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ジジイの異世界記  作者: パパちゃん
11/546

その11

勇者達、聖女、聖騎士、神官達、息子夫婦に加護を与えたあと…

本格的に国興しの会議をする。

魔王はヤマトを国王としてと提案したが…

ヤマトや皆の進めで結局、魔王が国王となり国名を大魔王国ギガンティスとした。


そして、国造りを始める。

元ギガント帝国の王都と北の森を領土として、大雑把にトランプのダイヤのような領土、ダイヤの頂点の2面は海、下の2面は人族の領土に面している。

下2面の真ん中辺りが元ギガント帝国の王都。

その王都後に魔王城と都市を造り、アルカディアをそこに移築する。

全員そこに住む権利があるが…

年老いた亜人達の中には、自分達だけの集落に住みたい者もいて、真ん中の世界樹を中心に北にドワーフの町、東にエルフの街、南の世界樹と都市の間に妖精の街、西に獣人の街を作る事にした。


そして、ヤマトが領土に巨大な結界を張る!

ダンジョンを維持する事から解放されて強い障壁の結界を張れると張り切っていた!

だが、ゆくゆくは結界を張る魔導具を開発して維持をする予定となっている。


大魔王国ギガンティスは地球のオーストラリアぐらいの広さで、ヨシヒデが国のデザインを担当して部下と共に街並みを造っていく。

トシオと息子の将は技術開発を担当して、さまざまな物を造る予定だ。

その中には、とんでもない計画もあった!

亜人の街4つと世界樹、都市を鉄道と道路で繋ぎ、飛行船を開発して簡単に街を行き来出来るようにする予定だ。


森には山があり湖があり川がある。

海に面している土地もある。

自然の恵みが豊富で食料には困らない上に、タカとケイコの黒鉄夫妻が森の一部を田畑にしてエルフ達と米や野菜を育てる。

獣人族には牧場をやってもらう事になっている。


また山には鉱脈があり、森にはダンジョンがいくつかある。

魔石や鉱物の調達も容易だった。

生きていく上で必要な物は全て領土で賄える。


こうして国興しが始まる。


その前に、色々と確認しておきたいことを整理する。


まず、久々にギルドカードを確認する。


冒険者ギルドCランク

名前 ノブ

職業 大魔王

レベル1000

スキル 真理の心

加護 精霊女王

称号 ドラゴンスレイヤー ゴッドスレイヤー


称号が整理されていた。

やっと嘘つきが消えて、レベルは1000でカンストしているようだった…


職業が大魔王となったことで大魔王と名乗る事にした。

ヤマトの魔王と差別化するためでもある。


アイテムボックスを見る。


「魔剣カリバーン」と「神の魔石」が増えていた。


そして山のようにあった鉄やらミスリル、アダマンタイトやオリハルコンは資材として提供していた。


また、沢山持っていたゴーレムコアを使い、新たなゴーレムを造り作業や開発の手伝いをさせる。その数1万体。


そんな感じで、アイテムボックスの中は空っぽに近かった。


そして、加護を得たナオト達勇者組は…

職業が異世界人から勇者へ格が上がっていた。


ナオトはレベル300でカンストしていたが…

レベルキャップが外れ再び上がり始めた。


魔王も王都造りの手伝いを始める。

ダンジョンの街に行き、使えそうな物や建物をアイテムボックスに収納してアルカディアの街に移設する。

アイテムボックスは建物までも簡単に収納し、取り出せて、街ごと引っ越すのには凄く便利だった。


要らない物は魔法で転移させて集め、ヘルファイアで灰にする。


とにかく、魔王の魔法の力は絶大で、ギガント帝国を土魔法で整地したときも、1日とかからずに元帝国は跡形も無く更地となっていた。


城のデザインは孫の愛に任せてヨシヒデと職人達が建設する。


当初は、ヤマトと初めて会った名古屋城的な城をギガンティスの城として移設する案が出ていたが…


「江戸時代の城だけは嫌だ!

俺は魔王なんだ!

