ダーガも魔王に八つ当たりする。


「最低ですね! 捨てられて当然です」


ミキがばっさり切り捨てる。


「お前だって捨てられただろう!」


売り言葉に買い言葉だった…


「捨てられてなんかいないわよ! もともとただの幼馴染! 私はずーっと魔王様が好きだったのよ! いなくなってせいせいしていたぐらいだわ!」


ミキも言い返す。


「都合の良い事を! いつも俺達を上から見下して! バカにして楽しいかー!」


ザマは常にミキにいろいろ言われいて鬱憤が溜まっていた…


「今、ミキは関係ないお前達の話をしている」


「魔王様は女に頼られると弱過ぎるんですよ… ミキにだって押し切られたんでしょう。マリ様のときみたいに…」


フィンは今でもマリの事を思っていた…


「ミキは男をバカにし過ぎです。魔王様の妻になるからって許せる事と許せない事があります!」


アモンまで言い出す…


「ああ、自分の女を軍のトップの一角に置いて助長させていては他に示しがつかないんじゃないか?」


ダーガだ…


「ちょっと貴方達、私がいつ助長した…」


魔王はミキを手で遮り…


「お前達いい加減にしろう! ミキは最初からマシン部隊の隊長だ! 功績も充分にある。お前達に対しての態度も俺の妻になる前となんら変わっていないし本当の事しか言っていない。お前達は女性を軽視しているだけだ! 黙って聞いていればいい気になりやがって! そもそも原因は全部自分達の不甲斐なさにあるだろう! 男なら他に当たらず自分で解決しろ! 違うか!」


魔王は怒り4人を睨みつける!


「それとな、たとえどんな理由があろうが! 俺の女を侮辱する奴は絶対に許さない!」


4人に魔王の波動を放つ!

4人は腰を抜かしながらも、目は死んでいなかった!


「なっ、ならどうするんだ、俺は屈指ないぞ!」


ダーガの心はまだ折れていない…


「そうやってすぐ女を庇うから、みんながつけあがるんですよっ!」


フィンが吐き捨てるように言う…


「俺達はあんたのために働いて来たんだ! もっと労ってくれてもいいだろう!」


ザマは何を言っているんだ?


「いくら魔王様のお言葉でも聞ける物と聞けない物が有ります!」


アモンも引かない…


「ならどうするのだ? この場の皆にどっちが正しいか裁決でもするか? それとも力で示すのか?」


魔王が言うと、


「多数決で俺達が勝てる訳がないだろう!」


ダーガが叫ぶ!


「なら俺を力で屈服させるのか? 4人纏めて掛かって来ても構わんぞ? どうするんだ?」


魔王は凍てつく様な目で4人を見ている。


「俺達を舐めるなー!」


ダーガの一言で決まった! 魔王は4人を巻き込み本部外の広場に強制転移する! ミキも飛んで追って来た。

本部の全ての窓に人だかりが出来ていて、皆が息を呑み魔王達を見ている。


「構わん、かかってこい!」


魔王の言葉に4人が一斉に飛び出し、向かって来るが…

攻撃をいなし、手刀で意識を刈り取る…

4人を蹴飛ばして起こし。


「口ほどにもない! お前達には気迫が足りていない! さっさとかかってこい!」


駆け出す4人に、


「サンダーブレイク!」


避ける暇なく4人は黒ゴケになっていた… エクストラヒールを掛けて傷を治す。


「ちょっとは俺を疲れさせてみろ!」


魔王は激しく怒鳴っている! 4人は四方に散らばり3人は魔法攻撃を撃ってくる。その隙にザマはドラグーンを出した!

魔王は魔法は無視する!

