表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弥勒の拳  作者: 真桑瓜
61/94

最後の任侠


最後の任侠


                    1




門司に、現代の次郎長と言われる俠客がいる。

名を、関長次郎と云う。

関一家と言えば、門司で知らない人はいない。『弱きを助け、強きを挫く』を、地で行くような任侠集団だ。

親分が商店街を歩けば、様々な人から声がかかる。

「親分、いい魚が入りましたよ、後でお届けしておきます」

「魚正の大将、いつもすまないねぇ、うちは大飯食らいばかりだから助かるよ」

また、八百屋の女将からは、「親分、今は大根が旬です、魚正の鰤と一緒にあら炊きなんて美味しいですよ」と、引きも切らない。

長谷川は、その関一家に松尾を連れて現れた。

松尾は、考え抜いた末に長谷川の提案を受け入れることにしたのだった。




                    2



「関の親分、電話でお話しした通りこいつは世間の枠には納まりきれません、ここで修行をさせて漢にしてやってくださいませんか?」

長谷川は座敷に通され、親分と向かい合うとそう切り出した。

「長谷川の旦那の頼みとあっちゃあ、無下に断れやしませんが・・・」関は静かに松尾を見た。「ほう、いい面構えをしておりますな」

松尾はその涼しげな眼の光に却って畏怖を覚え、この親分について行く事を決めた。

「宜しくお願い致します」やっとそれだけを言った。

「しかし、警察の旦那がヤクザに頼み事とはねぇ」関は笑って長谷川を見た。

「なあに、幕末の剣聖山岡鉄舟でさえ、弟子を清水の次郎長に預けて修行させたと言います。世間の常識に縛られていては、男は小さくなるばかりですよ」

「ははは、良いでしょう、お引き受け致しましょう」関は、あっさりと請け合った。

「ありがたい、これで私の肩の荷も下りました」

「ただし、もう堅気の世界にはお返しできないかもしれませんよ。なにせ任侠の世界も人材不足ですからな」

関は、そう言って豪快に笑った。


松尾は、こうやって最後の俠客への道を歩みだした。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