ドラキュラ伯爵が住むような禍々しい城を造ってくれー!」


魔王は和風の城を断固拒否していた。


あの城は、ヤマトの家として街外れの住宅街に移す事にした…


そして魔王城は…


「愛、魔王城はな、月夜が似合う禍々しいデザインで真っ黒な城にしようと思うんだ」


魔王は孫にドヤ顔で説明したが、


「嫌よ、おじいちゃん…それ、めちゃダサだよ…」


愛は嫌そうに、しかめっ面をして答えた。


「はぁ…そうなのか… じゃあ、浦安のシンデレラ城に…」


魔王がため息を吐き呟くが…


「おじいちゃん、本気なの? 冗談だよね? 真面目に考えて!」


食い気味に怒られてしまう…


(魔王は最強なのではないのか? 城のデザインすら決められないのか?)


少し拗ねた魔王の意見とは裏腹に愛がデザインしたモダンな城となった。


そして「真理の心」が話し掛けてくる。


(卵が孵るときがきました。アイテムボックスから出してください)


その場に4つの卵を出す。


「竜の卵」「獣の卵」「鳥の卵」「亀の卵」を地面に並べて愛と眺める。

しばらくすると卵にヒビが入り割れて竜が生まれ、それを皮切りに次々と魔物が産まれ出る!


「真理の心」が教えてくれる。


聖魔竜、聖魔鳥、聖魔獣、聖魔亀、この4頭が産まれた。


竜は黒いドラゴン

鳥は赤いフェニックス

獣は白いフェンリル

亀は緑のベヒモス


どれも幼体だ。あの神竜が転生して話が聞けるかもと思っていたが当てが外れた…

刷り込みか? 魔王の魔力で育ったからか? 魔王にやたらと懐いている…


(どうする、森に放すか?)


「真理の心」に話かける…


(駄目です! 可愛がって育てて下さい。

この国の守護獣となるものです)


真理の心に強めに注意されてしまう…


(そうか… 育てるのを孫に任せてもいいか?)


(大丈夫ですが、ときどきは主様も面倒みてください)


「真理の心」との話を終え…


「愛、コイツらを育ててくれないか? この国の守護獣になるはずだから」

 

魔王は孫に丸投げする。


「いいよ!」


愛は2つ返事でOKした。


(さすが我が孫!)


魔王は孫の愛が可愛くて仕方がなかった。


「じゃあ名前を付けなきゃ…

そうね…ドラコンだから、うーん、どら… どら… ドラちゃん!」


「じゃあドラが名前か?」


「いやドラちゃんまでが名前よ?」


愛のネーミングセンスは絶望的だった…


「おっ… おおっ… さすが我が孫…」


魔王は震える手で親指を立ててサムズアップをした。


「次はフェニックスだ…」


「フェニックスか… なにかないかな… 赤太郎!」


「次はフェンリルな…」


トコトコとおぼつかない足取りで歩き魔王の膝の上に登り、コテっと寝転がる。

頭を撫でると気持ち良さげに目を細める。


「コイツは、じいちゃんが名付けてもいいか?」


魔王はフェンリルを気に入った。


「なんて名?」


「プルル」


「あっ! 昔、おじいちゃんの家で飼っていた犬の名前じゃん」


「そうだ…」


魔王がプルルを懐かしそうに撫でる姿を、愛はほのぼのとして見ていた。


「最後はベヒモスね… 陸の亀だから… りく!」


愛は満足そうに頷いていた。


「名前も決まったな。ドラちゃん、赤太郎、プルル、りく、いずれこの国を守護してくれな!」


魔王は光り輝き聖魔獣達に魔王の加護を与えた。


そして、首都造りに励むなか、教団を辞めて出てきた聖女や神官達のために教会を建てる事にした。


祀る神は、この星の神、ガンガイア神で、宗教団体を造るのではなく誰でも祈れる教会とした。

聖女と神官とスタッフ、聖騎士で300名ほど、新たに部署を編成して教会を運営していく。

聖騎士達は新しい国を衛るためにと聖騎士から国の騎士に所属変えの希望を申し出ていた。


国造りが進むなか、ウエス大陸中に大魔王国の噂が広がり、隠れ住んでいた亜人達が大魔王の庇護を求めて次々と集まって来る。

その中にはチムのいた妖精の里の皆もいた。


「魔王様、わたくし達と西の精霊と妖精達を御守りください」


精霊女王チルが庇護を求めている。


「精霊女王に加護をもらった俺が、その精霊女王を庇護するのも変な話だがな…

この森に住む精霊や妖精達と相談して、一緒に暮らすか、新たな集落を造るかを考えて決めてくれ、なんなら都市に住んでもらっても構わん」


「精霊や妖精は森に住むもの… チムが話をしてくれているようで、共存で考えております」


「森に精霊がいてくれれば、森が豊かになって助かる!