今更、人間の魔法など、魔王の神気の前に自然と消滅してしまう。

もったいないが、ザマのドラグーン GGを魔王は「レールカノン!」で跡形も無く消滅させた…

ザマは膝をつき「俺のダブルジーがー!」と頭を抱えて叫んでいた。


アモンを再生できない速さで殴って蹴りズタボロにする。

残りの3人も死なない程度にズタボロにしていく。

それを心が折れるまで繰り返す。

魔法で肉体の再生は容易いが魂の損傷はなかなか治らない…

だがその魂が砕ける前に4人の心が折れ、お仕置きは終わりを告げる…

エクストラヒールで傷や欠損は回復したが起き上がる事は出来ない…

4人はタンカで医務室に運ばれて行った…

その光景を軍部の全員が仕方がないと納得して見ていた…


「また、派手にやったわね…」


愛がリビングで記録映像を観ている。セシリーがすぐさま送って来たやつだ。


「愛様お願いです。ダビングしてください」


ミキがキラキラした目で頼んでいる。


「ちょっとやり過ぎたかなと反省している… 我慢はしたんだがな、ミキに攻撃を向けるからいけないんだ…」


魔王はやれやれといった感じだ。


「もー! 大好き!」


ミキが抱きつくが、どう見てもやり過ぎだった…


「軍の連中も引いているだろうな…」


魔王はため息を吐いた…


「そんな事はないみたいよ。あの4人には、みんなも思うところがあったみたいで、当然の結果だと納得しているし、女性人気が上がったとセシリーが言っていたわ」


落ち込む魔王を、珍しく愛が慰めていた…


「エヘヘ…」


魔王にはミキが纏わりついたままだ。


「ミキ、監視の目を怠ってはダメよ!」


「らじゃ!」


愛に言われミキが敬礼をした!


