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散りゆく桜の木の下で  作者: 柳沢 玲
3/3

【二】


授業はいつものように退屈で、考え事が捗る。

そういえば、登校途中に吹いた風は何だったのだろう。鈴の音と、あの怪奇現象…。


今日の授業がすべて終わると、小島君は私の席まで走ってきた。何の因果か、偶然にも私は一番後ろの列をほとんどキープしているので、今は中央付近に陣取っている小島君はまず教室の一番後ろまで走ってきた。これで廊下への最短ルートを奪われてしまった。畜生。そっと、心の中で舌を打つ。ちなみに、彼は私の苗字を叫びながら来るので、自然とクラスの人たちは私の席までの道を開け、私の逃げ道を塞ぐ。これらすべてを計算でやっているなら恐ろしいことだが、クラスの中心でいつも明るく笑顔なことが多い彼なので、これは素でやっている…と思っている。


「杉崎!!授業終ったし、婆さんのとこ行こうぜ!」

「…そうだね。早く行かないと日が暮れる」

なんで行くなんて言ってしまったんだろう。数時間前の自分を恨んだ。


それから小島君について、お婆さんの家へ向かった。

道中、今日学校で起こった出来事を、小島君が話し、私は適当に相槌を打った。

クラスの誰それが授業中の居眠り記録を更新したとか、運動場で猫と蛇が喧嘩してたとか。教室内での出来事でさえ、私には違う世界のようなのは、周囲に無関心な私が悪いの…?



しばらく歩いて、お婆さんの家に着いた。

呼び鈴を鳴らしたが、返事がない。

「…外出中、とか?」

「んー、でも、カーテンが揺れてるから、中には居ると思うんだよなー」

「じゃあ、昼寝でもしてるんじゃない?起こしちゃ悪いから後日出直そう!」

だから今日は帰りましょう。

「あ、玄関開いてる。おばーさーーん!!お邪魔しまーーーす!!!」

「(いや不法侵入!)…お邪魔します!!」

「…んー誰じゃー!勝手に入ってきたんはー」

「おばーさーん!健ですー!お邪魔してまーす!」

「おー、健かぁー見ねぇうちにすっかりおっきくなって!」

「昨日も来ただろーお婆さん。」

「…昨日は…会ったかぇ…?」

「昨日親父と来ただろー?

それより、沼山の昔話の続き、聞かせてよ。今日は同じクラスの杉崎も来てるんだ!」

「…お邪魔してます」

「おー、いらっしゃい。見ない顔だねぇ。…にしても沼山…そんなの話したかねぇ」

「話してたよー。飢饉を治めるために人柱たてたって話。」

「…そこまで知ってるなら、話したんだねぇ…。そこの子は、全部知ってるのかぇ…?」

「いえ!今朝小島君に大まかな話を聞きました。」

「そうかぇ…。大昔のことで、私も私の婆さんから聞いたことなんだけどねぇ」


そう言って始まったお婆さんの話を要約すると、昔、沼山にあった村を火事から救ってくれた桜の木に祠を作って、水の神として祀っていて、干ばつの時に雨ごいが行われたらしい。その雨ごいに、村の子を一人差し出すことになって、当時の村長の息子の幼馴染で、お婆さんの先祖にあたる女性の御友人が選ばれたらしい。それも急なことで、ちゃんとお別れできなかったことを悔いたお婆さんの先祖は代々、祠にお参りをしているらしい。

その差し出された子が、私たちより少し年上の孤児で、お婆さんのご先祖様の初恋の人だったらしい。


あんな沼地に人が住んでいたこと、その上、祠まで建っていたこと、まさかの昔の方の恋愛話まで出てきて、驚きだった。

一応、話は興味深かったので、不本意ながら、今日は来てよかったと思った。



その後は、やはりお婆さんは疲れたらしく、今にも寝そうだったので、私たちはお婆さんの家を後にした。


お読みくださり、ありがとうございました

前話も、一部書き直しました。話の内容自体に影響はありません。

…半年で一話更新って…。

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