チル達も、この国で暮らす仲間だ、よろしく頼む!」


「はい」


チルは魔王との話を終えて微笑み仲間の元に行く。

魔王は寛大で庇護を求める者達を次々と受け入れていた。


そんななか、ヤマトとギャリソンを呼び出す。


「なんじゃ? 困り事かのう?」


ヤマトは呼び出された事を不思議に思っていた。


「この国に、新たな亜人達が庇護を求めて集まって来る…

俺は馬鹿だから考えるのが苦手でな、力仕事に専念する。

亜人達の事を2人に頼めるか?

来た奴ら全員が良い奴とも限らない。

頼めるのはお前達しかいないんだ。

ついでに内政を任せたいんだが…」


ちょっと考えて2人は快諾した。


「それと、義理の娘のまりんを付けるから内政を教えてやってくれ!」


魔王はヤマトに頼んだ。


「それじゃったらミーナも一緒でええか? あやつにも、ぴったりの仕事じゃ!」


ヤマトも提案する。


「ああ頼む。丸投げで悪いが、あらかたの人事も決めて国が成り立つ様にしてくれ!」


魔王は丸投げで、ヤマトもミーナに押し付ける気でいた。


だが、ヤマトは、


「ジジイをこき使うヤツじゃ!」


と、笑い自分が働くような顔をしていた。


「それとな、跡取りと言うか… 次の王候補を決めて欲しいんじゃ、お前になんかあったら困るじゃろう? 保険みたいなもんじゃ…」


ヤマトが言いにくそうに提案した。


「ヤマトがやればいいだろう! 不死だし!」


「そうかも知れんが、皆が、お主を慕っておる… お主の家族の誰かに頼んどいてくれ。

堅苦しく考えるな、なんとなく王子とか姫とか呼ぶくらいでいいから…」


「わかった息子達に相談してみる…」


ヤマトの提案を聞き、息子達を呼び出す。


「忙しい中呼び出して悪いな。

この世界に来てどうだ? 何か困った事はあるか?」


魔王は息子家族に聞く。


「いや、日本みたいに便利な物や娯楽がないのは寂しいけど…

治る病気じゃなかったし…

また、戦争でも始まればどうなるかわからない。

これで良かったと思っている」


その言葉に、まりんと愛も頷く。


「この世界も戦争や戦いは起きるぞ、地球より人の命が軽く扱われている…」


それは魔王の実体験だった。

日本とは違い、ガンガイアでは人の命など紙くず程度の価値しかない…


「何かあったら、おじいちゃんが守ってくれるんでしょう?」


愛は、あまり危機感を感じていなかった。


「ああ… 全力でな!」


魔王は息子家族を何があっても… 例え自分の命に変えても護り抜くと改めて誓った!