そして翌日、4人が身体を引きずって謝りに来た。


「「「「すみませんでした!」」」」


充分に体罰を与えたのでこの騒動は不問とし、なんの罰もなしとした。

アモンはカリムと別れて、エルフィーを迎えに行くと言っていた…

ダーガもリリーに謝りに行くと言い。

ザマは新しいドラグーンGGをねだっていた…

フィンはアルカディアに配属先を変えて欲しいと願い出た。


「ルルシュとよく話せ、教会もルルシュが抜けてもいい様にしておく。娘もいる、3人でアルカディアに帰るといい」


魔王は優しくフィンに伝えた…


「はい、一度よく話してみます…」


フィンはトボトボと歩き出て行った… とりあえず飛べない騒動も終わりを迎えた。


翌日、城に…


「魔王様、どうしましょう…」


ルルシュが、さっそく相談にきた…


「夫婦の問題だ、俺が口出しをする事ではない…」


魔王はそっけなく言った。


「そんなー」


「それとな、もうここには来るな。フィンが変に思う…」


「愛様に記録映像を観せてもらいましたから知っていますが…」


「ならそういう事だ、早く帰って2人で話し合え…」


「魔王様は私と会えなくても寂しくないんですか?」


「ああ寂しくはない、妻達がいる。お前にもフィンとナナシュがいるだろう?」


「そうですか…」


ルルシュは暗い顔をして、寂しそうに出て行った…


「おじい様、よかったの? ルルシュは違う言葉を期待していたのよ…」


愛が言うが…


「家族の問題だ、他人の俺が口を出す問題ではない!」


女神ーズの面々も何か言いたそうだったが何も言わなかった。

ちなみに、アモンはカリムに泣かれ別れる事が出来ず、ダーガもリリーに会いに行くも門前払い。ザマも現状維持。

結局何も変わらなかったが、仕事に差し支える事はなくなった。

あとは当人達の問題、それ以上は干渉しなかった。


程なくしフィンとルルシュ、ナナシュはアルカディアに旅だった…


「ルルシュ、最後までおじい様を待っていたのよ?」


そう、魔王は見送りには行かなかった…


「そういうのがフィンの間に触るのだ… 愛の言う通りだった、ルルシュを娘と可愛がり過ぎたのがいけなかった、凄く後悔している。

もしルルシュの言う通り時間跳躍が出来るようになって、もう1度やり直せるなら、そばに近寄らないように自分に言い聞かせる!」


「魔王様、リリを迎えに来てくださいね…」


リリが心配そうに言い、他の妻達も何かを言いたそうだったが何も言えず…


「大丈夫ですよ。ちゃんと皆さんを迎えに来てくれます。ね、貴方」


エルザだけが微笑んで、魔王をぎゅーと抱きしめてくれる。その豊かな胸に埋まり、魔王はエルザを1番に逢いに行こうと思ってしまう。ただのエロ親父であった…


「あらあら貴方、今日も早く寝ましょうね」


「すっ、すまない…」


本当に、ただのエロ親父であった…


「ミキ、もっと牛乳が必要よ!」


「そうね、リリ様!」


そして魔王家の牛乳の消費量が2倍に跳ね上がった…


翌日、魔王はエルザの癒しで既にご機嫌だった。女神ーズの間では、魔王に何か起こったときはエルザが癒すという暗黙のルールが出来上がっていた。


「そういえば最近、熟女神を見ないな…」


「そういえばそうね、すっかり忘れていたわ…」


魔王と愛が話ていると、


「あっ! 確か招待状みたいのが届いていましたよ?」


ミキが走って取りに行く。

朝から元気だ。持って来たのはレジャー施設の招待状。


「プールがもうオープンしているのか…」


「魔法の世界ですからね!」


魔王が驚くとミキも言いながら呆れている…


「貴方、今日は、みなさんとプールに行きましょう」


珍しくエルザのお誘いだ。


「昨日、変な事を言うから皆さんが心配しています。だから、ねっ!」


「そうか、すまないな… エルザも言うしプールに行ってみるか…」


「「「「「エルザ様!」」」」」


6人の妻達の中でエルザは絶対的な存在だ! 全員が頼りにしている。


「じゃあ、みんな、ご飯を食べたら準備よ!」


愛が号令をかける。支度が整いカティアの城に転移する。


「おーい、熟女神いるかー!」


魔王は城の入り口でデッカい声で叫ぶ! 門番もいるが、取り継がせると時間が掛かって仕方がない。

声を魔法を使い城中に響き渡らせた! 直ぐ様カティアが転移して来るが…


「まっ、魔王様! みっ、見ないでください!」


カティアが手で両肩を押さえて隠す。一緒に現れたエカテリーナも同じポーズだ…

そのまま城の中に転移する。


「ナオトどうした?」


不思議に思って魔王が口を開く。


「やり過ぎちゃったんだ…」


ナオトがなんとも言えない顔をした…


「カティア、手を退けてみろ…」


「はい…」


手を下ろすと、見事な碇肩が露わとなる。


