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拙い文章ですが読んでいただけると嬉しいです


最初は、ただ仲の良い友達だった。彼と出会ったのは小学生の頃だ。


きっかけは覚えていないが、いつの間にか俺たちは、仲良くなっていた。


友達なんてそんなもんだろ。ましてや小学生の頃の話だ。


その後も中学、高校と俺たちは歳を重ねた。その重ねた歳の数だけ、俺たちの友情はより強いものになっていたんだと思う。


だが俺は、それと同時に彼に、劣等感を抱いていた。

彼と過ごした時間は、とても楽しいものだったし、幸せな時間だったと思っている。だが、彼は俺にないものをたくさん持っている、その事実だけは、変わらなかった。


高校3年生の時だ。

俺は1度、自殺しかけたことがある。

先の見えないプレッシャーに押しつぶされ、何も考えられなくなっていた。


そんな時に、俺を救ってくれたのは彼だった。


恥ずかしい話だが、最初は彼の言葉がただの綺麗事にしか聞こえなくて、全く耳に入ってこなかった。


あの時の俺は、彼のようになりたかった。

俺にないものを、たくさん持っている彼に近づきたかった。

そんな相手から説教されたら、それは頭にくるだろう。


しかし、そんな逆上した俺を彼は根気強く説得してくれた。


 「あの時……顔を殴ってごめんなさい」


ちゃんと謝れていなかったから今、この場で謝罪させてほしい。


俺が落ち着くのを見ると彼は、彼自身のことを語ってくれた。


彼の話を聞いて俺は、さっきまでのことが恥ずかしくなった。


当たり前だ、彼も人間なのだから悩みもするし、どうにもならないことを嘆くことだってあるだろう。


しかし俺は、彼のことをわかった気になっていただけだった。一側面だけで、彼を決めつけ、勝手に劣等感を感じていただけだった。


 「ほんと……馬鹿な話だよな」


だからこそ俺は、俺を救ってくれた彼と並べるようになるために一生懸命努力した。


彼が俺と同じようにならないために、彼を支えてあげらるようになろうと思った。


 「一緒の大学に入れたときは嬉しかったなぁーー」


しかし、助けられてばかりの俺が、彼を救いたいという願いはついに叶わなかった。


彼はもう、この世にはいないのだから。


彼の話を聞いた時、1番助けたかった時に彼のそばにいられなかった。自分を恨んだ。

もっと彼と一緒に過ごしたかったし、色々なことを話したかった。


しかし、いくら自分を恨んだところで彼はもう帰ってこない。


彼に救われる前の俺だったらどう思っていただろう。

悲しんだだろうか、ホッとしだろうか。

いずれにしろ、今の俺は、彼に救われたこの命で意味のある生き方をしようと思った。


 「また、来るからね」


そう言って俺は、力強くその場を踏み出した。











読んでいただきありがとうございました

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