「仕事はどうだ辛くないか?」


「今は国興しが忙しいが、落ち着いたら、お前達3人で静かなところで暮らしてもいいんだぞ?」


魔王は息子家族に、この世界の辛さを味わせたくはなかった。

と、いうのも、この国の豊かさを羨み、他国が攻めて来る事は魔王も想像していて、ウエス大陸の全ての国が敵になり大規模な戦争が起きる事も想定していた。


「僕はこの国のために働きたい! 今やっている事は元の世界の知識を使っての異世界無双じゃない? 漫画みたいで楽しいんだ!」


将も魔王に劣らずのアニメオタクだった…


「私もこの国の力になりたいです」


まりんも賛成して愛も頷いた。


「そうか、お前らの覚悟はわかった! 俺に何かがあったら将が王、まりんが王女、愛が姫だ!」


魔王はニヤリと笑い告げた。


「そっ、それは… 困るな… 父さんは知っているだろう? 僕が裏方向きなのは…」


将は、ザ、日本人で目立つ事が苦手だ…


「私も女王は嫌かも…」


まりんも困った顔をした…


「それに、父さんの見た目は15歳だろう? 王が変わって、突然、オッサンの僕になったらおかしいんじゃないか?」


そう、将の言う事はもっともで、魔王はこの世界で転生して15年、当然、歳も見た目も15歳だった。

その少年を、40過ぎのおっさんが父さんと呼び同世代の女の子が、おじいちゃんと呼ぶ…

それは物凄く不自然な事だった。

本人達はもちろん、最近、初めて魔王を知った者達は戸惑いを隠せないほどで、魔王もいちいち説明するのを鬱陶しく感じていた…


「まぁ、そうだな… でも、誰かが…」


魔王は困るが…


「だとしてもだよ! 父さん!」


将は、よほど嫌なのか引かなかった…


「なら愛、お前が次の女王な! 明日から愛姫だ! いいな! 守護獣も引き連れているしな」


魔王は面倒になり愛に押し付ける。


「えっ! おじいちゃん… 私も困るわ…」


「でも、皆んなのためだぞ?」


「うーん、でもおじいちゃんって無敵だし、私と同じ歳でしょう?」


愛は抵抗するが…


「まあ、そうなんだが、この国が建国して安定したら… いや、この世界が落ち着いてからでも構わない。みひろとゆきみを探しに行きたいんだ…

今は無理でも再び日本へ転移出来るかも知れない。

時間だって跳躍出来るようになるかも知れない。

ここは魔法の世界で俺は魔王だ!

無理などないと信じて希望は捨てない!」


魔王は妻や娘の事を諦めていなかった…


将達は絶句する…


「お父さん… 母さん達を…」


将は目に涙を溜めて感極まっていた。


「わかったは、おじいちゃん。おばあちゃんやおばさんを探しに行くときは私がこの国を護るわ!」


愛もベソをかいて納得していた…


「そうか… それでこそ我が孫じゃ!」


魔王は、その雰囲気に耐えられず、おどけていた。


「ジジくさ〜」


愛が呆れ将達が笑った…


「それで、まりんは、ヤマトやギャリソンに付いてミーナと共に内政を担当して学んで欲しい」


「お父さん、私も頑張ります!」


まりんも、それを引き受けてくれていた。


「将は、引き続きトシオと協力して魔道列車や魔導飛行船を開発してくれ!」


「うん! もう構想は出来ている。父さんに貰った資材もあるし試作は早いよ!」


将はやる気に満ちていた!


「そうか、必要な物が有れば教えてくれ集めてくるから」


そう言うと…


「大量の鉄やミスリル、特殊鉱石が欲しい!」


さっそくオーダーされる。


「わかった集めてくる…」


魔王は、また一つ仕事が増えたと内心ガッカリしたが、息子達には仕事を押し付けた手前、黙って集めに行く事にした。


そして、家族でたわいのない世間話を続けて束の間の休息を楽しんだ。


開発はどんどん進んでいく…


王都はダンジョンの街の名を引き継ぎ…

「アルカディア」とした。

アルカディアの都市造りが1番順調で、街並みの一部はダンジョンの街から運び再利用した建物もあり、予定より早く建物が建ち並んでいた。


王城や聖堂、その他の建物はヨシヒデが職人に指示を出して次々と建築していく!

各地の街を繋ぐ街道は、アルカディアから世界樹まで繋ぎ、世界樹から3方向に分かれ各街を繋ぐ道を作った。

上空からみると十時の形となり、列車はギガンティス国を円周で回る様に設計した。

各街に空港を作って飛行船を飛ばす予定だ。


とりあえず鉄や鉱石が沢山いる…

作業ゴーレムも増やしたい…


「なあヤマト、鉄やミスリルなどの鉱物が欲しいんだけど…」


ヤマトに相談する。


「それじゃったらな、感知魔法で鉱物を探して、土魔法で掘り出してアイテムボックスで鉱物だけを意識して収納する。それでOKじゃて!」


さすが年の功! 5000年近く生きているヤマトの知識は伊達ではない!


「魔王様、私が封印されていた山は良い鉱物があるはずです!

神竜の聖なる気で満たされて鉱物も神気を浴び性質変化しているはずです。

良いオリハルコンが沢山取れるかも知れません!」


ギャリソンが教えてくれる。


「それと、ゴーレムを沢山造りたくてな 、ゴーレムコアを手に入れたい。

どこか、ゴーレムがうじゃうじゃいる場所はないか?」


「うん? ゴーレムコアか? その辺の魔物の魔石でいいじゃろう?