「ハンガーみたいだな…」


魔王が思わず呟いた一言で女神ーズは大爆笑! リリも涙を流して笑っている。


「あーあ、やっちゃっいましたね… メールが言っていました。やり過ぎると碇肩になるから気をつけてねって…」


アコがため息を吐いて説明する。


「アコ、ほどほどにしてくれ! アコのボディは俺の宝なんだ!」


魔王は焦って思わず抱きついてしまった。


「もー! 魔王様ったら、大好き!」


アコはご満悦だが、


「やっぱり駄目ですか?」


カティアが肩を押さえながら聞く。


「うん? カティアやエカテリーナなら問題ない! 俺の妻達が、そんな肩になったらショックだがな」


魔王はカティアやエカテリーナが、どうなろと知った事ではなかった…


「魔王…」


ナオトがあたふたしている…


「どういう事ですかー! 何が究極の美容法ですか! こんな身体になってどうやって生きていけばいいんですか!」


エカテリーナが泣き崩れる。


「究極の美容法なんてカティアが勝手に言っていただけだし、実際メールはバタフライであの体型を維持している。欲張って失敗したのはエカテリーナ達のせいじゃないのか?」


魔王は冷静に説明する。


「たっ、確かに頑張り過ぎましたけども…」


エカテリーナが困った顔をした…


「それに、2人ともスポーティーで若返ったじゃないか! これはこれでカッコ良いんじゃないのか?」


魔王には他人事だった。


「そっ、そうかしら…」


「好みの問題だ、ナオトが碇肩が好きなら何も問題ないじゃないのか? ナオトは体育会系だからスポーティーな女子は好きだろう?」


魔王の言葉にナオトの目がつつーっと横に逸れる…


「ナオトさん!」


エカテリーナがキレている。矛先はナオトに向いた…


「魔王様、なんとかなりませんか?」


カティアが悲しそうだ…


「筋肉が落ちるのを待てばいいんじゃないのか? どうしてもと直ぐと言うなら1つだけ方法はあるがオススメは出来ない…」


「そっ、その方法を教えてください! 今すぐ直したいのです」


エカテリーナが魔王のその言葉に反応して足に縋り付きお願いした。藁をもすがるとはまさにこの事だ!


「仕方がない… ナオト、死なないようにエカテリーナとカティアの肩から… いや、僧帽筋の付け根辺りから斬り落とせ!」


「まっ、魔王…」


ナオトはもちろん、全員が青い顔をする…


「で、瞬時にエクストラヒールだ、この肩は一時的な物だっただろう? ヒールで再生されれば元の肩に戻るんじゃないのか?」


「理屈はあっていますね、でも怖いです…」


魔王の安をエカテリーナが冷静に分析する。


「もしやるなら、魔法を掛ける方も掛けられる方も、元の肩を想像しながらしないと駄目だぞ? 魔法は想像力が大事だからな、間違ってもマッチョなボディを想像するなよ?」


「そうですね、想像力ですよね…」


エカテリーナは割と冷静だった。


「まあでも、俺は妻の腕を斬り落とせないがな… カティアも恐ければ、ショルダー神と名乗ればコアなファンが付くだろう…」


「ショルダー神…」


リリの肩が揺れている。


「じゃあ、そういう事で、エカテリーナ、ショルダー神、バタフライ神、俺達はプールに行ってくるから! 死なないようにな」


肩を斬り落とすシーンなんて可愛い妻達には見せられないと、魔王は女神ーズを連れ、さっさと立ち去ろうとする…


「待ってください! 私もプールに行きます!」


カティアが付いて来る。仕方がなく一緒にプールに行く。


「私が案内します!」


そう言って先を歩くカティアの肩を見ながら…


「エルザ、絶対にあんなふうになったらダメだからな!」


エルザにも念を押す。


「はい、わかりました」


エルザのボディも魔王の宝だった。


「皆もあんな肩になったら駄目だぞ!」


「はーい」


そう返事をする、ミキの横でリリが口を隠して笑っている。


「リリ、お前、カティアが大好きだろう」


「はい、見ていて飽きません」


笑いを堪えるリリの肩がずーっと震えていた。

背中越しで解らないがカティアは苦虫を噛み潰したような顔をしていただろう。


「おじい様、今日はメロンを食べたくなったわ!」


愛も面白がっている。


「ああ、俺も同じだ! 丁度、カティアの肩のようなメロンがあった。今日はそれをいただこう」


「メロン…」


リリのツボに入ったようだ。魔王達のカティア弄りが止まらない中、突然カティアが振り向き、


「魔王様、今すぐこの肩を斬り落としてください!」


カティアがムッとして言う。


「嫌だよ、後でナオトにやってもらえ…」


魔王は、ただただ嫌なだけだが、


「やっぱり私を愛しているのですね…」


カティアが勘違いし満足げだった…


(ちげーよ!)


