1話死亡
プロローグ
俺には一番にさせたい推しがいた。
クラスではいつも彼女はクラスカーストで一番人気だった。
モデルもやっており、女優から声優まで幅広い演技力を兼ね備えていた。
しかし、彼女は車の事故により、身体が不自由になり、学校にもまともに来れる状態じゃなくなった。
唯一の救いは顔だけが無傷だったところだ。
しかし、彼女の高スペックほとんど失われ、人気者から下落し、影の存在まで陥った。
だが、俺は今でも彼女が好きだし輝かせたい!!
俺はいつものように通学路を歩いていた。
日差しは暑く眩しい光に目が眩む。
「はぁ……今日は夏風風華さんきているかなぁ。」
夏風風華さんは俺の推しで学校には週二回しかこない。
俺橘祐樹は中学3年生で今年受験生である。
そして、季節は夏になり、ほとんどの中学3年生の学生さんは勉強に励んでいる。
まぁ俺もその一人である。
学校に着き、夏風さんとは同じクラスなので席を見るが……今日もいないか。
俺は軽く肩を下ろした。
何故なら今週は一回も来てない。
しかも、今日は終業式で明日から夏休みだった。
そして、朝のホームルームが終わり、10分休憩となった。
「おーい祐樹!!元気出せよ!」
友達の橋下徹が言ってきた。
「わかってるよ……」
そうわかってる夏風さんはもう来ないことを……
夏風は車の事故の衝撃で身体が不自由になると同時に記臆も損失した。
だから、たまに来るが誰も話しかけなかった。
夏風さんには彼氏もいたが半ば絶望し、完全に忘れるにしたらしい。
「お前もいい加減忘れたら良いんじゃね?まぁ確かに熱狂的なファンだったかもしれないけど彼女はもういないんだからさ。」
知ってるよ……そんなこと……だけど変えられないものもある。
「そうかもな。でもいつか……」
「おーい終業式だぞ!みんな廊下に整列だ!」
その後、終業式は無事終わり、帰宅している途中見覚えのある顔が見えた。
車椅子で信号を渡ろうとしている一人の少女が……
俺は目を大きく見開いた。
夏風さんだ。
しかし、少女はなかなか進めず、歩道の段差にタイヤが引っ掛かっていた。
そこに車が猛スピードで加速して突進してこようとしていた。
「危ない!!」
俺は全力疾走し、彼女の車椅子ごと押した。
「ドーーー〜ーー〜ン!!!キュインバァァアーン!!」
車は僕にぶつかりスリップしてガードレールに衝突したらしい。
「あれ……俺……死ぬのか……」
大粒の涙が俺の頬に伝わる。
だんだん身体が熱かったはずが寒くなり、身体の感覚が失っていく。
あの日俺は死んだ。だけど彼女がまた満面の笑みが活躍姿が見たかった。
「んんん……ここはどこだ…」
病院?……
「起きた?貴方は死んだのよ?もし、生き返れるなら何になりたい?何がしたい??」
「俺は推しを輝かせたい!!」
「そう?ならそうすれば良いわ。運命に翻弄される日々を見させてもらうわ。」
あ……ん……たはだれ…………だ
気が遠くなっていく……またしても身体の感覚が消えてしまう。
「ん?ここは?」
「目覚ましたぞー!!」
俺は記憶が無くなっていた。全て無になってしまっていた。
「祐樹!!大丈夫?」
「うん!大丈夫だよ母さん!!」
本当は誰なのかもわからないが俺は演技をした。
「良かった……心配したんだからだぁ……」
「父さん、母さん心配掛けてごめん。」
それから病院で診断を受けたが身体には後遺症が無かった。
脳の検査もしたが正常だった。
だが俺には誰一人わからないひとりぼっち世界だった。
(これが夢なら目を覚ましてくれ……)
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