それとも、ゴーレムから取りたいのか?」


ヤマトが不思議そうに聞き返す。


「魔物の魔石でいいのか? 知らなかった…

魔石なら1万個以上持っているからそれでなんとかするか…」


やはり知識ではヤマトに全然敵わない…


「鉱物を取りに行くならナオトも連れて行け!」


ヤマトが唐突に言う。


「なんでだ? 護衛か? 魔王に護衛はいらないだろう?」


魔王はそう言って笑うが、結局、ナオトが護衛として付いて来る事となった。


「飛んで行くか…」


魔王が呟き、ナオトと飛びランデル山脈に向かうが…


「やはり面倒だ! 転移!」


ナオトを巻き込み転移魔法を発動して一瞬でランデル山脈の麓の村に到着する!


魔王になり「真理の心」を得た事にもよって、面倒な座標計算は「真理の心」がしてくれる。

一度行った場所なら何処にでも転移が可能となっていた。

だが、何度試しても日本には転移が出来なかった…


(あの時は異界の扉頼りだったからな… )


魔王はガッカリとしていた。


仙神岳に直接の転移でも良かったが、なんとなく村に寄ってみた。


とりあえず冒険者ギルドの食堂に行く。冒険者達が昼間っからエールをあおる。ご機嫌な様子だった。

よく喋っている奴らの近くに席を取り、ジュースを飲みながら話を盗み聞く…


「ここのところ、ほんと変わったよなー」


「どうした?」


「だってアレだぜ? 大魔王とか言う奴!

人間と亜人の国? ふざけているよな…」


「別に関係ねぇだろう?」


「行きつけの情婦館から獣人の女が消えた…」


「おめぇ、アニマーだったからな!」


「笑うな! 獣人ふぜえが逃げるんじゃねーよ!

人間様以外は家畜でいろっつうんだよ!」


柄の悪い冒険者が大声で話、酔って叫んでいる。


「おかげで、エルフや獣人を捕まえりゃ、高く売れていいけどな! ガッハッハ!」


その仲間が下品に笑う…


「今は奴隷不足で人間の孤児でも高く売れるから冒険者を辞めて孤児院でも始めるかな! ガッハッハ!」


隣の冒険者がとんでもない事を言った。


「亜人狩りを始めた国もあるぐらいだ!

奴隷不足は深刻だぞ? 儲けるなら今しかねーぞ? 院長先生! ヒッヒッヒ…」


とんでもなく下品な奴らだった!


魔王はクズ達に怒りを覚えたが、所詮はモブキャラの戯言と怒りを収めた。


「何で神は、こんな人間達を優遇したのだろうな…」


魔王はナオトに愚痴をこぼす…


「こんな人間ばかりじゃないよ…」


ナオトもガッカリした感じだった…


「だといいな」


他の冒険者の話にも聞き耳を立てたが、ろくでもない話しかなかった…

世間の情報を何となく知り、魔王は何とかしなくてはと考え始めた。


そしてナオトと神仙岳に転移する。

神竜がいなくなったせいで神聖な雰囲気は無くなっていた…


山の中腹まで行き感知魔法を放つ!

物凄い量の鉱物を感知する。


ギャリソンの説明通り、鉱物の純度が高いせいか? 気配もビンビンだった!


山肌に手を翳し土魔法を念じる!

ゴーーー! 地鳴りがし山が揺れる…

物凄い量の鉱物が地中から上がってくる。

鉄、銅、銀、金、ミスリル アダマンタイト、オリハルコンまである!

宝石も水晶、オパール、ルビーにダイヤ、ありとあらゆる物が出てくる。


(日本で、これが出来ていたら物凄い大金持ちになっていたな…)


魔王は俗っぽい事を考える。


(やはり、日本人の心は消えないな…)


魔王はそう思い、笑い、少し楽しい気分になっていた。

魔王は自分が自然と日本人だと思う事が嬉しかった。


どれだけ収納してもアイテムボックスは満タンにならない。


「ナオト! 俺の国じゃねぇし取り尽くすぞ!」


「そうだね!」


当初、魔王は他国の土地の資源を奪う事に抵抗を感じていたが、国と民のためにと理不尽な大魔王となって生きる事を決めて細かい事は気にしない。と吹っ切れていた。

そんな魔王は環境破壊もなんのその、ナオトと2人で見つけた鉱脈から取れるだけ取り、取り尽くした!