魔王は言いたかったが、もう少しリリを笑わせて欲しかったので、スルーした。


カティアの案内でレジャー施設を見て回る。

何故か、遊園地とレースサーキット付きだ…

ナオトが鈴鹿をパクってデザインしたようだった。


「ミキ、あとでカーレースをしてみるか?」


「いいですね負けませんよ!」


ミキは遊び相手としては抜群のノリの良さだ。


「おおー! ここがプールか大きな、でも人が多いな」


「最新施設ですからね!」


カティアが胸を張って自慢をする。


「有酸素運動のやり過ぎだ、オッパイが萎んだな… いくらカティアのオッパイでもさすがに残念だ…」


魔王はガッカリしながら、カティアの立派な肩を叩く… 魔王が本当にガッカリしているのがわかったようで…


「そこまで私の事を…」


カティアが何か勘違いしていた…


「おい! 飛び魚が来たぞ!」


「今すぐ、プールを開けろー!」


カティアの姿を見た客がざわつく! モーゼの十戒のようにプールの人だかりが左右に割れていく…


「さあ、魔王様空きましたよ!」


「いや、明らかにカティアを見てのことだ、泳いでこい」


「わかりました! 私の泳ぎを披露いたします」


シュパンと飛び込みバタフライで泳いでいく。その美しい泳ぎはまさに女神だった。


トービウオ! トービウオ! 飛び魚コールが巻き起こる。


「魔王様、どうでした?」


「ああ、凄かった! さすがだ飛び魚神!」


「飛び魚はエカテリーナさんのあだ名では?」


「聞こえないのか? 飛び魚コールの大合唱が!」


カティアが耳栓を外すと、


トービウオ! トービウオ! 鳴り止まない飛び魚コールに、カティアが真っ赤な顔をしている。


「飛び魚神…」


リリが嬉しそうだった。


「ミキ、泳ごうぜ!」


「でも、肩が…」


「ちょっとぐらい泳いだって、あんな風にはならない。アコもバタフライ習ったんだろう? 行くぞ! ほらほら皆も水に入れ!」


「リリ、首に捕まれ」


「はい」


リリを乗せて亀のように泳ぐ。


「子供の頃、よくこうやって遊んでくれましたね」


リリが嬉しそうだった。


「カティア、流れるプールは造ったのか?」


「はい、あちらです!」


「よし行くぞ!」


魔王が一番楽しんでいた!


「テラ!」


流れるプールでテラに抱きつく。


「魔王様! 溺れます!」


「大丈夫だ! 力を抜けば浮く」


「本当ですわ…あっ! バランスが…」


テラと戯れて…


「ステラ、俺も入れてくれ!」


ステラの浮き輪に潜り込む。


「魔王様、狭いです…」


「嫌か?」


「嫌じゃないです」


「おじい様、なんだか生き生きしているわ!」


「ああ、懐かしくてな、愛の父さんや叔母さんが小さい頃、良く長嶋のプールに遊びに行った! こんな感じで遊んでいたなーっと思い出してしまった…」


「エルザ行くぞ!」


全力のバタアシで浮き輪を押す! テンションが高く、その速さはモーターボートだ!


「貴方、速過ぎます。きゃーー!」


「どうだ楽しいだろう? ガッハッハッハッ!」


「とめてくださーい!」


エルザの絶叫がプール中に響き渡った!


「ミキ、アコ、勝負だ!」


フライングで泳いでいく!


「魔王様、ズルです!」


怒りながらムキになってミキが追って来る! アコは諦めたようだ… 一周回ってアコのおっぱいを鷲掴み!


「きゃっ! もー! 魔王様ったら!」


まさにハーレム王の遊びだった! 魔王はプールから上がってもはしゃぎまくる! 

そして最後はサーキットに行く本日のメインイベントだ!


「ミキ、コイツで勝負だ!」


前に将に造ってもらった、なんちゃてフォーミュラーカーをアイテムボックスから2台出した。


「ミキ、ハンデだ! 3人選べ!」


「わかりました、受けて立ちましょう! リリ様、テラ様、サテラ様、お乗りください!」


「さすが抜け目ない! 軽そうなのを選んだか! 俺に勝つ気でいるのか?」


「ええ、当然です! 愛する旦那様にも勝負事は譲れません!」


ミキは毅然とした態度をとっている!