「これで、我が国は10年戦える…」


魔王がニヤっとしながら呟く…


「それ、僕も言ってみたかった…」


オタクな2人の会話だった。


大量の鉱物をゲットしたがこれだけじゃ足りない…

感知を更に広げる!

この付近の山脈は結構な鉱山だと解り、しばらくはナオトと採掘作業をしに通うことにした。


今日のところはここまでとしてアルカディアに転移して戻る。

鉱物を将に届けてナオトとゴーレムを製作する。

神竜や大型の魔石は使わず

に中級、下級といった魔石と魔王の無尽蔵な魔力で1万2千のゴーレムを完成させた。

各部署に配り、チビ聖女に会いに行く。


「チビ聖女、息災か?」


「もう、チビ聖女はやめてください!

アリと呼んでくださいと、お願いしていますでしょう!」


アリがプリプリと怒る。


「ちょっと相談があるんだが… フィンもいるか?」


だが、魔王の突然の真顔に戸惑い、アリはフィンを探しに行く。

そのとき、フラフラとチムも飛んでやって来た。


「何をしている?」


「あんたを探してたに決まってるでしょ!」


「決まってるんだ…」


「もーう! ちょっと報告があってさ…」


チムが何かを説明しかけたとき、アリがフィンを連れて戻ってきた…


「お呼びですか?」


フィンも何事か? といった顔をしている。


「ああ、2人に相談があってな…」


「なんですか?」


アリが首を傾ける。


「実はな、孤児院を作りたいんだ… 孤児院は教会の管轄だろう?」


魔王が相談する…


「この国は殆ど孤児がいないですし、人間以外は孤児が出ても同郷の方が引き取り育てますから、造ったところで入る孤児がいるかどうかは…」


アリが困惑気味に説明した。


「真っ当な意見だが、我が国以外の子でも孤児達が望むなら受け入れようかと思ってな…」


「それは尊いお考えです」


フィンが尊敬の眼差しで魔王を見ている。


「そんな気高い事ではない…

今、奴隷だった亜人達が逃げ、この国に集まって来ている。

労働力や小間使いが少なくなった今、次に狙われているのが孤児だ…

人間達の労働力を少しでも奪いとって意地悪をしてやろうかと思ってな… それだけの理由だ…」


魔王は照れていた…


「もう、照れちゃって!」


チムがバシバシと魔王を叩く…


「良いと思います。魔王様のお心に感謝します」


アリがキラキラした目で魔王を見ている…


「ただ、問題もある… どうやって孤児達を納得させて人知れず連れてくるかだ…」


魔王が悩んでいると…


「そういう話はワシらにも相談して欲しいものじゃが…」


ヤマト、ギャリソン、ミーナ、まりん、愛がやって来た。


ヤマトは自分の張った結界の中限定だが転移魔法を使える…


「なぜここに?」


「私がギャリソンに念話したのよ!」


「ああ、告げ口か…」


チムをジト目で見る…


「なっ、なによー!」


「はぁ…」


魔王はため息を吐き。


「皆には、これ以上余計な仕事を増やして負担をかけたくなかったんだがな…」


魔王の気遣いだった。


「今更です」


ギャリソンまで言う…


「簡単に言うと… この大陸の孤児を出来るだけ集めたい。

出来れば犯罪奴隷以外の奴隷も買い取ってやりたい… と思ったんだ…」


「それは…」


困惑するミーナ。


「そうですな、ここは広く豊かで少しぐらい子供が増えたところでどうということはありますまい」


ギャリソンは納得する。


「おじいちゃんの考えに反対はしないわ」


愛が賛成すると、まりんも頷く。


「そうか、やる事は山積だし、働いてもらっているのに給料すら出していない。

そもそも俺には金がない、国を作る構想だけが膨らんで皆に無理をさせている」


流石の魔王も心配になり、皆に余計な相談が出来ないでいた。

だが、奴隷は無理でも孤児ぐらいはどうにかしてやりたいと思っていた。


珍しく黙って聞いていたヤマトが話し出す。


「お主はうじうじ考えんでもええ!