「愛、エルザ、アコ乗り込め! ハンデの重り! お前だカティア! 乗れ! しっかりとシートベルトを締めろ! 3周勝負だ、まずはタイヤを温めてこい!」


軽く走ってタイヤを温めただけだが既に同乗者の7人は青ざめてる!


「ミキ、安心しろクラッシュてフォーミュラーカーが粉々になっても、全員、パドックに転移される!」


魔王が無線を試しながら説明すると、ミキ以外の全員が青ざめる…


「わかりました! 限界を攻めます!」


「シグナルグリーンでスタートだ!」


ぴっ、ぴっ、ぴっ、ぴー!


ゴー! っとスタートする!


ミキの車はリヤタイが空転して出遅れる!


「残念だったな! カティアと言う重りが効いてる! こっちのスタートは完璧だ!」


「魔王様! 卑怯です! まあいいでしょう、カティアと言う重りを乗せていた事を後悔させてみせます!」


カティアは複雑な表情でその無線の会話を聴いていた…


「お前達! 歯をくいしばれ! なるべく右に体重をかけろ! コーナーに入る!」


「おじい様! 何キロ出ているの?」


「400キロだ!」


「「「「きゃーー!」」」」


愛達は勿論、無線の向こう側からも3つの悲鳴が聞こえる! 全力のバックストレートだ!


「魔王様、お先です!」


「バカな… 500キロ! もうエンジンが頭打ちだぞ!」


「スリップを使わせていただきました! ふふ」


「くそっ! カティア! お前飛び降りろ!」


「無茶言わないでください…きゃーー!」


「コーナーリング中は喋るな舌を噛む! エルザをみろ先程から悲鳴一つ上げない! さすが俺の妻だ!」


魔王は感心するが、


「おじい様、違うわ! エルちゃんは、すでに気絶しているわ!」


愛が説明した。


「魔王様、私もそろそろ駄目そうです…」


「たった今、アコも気絶したわ!」


「愛、2人を魔法で保護しろ!」


「もうしているわよ!」


愛がキレている! だか。そんな事はどうでもいい!


「もらった!」


オーバースピードだが、魔法で飛ばないように押さえ込み超高速のコーナーリングでアウト側からオーバーテイク!


「魔王様! 今の怪しいです魔法使いませんでしたか?」


ミキの怪訝な声がしたが、


「いや、カティアと言う重りのおかげで飛ばなかっただけだ!」


魔王は嘘をつく。


「それでも私の勝ちです!」


バックストレートでスリップストリームからのオーバーテイクでミキに軍配が上がった!

パドックに戻ると見物していた観客から大歓声が上がった!

カティア星にモータースポーツの文化が始まった日だった。


「おじい様! ミキ! いい加減にしなさい! みんな伸びているじゃないの!」


愛がキレる!


「「ごめんなさい…」」


「まあ、以外と楽しかったからいいわ! 次は私の分も用意してよね!」


愛も運転したかった様だ!


「愛、ジャジャーン!」


アイテムボックスから3台のF1マシーンモドキを出す!


「1人乗りだ! 時速600キロ出る! 勝負するか?」


魔王はニヤっと笑った。


「もちろんだわ! おじい様! ミキ! 勝負よ!」


伸びている女神達をそのまま放置して、3人のレースが始まった! 凄まじいデットヒートを繰り広げたレースの模様はセシリードローンが記録していて販売される。

連合国全土に広がり惑星間でモーターレースの大会がおこなわれるようになる。


「魔王様、酷いです…」


「そうよね! ズルだわ! 私達、未成年でこの世界に来たのよ! MTとかATなんて知らないのよ!」


オートマの設定は甘めであった…


「わかった! 今度教える! 改めて勝負だ…」


「絶対ですよ…」


ミキが恨めしい目でみる。


「ミキ、大丈夫よ! ガイアにもサーキットコースを造るわ!」


愛はガイアの女王でサーキット建設ぐらい、訳わなかったが、


(職権濫用じゃないか?)


魔王は心配した。だが、


「さすが愛様!」


ミキがキラキラした目で愛を見ていた。


「エルザ、気分はどうだ?」


「ええ大丈夫ですよ」


これで全員復活した!


「さあ、たくさん遊んだし、エカテリーナ達に挨拶して帰ろう」


城に戻る。ナオト達が入る首相の間に向かう。


「お前達、少し別の部屋で待っていろ!」


魔王は開けた扉を一瞬で閉め青い顔をし、女神ーズに言う。


「どうしたの?」


愛が不思議な顔をする。


「物凄い惨状だ! 見たら飯が食えなくなる!」


魔王の言葉に全員が理解する。


「わっ、わかったわ! おじい様が言うならきっと凄いのね… カティア! いつもの会議室を借りるわ!」


「どっ、どうぞ…」


愛達は別の部屋に避難し、魔王はカティアと首相の間に入る…


「きゃっ!」神のカティアですら悲鳴を上げる惨状だった…


「何をしたら、こんな酷い惨状となるんだ…」


「魔王、助けてくれよ…」


エカテリーナはうずくまり、ナオトは泣いていた、その足元の床にはエカテリーナの切断された腕が数多く転がっていた…


「右手は上手くいったんだ! だが左手が…」


ナオトは悲痛な顔で叫んだ!


「なんで、元よりデカくなってる?」


左腕だけ著しく逞しいマッチョな腕となっていた…


「どうしても駄目なんだ…」


項垂れて呟くナオトの目が虚だった…


「とりあえず片付ける…」


魔王は魔法で、床に転がる腕を消し去り、洗浄魔法で部屋を掃除する…


「エカテリーナ大丈夫か? しばらく腕を使わないければ腕の筋肉は落ちる。それまで我慢しろ」


「嫌です、このままじゃ外にも出れません! 魔王様お願いですなんとかしてください!」


「仕方がない…」


ジェネシスでスパッと斬り。瞬時にエクストラヒールをかける。

腕はみるみる再生していき、左右対称となった。


「俺は元をよく知らん、右手に合わせてやった!」


斬り落とした腕を処分して、愛達を呼ぶ。


「出来ないのがわかったのなら、なぜ途中で止めて待たなかった!」


魔王はナオト達を怒鳴りつける!


「ナオトさんを怒らないで! 私が無理に頼んだのです!」


エカテリーナがナオトを庇う。


「そうだろうな! ナオトの魂は既に限界だ… あと少しで存在が消滅するところだった…」


「そんな…」


エカテリーナがビックリしている…


「ナオトがお前の腕を平気で斬り落としていたと思っていたのか! ナオトはしばらく安静にさせてやれ!」


「はい」


エカテリーナが返事をする。


「ナオトさんごめんなさい…」


エカテリーナがナオトに謝っていた。


「教えた俺にも責任はあるが、お前達は限度と言うものを知らん、困った奴らだ…

とにかくだ、ナオトは充分に休養させろ!」


気まずい雰囲気の中、魔王達は帰って来た。


「最後はアレだったけど、いろいろ楽しかったわね! ガイアもレース場とプールの総合レジャー施設を作ろうと思うわ!」


皆も楽しかったようで、嬉しそうに頷いていた。


「メロン、美味しいですね」


リリが言いながらも、肩が揺れていた、カティアを思い出しているのだろう。


「なんだかんだ、カティアさんは面白いですよね!」


ミキが笑いながら言うと。


「リリは既にファンです」


と言って笑っている…


カティアは年少組にウケが良かった。


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