その為にワシらが頑張っとる。好きな様にやれ!

あとはワシらに任せておけ!」


流石は始まりの勇者! こういった時には頼りになる。


それで、今日の冒険者達の愚痴の話を聞かせた…

亜人がこの国に逃げた事によって孤児が狙われていることを…

表だって連れ出すと国が警戒する可能性がある。

亜人が逃げて行く今、孤児は貴重な労働資源だからと…


「奴隷なんて世知辛い話ね…」


まりんが呟く…


「まあな、王族だの貴族だのって、パンツまで人に履かせてもらう様な連中だ、奴らからしたら死活問題なのかも知れん」


魔王がガッカリしながら呟くと…


「パンツって、大袈裟じゃない?」


愛がジト目で見る。


「地球でもな、奴隷制度はあった。アメリカの大統領が奴隷解放宣言をしたって習わなかったか?」


魔王が真顔で愛に聞くと…


「うっ、歴史は苦手で…」


愛は赤い顔をして顔を伏せていた…


「俺が子供の頃は貴族はスプーンより重い物は持たないって有名な噂があったぞ?」


そればたぶん、映画とかの物語の話だ。魔王も勉強は苦手だった…


「まあ、それはともかく、奴隷制度なんて、あっていいものではない!

人が人を支配するなんてあってはならん!

いずれ、この世界からも無くなることを祈る」


魔王は熱く語ったが…


「なによー! そこは、俺様が無くしてやる! そう言いなさいよ!」


チムが強い口調で抗議する。


「チム、これはデリケートな問題なんだ。力ずくでは解決しない…

家族の為に奴隷になった者や奴隷でないと生きられない奴もいる…

この世界の根本的な問題の解決と人の意識の変革が必要なんだ。

今すぐどうこう出来る問題ではない。

解決するには時間が掛かるんだよ… いずれだ!」


魔王の言う事は正論だった。

この辛く厳しい世界には、奴隷など、まだマシな方かも知れなかった。


「まず、孤児だな… 出来る限りの事はしたいが、どうしたものか…」


魔王は悩んでいた。


「私が聖神国に掛け合ってみましょうか…」


アリが提案するが…


「聞く耳を持つ様な奴らなのか?」


魔王の問いにアリは口籠る…


「聖騎士で幾つかのチームを作り、いっぺんに各地を回って短期間で集めるのはいかがですか?」


フィンが提案した。


「なら、ワシの部下達も協力させようかのう」


ヤマトも同意する。


「私、行ってくるよ!」


チムだ…


「チムは止めとけ…」


魔王は呆れた…


「代わりに私がチームに加わり行って気ましょう!」


ギャリソンも参加する。


「では、チームが孤児を集めてチムと念話で連絡を取る。

街の外で俺と合流し子供達を転移で運ぶ。

その後、チームは次の街へ向かう… こんなところでどうだ?」


魔王が提案する。


「その方向で進めましょう」


ミーナも納得した。


「じゃあ、何台かの馬車が必要だな。

あとは、受け入れる孤児院…学校も予定より大きく造った方がいいな。

いろいろ変更もあるがよろしく頼む!」


皆に任せて立ち去ろうとしたところを…


「ちょっと待って! 探してたって言ったでしよ!」


チムが呼び止める!


「そうだった… 悪い悪い…」


「お母様達は、精霊の里の皆んなと新しく出来る精霊の街に住む事にしたわ! それを伝えたかったの!」


「了解だ」


「お母様に何か伝えておく事はある?」


「俺の世界の噂では、精霊が祝福すると森や大地、水が豊かになると聞いたが、どうだ?」


魔王の情報はファンタジー小説や漫画が元で何の根拠も無かったが…


「当然でしょ! 精霊よ? 森の護り神とまで言われるのよ!」


あながち間違いではなかったようだ…


「じゃあ、可能な限り祝福してくれ! ついでに田畑もな」


「わかったわ! 私達もこの国の住人! 喜んでやるわ!」


「チム! ありがとな!」


「べっ、別にいいわよ…」


チムは感謝の言葉に弱く照れていた。

今度こそ、その場を後にした。

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